F-374:義を見て為さざるは、勇無きなり <vol.8(最終話);コーチングの原点>

 

 最近、医療法人を経営されている理事長(医師)と面談する機会がありました。理事長のブリーフシステム(Belief SystemBS)を観察している間に浮かんできたのが

 

  義を見て為さざるは、勇無きなり

 

 この論語の一節を、苫米地式コーチング認定コーチとして考察します。

 

 vol.1;問題も解決も〇〇〇にあり

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35363063.html

 vol.2;「義を見て為さざる」の問題点 -正義-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35409039.html

 vol.3;「義を見て為さざる」の問題点 -義務-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35457949.html

 vol.4;「勇無きなり」の問題点 -「勇」と「エフィカシー」の違い

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35508655.html

 vol.5;エフィカシー=〇〇のレベル=△△の強度

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35558970.html

 vol.6;「義を見て為さざるは、勇無きなり」を解決する -理論編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35605504.html

 vol.7;「義を見て為さざるは、勇無きなり」を解決する -実践編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35653525.html

 vol.8;コーチングの原点

 

 

 これまで「義を見て為さざるは、勇無きなり」という論語の一節を、苫米地式コーチング認定コーチとして考察しました。その間、私の思考空間を占めていたのはエフィカシー。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 そもそも「義を見て為さざる」を思い出したのは、医療法人理事長との面談がきっかけ。話題が新型コロナウイルス感染症に対しての“ワクチン”になったとき、理事長が私に向けて発した言葉が「あいかわらず尖っていますね」でした。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

コーチとしてこの言葉を翻訳すると、「あなたは私たちのコンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)から外れている」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 理事長的には皮肉だったのかもしれません。皮肉の裏にはきっと、「CZをはみ出すのはよくない」「出過ぎるのはダメ」「他と同じでいるのが無難」というブリーフがあるはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

実際、理事長は「『長い物には巻かれろ』じゃないですけど」と自身を擁護するような発言をされていました。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040752.html

 

 発言時の表情や仕草を観察しながら、私は「エスティーム(esteem)は高いが、肝心なエフィカシー(efficacy)が下がっているのでは?」と感じました。

 L-172202203月シークレット… -05;「新たな世界(w2)」が包含する“光”と“影”

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34943681.html

 

 もしもそうなら、論語に代表されるような差別的価値観の擦り込みや言語束縛を受け入れているはず。それが「CZをはみ出すのはよくない」「出過ぎるのはダメ」「他と同じでいるのが無難」というブリーフを生みだしているのでしょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808542.html

 

 皆さんはいかがでしょうか?

 例えば「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」という言葉に対して、猛烈な違和感を感じますか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 以下、苫米地博士の著書「洗脳論語」(三才ブックス、p108)より引用します。

 

 

洗脳論語

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奴隷支配にとって「過ぎたる」は邪魔

 

 子貢問う、師と商とは孰(いず)れか賢(まさ)れる、と。子曰く、師や過ぎたり、商や及ばず、と。曰く、然らば則ち師は愈(まさ)れるか、と。子曰く、過ぎたるは猶及ばざるがごとし、と。

(先進第十一の十六)

 

 「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」の出展です。皆さんも一度は耳にしたことはあるのではないでしょうか。

 弟子の子貢が、同じく弟子である師(子張)と商(子夏)のどちらが優れているかと孔子に尋ねたところ、「子張はやり過ぎていて、子夏は足りない」と答えたので、子貢が「では、子張のほうが優れているのですか」とさらに問い返したら、「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」と述べた、という話です。

 「やり過ぎることは足りないことと同じくらいによくない」というのが一般的な意味ですが、私から見れば、この言葉をすんなり受け入れられる人ほど洗脳されていることになるでしょうか。

 「及ばないのはよくない」と言いながら、「及び過ぎるのもよくない」と釘を刺しているところがこの文のミソです。及ばないのがよくないのは、誰もがわかっていることです。しかし、及び過ぎることは本当によくないことでしょうか。

 孔子が言っていることは、設定するゴールが低過ぎてもいけないが、高過ぎてもいけないわけです。テストで30点しか取れないのもよくないですが、100点もよくない、60点くらいがちょうどいいと言っているのです。

 私の著書を読んだことがある方はお気付きでしょうが、ゴールは高ければ高いほどいい。そうしなければ、エフィカシーが下がってしまいます。エフィカシーとは、自分の能力に対する自己評価です。「自分はこういう人間だ」というセルフイメージを指します。

 人は他人からの評価や、自ら気付いたことなどによって、自分に対して何らかの評価を下しています。そして、自分で下した評価の範囲内でしか、パフォーマンスを発揮できなくなります。「私は50点くらいが妥当だ」と判断すれば、その人は50点しか取れません。逆に「私は100点を取る」と判断すれば、100点を取れるようになります。

 エフィカシーが低いと、些細な欲望に囚われやすく、目標も低くなってしまいます。そして、何よりも洗脳されやすい状態になってしまうのです。

 高過ぎるのがよくないというのは、「夢を捨てなさい」「身分相応な生き方をしなさい」と言っているようなものです。極端に言えば、「奴隷は奴隷のままでいろ。高望みをするな」です。

 実際、こういった考えは、よく耳にします。「社長なんて高望みをせずに、堅実に生きなさい」とか、「プロ野球選手なんて夢のまた夢だから、地道に生きなさい」など。親や教師は皆、異口同音に言います。

 この考えは間違っています。「過ぎれば、過ぎるほどいい」のです。エフィカシーは高ければ高いほどいいのです。

 孔子の提言は、おそらく道教の「中道」の影響を受けています。中道とは間を行くこと。右に寄るのでも左に寄るのでもなく、真ん中を行くということです。

 しかし、この文は中道を説いているわけではありません。右か左かと問われれば真ん中がいいかもしれませんが、この文の場合は「賢い」か「賢くない」かを問われているのです。であるならば、「賢い」がいいに決まっているでしょう。真ん中で手を打っていいはずがありません。

 多くの日本人は論語の詭弁に騙されていますが、冷静に考えればすぐにわかることです。

 引用終わり

 

 

エフィカシーが低いと、些細な欲望に囚われやすく、目標も低くなってしまいます。そして、何より洗脳されやすい状態になってしまうのです

 

 誰もが生まれてからずっと洗脳され続けています。

 

 「洗脳され続けている」という表現に反発する方もいらっしゃると思いますが、そういう方でも「教育を受けている」という表現なら受け入れるはず。

 それこそが洗脳。洗脳と教育は、じつは、紙一重です。

 S-02-17:洗脳ではなく教育であり続けるための大切な問い

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19572431.html

 

 苫米地博士は著書「洗脳原論」(春秋社)の中で、「洗脳」を「本人以外の第三者の利益のために意図的に情報操作を加えること」と定義されています(p33)。

 (その具体例と対策はこちら↓)

 F-114:情報が書き換わると現実が変わる vol.5;「幸せなら手を叩こう♪」(ワーク付き)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20477749.html

 

 

洗脳原論

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 「意図的に情報操作」された結果、洗脳された側は「永遠に醒めることのない仮想現実」に身を置くことになります。それは自由を完全に奪われた状態です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 私は洗脳されていないし、これからも洗脳されないだろうから大丈夫

 

 今、そんなセルフトークをしていませんか?

無意識に。心の奥深くで。

 Q-276~:セルフトークのマネジメントについて

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_421937.html

 

 断言しますが、誰もが洗脳されています。そして、これからも必ず洗脳され続けます。

 

わかりやすくいうと、洗脳は「いかに違う色眼鏡をかけさせ続けるか?」ということです。

ここで重要なのは「人は色眼鏡をかけている」という事実。その「色眼鏡」のことを、コーチングでは「RASReticular Activating System)」と呼びます。日本語では「網様体賦活系」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

 RASの働きは「自分にとっての重要度に基づいて、遮断する情報と受け入れる情報をふるい分ける」こと。いわば“情報のフィルター機能”です。

 ついでに確認すると、「重要度」を決めるのがブリーフシステム(Belief SystemBS)で、「遮断する」は「スコトーマに隠す」と同じ意味。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 目の前の世界は各自が「受け入れる情報」で構築されています。それが現状(Status Quo)。

 重要度を決め、認識を生みだすのはBS。そのBSは過去の記憶でつくられているのですから、目の前の世界は過去といえます。

つまり、現状(Status Quo)とは過去です。

時間軸上は未来であっても、その未来を認識するBSは過去の記憶でつくられているのですから、このまま続く時間軸上の未来も過去だといえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 ゴール設定のポイントは 1)現状の外、2)心から望む、3)人生のあらゆる領域(バランスホイール)、4)自分中心を捨て去る の4つ。

 Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

現状の外とは、これまでのBSでは認識できないもの/ことであり、これまでのCZを遥かに超えたもの/ことです。

 

つまり、ゴール設定とは、認識している世界(w1)から何かを選ぶことではなく、「認識する世界(w2)」そのものを新たに生みだすこと

 

 現状の外にゴールを設定し、まったく新しい世界を創造する

 

 それがコーチングです。

F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

そんなコーチングは洗脳された状態ではできません。現状の外が見いだせないから。

 

だから、コーチングの前段階として、脱洗脳に取り組みます。

 F-365:経営判断ってなんだ?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35263585.html

 

それは“自由”を取り戻すための大切な取り組みといえます。

 Q-345:自身の人生を変えることに専念? それともコーチング活動を開始? <vol.2;「走りながら考える」 コーチング実践編・自由>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32510309.html

 

 

  義を見て為さざるは、勇無きなり

 

この論語の一節を苫米地式コーチング認定コーチとして考察しながら強く感じたのは、「人類総洗脳社会」という現実。

 

 

 人間は誰もが無限の可能性を持っています。

 でも、ほとんどの人がそのことに気づいていません。

 与えられた人生、与えられた夢を真実のものと思い込み、無限の可能性に満ちた自分や真実の夢に気づけないまま一生を終わっていく人の何と多いことか?

 

 これは「クラブ苫米地」に記載されている苫米地博士からのメッセージです。さらにこのような言葉が続きます↓

 CLUB TOMABECHI

 

 人類の一人一人が洗脳から解放され、本物の自由意思を獲得し、真実の自分の人生を歩み始めたとき、この世界から戦争と差別が永遠に消滅します。

 

 そんな未来を本当に実現することが、苫米地博士に学ぶ私たちの「義」。そのために“超越”をくり返す生きざまが苫米地流の「勇」

 

 2ヶ月にわたって考え続けた結果、私はこのようなイメージを体感しました。結局、原点に立ち返った感覚です。

 F-288~:今日1日だけは、憧れるのはやめましょう

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_424792.html

 

 

人にはゴール設定を行う価値がある

誰もが自由にゴールを設定することができる

 

 この確信が、私のコーチングの原点。

 F-226:雑巾

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28053878.html

 

 この原点から次々と生みだされるゴールと「人類総洗脳社会」とのギャップが、私のエネルギーと創造力の源です。

 L-071202011月シークレット… -06;ゴールはとてつもない才能を目覚めさせる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29072606.html

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

つまり、ゴール設定とは、認識している世界(w1)から何かを選ぶことではなく、「認識する世界(w2)」そのものを新たに生みだすこと

 

 これはもちろん「T」ですが、本物のコーチング(Authentic Coaching)においては、まだまだ先があります。

 L-10920218月シークレットレクチャー -11;モニタリング&ラベリング

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31421939.html

 

 詳しくはこちらでどうぞ↓

 Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html

 

 

-告知1

今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。次回は2025年2月下旬開催の予定です。約1ヶ月前にこのブログで御案内いたします。

 

 

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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