L-189:2022年06月医療・介護研修会 -12(Q&A);「ゲシュタルト」「I×V=R」と逆腹式呼吸
2022年6月、鹿児島県の医療法人で認知科学やコーチング理論を用いた職員研修を行いました。依頼されたテーマは「イライラ」。
当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御質問や御意見に回答いたします。
(関係者の皆さま方、大変長らくお待たせいたしました)
01;テーマは「『イライラ』の正体を知り、しっかり対処する」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35443656.html
02;「仕事観」を書き換える
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35479161.html
03;「幻覚」を見破り「付加価値」を生み出すヒント
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35494210.html
04;イライラや不幸から自由になるために…
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35531009.html
05;しあわせは いつも じぶんの こころがきめる
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35545220.html
06;成功体験を再現し、次の日の成功を思い描く
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35578663.html
07;「イライラ克服」の基盤
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35592887.html
08;つまらない夢を失った瞬間に訪れるもの
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35626365.html
09;「ゴール」と「イライラ」の関係のパターン別考察
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35638948.html
10;ビッグなゴールが生みだすもの
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35673866.html
11;臨場感を高めるための一工夫
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35688489.html
12(Q&A);「ゲシュタルト」「I×V=R」と逆腹式呼吸
研修後にたくさんの御意見や御質問をいただきました。ありがとうございます。コーチとして回答いたします。
…ブログ用に再構成する際に割愛しましたが、実際の研修では「逆腹式呼吸」について詳しく説明し、実際に取り組んでいただきました。
L-166:2022年01月シークレット… -10;呼吸を意識に上げてコントロールするワーク
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34408574.html
その逆腹式呼吸について、たくさんの感想をいただきました。
・逆腹式呼吸がよくわからなかった
A:「よくわからない」というのは、「ゲシュタルトができていない状態」です。
人は世界をゲシュタルトとして認識し理解しています。よって、ゲシュタルトができていないとなかなか理解することができません。その体感が「よくわからない」。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html
反対にいうと、ゲシュタルトができると理解できるようになり、さらに大きなゲシュタルトができるほど「よくわかる」ようになります。
Q-063:「ゲシュタルトができあがると理解が深まる」とはどういうことなのでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html
よって、「ゲシュタルトを統合する」という感覚が重要↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29997523.html
その基礎として、私は「トゥールミンロジック」を重要視しています。
L-080:2021年3月シークレット… -03;言語を用いたゲシュタルト構築 <基礎編>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30049883.html
そして、「ゲシュタルトを統合する」=理解を深めるために、「コンセプチュアル・フロー」を実践しています↓
L-081:2021年3月シークレット… -04;言語を用いたゲシュタルト構築 <応用編>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30075139.html
・イライラの対処法をもっと知りたい。呼吸法とかで落ち着くのかな~と思った
・逆腹式呼吸→行ってみるも?
A:ゲシュタルトができるまでの「よくわからない」を言い換えると、「信じられない」「受け入れられない」「納得できない」「しっくりこない」「あやしい」...という感じ。そのような違和感を意識に上げることは、とても重要です。
F-316:3つのF ~「うまくいかない」と思った時のcheck point~
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32726017.html
ただし、そんな違和感が存在し続けるかぎり、現状の外のゴールを達成することはできません。もちろん、ゴールを設定することも。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
「信じる者は救われる」という言葉があります。この言葉が正しいことは認知科学によって明らかにされ、コーチングにおいてプリンシプル化されています。
それが「夢をかなえる方程式
I×V=R」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html
「I×V=R」の「I(Imagination、Image)」を生みだすものは、「現状の外へのゴール設定」。「現状の外」はスコトーマに隠れ、そもそも認識することができません。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html
よって、「現状」というコンフォートゾーン(Comfort Zone、CZ)を共有している人たちにとっては、「現状の外」はまったく理解することができません。その結果、「現状の外」を否定し、排斥しようとします。それがドリームキリング。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040935.html
疑問や否定的な考えが浮かんだときは、自身の無意識がドリームキラーになっていないか確認しましょう。具体的にいうと、ゴールを再確認してください。
自分のゴールは何か?
なぜこのゴールなのか?
本当に自分のwantなのか?
バランスは保たれているか? …など
この問いかけはブリーフシステム(Belief System、BS)を吟味する重要な機会にもなります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html
・創造的回避をしてきた自分がいます
A:じつは、最大のドリームキラーは自分自身です。
Q-203:「自分自身が最大のドリームキラー」という意味はどういうことなのでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26417115.html
その理由は「自分=BSは過去の記憶で作られている」から。「過去の記憶」とは、主に“失敗”の記憶です。常に“失敗”がつきまとうため、自身の無限の可能性を素直に受け入れることは簡単ではありません。
PMⅠ-06-01:過去の“失敗”をもとに問題を解決する方法
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13397552.html
ひょっとして、「どうせ私なんか…」が口癖になっていませんか?
…もしもYesなら、今すぐその口癖を捨て去りましょう。「しあわせは
いつも じぶんの こころがきめる」から。それが「I×V=R」です。
(「口癖を捨て去る」方法はこちら↓)
F-217~:不安と不満のはざまで苦しんでいる君へ
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_416096.html
・「しあわせは いつも じぶんの こころがきめる」…本当にそうですね。イライラすることはエネルギッシュと思うこと。先を感じ、考えながら、気持ちの切り換えがなかなかできない現実です
A:繰り返しますが、「I×V=R」です。
「気持ちの切り換えがなかなかできない」というイメージの臨場感が高いかぎり、「切り換えがなかなかできない現実」は書き換わりません。
(その理由は↓)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
では、どうすればいいのでしょう?
…そう、ゴール設定です。「『気持ちの切り換えがなかなかできない』という現状」の外側に、心からワクワクするようなゴールを設定します。
Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html
私は「趣味」のカテゴリから取り組むことをお勧めしています。一つのカテゴリで 1)現状の外 や 2)心から望む がクリアできると、その他のカテゴリでもゴールを見出しやすくなります。
(その理由は↓)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
いろいろなカテゴリでゴールの再設定ができる頃には、「気持ちの切り換えがなかなかできない」は自然に解決しているでしょう。心が自由になるからです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html
・イライラの原因が現実と理想のギャップということ。イライラの原因について考えたことがありませんでした。どちらかというと、イライラしたらどうやって気持ちを平常心に戻すか
…ということだけを考えていました。イライラとうまく付き合っていければと思いました
A:「スコトーマ」の3つのポイントを覚えていますか?
…1)知識、2)重要性、3)役割(責任)の3つです。「イライラの原因について考えたことがない」というのは、そのどれかが欠けているということ。
L-133:2021年11月シークレット… -02;自我とRAS&スコトーマとコーチングの関係
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33004210.html
ゴールを設定することで 2)重要性と
3)役割(責任)を生みだすと、1)知識はますます増えていきます。その結果、目の前がゴールを達成するための世界にどんどん変わっていきます。
L-093:2021年7月シークレットレクチャー
-05;大量の情報を得て、知識化していく
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30566304.html
なぜでしょうか?
…答えは「人にはゲシュタルト能力がある」から。
Q-268:薬をやめることができますか? <前編:induction>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29185121.html
その能力を覚醒させる大切な縁起がコーチングです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
・仕事中にイライラすることはあまりありませんが、イライラしたときは逆腹式呼吸を実践したいと思います
A:素晴らしいですね!
これからお伝えすることを実践したら、さらに素晴らしくなります。
それは「セルフトークのコントロール」。
…1つ前の感想中の「イライラとうまく付き合っていければ」は希望であり、セルフトークの第2段階です。「イライラしたときは逆腹式呼吸を実践したい」は誓いであり、第3段階。いずれも臨場感(V)はまだ「イライラ」(I)にあります。「無意識が『イライラ』を肯定している」といえばわかりやすいでしょうか。
(「セルフトークの4段階」はこちら↓)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19152931.html
だから、いくら頑張ったとしても、「イライラ」は克服できないでしょう。それが「I×V=R」という人のマインドの特性です。
解決のためには、ゴール設定によって「イライラ」と相矛盾するセルフイメージを生み出す必要があります。そして、その新たなイメージの臨場感を高めること。
臨場感を高めるために行うことが、「セルフトークのコントロール」です。
Q-368:アファメーションとセルフトークの関係を知りたいです
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34026724.html
・何かよい呼吸法があるのでしょうか?
・他にも呼吸法があれば詳しく知りたいと思った
A:いいですね。「知りたい」という好奇心はとても重要!
(「好奇心」について、詳しくはこちら↓)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28501205.html
でも、まずは基本である「逆腹式呼吸」を徹底的にマスターしてください。「逆腹式呼吸」には、じつは、とても重要な秘密が隠されています。
以下、苫米地博士の著書「洗脳護身術」(三才ブックス、開拓社より再版、p85)より引用します。「逆腹式呼吸」をさらに大きなゲシュタルトにしてください。Feel!
変性意識を生成-逆腹式呼吸
基本的な呼吸法を習得したら、次はいよいよ逆腹式呼吸である。ここから先は、自分一人で行う練習なので、相手の瞬きに合わせる必要はない。この呼吸は文字通り、息を吸うときに腹を引っ込め、吐くときに出していく呼吸法だ。
では、具体的に解説していこう。まずは、背筋を伸ばして姿勢を正した状態で椅子に座っていただきたい。このとき、視線は中空に漂わせて、鼻先を軽く見ている状態がいいだろう。次に腹をへこませつつ、鼻からできるだけゆっくりと息を吸い込んでいく。吸気は胸を張って上に引っ張られていく感覚で行うとやりやすい。意識は眉間、つまり目と目の間に集中させていく。
完全に息を吸い切ったら、今度は呼吸を一瞬だけ止めて、ゆっくりと鼻から息を吐き出していく。同時に、全身の力をゆっくり抜きながら、へこませた腹を戻していく。腹を膨らませていく感覚でも構わない。首、肩、肘、手、腰、膝、つま先と、上から順番に意識して力を抜いていくと効果的だ。
以上の行程を、まずは約五分間行ってほしい。しばらくすると、額から周辺にかけてむず痒くなってくるかもしれないが、変性意識状態に陥る際の一つの現象なので、気にする必要はない。五分経ったら、呼吸を続けながら意識を下丹田に集中する。下丹田とは、臍よりもやや下に位置するツボで、精気が集約するといわれている。この下丹田周辺が、徐々に暖かくなっていくようにイメージしてほしい。さらに、逆腹式呼吸を続け、今度は「呼吸による全身のリラックス」「目と目の間に意識を持っていく」「腹部に暖かみを感じる」といった過程を同時に行う。このときの時間はおおまかな感覚でいいだろう。長ければ、長いほどいい。ヨガや気功では基本的な健康法でもあるので、毎日行うと体調管理にもいいはずだ。
逆腹式呼吸で重要なのは、呼吸を「意識する」のであって「意図する」のではないということ。わざと不自然に腹や胸を動かすわけではない。あくまでも「腹をへこませるような感覚」で、自然な逆腹式呼吸になるように心掛けていただきたい。そうすれば、普段は意識しないような呼吸をしている自分の感覚に鋭敏になり、自然と変性意識が生成されるだろう。試しに「目と目の間の感触」と「腹部の暖かみ」を意識し続けながら、自然な逆腹式呼吸をゆっくりと十~二十分間続けてみるといい。周囲の状態から意識が切り離されている感覚が訪れ、変性意識化に成功しているはずだ。
逆腹式呼吸の練習は、最低でも二ヶ月は続けてほしい。やがて、完璧な意識状態のもと、自然な逆腹式呼吸が行えるようになるだろう。
逆腹式呼吸による変性意識化に慣れてきたら、その状態の自分の意識を記憶しておくといい。そして通常の状態で、変性意識下の自身の意識状態を思い出す作業を何回も繰り返す。すると、逆腹式呼吸を行わずとも、自然と変性意識が生成されるだろう。地味な訓練となるが、これを体得すれば、後のステップの作業が非常に楽になってくるはずだ。
ところで、呼吸を意識に上げることで変性意識が生成されるのは、指が自然にくっ付くなどの生体反応を言語化して変性意識を生成するのと原理は同じだ。呼吸は重要なホメオスタシス活動として、生体としての内部表現が、無意識下で勝手に物理的世界とフィードバック関係を保ちながら維持されている。すなわち、臨場感が物理空間にあるわけだ。これを内省的に意識に上げることで、それは意識が介入した空間へと変わる。こうなるともはや、純粋な物理空間ではなく、意識するという情報的行為が介入した、やや情報空間にゆらいだ物理空間となる。完全な物理空間ではなくなるのである。そしてその空間に臨場感が生まれてくるので、変性意識状態となる。
催眠を含め、変性意識を生成するコツはこのように、まず物理空間からほんのちょっとゆらいだ仮想世界に臨場感を作り、そこから物理空間から大きく乖離した仮想空間に少しずつ誘導していくことだ。言語で生体状態を記述したり、生体状態を内省的に意識に上げるだけで変性意識が生成されるのである。そしてその物理空間と仮想空間のゆらぎを徐々に大きくしていくことにより、変性意識状態へ誘導していくのである。
とにかく、変性意識状態を体得するには実践あるのみ。どんなに科学的なメカニズムが理解できても、実践できなければ意味がない。サッカーが、ニュートン力学の枠を出ていない物理行為だからといって、運動方程式を求めてもエースストライカーになれないのと同じである。エースストライカーになってこそ、サッカーの本質が見えてくることがあるように、洗脳護身術も優れた洗脳家にならなければ見えてこない本質もあるので、皆さんにも頑張っていただきたい。
引用終わり
(L-190につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-告知1-
今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。次回は2025年2月下旬開催の予定です。約1ヶ月前にこのブログで御案内いたします。
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
-関連記事-
F-311~:デジタル自傷行為
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_426481.html
L-010:2020年1月シークレットレクチャー -10;記憶でつくられる「思い込み」が自由を奪う
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24808708.html
L-168:2022年03月シークレットレクチャー -01;「ブリーフシステムをしっかり理解する」ための自問
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34842501.html
Q-293:私のような凡人にはとてもできそうになく、悶々とした日々を過ごしています
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30321962.html
Q-369:共感覚がなかなかうまく実践できません <vol.1;理論編>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34066679.html
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