L-183202206月医療・介護研修会 -06;成功体験を再現し、次の日の成功を思い描く

 

 20226月、鹿児島県の医療法人で認知科学やコーチング理論を用いた職員研修を行いました。依頼されたテーマは「イライラ」。

 当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御質問や御意見に回答いたします。

 (関係者の皆さま方、大変長らくお待たせいたしました)

 

 01;テーマは「『イライラ』の正体を知り、しっかり対処する」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35443656.html

 02;「仕事観」を書き換える

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35479161.html

 03;「幻覚」を見破り「付加価値」を生み出すヒント

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35494210.html

 04;イライラや不幸から自由になるために

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35531009.html

 05;しあわせは いつも じぶんの こころがきめる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35545220.html

 06;成功体験を再現し、次の日の成功を思い描く

 

 

 前回(L-182)の追記中で、「『自分』にこだわるほど、本当はすでに存在している『ワクワク』や『幸せ』が認識しづらくなっていく」と書きました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 その理由は「抽象度が上げられない(むしろ下がる)ことで、『ワクワク』や『幸せ』がスコトーマ(Scotoma)に隠れてしまう」から。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 今回はスコトーマについて確認していきましょう。まずは「ルビンの壺」と呼ばれる下の図をじっくり観察してください。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 

ルビンの壺(Wikipedia)

「ルビンの壺の一例」

Wikipediaより引用

ルビンの壺 - Wikipedia

 

 

 じつは、先程の「ルビンの壺」という言い方に仕掛けがあります。「壺」として見れば見るほどRASReticular Activating System)が働き、“壺以外の可能性”がスコトーマに隠れてしまうのです。最初に「壺」だと思い込むほど、「壺」にしか見えなくなります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

「ルビンの壺」に隠されている“壺以外の可能性”とは、「向き合った人の顔」という認識です。「顔」と見た途端に、今度は「壺」が消える(=スコトーマに隠れる)はず。それを「ロックオン(この場合は「顔」)」「ロックアウト(「壺」)」と表現します↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19979953.html

 

 私たちは、RASの働きにより、自身のブリーフ(信念)に従った情報しか取り入れていません。常にブリーフ(信念)に従うものにロックオンし続け、それ以外をロックアウトしています。そのロックアウトが「スコトーマに隠れる」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 あるブリーフ(信念)に基づくロックオン/ロックアウトは、有益な情報を逃してしまう恐れがある上に、間違った情報を信じてしまう危険性まではらんでいます。それが「洗脳」のカラクリ。

 S-02-17:洗脳ではなく教育であり続けるための大切な問い

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19572431.html

 

 したがって、「RAS&スコトーマとブリーフシステム(Belief SystemBS)の関係をしっかり理解し、自らコントロールする」ことは、とても重要だといえます。それこそが「自由」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 

スコトーマを生みだす/外すポイントは3つあります。

 

1つ目は「知識」。

そもそも私たちは、「知らないもの」を認識することができません。反対に、「すでに知っている」という思い込みは、新たな認識を妨げます。

L-140202111月小学校親子講演会 -03;子どもたちに一番伝えたかったこと

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33332991.html

 

2つ目は「重要性」。

私たちは重要な情報しか認識していません。その“重要”は必ずしも好ましいもの/ことではありません。

例えば、クモが苦手な人の無意識には、「クモが重要」と書き込まれています。すごく嫌いな人のことがつい頭に浮かんでしまうのは、その「嫌いな人」の重要性が高いからです。

Q-398~:恨みをメールで送りつけたい気持ちがあります

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_429964.html

 

3つ目は「役割(責任)」。

そのポイントをシンプルに表現すると、「すべてを自分事にする」です。

S-04-05:自責の意味

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22669112.html

 

 イライラや不幸から自由になるためには、「RAS&スコトーマをコントロールして、『ワクワク』や『幸せ』をしっかり感じる」ことが絶対条件です。

 Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html

 

 以下、苫米地博士の著書「『110分』で脳が生まれ変わる」(イースト・プレス、p152)より引用します。「RAS&スコトーマのコントロール」を体得してください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 

成功体験を再現し、次の日の成功を思い描く

 このトレーニングとは別に、夜寝る前に、今日のできごとのうち、うまくいったことをひとつ思い出します

 誰でも1日にひとつくらいはうまくいったことがあるはず。それを思い出して再現し、将来のレパートリーにできるように、そのうまくいったことを「やった!」と思って、できるだけ強く意識します。

 そして、「明日は〇〇をうまくいくようにしようかな、〇〇がうまくいくといいな」などと明日のことを思い浮かべます

 朝起きたら、「昨日、これはうまくいったな」ということを思い出す。そして、「今日は何をうまくいかせようか」ということを思い出すようにします

 

 この朝と夜のトレーニングは、「110分トレーニング」とは別に、おまけで必ず行ってください。毎日やれなくても、できるときだけでもかまいません。

 このおまけトレーニングには、「自己充足的予言」(self fulfilling prophecy)という効果があります。

 「今日はイヤな日になるなあ」と思うと、必ずイヤな日になります。というのも、いいことに対してスコトーマ(盲点)が生まれ、いいことが見えなくなるからです。起きたことがすべてイヤなことにしか見えなくなります。

 逆に「今日はいい日になるなあ」と思うと、イヤなことに対してスコトーマが生まれ、いいことしか見えなくなります。そのため、必ずいい日になります。

 夜寝る前に、いいことだけを脳にしっかり刻み込み、明日起きるべきいいことを思い浮かべます。朝、それを強化することによって、その日一日、いいことしか起きなくなるのです。

 

 このような生活を繰り返していけば、1日ずついいことが強化されていきます。

 それが、結果として組み合わせる記憶のレパートリーを増やしていくことにつながっていきます。

 そして、毎日確実にコンフォート・ゾーンがずれていきます。

 このトレーニングは、「何が起きてもポジティブに考えよう」というポジティブシンキングと似ていますが、この方法ではイヤなことがいっさい起きません。努力してポジティブに考えなくても、いいことしか身のまわりに起きないのです

 引用終わり

 

 

 「自己充足的予言」(self fulfilling prophecy)は、「“よい出来事”だけが認識できるようになる」ための重要なワークです。実践し続けると、本当に“いい日”ばかりになり、「イライラ」は消えていきます。詳しくはこちらでどうぞ↓

 L-125202111… -06;マインドが変わると、“現実”が書き換わる(ワーク付き)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32748380.html

 

L-184につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記1

じつは、先程の「ルビンの壺」という言い方に仕掛けがあります。「壺」として見れば見るほどRASReticular Activating System)が働き、“壺以外の可能性”がスコトーマに隠れてしまうのです

 

 この条件づけが「コンディショニング」です。詳しくはこちら↓

 L-09320217月シークレットレクチャー -05;大量の情報を得て、知識化していく

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30566304.html

 

 

-追記2

すごく嫌いな人のことがつい頭に浮かんでしまうのは、「嫌いな人」の重要性が高いからです

 

 重要性は過去の何らかの記憶によりつくられています。

人間の記憶は“失敗駆動型”です。よって、「イヤな人」「イヤのもの」「イヤのこと」ほど認識してしまいがち。その解決法はこちら↓

PM-06-01:過去の“失敗”をもとに問題を解決する方法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13397552.html

 

その重要性を未来側から新たにつくりだすのがコーチング。そのコアが「ゴール」と「ゴールの設定」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 

-追記3

 イライラや不幸から自由になるためには、「RAS&スコトーマをコントロールして、『ワクワク』や『幸せ』をしっかり感じる」ことが絶対条件です

 

 ですが、「『ワクワク』や『幸せ』をしっかり感じる」こと自体は、本物の“自由”ではありません。このレベルで留まることはとても危険です。下記ブログ記事で考察しています↓

 F-367~:義を見て為さざるは、勇無きなり

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_429934.html

 

 

-告知1

今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。次回は2025年2月下旬開催の予定です。約1ヶ月前にこのブログで御案内いたします。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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