L-186202206月医療・介護研修会 -09;「ゴール」と「イライラ」の関係のパターン別考察

 

 20226月、鹿児島県の医療法人で認知科学やコーチング理論を用いた職員研修を行いました。依頼されたテーマは「イライラ」。

 当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御質問や御意見に回答いたします。

 (関係者の皆さま方、大変長らくお待たせいたしました)

 

 01;テーマは「『イライラ』の正体を知り、しっかり対処する」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35443656.html

 02;「仕事観」を書き換える

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35479161.html

 03;「幻覚」を見破り「付加価値」を生み出すヒント

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35494210.html

 04;イライラや不幸から自由になるために

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35531009.html

 05;しあわせは いつも じぶんの こころがきめる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35545220.html

 06;成功体験を再現し、次の日の成功を思い描く

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35578663.html

 07;「イライラ克服」の基盤

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35592887.html

 08;つまらない夢を失った瞬間に訪れるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35626365.html

 09;「ゴール」と「イライラ」の関係のパターン別考察

 

 

 つまらない夢を失った瞬間に訪れるものとは、「本当の目覚め」。すなわち“覚醒”!

 F-353:“覚醒”の夏に向けて習得! 苫米地式「オーセンティック・コーチング」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34650757.html

 

本当の目覚めを経て手に入れた「夢」のことを、コーチングでは「ゴール」と呼びます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 ゴールのポイントは4つあります。1)現状の外、2)心から望む(100%want to)、3)人生のあらゆる領域(バランスホイール)、4)自分中心を捨て去る です。

 Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

 そんな「ゴール」と「イライラ」の関係をパターン別に分類すると

□ゴールがないからイライラ

 □ゴールはあるのにhave towant toだからイライラ

 □ゴールがあり、間違いなくwant toなのにイライラ

 

 それぞれシンプルに考察します。

 

 

 □ゴールがないからイライラ

 さらに分類すると、1)そもそもゴールがない2)ゴールを失っている

 

1)そもそもゴールがない

 =自由がない状態です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 基本的にやる気は出ませんが、やる気が出たならイライラします。“気=エネルギー”の行き場がないから。

 Q-354:休みの日なのにvol.1;「無気力」と「やる気がない」の違い&GMCZ

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33182294.html

 

 2)ゴールを失っている

 「失っている」には、「あきらめた」場合と「達成した」場合があります。

 S-04-19:「人間関係の悩み」を「解決すべき課題」に変える方法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23645627.html

 

 「ゴールを達成した」「夢をかなえた」という状況は、傍から見ると幸せに見えます。しかしながら、本人的にはイライラの始まりです。理由のひとつは「“気=エネルギー”の行き場を失う」から。

 F-001:やり場のない

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516364.html

 

 もうひとつは「守りに入る」から。ひとたび夢をかなえると、「現状のコンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)を維持する」ことが最大の関心事になります。無意識にとっては。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 ところが、CZの維持は簡単ではありません。宇宙の理は“無常”だからです。すべては常にダイナミックに変化しています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 さらにいうと、そもそも人のマインドは「現状維持」をよしとはしません。それを苫米地博士は「限定合理性」と表現されています。

 F-334:分断緩和のための処方箋 vol.5;「ワークライフバランス」の落とし穴 <plan-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33619443.html

 

 

 □ゴールはあるのにhave towant toだからイライラ

 ゴールのポイントは 1)現状の外、2)心から望む(100%want to)、3)人生のあらゆる領域(バランスホイール)、4)自分中心を捨て去る。だから、望まないものやhave toを感じるものはゴールではありません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 正しくゴール設定ができたとしても、ゴール達成のプロセスでwant tohave toに変わってしまうことがあります。

私自身は「want tohave toに変えてしまう罠」として、「不安・恐怖(Fear)」「義務感(Obligation)」「罪悪感(Guilty)」に気をつけています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13523715.html

 

 

 □ゴールがあり、間違いなくwant toなのにイライラ

 ゴールは必ず「1)現状の外」。

現状の外とは、「現状と異なる」というだけでなく、「このまま続く未来でも絶対に起こらない」という意味です。つまり「達成可能性0%」。

L-170202203月シークレット… -03;「新たな世界(w2)」を現実化する感覚

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34892980.html

 

 そんなゴールを本当に設定することができ(I)、かつ十分に臨場感を感じられると(V)、人のマインドは「これまでの現状w1」と「ゴールが生みだす新たな現状w2」のどちらか1つだけを現実化しようとします(R)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

それが「認知的不協和」と呼ばれる状態です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 認知している自分の内側の現実(w2)と外側の現実(w1)に矛盾が生じたとき、人のマインドでは不協和を解決しようとするエネルギーと創造力が生まれます。

それがゴール達成の原動力となります。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25090742.html

 

 なので、認知的不協和によるイライラ(&不満)は悪いことではありません。「いかにして理想(w2)と現実(w1)のギャップを生みだすか?」がコーチングの肝。イライラ(&不満→不安)はコーチングの効果を知る重要な指標になります。

 Q-252~:最近また頭痛がひどくなりました

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_419633.html

 

 

 さて、ここまで「ゴール」と「イライラ」の関係をパターン別に考察しました。

理想は「ゴールがあり、間違いなくwant toなのにイライラ」という状態であり、そのイライラを「ゴール側のCZw2)を現実化するエネルギーと創造力に変えている」という状況です。

F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 ゴールに向かう過程で、「イライラする私(私たち)」という自我(関数p)は、「ワクワクする私(私たち)」という自我に書き換わっていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 もしも「イライラが消えない」「イライラしっぱなし」「イライラがますますひどくなる」というのなら、とても重大な問題を抱えています。ブリーフシステム(Belief SystemBS)に関するとても深刻な問題を。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 以下、苫米地博士の著書「『イヤな気持ち』を消す技術」(フォレスト出版、p146)より引用します(前回引用文のつづき)。コーチング実践中に絶対に解決するべき問題(課題)をしっかり感じてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 

他人の煩悩を自分の煩悩と錯覚する

 人間は、自らの煩悩を満たしてやることで成長する

 これは真理だと思います。

 ところが、現実の世界を眺めてみると、欲しいものを得たその結果に満足せず、成長もせず、不満と不安にさいなまされている人がなんと多いことでしょうか。

 自分で重要度を高めているものが自分の中にたくさんあり、しかもそれをひとつひとつ満たしているにもかかわらず、幸福になることもなく、目覚めもしないのです。

 その理由は、おそらくひとつです。

 自分の煩悩ではないものを、誰かによって脳に刷り込まれ、それがさも自分の煩悩であるかのように勘違いさせられているからです

 今、意識にのぼる、自分で重要度を高めているさまざまなものは、実は自分ではなく他人がインプットしているということです。

 これはどういうことか、具体的に考えてみましょう。

 他人の煩悩が刷り込まれる最もわかりやすい例は、テレビのCMです。

 クルマのCMを例にとると、そこには一定の制作上の法則を見てとることができます。

 CMでは、クルマの形状をかっこよく見せたり、高性能をアピールしたりするのは当然ですが、その映像にはクルマとは関係のない、いくつかの仕掛けが必ずくっついています。

 たとえば、運転席の前に広がる美しい景色。助手席からこちらに、にこやかな笑顔を向ける美女。そして、後部座席に従えた立派なブランド犬のペット。

 視聴者には、まるでそのクルマに乗ればそういう世界が手に入るかのように感じられます。それが、新型車のCMのオーソドックスな訴求方法になっています。

 現実には、視聴者が走るドライブコースにそんな見事な景色はないし、美人のカミさんや恋人がいるわけでもないし、ブランド犬に釣り合うような社会的地位もありません。

 すると、何げなく新型車のCMを見ている視聴者は、知らず知らずのうちに自分の現状に対して不満を募らせるようになります。本来その不満は、仕事にもっと懸命に取り組んだり、家族にもっと愛情を注いだり、人生に対する考え方を改めたりしなければ解消するものではありません。

 ところが、CMの視聴者は、「古いクルマに乗っているから、自分の生活がパッとしないのだ」と、まんまと勘違いしてしまいます。

 そして、本当の欲求があるわけでもないのに、次の週末にはのこのことショールームに出かけ、ディーラーの勧めるままに試乗してしまうわけです。

 視聴者の煩悩は、仕事で成功したいとか、もっとはつらつとした家庭を築きたいとか、自分の生活に向けられたものであるはずです。

 ところが、その本来の煩悩は、いつのまにか、CMをつくった企業や制作者の意図によって、新しいクルマが欲しいという煩悩にすり替えられてしまいます。

 これが、他人の煩悩が刷り込まれる仕組みです。

 人は、刷り込まれた他人の煩悩を満たしても、本当の満足感をえることはできません

 そのため、新型車を買ってしばらくすると、購入当初の満足感はものの見事に消えてしまいます。

 それはそうでしょう。新型車でドライブに行っても、目の前に美しい景色が広がることはないし、助手席に乗っている妻や恋人は疲れてどことなく不機嫌です。

 仕事も相変わらずでペットを飼う余裕などあるはずもなく、ハンドルを握っていても気になるのは明日の営業のことばかりです。

 煩悩を満たしたはずなのに、ちっとも満足をえられません。

 そうやって、ふたたび不満の種がまかれていきます。2年もすると、その人はまた新型車のCMに突き動かされて、「もっと高価なクルマが欲しいなあ」と思い始めるわけです。

 引用終わり

 

 

 自分の煩悩ではないものを、誰かによって脳に刷り込まれ、それがさも自分の煩悩であるかのように勘違いさせられている

 

 おそらく、それが「イライラ」の根源的理由でしょう。苫米地博士がよく用いられる表現でいうと、「奴隷だから」。

 F-367~:義を見て為さざるは、勇無きなり

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_429934.html

 

 だからコーチング!

 コーチングを実践することで、結果として、本当の“私”を見つけることができるようになります。

 F-355~:自由訳「OODA

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_429448.html

 

L-187につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ      

苫米地式認定マスターヒーラー      

 CoacH T(タケハラクニオ)     

 

 

-追記-

ところが、現実の世界を眺めてみると、欲しいものを得たその結果に満足せず、成長もせず、不満と不安にさいなまされている人がなんと多いことでしょうか

 

 不満と不安にさいなまされている人」に向けて、“気”を込めて書きました↓

 F-217~:不安と不満のはざまで苦しんでいる君へ

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_416096.html

 

 

-告知1

今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。次回は2025年2月下旬開催の予定です。約1ヶ月前にこのブログで御案内いたします。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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Q-391:現状の外かな~ということをイメージするととても気分が悪くなってしまいます。このような場合どのようにすればいいでしょうか?

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