F-368:義を見て為さざるは、勇無きなり <vol.2;「義を見て為さざる」の問題点 -正義-

 

 最近、医療法人を経営されている理事長(医師)と面談する機会がありました。理事長のブリーフシステム(Belief SystemBS)を観察している間に浮かんできたのが

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

  義を見て為さざるは、勇無きなり

 

 この論語の一節を、苫米地式コーチング認定コーチとして考察します。

 

 vol.1;問題も解決も〇〇〇にあり

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35363063.html

 vol.2;「義を見て為さざる」の問題点 -正義-

 

 

 いきなりですが、以下、苫米地博士の著書「洗脳論語」(三才ブックス、p94)より引用します。前回引用分のつづきです(一部重複)。

 

 

 「義を見て為さず」というのは、孔子または皇帝に対してやるべきことをやらないことです。拡大解釈すれば、義は正義となります。目の前に正義があるのに、それを実行しない者は腰抜けだと貶めています。

 では、正義かどうかはいったい誰が決めるのでしょうか。

 それは、孔子であり、皇帝です。特に皇帝は、その時代に君臨しているので、皇帝が言うことが全て正義となります。正義は決して民主主義から生まれるわけではありません。

 現在でもその名残はあります。法治国家である日本にとっての正義は、法律です。法律だけが従うべきものであり、法律以外を基準にすることは許されません。しかし、実際はどうでしょうか。法律における正義と異なる正義が横行していませんか。人によっては、最高裁の決定以外にも従うべきことがあると思ってはいないでしょうか。

 法律と異なる正義があるという洗脳がなされている要因は、論語です。論語、儒教を取り入れてきた日本の文化にあります。

 かつては、従うべきものは全て先祖でした。先祖のためであれば、何をしても許されるという時代がありました。先祖崇拝は、儒教に限らず多くの国の文化で見られます。「自分の親が一番偉い。その親はもっと偉い」という考えは、当時としては普通の論理でした。

 しかし、現代ではその考えが通用しない部分が出てきました。現代科学の解釈を用いれば、先祖を拝むということは、とどのつまり生命の起源となるアメーバまで拝まなければならないという論理になってしまうからです。先祖が偉いというのであれば、アメーバや猿も偉くなってしまいます。

 昔の人は、まさか自分の先祖が猿やアメーバだとは知るよしもありません。人間から人間が生まれた、あるいは神が人間を創造したと考えていました。故に、先祖崇拝は当然の帰結だったのかもしれません。

 現在はそのようなことはないとわかっているにもかかわらず、未だに先祖を絶対だと信仰している人はいます。

 日本では、国民全てが平等です。日本国憲法第14条において「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と「法の下の平等」が規定されています。市井の人であれ総理大臣であれ、日本においてはなにびとも権利と義務の関係において等しく扱われます。それが基本的人権の尊重であり、法治国家としての誇りです。

 しかし、実際にはそうなっていません。東京電力の会長や社長と原発周辺の住民が平等な人権を有していると思っている人はいるでしょうか。

 そういう別次元の正義を作り出したのが、論語なのです。

 「先祖の言葉と同じくらい大切なのが皇帝の言葉」という論理によって、従うべきでない正義が生まれ、現代でもその思想は浸透しています。皇帝(=権力者)の正義は、今や暗黙の了解となっています。

 法律以外の正義が存在すれば、それは法治国家とは言えません。日本には道徳教育が施されていますが、私からすればもっての他です。法治国家、政教分離を謳っておきながら、儒教に基づいた宗教教育を施しています。その結果、法律とは異なる正義が生まれているのです。

 先生や警察、政治家を見ればつい諂ってしまう、そういった洗脳国家になりはてたのが今の日本です。そして、その元凶がこの文と言えるでしょう。

 引用終わり

 

 

 日本においてはなにびとも権利と義務の関係において等しく扱われます。それが基本的人権の尊重であり、法治国家としての誇りです

 

 その根拠となるのが、日本国憲法第14条。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない

 

 

 しかしながら、実際には歴然たる差別が存在し、格差がどんどん拡大しています。「国民なら脱税」という行為が「政治家なら不記載」で済まされてしまうことは、現代日本の腐敗の象徴でしょう。

 Q-383:現在の若者は、男女問わず、貧しくなってしまったのでしょうか? <前編;コーチング入門者向け>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34738124.html

 

 

 私はかつて禅道場をもつ病院で院長を務めていました。その11年間、ずっと「別次元の正義」と闘っていました。歪んだ「正義」の根っこに何があるのか問いながら。

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理事長を中心に多くの職員が取り組んでいた禅は、中国から伝わり、鎌倉時代に日本国内に広がりました。そのオリジンはインドの釈迦を祖とする哲学ですが、中国で儒教・道教と強く結びついた後に日本に伝わっています。そのため釈迦オリジナルの哲学は“中国化”されています。

Q-393クライアントが利己的なゴールを設定している場合、ゴールの再設定を促してもよいのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35284572.html

 

「この世に絶対(アプリオリなもの)はない」や「この世は心が作っている」という釈迦哲学のプリンシプルに対して、儒教のプリンシプルは「仁義の道を実践し、上下秩序を弁別する」。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

「この世には初めから違いがある」「その違いに従え」というのが儒教システムの根幹です。そしてその正体は、「無分別」を是とする仏説(釈迦哲学)とは決して相いれない「差別思想」です。

L-163202201月シークレット… -07;「ゴールを見つける近道」に仕込まれた洗脳

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34339393.html

 

支配者や既得権益は、この論理(差別思想)を使ってシステムを強化してきました。もっとはっきり言うと“洗脳”。

(洗脳手法の典型が「ダブルバインド」。詳しくはこちらでどうぞ↓)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33414117.html

 

人類の進化途上において、かつての社会は「権力を持つ者」がそれ以外の「下々の人々」を支配し搾取するという構造でした。

「下々の人々にはそもそも権利はなく、それは支配者から一方的に与えられている」という理不尽なその構造は、“社会的洗脳”により民衆の潜在意識に植えつけられました。儒教的な「御恩と奉公」という言葉がそのいい例です。

F-207:マトリックス/Matrix -02Reloaded;現実を生みだすもの>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27012198.html

 

 つまり、引用文中の「正義かどうかはいったい誰が決めるのでしょうか?」に対する答えは「権力者(既得権益)」。私たちは、そうとは知らずに、「権力者(既得権益)」が生みだしたシステムによって自由を奪われています。生まれながらに持っているはずの自由を。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 「御恩と奉公」で思い出しましたが、雇われ院長でありながら創業家に対して“尖っている”私に対して、「御恩と奉公だから」と諭すように話してくださる先輩職員がいました。

個人の信条であり価値観であるため面と向かって反論はしませんでしたが、私はそのブリーフこそが自由を奪っていることをやんわり伝えました。

L-01020201月シークレット… -10;記憶でつくられる「思い込み」が自由を奪う

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24808708.html

 

 この部分は次回(F-369)掘り下げますが、今も勤務し続けているというその職員さんのマインド(脳と心)は、have toばかりでがんじがらめに縛られているはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 

 私たちは、そうとは知らずに、「権力者(既得権益)」が生みだしたシステムによって自由を奪われている

 

 

 それは「権力者(既得権益を継ぐ者)」にとっても同じ。

なぜなら、これは大きな社会システムのことだけではなく、個人のマインドにおけるシステムの話でもあるから。そう、ブリーフシステム(Belief SystemBS)のこと。

 L-168202203月シークレット… -01;「BSをしっかり理解する」ための自問

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34842501.html

 

私たちの無意識はつねに“何か”に支配され、過去に閉じ込められています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 だから、現状の外へのゴール設定!

だからこそ、徹底的な未来志向(=過去は一切関係ない)!

 

 コーチング実践者にとって、正義」を決めるのはゴールのみ です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

F-369につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

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今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。次回は2025年2月下旬開催の予定です。約1ヶ月前にこのブログで御案内いたします。

 

 

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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