F-356:自由訳「OODA」 <vol.2Orient

 

 「OODA(ウーダ)」という概念を御存知でしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 Wikipediaで「OODA」を検索すると、「OODAループ(OODA Loop)」にjumpします。

 そこには「意思決定と行動に関する理論」とあり、「元々は軍事行動における指揮官の意思決定を対象としていたが、後にこれに留まらず、官民を問わずあらゆる個人の生活、人生ならびに組織経営等において生起する競争・紛争等に生き残り、打ち勝ち、さらに反映していくためのドクトリン、そして創造的行動哲学となった」と書かれています。

 

OODAループ(Wikipedia)

OODAループ

Wikipediaより引用

OODAループ - Wikipedia

 

 

 苫米地式認定コーチとして、「OODA」について自由に考えてみました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

 vol.1Observe

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34753761.html

 vol.2Orient

 

 

 「客観的に見る」とは「視点を変える」という意味です

「視点を変える」という言葉の意味を、簡単に言うと、「物事に対する感じ方や好みを変える」ことになります

 

 前回(F-355)取り上げた「Observe」の秘訣とは、「視点を変える」こと。

 でも、ただ変えるだけでは十分ではありません。どのように変えればいいのでしょうか?

 

 

 「OODA」の最初の「O」は「Observe」。2番目の「O」は「Orient」です。

 「OODAループ」の提唱者である米国空軍 ジョン・ボイド大佐は、「OOrient」のことを“ビッグO”と称してとくに重要視していたそう。

 

 コーチングにおいても、「OOrient」はとても重要です。その理由(warrant)をイメージしながら読み進めてください。以下、Wikipediaより引用します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

 

情勢への適応(Orient

 「情勢への適応」あるいは状況判断と訳される。「観察」段階で収集した「生のデータ」をもとに情勢を認識し、「価値判断を含んだインフォメーション」として生成する段階である。

 

 

Relationship_of_data,_information_and_intelligence(Wikipedia)

「データ」と「インフォメーション」、「インテリジェンス」の関連性

Wikipediaより引用

OODAループ - Wikipedia

 

 

 上図をコーチングのフレームで解説すると、「Data」→「Information」→「Intelligence」のためにはRASのコントロールが必要です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

 RASをコントロールするのは、もちろん、ゴール。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 ゴールが起点となり、ゲシュタルト化が行われます。

 L-161202201… -05;高次元のフレームを構築する=グレインサイズを大きくする

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34284848.html

 

情報がゲシュタルト化されたものが知識。ここでいう「Intelligence」です。

F-338:次世代プロファイリング×ゴール設定 <vol.3;苫米地博士の“プロファイリング”とは? -総論-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33827695.html

 

 ゲシュタルトが意味を決めます。だから、「価値判断を含んだインフォメーション」なのでしょう。

 L-164202201… -08;コーチングによる〇〇〇〇〇〇〇の結果として起こること

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34355540.html

 

「ビジネスで圧勝できる脳科学」(サイゾー、p82)の中で、苫米地博士は「知識とゲシュタルトを組み合わせた『文脈』の中で認識が生まれる」と書かれています。図式化すると

L-10320218月シークレットレクチャー -05;知らないことを見える化する

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31263124.html

 

情報(入力)→文脈(知識+ゲシュタルト)→認識

 

 この「認識」ができてはじめて、理解・評価・判断が可能になります。

 F-304:映画のおもしろさって何だろう? ~Indy 5」の評価が…~ vol.1;臨場感①>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32129073.html

 

 

 「OODA」に戻ると、意思決定者は、下記の5つの要素から構成される「判断のための装置」により、「データ」から「インフォメーション」に加工していくそう。

 以下、引用のつづきです。

 

 

 ■文化的伝統(Cultural Traditions

 ■分析・総合(AnalysisSynthesis

 ■従来の経験(Previous Experiences

 ■新しい情報(New Information

 ■世襲資産(Genetic Heritage

 

 「世襲資産」、「文化的伝統」、そして「従来の経験」がなければ、従来経験した環境と変化によって形成された精神物理学的能力についての含蓄的レパートリーを持ちえない。また各分野の領域の、あるいは各種の競合及び独立的なチャンネルにまたがって取得する情報の「分析および総合」がなければ、よく精通していない現象または見たこともない変化に対処するための新しいレパートリーを展開することはできない。そして多くの異なった領域およびチャンネルにまたがる取得情報についての推定、感情移入、相関および拒否という多側面の含蓄的な相互参照のプロセスがなければ、「分析・総合」はなしえない。

 引用終わり

 

 従来経験した環境と変化によって形成された精神物理学的能力についての含蓄的レパートリー」とはブリーフシステム(Belief SystemBS)のこと(ハズ)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 ブリーフシステムは1つではありません。前頭前野には、その人がつくりあげたいくつものブリーフシステムが収められており、それらが人間の複雑な内面の動きをつくりだしています。人間の内面で深い葛藤が起こるのは、前頭前野のブリーフシステム同士が互いに矛盾を起こすからです。

 L-09420217月シークレット… -06;ブリーフシステムと人格や未来との関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30598161.html

 

 その葛藤=矛盾を解消するためには、「取得する情報の『分析および総合』」が必要。そのためにはゴールが必要です。現状の外に設定する本物(Authentic)のゴールが。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

 前回(F-355)取り上げた「Observe」の秘訣とは、「視点を変える」こと。その視点を「どう変えればいいか?」の答えがここにあります。クリアですか?

 

 

 「視点を変える」の「視点」とは、ゴール設定(再設定)により新たに現状の外に生みだすもの。視点が最初からある(アプリオリ)のではなく、ゴールにふさわしい視点を生みだすのです。もちろん、自由自在に。

 F-318~:観自在

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_427083.html

 

 その新たな視点は、より高次の抽象度次元に上がることで生みだされます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 反対にいうと、高次の抽象度次元に上がることができないと、いつまでも同じ視点で同じようなことを繰り返すことになります。まわりを巻き込み、疲弊させながら。それが「OO-OO-OOスタック」。以下、引用のつづきです。

 S-03-21C)「意識化(エネルギーの情動への転換)」でのコントロール -vol.5-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21828878.html

 

 

 各人の「判断のための装置」は当然のごとく各人ごとに異なっており、いかなる環境においても適切に動作する保証はない。また、組織のレベルに拡大して、複数の意思決定者が存在する場合、これらの間に齟齬が発生することも珍しくない。このようにして、OODAループがこの段階に止まってしまい、次の「D」に入れない恐れも多分にある。そのような場合をOO-OO-OOスタックと称する。

 引用終わり

 

 コーチの視点で「OO-OO-OOスタック」を分析すると、その原因は「抽象度が変わらない」「抽象度が上がらない」ことだといえます。そして、その本質的理由は「ゴールがない」「ゴールを失っている(達成済み含む)」「ゴールが間違っている」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808542.html

 

まとめると

 

 「OOrient」とは「抽象度を上げる」こと

その結果として、本当の意味で「視点を変える」ことができる

 

 その起点がゴール設定。ゴール側から視点が変わり、ゴールに向かって視点(抽象度)が上がります。その過程が「Data」→「Information」→「Intelligence」です。

 F-175:脳内を書き換えると「環境」が変わる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25046274.html

 

先ほどの図を用いると、こんな感じ↓

 

Relationship_of_data,_information_and_intelligence(Wikipedia)改3

「データ」と「インフォメーション」、「インテリジェンス」の関連性

Wikipediaより引用(一部改変)

OODAループ - Wikipedia

 

 

最後に、苫米地博士の著書「悩みを幸せに変える方法 揺るがない自分になれて、あらゆる不安から解放される方法」(主婦と生活社、p52)から引用します。「視点を変える」の意味とそのために必要なことをイメージしながら読み進めてください。Feel

 

 

自分の視点を変えてみる

 「自分のことを客観的に見なさい」というのは、自分が人から叱られるときも、自分が人を叱るときにも使う、便利な言葉のひとつでしょう。

 

 「客観的に見る」とは、「視点を変える」という意味です。

 「視点を変える」という言葉の意味を、簡単に言うと、「物事に対する感じ方や好みを変える」ことになります。なぜなら、物事の好みが変わったら、あなたの世界は一変するからです。洋服の趣味、化粧のしかた、しゃべり方、男性の好み、すべてが変わると考えれば、理解できるでしょう。好みを変えると人格が変わるということです。

 

 これを利用するのです。あなたが今こだわっているものをひとつあげてください。

 例えば朝、コーヒーを飲んでいる人は紅茶に変えてみましょう。通勤・通学の道を変えるのでもかまいません。こだわりのあることをひとつ変えるのです。

 すると、新しい発見があります。新しい発見があったら、あなたは確実に変わったということになります。なぜなら、それまであなたは、その新しいことに気づかなかったからです。

 もう一歩踏み込んで、脳機能を使った本当の視点の変え方を紹介しましょう。それは“視点を変える”のではなく“視点を上げる”のです。

 

 例えばコップの中に入った半分の水。これを半分しかないととるか、まだ半分もあるととるかで、人生が変わってくるというのが、よくいわれる視点の変え方です。

 しかしみなさん、よく考えてみてください。これで不幸が幸福に変わりますか? 変わらないですよね。なぜなら、この話は詭弁だからです。

 コップの水を年収200万円にしてみましょう。「平均年収は400万だから半分もあるね」といわれて、幸せな気持ちになれますか? 逆に怒りが湧いてきますよね。

 こういう無理やりな視点の変え方では、脳が納得しないのです。脳が納得し、これならどこにもウソがない、幸福だと思わなければ、1度、不幸体質に入ったと思ってしまった人は、なかなか抜け出ることはできないのです。

 

 上から、俯瞰するように物事を眺める。すると、コップの水がいっぱいだろうと半分だろうと関係ありません。水があるというだけです。仮に何もなければ、空のコップが見えますね。何も入っていなくても、あなたはコップを持っていることは実感できるはずです。

 

 年収200万円にしても同じです。地球規模まで視点を上げると、日本に住んでいることがどれだけ幸せかわかるはずです。世界の7割の国ではいまだに飢餓が存在しています。しかし、日本で飢餓なんてほぼ考えられません。年収200万円でも不幸ではないのです。

 

 客観的に見るということは新しいことに気づきなさいということですから、結果的にあなたは客観的に自分を見ることができたわけです。

 

 自分を変えるとは、客観的に見るのではなく、こだわりのあるものをひとつ変えることなのです。すると、あなたの新しい世界、新たな可能性が見えてきますよ。

 引用終わり

 

F-357につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記1

 OODA」の最初の「O」は「Observe」。2番目の「O」は「Orient」です

 

 Orient」の語源を調べると、ラテン語の「oriens」とあります。「昇ること」という意味で、「日出づるところ」「東方」という方位を示す言葉だそう。

 

 コーチングにおいては、「Orient」は「情報空間を昇る」ということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 その起点がゴール。その過程(思考)が「コンセプチュアル・フロー」です↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30075139.html

 

 

-追記2

例えばコップの中に入った半分の水。これを半分しかないととるか、まだ半分もあるととるかで、人生が変わってくるというのが、よくいわれる視点の変え方です。

 しかしみなさん、よく考えてみてください。これで不幸が幸福に変わりますか? 変わらないですよね。なぜなら、この話は詭弁だからです

 

 日本のリーダーの“詭弁”を考察しました↓

 F-254~:イノベーションがうまれるとき

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_421781.html

 

 

-告知1

今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。

次回は2024825日(日)13:30~15:00の予定。オンラインでのライブ講義に加え、30日間限定の配信も行います。詳細はこちらで御確認ください↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34761055.html

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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