F-367:義を見て為さざるは、勇無きなり <vol.1;問題も解決も〇〇〇にあり>

 

 最近、医療法人を経営されている理事長(医師)と面談する機会がありました。

話題が新型コロナウイルス感染症に対しての“ワクチン”になったとき、理事長が私に向けて発した言葉が

 

  あいかわらず尖っていますね

 

 コーチとしてこの言葉を翻訳すると、「あなたは私たちのコンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)から外れている」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 理事長的には皮肉だったのかもしれませんが、私にとっては褒め言葉です。「Not Normal」と認めていただいているのだから。

 Q-391:現状の外かな~ということをイメージするととても気分が悪くなって

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35232931.html

 

 私は「Yes, I’m good!」とセルフトークを重ねながら、理事長のブリーフシステム(Belief SystemBS)の観察を続けました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 その時に浮かんできたのが

 

  義を見て為さざるは、勇無きなり

 

 

 これは論語の中の一節(為政第二の二十四)。

 論語は、古代中国の思想家で儒教の教祖でもある孔子(紀元前551~紀元前479年)やその弟子たちの言行を、孔子の死後にまとめたものです。

 「学而第一」「為政第二」「八佾第三」「里仁第四」「公冶長第五」「雍也第六」「述而第七」「泰白第八」「子罕第九」「郷党第十」「先進第十一」「顔淵第十二」「子路第十三」「憲問第十四」「衛霊公第十五」「季氏第十六」「陽貨第十七」「微子第十八」「子張第十九」「堯曰第二十」という20編で構成されており、全部で512の短文が収録されています。

 

 その中でもとくに有名な一節が、「義を見て為さざるは、勇無きなり」。

 その意味は「人としてなすべきことと知りながら、それを実行しないのは勇気がないからである」とされています(デジタル大辞泉)。

 

 面談中にわかったのですが、なんと、理事長はコロナ“ワクチン”推進派。日本政府的な言い回しを用いると、「大切な人たちを守るために“ワクチン”接種を推奨する」という考えでした。この場合、「義」は「大切な人たちを守る」で、「為」が「“ワクチン”推奨」です。

 

 「大切な人たちを守る」という「義」は私も同じ(正確にいうと「大切な人たち」は△。追記で取り上げます)。つまり、理事長と私はゴールを共有しているということ。

 ただし、「為」はまったく正反対です。私の「為」は「“ワクチン”絶対阻止」だから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

会話を続けながら、私は理事長の「為」を「“ワクチン”推奨」から「“ワクチン”絶対阻止」に書き換えようと思い立ちました。苫米地式でいうと「アサンプション・アップデート」。

F-270:冗長性と多様性 <vol.2;アサンプション・アップデート>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30321842.html

  

 「理事長の『為』を『“ワクチン”推奨』から『“ワクチン”絶対阻止』に書き換える」をトゥールミンロジックで表現すると、「ワラント(warrant、根拠)をひっくり返す」。それを「ターンアラウンド(T/A)」と呼びます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

 そのために私は理事長のBSの分析を続けました。具体的にいうと、1)知らない(←スコトーマがある)、2)知っているが、理解できていない(←大脳辺縁系優位)、3)知っていて、理解もしているが、論理的判断ミス(←前頭前野外側部&大脳辺縁系のmix状態)、4)目的がそもそもおかしい(←倫理違反)のどの段階にあるかを見極めながら。

 F-336~:次世代プロファイリング×ゴール設定

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_428209.html

 

 以下、簡潔にまとめます。

 

 

1)知らない(←スコトーマがある)

 スコトーマが生じるのは、1)知識、2)重要性、3)役割(責任)のいずれかが欠けたとき。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 よって、ゴールを確認し(重要性)、そのゴールと理事長という機能を結びつけながら(役割/責任)、“ワクチン”に関する医学的情報を提供しました(知識)。

 L-09720217月シークレット… -09BSを壊し、スコトーマを外すための方法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30681527.html

 

 実際にはこの段階でターンアラウンドが起こったのですが、まだだったなら次の段階に移行するつもりでした。

 Q-207:「縁起」と「因果」 vol.4;家族に対してどんな声掛けをすれば-後編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26568420.html

 

 

 2)知っているが、理解できていない(←大脳辺縁系優位)

 「不安・恐怖(Fear)」により人間らしい思考(認識・理解・評価・判断)ができなくなる状態のことを「ファイト・オア・フライト」と呼びます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 さらに私は、「不安・恐怖(Fear)」に加え、「義務感(Obligation)」と「罪悪感(Guilty)」にも気をつけています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13523715.html

 

 この段階での目標は「前頭前野優位に戻して、維持する」こと。それが私にとっての「ヒーリング(Healing)」です。

 Q-191:ヒーリングとコーチングの関係がよくわかりません

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25482691.html

 

 

 3)知っていて、理解もしているが、論理的判断ミス(←前頭前野外側部&大脳辺縁系のmix状態)

 先ほどの段階の「不安・恐怖(Fear)」と強く結びついているのが「煩悩」。

例えば「お金」とそれに紐付く「不安・恐怖 with 煩悩」が人を動物的にしてしまいますが(大脳辺縁系優位)、前頭前野優位をうまく保てたとしても「お金」の誘惑は続きます(むしろ“誘惑”は強くなるかもしれません)。

 L-144202111月小学校親子講演会 -07;「最高のCOT=コーチング」の真の意味

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33432688.html

 

その結果として判断ミスが起きる というのがこの段階。「お金」に代表されるような「“何か”に紐付いた情動を伴った煩悩」が論理的判断を誤らせる=心が曇る(心曇る)という状態です。

Q-363各エリアのゴールについて想いを… -A2<止;煩悩を意識する>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33604324.html

 

この段階では徹底的に論理的思考を重ねる必要があります。それも複数の視点で。もちろんゴールは共有したまま。

詳しくはこちらでどうぞ↓

S-01~:よりよい“議論”のために

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_254557.html

 

 

 4)目的がそもそもおかしい(←倫理違反)

 論理的思考を行う場合に大切な注意点があります。それは「『決して相対化してはならないものがある』ということを忘れない」こと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 

例えば、「“ワクチン”推奨か? 絶対阻止か?」という議論は論理空間上で行われます。論理空間とは、もちろん、情報空間の一部です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

情報空間には不完全性が働きます。つまり、「絶対に正しい答え」や「永遠に正しい解」は存在しえないということ。だからこそ、「命」のように相対化してはならないものを議論の対象にしてはならないのです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6194669.html

 

ところで、皆さんは「人を殺してはいけない理由」を子どもたちにどのように説明しますか?

 

 私の場合、「ぎをゆな(議を言な)!」の一言です。

 (鹿児島弁です。詳しくはこちらでどうぞ↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19370962.html

 

 

 大切なことなので繰り返しますが、世の中には「決して相対化してはならず、議論の対象にしてはならないこと」があります。それは「論理を超えた空間がある」ということ。

その「論理を超えた空間」のひとつが「倫理(空間)」だと私は理解しています。よって、私にとって「倫理違反」や「倫理性に関する懸念」という表現はとても重く響きます。

F-365:経営判断ってなんだ?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35263585.html

 

 トゥールミンロジックにおいては「クリティーク(kritik)」。

「肯定側の推進する論理の背景もしくは前提にある哲学、思想、世界観、利用される用語などが望ましくないものであれば、肯定側のケースやプランの有効性にかかわらず、現実の世界では、肯定側のプランが採択されてはならないという議論」がクリティーク。

わかりやすく言うと、「そもそもおかしい。だから議論する意味(価値)がない」ということです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13076426.html

 

 そのようなことを思いながら「義を見て為さざるは、勇無きなり」という言葉について考えていたら、猛烈な違和感が湧き上がってきました。このザラザラ感はきっと、「コーチとしてのレッドフラッグ」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 

 ところで、苫米地博士は、「義を見て為さざるは、勇無きなり」についてどのように考えていらっしゃるのでしょう?

 

 以下、苫米地博士の著書「洗脳論語」(三才ブックス、p92)より引用します。

 

 

皇帝が神として君臨するための橋渡し

 

 子曰く、その鬼に非ずして之を祭るは、諂うなり。義を見て為さざるは、勇無きなり、と。

(為政第二の二十四)

 

 儒教おける忠義は、もともと先祖に対するものでした。それが論語では、君子を先祖と同様に扱っています。そのため忠義の対象には、君子も含まれるようになりました。論語が世界を席巻した大きな理由の1つです。

 この文は、忠義の対象が先祖から君子へとすり替えられた、橋渡し的な文だと言えるでしょう。「その鬼に非ずして之を祭るは、諂うなり」と「義を見て為さざるは、勇無きなり」という2つの文は、同じような意味合いです。

 多くは「自分の先祖以外の霊を祀るのはただのおべっか使いだ。逆に、正しいこととわかっていながら実行しないのは臆病者だ」と訳されています。

「自分の先祖以外の霊を祀るのはただのおべっか使いだ」という前半の文からは、「先祖を祀らないことはダメだ」という意図も読み取れます。要するに、「先祖は祀らないといけないが、祀る価値があるのは自分の先祖だけだ」と言っているのです。自分の先祖を祀るのは、当時では当たり前のことだったので、時代の文化として最も受け入れやすい言葉でした。

 しかし、孔子や皇帝というのは、信者からすれば他人です。他人を祀る必要はなく、そこに義はありません。ところが、先にも述べたように、孔子はそれを先祖と同じくらいに偉いのは自分、あるいは皇帝と、祀る対象を君子へとすり替えていきました。例外として孔子や皇帝も含めるのではなく、「この世の父は孔子であり、皇帝である」というのが、この文の論理なのです。

 孔子の本心は「先祖を祀るのと同じように、君子を祀りなさい」ということです。「自分もしくは皇帝以外に諂うのは間違い」と言っているのです。

 後半の文章も同じ意味です。孔子または皇帝を祀ることができない者は、勇気がない者だと言っています。

 「義を見て為さず」というのは、孔子または皇帝に対してやるべきことをやらないことです。拡大解釈すれば、義は正義となります。目の前に正義があるのに、それを実行しない者は腰抜けだと貶めています。

 では、正義かどうかはいったい誰が決めるのでしょうか。

 引用終わり(この続きは次回引用します)

 

 

 今回の1)知らない(←スコトーマがある)、2)知っているが、理解できていない(←大脳辺縁系優位)、3)知っていて、理解もしているが、論理的判断ミス(←前頭前野外側部&大脳辺縁系のmix状態)、4)目的がそもそもおかしい(←倫理違反)のどの段階にも大きく関わる重要な概念があります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 そう、ゴール!

 

 ゴールこそがすべての本質(コア)だといえます。もちろん、「正義」もゴール次第です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

F-368につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記1

「大切な人たちを守る」という「義」は私も同じ

 

 正確にいうと、「大切な人たち」という表現は△。「大切な人たちを守る」には、「大切ではない人は守らなくていい」という論理(言い訳)が入り込む余地があるから。無意識は“差別”を肯定してしまうかもしれません。

 PM-06-13:仮説08)はびこる差別意識

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html

 

 この部分は「縁ある人たちを守る」と表現するべき。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 同じように感じられるかもしれませんが、「大切な」と「縁ある」はまったく異なります。前者は主観であり、後者は客観です。

コーチングにおいて重要なのは「外側視点」。コーチングは、主観ではなく、客観です。

 F-366:日本を世界のリーダーに! 「苫米地式次世代コーチング」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35313236.html

 

 

-追記2

 会話を続けながら、私は理事長の「為」を「“ワクチン”推奨」から「“ワクチン”絶対阻止」に書き換えようと思い立ちました

 

 念のためですが、この場合の「書き換え」はコーチングではありません。その理由はクリアですか?

 

 

 私は「リーダーシップ」のフレームで「書き換え」を行いました。コーチングとリーダーシップはまったく別物です。

F-294~:苫米地式次世代リーダーシップ

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_425234.html

 

その違いをわかっていなかった私は、かつて手痛い“失敗”を経験しました↓

 PM-06~:職場への苫米地式コーチング導入挑戦と明らかになった課題

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_124527.html

 

 

-告知1

今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。次回は2025年2月下旬開催の予定です。約1ヶ月前にこのブログで御案内いたします。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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