L-161202201月シークレットレクチャー -05;高次元のフレームを構築する=グレインサイズを大きくする

 

20221月にコーチ向けのレクチャーを行いました。守秘義務を結んだ上で行う全3回の講義の2回目。3回を通してのメインテーマは「」です

フレームとは、「ある知識を表現するための知識の単位とその結合方法」のこと。苫米地博士は「その状況、現象、事物の特徴などを、逐一、記述していく方式で物事を定義していく方法論」と表現されています。

(認知科学から苫米地理論への流れはこちらでどうぞ↓)

 Q-349:認知科学の次のパラダイムとは?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32909282.html

 

当日の講義内容をブログ用に再構成してお届けします。

 リラックスを深めながら、気楽にお読みください。

 F-284~:気楽 ver.2

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_424593.html

 

 *初回の講義はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_427369.html

 

 01;フレームとは、認識の枠組みであり、行動の枠組み

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34174778.html

 02;フレーム=BS(囚)問題

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34191211.html

 03;フレーム解体×ブリーフシステム(BS

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34229897.html

 04;フレーム解体×ゴール設定

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34244552.html

 05;高次元のフレームを構築する=グレインサイズを大きくする

 

 

 ゴール設定により、「これまでの『フレーム=BS)』を打ち壊し、新たな『フレーム=BS)』を作りあげる」ためのエネルギーと創造性を生みだす

 

 今回は「これまでの『フレーム=BS)』」と「ゴール設定後の新たな『フレーム=BS)』」の関係性を確認しましょう。

 

 ところで、皆さんは「全人的苦痛」と訳される「トータル・ペイン(Total Pain)」のことを御存知でしょうか?

 

 「トータル・ペイン(Total Pain)」は、緩和ケア(緩和医療)における重要な概念です。

緩和ケアとは、「患者とその家族のQOLQuality of Life、生活の質・人生の質)を改善するための取り組み」のことをいいます。

 解決(解消)する領域として4つのカテゴリーが設定されています。「身体的」「心理・精神的」「社会的」、そして「スピリチュアル」です。

さらに、その4つを別々に考えるのではなく全体として捉えるために、「全人的(トータル)」という概念が用いられています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8293317.html

 

 

全人的苦痛(トータルペイン)

厚生労働省HP>第2回終末期懇談会 資料2-2より引用

終末期医療に関する懇談会 (mhlw.go.jp)

 

 

 この「全体(トータル)」と「部分(4つの領域)」の関係は双方向性。東洋哲学的にいうと「縁起」、西洋哲学では「ゲシュタルト」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 ゲシュタルト(Gestalt)とは、形態を意味するドイツ語で、「全体性を持ったまとまりのある構造」のことを指します。それは「全体と部分の双方向性で成り立ち、一つの統合的意味を持つまとまり」のことです。部分を積み重ねたから全体がわかるのではなく、全体がわかったから部分の意味が決まることともいえます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

例えば、「ハシをつくる工〇」という言葉を目にしたとき、その「ハシ」が「箸」なのか「橋」なのかは判断ができません。ところが、「〇」に入る文字が「場」なら「ハシ」は「箸」だと分かり、「事」なら「ハシ」が「橋」だと分かります。

「ハシをつくる工場」という全体が分かってはじめて、「ハシ」が「箸」だとわかる

つまり、「全体が分かることで部分が分かる」ということ。この全体と部分の関係がゲシュタルトです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

ルネ・デカルト(15961650年)やアイザック・ニュートン(16421727年)の時代からつい最近までのおよそ300年もの間、とくに西洋哲学をベースとする学問の世界においては「部分が全体をつくる」という考え方がスタンダードでした。それを構造主義と呼びます。

そのため「部分が全体をつくる」「部分を順に見ていけば全体が分かる」「部分を順に追っていけば答えが分かる」という考え方は、現代を生きる私たちの無意識にも刷り込まれています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

実際には「全体が部分から成り立っているだけでなく、全体と部分が双方向的に関係しており、全体がわかることで部分がわかる」という関係です。

この全体と部分との双方向の関係が「ゲシュタルト」。

ゲシュタルトによって事象を認識する能力を「ゲシュタルト能力」といいます。それは「対象の本質をとらえる力」ともいえます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

「トータル・ペイン」でいうと、全体が「全人的苦痛(トータルペイン)」、部分が「4つの苦痛(身体的、心理・精神的、社会的、スピリチュアル)」です。

 図にあるとおり、「身体的苦痛」「心理的苦痛」「社会的苦痛」「スピリチュアルペイン」はまったく違うものです。その違う概念を「同じ」と認識する力がゲシュタルト能力。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34120540.html

 

「同じ」と認識できたとき、じつは、抽象度が上がっています。抽象度が上がった結果として、「対象の本質をとらえる」ことができるようになります。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 今回の講義のテーマとしている「フレーム」と「ゲシュタルト」は同じ概念と考えることができます。つまり、「一つ上の次元にフレームをつくることができると、理解がより深まり、本質をとらえることができるようになる」ということ。

 そして、ここが今回の一番のポイントなのですが、誰もがその素晴らしい能力を持っています。ゲシュタルト能力として。その能力を十分に発揮するためには“工夫”が必要なだけです↓

 L-142202111月小学校親子講演会 -05;人の成長や進化・向上は情報空間で起こる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33383147.html

 

 「一つ上の次元にフレームをつくる」ことを、苫米地博士は「グレインサイズを大きくする」と表現されます。

 グレインとは、もともとは「穀物の粒」のこと。「グレインサイズを大きくする」とは、直訳的には「粒が大きくなる」ことであり、転じて「1回のアクションで処理できる情報量が増える」ことです。

 Q-347:自身の人生を変えることに専念? それともコーチング活動を開始? <vol.4;「走りながら考える」 同時並行“の意味>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32562546.html

 

 抽象度を上げてより高い視点から物事を俯瞰することができると、より多くの情報にアクセスできるようになります。「身体的苦痛」「心理的苦痛」「社会的苦痛」「スピリチュアルペイン」という各フレームではわからなかったことが、「全人的苦痛(トータルペイン)」という大きなグレインサイズ(=高次の抽象度)では理解できるようになるのです。

それが「1回のアクションで処理できる情報量が増える」という意味。

 

 人生を豊かにしていくためには、フレームをどんどん大きくしていく必要があります。今のフレームを維持しているままでは、さらなる素晴らしい世界を認識することができないからです。同じフレームのままでは、なかなかスコトーマを外せず、新たなゴールを設定することができません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 以下、苫米地博士の著書「超『時間脳』で人生を10倍にする」(宝島社、p109)より引用します。「人生を豊かにする」ことを「高次元のフレームを構築する」ことと結びつけながら読み進めてください。

きっと「これまでの『フレーム=BS)』」と「ゴール設定後の新たな『フレーム=BS)』」の関係性が感じられるはず。Feel

 

 

高次元のフレームを構築する

 「自分のフレームを疑う」ことで、スコトーマの元凶となっている現状のフレームを解体できます。

 また「幅広い知識・関心をもつ」ことで、新しい情報をキャッチでき、別の新しいフレームを構築する土台になります。

 さあ、いよいよ高次元のフレームを構築しましょう。

 

 ①同じレベルのグレインサイズで、別のフレームを構築し、臨場感を高める

 まずは現状のフレームと同じぐらいのレベルの、別のフレームを作ります。

 もともと「営業職のフレーム」をもっていた人ならば、「商品開発職のフレーム」「PR職のフレーム」「総務職のフレーム」などを作ります。

 その際には、「幅広い知識・関心をもつ」ことでキャッチした新しい情報がベースになります。

 とはいえ、完璧な「商品開発職のフレーム」「PR職のフレーム」「総務職のフレーム」を作る必要はありません。彼らの仕事の目的や一日の流れ、彼らの考え方などをイメージできれば十分です。大切なことは、そのイメージをどんどん強めて、脳の中で「自分が本当に商品開発職(もしくはPR職、総務職)の仕事をしている」かのように感じることです。

 実際にその仕事をしているかのようなリアルな感覚を持つことを「臨場感を強める」と言います(臨場感については、第3章で詳しく説明します)。臨場感を極限まで強めることができれば、あなたは情報空間においては、商品開発職になり、PR職になり総務職になることができるのです。

 

 ②もともとのフレームと①で構築した別のフレームを統合させ、もっと大きなフレームを作る(グレインサイズを上げる)

 「自分のフレームを疑う」ことで現状のフレームはいったん解体されます。

 しかし先ほどもお話ししたように、人間の脳はフレームがないと物事を認識したり、処理することができません。そのため、フレームが解体されると、無意識が「別のフレームはないか」と探し始めます。

 そのときにもともとのフレームと①で構築した別のフレームを統合させ、高次元のフレームを構築し、その新しいフレームを自分のフレームとして脳に認識させるのです。

 たとえば、「営業職のフレーム」「商品開発職のフレーム」「PR職のフレーム」「総務職のフレーム」を統合させることで、「会社経営のフレーム」を作ることができます。

 また「コーヒーを運ぶ」「料理を作る」「オーダーをとる」「お客さんを案内する」というフレームを統合させれば、「飲食店を経営する」という高次元のフレームを作ることができます。

 高次元のフレームをもつことができれば、ひとつひとつのタスクのグレインサイズが大きくなり、1回の処理でより多くの情報を扱うことができるようになります。結果として、タスク処理のスピードも上がるのです。

 引用終わり

 

 

 「これまでの『フレーム=BS)』」と「ゴール設定後の新たな『フレーム=BS)』」の関係性を感じられたでしょうか?

 

 まずは過去の記憶でつくられた「これまでの『フレーム=BS)』」を解体

→ スコトーマが外れる

→ 新たなゴール設定

→ 高い次元に「新たな『フレーム=BS)』」を再構築

=グレインサイズが大きくなる

=抽象度が上がる

 → 人生がますます豊かになる

 

 それが「」と「」の関係性です。

 F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~「antiwithwellpart

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408326.html

 

L-162につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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