Q-399:恨みをメールで送りつけたい気持ちがあります<後編;恨みをコントロールする方法>

 

御質問をいただきました。ありがとうございます。

 その一部に回答いたします。

 (変更を加えています)

 

Q10年以上恨みを感じている人物がいます。ときどき名前をネット検索にかけて確認し、そのたびに悔しい気持ちがしています。

もっと自分の人生を大切に決めて生きていたかった。であれば、周りをもっと幸せにできていたのではないかと思うのです。
 その人物の関係者に私の恨みをメールで送りつけたい気持ちがあります。

私らしくないとセルフトークして、公憤のエネルギーにして、静観すべきでしょうか?

 

 いただいた御質問に対して私はこのように回答しました。

 

 

時間は未来から過去に流れています。

どんどん遠ざかる過去をわざわざ“今”にしているのは自分自身です。

この件のことをメールで送りつける」ことで、新たな“過去の延長上の未来”を生みだすのは自分自身。

 

すべて自分で決めることです。

 

これからも過去の延長上で生き続けるのか?

それとも、ゴールを設定し、まったく新しい可能世界を生きるのか?

 

自分で決めてください

 

“自分”を決めてください

 

 

 ところで、認知科学者 苫米地英人博士の著書に「『感情』の解剖図鑑」という本があることをご存じでしょうか?

 

 その中から「恨み」について書かれている部分を引用(青字)し、前後編2回に分けて考察します。

 

 前編;「恨み」の根元にあるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35396123.html

 後編;恨みをコントロールする方法

 

 

A2:以下、「感情の解剖図鑑」(誠文堂新光社、p64)からの引用(青字)です。

 

 

恨みに支配されると、判断を誤りがち

 恨みも、基本的には、人間にとって必要のない感情です。

 世の中には「恨みをバネにして頑張る」という人もいますが、一度恨みを抱くと、その感情はたいてい、扁桃体で増幅されます。つまり大脳辺縁系が活性化し、前頭前野の働きが抑えられて、IQが下がってしまうのです。

 そのため、恨みの感情に支配されてとった行動は、多くの場合、正しい結果をもたらしません。

 引用終わり

 

 苫米地博士は「恨みは人間にとって必要のない感情」だと諭されます。シンプルに表現すると「恨み≠人間」。

 その理由は「大脳辺縁系が活性化し、前頭前野の働きが抑えられて、IQが下がる」から。例えば「戦うか、逃げるか」というような“動物的”な心理状態を引き起こすものが「恨み」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 なので、「恨み」や「怒り」を感じたときは、「“人間”のままでいられるか?」それとも「“動物“になってしまうか?」の重要な分岐点だといえます。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

 私がポイントだと思っているのは「しっかり感じる(feel)」こと。そして、その「感じる(感じている)」を意識に上げ続けること。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 一言でいうと、「モニタリング」。

 F-321:観自在 <実践編-1;モニタリング>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32969294.html

 

 それが湧き上がるさまざまな感情への対処の基本です。

 Q-089181122福祉講演会(鹿児島県)- 11

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/17330854.html

 

では、苫米地博士が書かれている「恨みをコントロールする方法」を確認していきましょう。

 

 

1 徹底した危機管理で、恨みの発生を防ぐ

 恨みの感情を抱かないためには、「日ごろから、危機管理をしっかりする」ことが大事です。

 「他者から理不尽な危害を加えられた」と感じたとき、それが想定外の出来事であればあるほど、人は怒り、やがて恨みを抱くようになります。ですから、行動するときは常に、さまざまな危険性を想定し、できるかぎり備えておくのです。

 たとえば「同じ会社でずっと働いていられるとは限らない」「何があっても絶対に自分を裏切らない人などいない」と、ふだんから考えていれば、クビになったり裏切られたりしたときのダメージは少なくてすむでしょう。交通量の多い道路では、できるだけ車の運転をしないよう心がけていれば、事故に巻き込まれる可能性も少なくなるはずです。

 引用終わり

 

 危機管理」のポイントとして苫米地博士が挙げられているのが、「想定」。もうちょっと踏み込んでいうと、「状況に応じて『アサンプション(想定)』を『アップデート(更新)』する」ことです。

 F-270:冗長性と多様性 <vol.2;アサンプション・アップデート>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30321842.html

 

 「アサンプション(想定)」というと、とくに真面目な方ほど、細かく分析してしまいがち。もちろん、そのハビット&アティテュードも大切ではあります。しかしながら、「細かく分析」とは、抽象度が下がる方向性です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

そのままでは「木を見て森を見ず」「森を見て山を見ず」のように、重要なもの/ことを見逃してしまうことになりかねません。

Q-231:「財布を盗られた」といった被害妄想がvol.2RAS&スコトーマと専門性の関係>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27881450.html

 

 引用文内で苫米地博士が語られている例「同じ会社でずっと働いていられるとは限らない」「何があっても絶対に自分を裏切らない人などいない」は抽象度が上がる方向性。それは無常のことであり、縁起の理そのものです。大乗仏教では「空観」といいます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 心がけるべきは

 

 あくまでも「空」を基盤としながら、抽象度を下げながら「仮」なる「アサンプション(想定)」をダイナミックに「アップデート」していく

 

 ことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 

2 復讐を考えることで、恨みは抑えられる

 生きていれば、自分には問題がなく、いくら危機管理を徹底していても、理不尽な目に遭わされることはあります。

 しかしそういうときこそ、怒りや恨みの感情をうまくコントロールし、IQを維持するように努めましょう。IQが下がり、冷静な判断力を失うと、ますます被害が拡大してしまうからです。

 将来的に恨みにつながりそうなことが起こったときや、自分が誰かを恨んでいると感じたときは、まず「自分にとって理不尽な出来事が起きた」「自分はいま、怒っている(もしくは恨んでいる)」と客観的に自分を眺めましょう。「あー、嫌な目に遭ったなあ」などと、声に出して呟いてみてもいいでしょう。

 それから、怒りを感じたときと同様、復讐の方法を考えます。理不尽な危害を加えられたときは、相手をより理不尽な目に遭わせる方法を、一生懸命考えましょう。

 もちろん怒りと同じで実際に実行する必要はありません。徹底的に考えるだけで十分です。実行すれば、自分に不利になることも多いでしょう。方法を考えるだけで、前頭前野が活性化され、扁桃体で恨みの感情が増幅されるのを抑えてくれるはずです。

 引用終わり

 

 ここでいう「復讐」とは、「revenge」ではなく、「avenge」のこと。

 F-234~:自由訳「revenge」と「avenge

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_419026.html

 

 コーチングの知識と実践をフル活用し、「復讐」をゴールに落とし込み達成することで、結果としてしっかり「復讐」を果たすことができます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 私が思う最大の「復讐」とは、「自分自身が幸せ(well-being)になる」こと。

 F-176:“幸福(well-being)”とは? ~「antiwithwellpart-1;ゴールが幸福を定義する

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25101418.html

 

 そう、自分自身が幸せになることが最大の「復讐」です。

 その「自分自身が幸せ」は、「縁ある人々の幸せ」のことであり、「目の前の世界の幸せ」の結果。さらに「未来の幸せ」まで「自分の幸せ」と感じられる頃には、かつての「恨み」は完全に克服しているでしょう。

 S-04-11~5:本当の幸せを感じられない理由

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23107579.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23170992.html

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23309832.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23368649.html

 

 きっと「なんで恨んでいたかのかわからない」「私が人を恨むはずがない」「恨み? なにそれ」というように、セルフトークが自然に変化していくはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

そんな日が必ずやってきます。

望む未来を本当に実現できるのがコーチングの力。無限に等しい人の潜在能力(生命力)を引きだすのがコーチング(&ヒーリング)です。

 F-361:自由訳「OODA」 <vol.7;「OODA」の本質とコーチングの真髄>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35059143.html

 

 大切なのは「自分の自由意思で設定するゴール(未来)の結果として、今を全力かつ気楽に生きる」こと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 それが「“自分”を決める」ということだと思っています。

 L-130202111月医療… -11;「スピリチュアルペイン」と「自分」と「自由」と「本当の幸せ」の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32859869.html

 

 

 以上、私の回答です。

 御質問ありがとうございました。

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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