Q-374:バランスホイールは全て現状の外? クライアントが現状に満足している項目があった場合、その項目をどう扱えばいい? <前編>

 

バランスホイールに関する御質問をいただきました。ありがとうございます。

 じつは過去にも同様の御質問をいただいています。そのときは「専業主婦」というキーワードを切り口に考察しました。まずはこちらを御確認ください↓

 Q-255バランスホイールは全て現状の外にゴールを設定する方がよいのでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28656381.html

 

 今回はとくに御質問の後半部分を掘り下げながら、二回に分けて考察します。

 苫米地博士のある書籍から引用(青字)します。“ある書籍”が何か想像しながら読み進めてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

バランスホイール

 

 

Q:バランスホイールは全ての項目を現状の外に設定するのでしょうか? クライアントが現状に満足している項目があった場合、その項目をどう扱えばいいのでしょうか?

 

A1:まずは入門者向けに、基礎的知識の確認から。

 

 「バランスホイール」とは、「人生を分野別に分けて、それぞれの分野にゴールを設定するためのツール」です。つまり、「全ての項目を現状の外に設定するのでしょうか?」の「設定」とは、ゴール設定のこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 ゴールの基本条件は、1)現状の外、2)心から望む、3)人生のあらゆる領域にまんべんなく(←バランスホイール)。加えて、苫米地博士は 4)自分中心を捨て去る ことを重要視されています。

 L-10020218月シークレット… -02;ゴールの基本条件(「頭のゴミ」を捨てるver.

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31184436.html

 

 「4)自分中心を捨て去る」とは、“自分”の定義をひろげていくこと。それは「自と他を分ける部分関数」としての自我を拡大・拡張することと同義。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 その本質は「抽象度を上げる」「抽象度が上がる」ことです。

 つまり、ゴールを設定(更新)するたびに「抽象度の高い思考」を獲得していくことになる ということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 では、“ある書籍”からの引用文(青字)を確認しながら考えていきましょう。今回のキーワードは「慈悲」です。

 

 

慈悲の体感p56

 前頭前野を鍛え、情動も手玉にとれるほど抽象度の高い思考を獲得すると、体感的にも観念的にも、本当に心の底から、「人間は自分以外の人のために生きるのが幸せだ」と思えます。この気づきには体感が伴います。そしてその認識は、情動や自己中心的な世界を超えているので「間違いない」という確信があります。同様に、慈悲自体にも体感が伴います。どういう体感かというと、めちゃめちゃラッキーで幸せな状態になります。宝くじに当たったときのような陽気な心と超元気な感じです。ようするに前頭前野だけでなく、ありとあらゆるところで脳内伝達物質が出ている状態になるのです。瞑想がうまくいっている状態にも似ています。

 引用終わり

 

 

 繰り返しますが、ゴール設定(更新)を繰り返すほど「抽象度の高い思考」を獲得していきます。その結果、「人間は自分以外の人のために生きるのが幸せだ」と体感を伴って思えるようになると、かつて経験したことがないほど大きな幸福感を感じられるようになります。

 F-176:“幸福(well-being)”とは? ~「antiwithwellpart-1;ゴールが幸福を定義する

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25101418.html

 

 前頭前野眼窩内側部が発火し、ドーパミンが大量に分泌されるから。

 F-177:“幸福(well-being)”とは? ~「antiwithwellpart-2;幸福はさらに深い自己催眠

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25175860.html

 

 それは素晴らしい体験といえますが、一方でとても危険な状態でもあります。

 

 

慈悲ジャンキーp57

 瞑想に瞑想ジャンキーがいるように、慈悲には慈悲ジャンキーがいます。慈悲の体感はかなりハッピーです。うっかりすると慈悲ジャンキーになりかねません。自分が体感を求めるために慈悲的な行動をしだしたらかなり危険。本末転倒して、自我を太らせて自己満足的な、本人はよいことをしているつもりでもはた迷惑な人になってしまいます。もっともそうなったら体感も消えてしまいますので、過去の体験を求めて自分では慈悲だと思う行為を繰り返しても、快感は得られずに苦しくなるでしょう。

 「自分は、自分が嬉しいからやっているのかもしれない」と問い続け、つねにチェックしていくのです。

 引用終わり

 

 

 「前頭前野眼窩内側部が発火し、ドーパミンが大量に分泌される」ことが危険な理由は、「『自我を太らせて自己満足的』な状態に陥る可能性がある」から。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33098147.html

 

 コーチングでいう「現状に満足している状態」とは、このようなドーパミン大量分泌状態であり、「自我を太らせて自己満足的」になっている状態のことです(ハズ)。

 PM-06-06:仮説01)変わらないCZが生みだす「現状維持の壁」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628746.html

 

 「自我を太らせる」「自己満足的」なときの“自”へのこだわりは、「4)自分中心を捨て去る」こととは正反対。抽象度を下げ、自我を縮小させる方向に向かわせます。

その結果が「自分さえよければいい」。

S-04-15:本当の幸せを感じられない理由 -5

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23368649.html

 

現在の世界情勢を鑑みると、権力者(既得権益)の「自分さえよければいい」がますます肥大化しているように感じられます。その根底にあるのは差別意識であり、ヒエラルキーのコンフォートゾーン化です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

例えば、「〇〇ファースト」という表現には“差別意識”が滲んでいます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html

 

 あるもの(A)を別のもの(B)と分別した上で「BよりAが上(優先)」とすること、そしてその順位づけが絶対であるとすることは、釈迦の教えとは真逆。釈迦が説いたのは「無分別」であり、「無常」です。

 Q-239:気楽に生きたいのですが 後編;宇宙を理解した上で“自分”を定義しなおす

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28268393.html

 

新型コロナウイルスおよび“ワクチン”によって激変してしまった社会では、ますます「自分さえよければいい」がはびこるでしょう。心身の不調により抽象度が引き下げられやすくなっていくから。「ファイト・オア・フライト」があたりまえな時代がもう始まっているのかもしれません。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 そんな閉塞的な状況を打破する鍵が

 

 

快感と不安のバランスp58

 ただ、だいたいの場合は、快感よりも不安や疑問などのほうが上回ります。それでバランスがとれるはずです。つまり、自分が、なるべく自分の利益から遠い慈悲的な行為をするとき「これって果たしてやったほうがいいことなんだろうか」「今、しようとしている判断でいいのかな」という迷いや悩みは当然、出てきます。

 たとえば、被災地にボランティアに行こうというとき。自分なんかが行くよりは虎の子の貯金を送ったほうがいいんじゃないかとか、ボランティアするよりもまずは自分の本分の仕事をするべきじゃないかとか、悩むでしょう? 数ある選択肢の中で、実際の行為はたった一つしか選べません。だから「本当にこれでよかったのか」という問いには終わりがありません。つねにある中でベストな選択をしていくことの連続です。

 引用終わり

 

 

 そんな閉塞感を打破する鍵が「縁起」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

「自分さえよければいい」という発想は、大切な縁起(のつながり)をスコトーマに隠してしまいます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

だから、自分中心の人は“本当の幸せ”を感じることができません。仏教では、その様を「無明(むみょう)」と表現します。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19879896.html

 

 それとは反対に、1)現状の外、2)心から望む、3)人生のあらゆる領域 +4)自分中心を捨て去る を基本条件とするゴールを設定することは、縁起(のつながり)を明らかにしながら拡大・拡張していく第一歩です。

 さらにいうと、ゴール実現のために実践し続けることは、縁起(のつながり)をより具体的な“well-being”に書き換えていく大切な行為といえます。

 

だから、コーチングは「慈悲の実践」です。

 F-209:マトリックス/Matrix -04Resurrections;慈悲的人類の進化>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27122988.html

 

Q-375につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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