F-370:義を見て為さざるは、勇無きなり
<vol.4;「勇無きなり」の問題点 -「勇」と「エフィカシー」の違い->
最近、医療法人を経営されている理事長(医師)と面談する機会がありました。理事長のブリーフシステム(Belief System、BS)を観察している間に浮かんできたのが…
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義を見て為さざるは、勇無きなり
…この論語の一節を、苫米地式コーチング認定コーチとして考察します。
vol.1;問題も解決も〇〇〇にあり
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35363063.html
vol.2;「義を見て為さざる」の問題点 -正義-
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35409039.html
vol.3;「義を見て為さざる」の問題点 -義務-
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35457949.html
vol.4;「勇無きなり」の問題点 -「勇」と「エフィカシー」の違い-
思考実験はどうでしたか?
…「やりたくないことをやめる」という思考実験を続けると、自分の仕事や生活の中に「我慢していたけど、本当はやらなくてもよかった」ことがたくさんあることに気がつきます。スコトーマが外れるから。
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その時こそ、「『やりたくないことを嫌々やる』というこれまでのコンフォートゾーン(CZ)」を破壊し、「ゴール設定により自ら生みだす『やりたいことだけやる』というCZ」に移行するビッグチャンス!
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ところが、「『これまでのCZ』を破壊し、『ゴール側のCZ』に移行する」ことは決して簡単ではありません。
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誰かが「CZとして維持されている世界」から抜け出そうとすると、まわりの人々が強力に引き戻そうとするから。そういう人々を「ドリームキラー(Dream Killer)」と呼びます。
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じつは、最大のドリームキラーは自分自身です。
Q-203:「自分自身が最大のドリームキラー」という意味はどういうことなのでしょうか?
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実際、現状から抜け出そうというときは、必ず不安な気持ちになります。ゴール側のCZを臨場感豊かに感じるほど、足はすくみ、心臓がバクバクし、「やっぱりやめよう」という気持ちになるはずです。そうですよね?
F-244:「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋を架ける <vol.1;臨場感>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28857122.html
現状を変えるとき、人生を変えるとき、夢に向かって走りだすとき …大きな変化が起こるときには、必ず不安や恐怖が津波のように押し寄せてきます。
F-129:The Sweet Hello, The Sweet Goodbye -1;不安に襲われる若者、希望を失う老人
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21892496.html
そんなときにぜひ思い出してほしいことがあります。それは、
不安な気持ちが強ければ強いほど、劇的に人生が変わる
…という事実。
勇気を振り絞って「ゴール側のCZ」を目指していると、やがて美しい景色が見えるようになり、自分が素晴らしい世界の一部であることを実感しはじめます。
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すると、人生が一変するような信じられない出来事が次々と起こるようになります。まるでゴールを実現するための縁が自然と引き寄せられるかのように。
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勇気を振り絞って「ゴール側のCZ」を目指す
…苫米地博士に直接学ぶ前の私は、そんな「勇気」のことをエフィカシーだと思っていました。と同時に、「勇気」という言葉に気持ち悪さを感じていました。
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今思うと、「勇気」という概念(ゲシュタルト)に“社会的洗脳”の影を感じていたのかもしれません。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html
現在の私は、「勇気」とエフィカシーを同じように考えることは完全な間違いだと思っています。その理由はクリアでしょうか?
ところで、「『感情』の解剖図鑑」(誠文堂新光社)の中で、苫米地博士は「勇気とはどんな感情を指すのか、正確に把握している人はほとんどいないのではないか」と書かれています(p150)。
さらに博士は、「ある目的のために行動するとき、成功する可能性とリスク、どちらの方が高いか。その両者の兼ね合いこそが、『勇気』なのかそうでないかを決め、『勇気』の度合いを決める」と書かれています(p151)。
「成功の可能性」と「リスク」のバランスであることを前提に「勇気」を分析すると↓
□成功する可能性よりリスクの方がはるかに高い
→ 無謀な行動
□リスクがはるかに少なく、「絶対に大丈夫」と自信あり
→ 普通の行動
□目的が達成できる可能性よりも、リスクの方が少しだけ上回る
→ 勇気ある行動
…「勇気=エフィカシー」と理解している場合でも、博士の分析を熟慮することで違いが浮き彫りになってくるはず。
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「勇気=エフィカシー」と考えるのであれば、エフィカシーとは「『目的が達成できる可能性よりも、リスクが少しだけ上回る』という状況での『達成できるという確信』」のことになってしまいます。
もちろん、このエフィカシーの表現は間違いです。これでは苫米地博士が最近とくに否定されている「CZを少しずつひろげる」「ステップ・バイ・ステップ方式」という考えに陥ってしまいます。
以下、苫米地博士の著書「」オーセンティック・コーチング ~本物のコーチング~」(CYZO、p155)より引用します。「CZをひろげることの怖さ」を体感してください。Feel!
◎コンフォートゾーンを広げることの怖さ
ここで、ステップ・バイ・ステップ方式とコンフォートゾーンの関係についてもう少し話しておきましょう。
前述したように、ステップ・バイ・ステップ方式と「コンフォートゾーンを広げましょう」という考え方は似ています。『PX2』では、「コンフォートゾーンを広げましょう」という考え方で一部導入しているという話はさきほどもしました。ただし、大人向けのコーチングでは「コンフォートゾーンを広げましょう」という言葉は使いません。その理由は人を現状に縛りつけてしまうためですが、さらにもうひとつ、ホメオスタシスの原理が働かなくなるという問題もあるからです。
ホメオスタシスは、いまのコンフォートゾーンの居心地が悪く、そこから逃れようとするから働くわけです。
ところが、コンフォートゾーンを広げてしまうと居心地の悪さが解消されてしまい、現状が心地よいものになってしまいます。
現状が心地よくなると聞くと一瞬いい話のように思われる人もいるかもしれませんが、言葉を換えれば、これまでの現状が続くということです。しかも、心地よくなったとしてもそのやり方は大抵の場合、一時しのぎにしか過ぎません。
一つ、とてもわかりやすい例を出しましょう。
白人だけのクラスの中に黒人が一人入ってきたと思ってください。白人たちは非難囂々ですが、一人のリーダー的白人が「そういう差別はやめよう。黒人だって同じ人間じゃないか。仲良くしよう」と言って、その彼を迎え入れます。これには賛同者も多く、黒人はクラスメートになりました。それから数日後、もう一人、黒人が入ってきました。彼も受け入れられました。さらに数日後、今度は3人入ってきました。さらに数日後、今度は10人入ってきました。さて、クラスはどうなるでしょうか?
「どうなっているんだ、このクラスは。ここは白人のクラスじゃなかったのか!」と大騒ぎになるでしょう。
最初は白人のクラスというコンフォートゾーンでした。それを広げて、黒人を数人入れてもなんとかそのコンフォートゾーンは維持できました。しかし、数が増えて現実的に白人のクラスでなくなってしまったら、そのコンフォートゾーンは維持できないのです。白人のコンフォートゾーンはどこまで行っても白人のコンフォートゾーンであり、それが「現状」なのです。
こうなった原因は何かというと最初が詭弁だったからです。「そういう差別はやめよう。黒人だって同じ人間じゃないか。仲良くしよう」というあの言葉に嘘があったのです。この言葉の裏には「一人くらいだったら我慢しよう」という意味合いが含まれていたのです。もしかしたらリーダーの一人だけは本気で差別をやめようと思っていたかもしれません。しかし、多くの白人たちにとっては「一人しかいないんだから我慢するか」だったのです。これが「コンフォートゾーンを広げる」というやり方です。
何が間違いかというと根本的な発想が間違っているのです。
現に、差別をなくしましょうと言っている限り、差別は残ります。
黒人にとって差別的でない空間を作りたいのであれば、差別の概念そのものがない新しいコンフォートゾーンを作らなければいけません。
私たちが目指さなければいけないのは、この「新しいコンフォートゾーンを作る」ほうなのです。
引用終わり
大人向けのコーチングでは「コンフォートゾーンを広げましょう」という言葉は使いません。その理由は人を現状に縛りつけてしまうためですが、さらにもうひとつ、ホメオスタシスの原理が働かなくなるという問題もあるからです
…「勇気」や「エフィカシー」、そして「コンフォートゾーン」を考えるとき、鍵となるのが「ホメオスタシス」。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
次回、掘り下げます。
(F-371につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
不安な気持ちが強ければ強いほど、劇的に人生が変わる
…補足として、苫米地博士の著書「立ち読みしなさい! ~美しいほどシンプルな成功術」(CYZO、p121)より引用します。
Kindle版はこちら↓
Amazon.co.jp:
立ち読みしなさい! eBook : 苫米地
英人: 本
現状を変える時、人生を変える時、夢に向かって走り出す時、大きな変化が起こる時には、不安な気持ちが津波のように押し寄せてきます。
不安な気持ちが強ければ強いほど、劇的にあなたの人生は変わるということです。
その不安や恐怖と正面からまともに戦ってはいけません。
その代わりにマインドを変えてください。
「不安な気持ちは素晴らしい人生への入り口だ!」という認識に変えるのです。
不安になればなるほど、「これから素晴らしい人生に変わる準備をしている」と思ってください。開けることが怖い扉であればあるほど、その扉を開けた時、素晴らしい絶景が待っています。あなたが本当に見たかった景色がそこにあるのです。
引用終わり
その不安や恐怖と正面からまともに戦ってはいけません
…やはり、「勇気」とエフィカシーはまったく違うものであるようです。
-告知1-
今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。次回は2025年2月下旬開催の予定です。約1ヶ月前にこのブログで御案内いたします。
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
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