L-158202201月シークレットレクチャー -02;フレーム=BS(囚)問題

 

20221月にコーチ向けのレクチャーを行いました。守秘義務を結んだ上で行う全3回の講義の2回目。3回を通してのメインテーマは「」です

フレームとは、「ある知識を表現するための知識の単位とその結合方法」のこと。苫米地博士は「その状況、現象、事物の特徴などを、逐一、記述していく方式で物事を定義していく方法論」と表現されています。

(認知科学から苫米地理論への流れはこちらでどうぞ↓)

 Q-349:認知科学の次のパラダイムとは?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32909282.html

 

当日の講義内容をブログ用に再構成してお届けします。

 リラックスを深めながら、気楽にお読みください。

 F-284~:気楽 ver.2

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_424593.html

 

 *初回の講義はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_427369.html

 

 01;フレームとは、認識の枠組みであり、行動の枠組み

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34174778.html

 02;フレーム=BS(囚)問題

 

 

フレームとは、「関連することだけをふるい分けて抽出し(RAS)、それ以外の事柄に関しては無視して(スコトーマ)思考する」ためのもの。

そんなフレームは、コーチングにおいてとても重要です。なぜでしょう?

 

 

 前回は苫米地博士の著書「その検索は止めなさい 欲しい情報が一瞬で手に入る超速フィルタリング脳の作り方」(主婦と生活社、p28)より引用しました。博士がポイントとして挙げられていたのは

 

     情報とは意識するまで単なるデータである

     情報発信とは「思考」である

     「思考」を発信する場所は抽象空間=脳内である

     情報は発信することによって収集できる

 

 以下、「その検索は止めなさい」(p32)より2回に分けて引用します。前回引用分の続きです。

 “思考”を意識に上げながら読み、RASとの関係性をアップデートしてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 

他人から埋め込まれたRASと自分で埋め込むRAS

 情報発信の意味と、RASの機能を解説しましたが、ここでひとつ注意してほしいことがあります。

 RASには落とし穴があるのです。

 「開けた財布が空だった」これは環境に対する情報提供であり、そのフィードバックとして「くそ! 金持ちになってやる」というゴールが生まれました。ところが、このゴールを決めるという行為が、実はなかなかクセ者なのです。

 なぜなら、自分で思っている以上にあなたは情報に左右されているからです。

 先ほど、飲み屋でオジサンたちが語るウンチクは情報発信ではないといいました。なぜなら、「思考」がないからなのですが、なにもオジサンたちだけではありません。ほとんどの人が情報に対して「思考」をしていないのです。

 「テレビでこういっていた」「雑誌にこう書いてあった」といった裏づけのない情報を、多くの人が鵜呑みにしています。

 数年前、テレビの情報番組で紹介された納豆ダイエットが、番組が終了したほど大騒動になった件などは、その象徴的な出来事です。一時期、売り場からごっそり売り切れたものでした。そこには思考がまったくありません。この思考停止状態こそがRASの落とし穴となるのです。

 そもそも、タンパク質のかたまりである大豆を、大量に食べれば食べるほどやせるなんてありえないと、ちょっと考えればわかるはずです。

 何も思考せず。「へー、納豆ってダイエットに効くんだ」と思っただけでも、RASはしっかり働いてくれます。すると、納豆を食べることがいかに効果的かという情報ばかりを次から次へと拾い始めてしまいます。

 「この雑誌でもいいといっていた。あの人もいいといっていた」と、納豆は素晴らしいという情報だけがバンバン蓄積されて、納豆の絶対視化が進んでしまうのです。実際には効果があるかどうかなど、自分で判断していないのに、です。その結果がやらせの発覚です。

 この例でもわかるとおり、RASは他人から埋め込まれても立派に機能するということです。さらに衝撃的なことにはRASの重要度を決めているのは、ほとんどの場合、他人から埋め込まれた情報によっていることが多いということです。

 例えば、あなたがあるモノを重要だと判断するようになったのは何がきっかけだったでしょうか?

 よく考えてください。あの人がそういっていたから、あの本にこう書いてあったからといったことがけっこうあるのではないでしょうか。さらに、記憶を遡ってください。ほぼすべての人の行き着くところは自分の両親か、自分を育ててくれた人になるのです。

 「これは安全、これは危険」というのを教えてくれたのは両親です。食べ物の好みにしても、物事の好き嫌いにしても、両親を見て学んだ部分はかなり大きいのではないでしょうか。

 私がよく例に出す、コーヒーを飲むか、紅茶を飲むかといったちょっとした選択の決定にまで、親の影響は及んでいるのです。

 もちろん、親に決められたからすべてが悪いということではありません。それがあなた自身の人格を作ったことは間違いのない事実ですし、その人格にしても、すべてがすべて両親によって作られたわけでもありません。環境にもよるでしょうし、時代背景にもよるでしょう。

 親から学んだことだけで人格は作られるわけではありません。私がいいたいのは、たいていの人が親や他人から埋め込まれたRASを持っているということと、そのRASについて自分なりの判断を少なくとも1度や2度はしておくべきだということです。

 もっとも危険度が高いのは、まったくの他人から埋め込まれたRASです。

 こちらはかなり深刻な問題です。先ほど紹介したようにテレビ番組からの情報もあるだろうし、小・中・高・大学の教師からだって埋め込まれているでしょう。読んだ本でも、見た映画からでもRASは埋め込まれてしまいます。

 例えば、昔の映画では主人公の多くがタバコを吸っていました。それを見て「カッコいい」と思ったからこそ、いまの50代、60代の男性の多くはタバコを吸っているのです。この世代は、20歳を超えたらタバコを吸わないと大人じゃないとすら思っていました。

 しかし、いまの20歳の若者にはタバコを吸う習慣はありません。それはタバコが魅力的な嗜好品だという刷り込みを社会がしていないからです。

 それどころか、いまや喫煙は社会悪のようなイメージすら持たれ、喫煙スペースがあったとしても、それはトイレの横など、気分のいい場所にはないのです。販売価格も高くなる一方で、昔と違って、タバコを吸う行為はカッコ悪いのです。

 ブームや流行だって、その構造は一緒です。

 なにがカッコよくて、なにがカッコ悪いかは、実はかなりの確率で他人から埋め込まれたRASの重要度だといえるのです。

 人は簡単に他人から重要度を埋め込まれてしまう存在なのです。とはいえ、埋め込まれることに関していえば、それほど大きな問題ではありません。

 それによって何かを学ぶこともあるでしょうし、流行といった経済活動はこれで成り立っているわけですから全否定はしません。

 要は、自分で認識できればそれでいいのです。

 パソコンのウイルスソフトのように定期的にチェックができれば、埋め込まれたRASの重要度を取り除いたり、逆にそれを利用することだってできるのです。

 では、他人から埋め込まれたRASの重要度をどうやって認識し、取り除くのか?

 これはなかなか難しい問題です。なぜなら自分自身では、どれが他人に埋め込まれた重要度なのか、自分で重要性を決めたものなのか、判別するのは難しいからです。なにしろ、コーヒーが好きなのか、紅茶が好きなのかということすら、自分の判断で決定したのか、他人の意見によってなのか、とてもあいまいだからです。

 しかし、それを一気に解消する方法があるのです。

 それは何か?

 自分で判断しなければいいのです。

 自分の好みや重要度で判別しない方法をとればいいのです。

 引用終わり(この続きはすぐ後に引用します)

 

 

 …RASの落とし穴となるのは、「思考停止状態」。

 RASの重要度を決めているのは、ほとんどの場合、他人から埋め込まれた情報です。他により埋め込まれたRASが、一人ひとりが認識している目の前の世界を決めています。

そのRASについて、「“自分なりの判断”を行わない」ことが「思考停止」。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 そもそもRASReticular Activating System、網様体賦活系)とは、脳の活性化ネットワークのことで、五感から入力される大量の情報の取捨選択を行うフィルターのようなもの。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

人は、そのフィルターを通過した情報のみを認識し(=スコトーマが外れる)、通過しない情報は認識することができません(=スコトーマに隠れる)。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 博士が書かれている「コーヒーが好きなのか、紅茶が好きなのか」でいうと、「食後にコーヒーを飲む」といった無意識化された行動パターンがハビット(Habit)で、「どちらにしますか?」と聞かれて「コーヒー」と答える無意識の判断がアティテュード(Attitude)。

 そのハビット&アティテュードを制御しているのが ブリーフシステム(Belief SystemBS)です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 つまり、「関連することだけをふるい分けて抽出し(RAS)、それ以外の事柄に関しては無視して(スコトーマ)思考する」ための“フレーム”とは、コーチングでいうブリーフシステム(BS)のこと。そのフレーム=BSが行動の枠組みでもあるというのは、ハビット&アティテュードのことを指します。

 L-09620217… -08BSとハビット&アティテュードと抽象度の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30652206.html

 

 毎朝コーヒーを飲んでいる人は、紅茶に変えてみるだけでもスコトーマが外れます。もしも新しい発見により重要度が変わったなら、フレーム=BSは確実に変化していくでしょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 ところが、多くの場合、その変化は長続きしません。なぜ?

 

 そう、ホメオスタシス(恒常性維持機能)が働くから。強力なホメオスタシスがこれまでのフレーム=BSを維持するように働いています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 私たちは過去の記憶がつくるフレームにいつまでも囚われたままです。「囚」という「無人運転」(よくて「自動運転」)が、多くの人の人生や社会の現実の姿です。

 F-089~:無人運転と自動運転の違い ~シーサイドライン逆走に思う~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_369873.html

 

 今回のメインテーマ「」とは、「フレーム」のこと。

 私たちはあるフレーム()を作ってその中だけで思考するわけですが、同時にフレームに囚われています。それがBS)です。つまり

 L-01020201… -10;記憶でつくられる「思い込み」が自由を奪う

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24808708.html

 

 本質的に人は不自由

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 そんな「フレーム=BS)問題」を一気に解消する方法が、「自分で判断しない」「自分の好みや重要度で判別しない方法をとる」。再度「その検索は止めなさい」(p38)より引用します。

 

 

 「そんなことができるのか」と思った読者の方も多いでしょうが、実はこのやり方はとても簡単です。自分で重要度を決めないということは他人の重要度を使うというだけの話です。つまり、他人が選んだ情報によって自分の情報をスクリーニングすればいいのです。

 そのやり方は、例えば本屋に行ってベストセラーの1位から10位の本を買って読めばいいのです。

 要は、自分の基準は捨てる。自分の外にある客観的な基準で情報の重要度を決めて、その順で見ていくわけです。もしくは純粋にランダムで、物事を選択するのです。キンドルやiPadを使ってもいいでしょう。電子書籍でアメリカで一番売れている雑誌を読むのはおすすめです。その雑誌はアメリカ社会がいちばん重要だと判断したものですが、自分の基準ではありません。

 自分の基準ではない重要なものとはこういうことをいうのです。いまの自分とはるかにかけ離れたものを基準にすることによって、他人に埋め込まれたRASの重要度から離れ、同時に他人に埋め込まれたRASの重要度に気づくということになるのです。

 

 徹底的に他人を使いましょう。他人の視点を使うことで、初めて自分の新しい視点ができるのです。新しい視点を得れば、物事の見え方はガラリと変わります。

 昨日まで完全に把握していたと思っていたものが、突然、真新しく見えることもあるでしょう。新情報や、新発見が続々と到来するのです。あなたを取り巻く世界は何も変わっていないのに、です。

 これが革命的な情報収集のスタートとなります!

 引用終わり

 

 

 いまの自分とはるかにかけ離れたものを基準にすることによって、他人に埋め込まれたRASの重要度から離れ、同時に他人に埋め込まれたRASの重要度に気づくということになる

 

 これを「こだわりを捨てる」と表現します。仏教的にいうと、「我執を捨てる」「放下着(ほうげじゃく)」。

 Q-297:弟子にしてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30430928.html

 

 コーチングのフレームで表現し直すと、「まったく新しいこだわりをつくる(それも人生のあらゆる領域に)」。それは、もちろん、ゴール設定からはじまります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 つまり、「自身の自由意思で見いだしたゴール側から、『フレーム=BS(囚)』を再構築していく」ことが、本物のコーチング(Authentic Coaching)だということ。

 F-337:次世代プロファイリング×ゴール設定 <vol.2;ゴールは自分という“殻(w0)”を抜け出して初めて見えてくる>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33775039.html

 

 その自由意思獲得のために、「フレーム=BS(囚)」という思考停止状態のまま生きていることに気づき、あえて「フレーム=BS(囚)」を止める

 

 それがフレーム=BS)問題を解決する第一歩となります。

 F-335:分断緩和のための処方箋 vol.6;「内部表現から頭を突き出し、真の自由意思を獲得する」というゴール

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33671632.html

 

L-159につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ      

苫米地式認定マスターヒーラー      

 CoacH T(タケハラクニオ)     

 

 

-追記-

 そのRASについて、「“自分なりの判断”を行わない」ことが「思考停止」

 

 引用文にあるとおり、“自分なりの判断”は決して簡単ではありません。その解決として、苫米地博士が提案されているのが「他人の視点を使う」こと。

 ディベーターでもある博士は、「論理的視点を使う」ことも強く勧められています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 

 詳しくはこちらでどうぞ↓

 S-01~:よりよい“議論”のために

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_254557.html

 

 

-告知1

2024年度のオンラインセミナーは、6月と11月に開催する予定です。

(セミナー冒頭でパーソナルコーチングの説明を行います)

セミナー開催1ヶ月前に、このブログで御案内いたします。

 

 

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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その検索はやめなさい

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