F-344:止められないんだ! これを聴いて、脚本を書くときのインスピレーションにしてほしい
止められないんだ! これを聴いて、脚本を書くときのインスピレーションにしてほしい
…これは“映画音楽の革命家”と称されるドイツ出身の作曲家 ハンス・ジマー(Hans Zimmer、1957年~)の言葉。映画監督
ドゥニ・ヴィルヌーヴ(Denis Villeneuve、1967年~)に向けて発せられたものです。
Hans
Zimmer(2010年)
Wikipediaより引用
映画は「夢をかなえる方程式 I×V=R」を体感するための最高の教材です。
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世間から遮断された真っ暗な空間で、大画面に映し出される臨場感世界に没頭することができます。そこに大音響&音楽が加わることで、臨場感はさらに高まっていきます。
F-304~6:映画のおもしろさって何だろう? <vol.1~3;臨場感>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32129073.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32179090.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32229850.html
一番臨場感が高いイメージが、その時の現実
映画を観ている間は、映画で描きだされる世界が現実です。さらに“名作”と呼ばれるような映画は、長きにわたって観た者の心に影響を与え続けます。皆さんにもきっと大切な映画があるはず。
(私にとってはこの映画↓)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_390942.html
心に残る映画は、劇中の音楽と一緒に記憶しているのでは。お気に入りの映画を思い出すと、映画に関連するメロディが聞こえてきませんか?
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若い頃にたくさんの映画を観た私の場合、思い出す映画の多くでハンス・ジマーの曲が流れています。「The Last Emperor」(1987年)、「Rain Man」(1988年)、「Black
Rain」(1989年)、「Driving Miss
Daisy」(1989年)、「Days of Thunder」(1990年)、「Green Card」(1990年)、「Backdraft」(1991年)、「True
Romance」(1993年)、「Cool Runnings」(1993年)、「The Lion king」(1994年)等々…
苦学生だった私が厳選して買い集めたサントラはジマーばかりでした。その事実に気づいたときの衝撃は、今もはっきりと覚えています。
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2000年代以降のジマーは、当時30代の映画監督
クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan、1970年~)とタッグを組みました。「Batman Begins」(2005年)、「The Dark Knight」(2008年)、「Inception」(2010年)、「The Dark Knight Rises」(2012年)、「Interstellar」(2014年)、「Dunkirk」(2017年)と6作品を担当。ノーランの11作目「Tenet」(2020年)の音楽制作も依頼されたそうです。
F-192:「夢をかなえる方程式 I×V=R」実践の秘訣(ワーク付き)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26119647.html
ところが、ジマーはノーランのオファーを断りました。その時どうしても取り組みたい作品があったから。それが2021年に公開された「Dune: Part One(邦題『DUNE/デューン 砂の惑星』)」です。
子どもの頃から原作のファンだったというジマーは、「Dune」に対し並々ならぬ思いを抱いていたそう。映画に合わせて公開された特別映像で、ジマーはこのように語っています。
このような経験は初めてで、あれほど作曲したいと思った小説はありませんでした。親友でもあるドゥニは、ビジョンを持った映画監督です。その上、彼はマジックを私に仕掛けてきました。原作では、映画に不向きな“心の内面の独白”があります。監督は原作の物語のそういった面を、ナレーションに頼ったりせず、映像で紡ぐ方法を考え出しました
…この言葉からわかるのは、「もともと止められてもやりたかったが、監督の働きかけによりwantがchallengeに変わった」ということ。
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“challenge”とは、今のままでは絶対に不可能なことに挑むこと。そう、それは現状の外に設定したゴールに向かうことだといえます。ジマーの場合、「監督が映像で紡いだ『映画に不向きな“心の内面の独白”』を音楽で補完する」というもの。
Q-209:「“現状の外”のゴールの体感」とはどういうのが正しいのでしょうか?
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コーチングのフレームで言い直すと、「個人的なwantが、縁起のつながりの中でさらなるゴール(Goal-Setting Through)になり、新たなエンドステートが生まれた」ということ。
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*エンドステートはこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14973460.html
ゴールに向かうエネルギーと創造性は、素晴らしい楽曲を生みだしました。「Dune」のスコアは、アカデミー作曲賞およびゴールデングローブ賞を受賞するなど、2021年を代表する映画音楽として評価されています。
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おそらく、ジマーの中にも「限界を超えた」という感覚があるのでしょう。それが「彼はマジックを私に仕掛けてきた」という言葉に感じられます。
L-136:2021年11月… -05;イマジネーションによって作った限界を破壊し、新しい世界を獲得していく(ワーク付き)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33084025.html
ここでいう「マジック」とは、「ゴールを引き上げ、さらにエフィカシーを高める働きかけ」のことであるはず。そう、「Dune」の監督 ヴィルヌーヴは、コーチとしての機能を果たしたということです。
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エネルギーと創造性に満ちあふれるジマーは、「Dune」が劇場公開された後も楽曲製作を続けたそう。まだ続編が制作されるか決まっておらず、自分に制作依頼が来るのかもわからないのに。
「Dune」公開後半年経った時点でも、ジマーは曲を作ってはヴィルヌーヴに送っていたそうです。そんなジマーに対して、ヴィルヌーヴはこのように問いかけました。「映画は劇場公開中なのに、まだ楽曲を送ってくるの?」。それに対するジマーの答えが…
そうだよ。でもこれは2作目のインスピレーションとして使って欲しい。止められないんだ! これを聴いて、脚本を書く時のインスピレーションにしてほしい
…コーチの視点ですこし掘り下げると、ヴィルヌーヴがやり遂げた「『映画に不向きな“心の内面の独白”』の映像化」は共感覚(化)です。その「映像化」は、ジマーにより、さらに音楽に変換(補完)されました。これは共感覚(化)の強化といえるはず。
Q-369~:共感覚がなかなかうまく実践できません
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_428764.html
そして、今度はジマーがヴィルヌーヴに「マジック」を仕掛けました。それが「これを聴いて、脚本を書く時のインスピレーションに」という音楽から映像(&ストーリーの中で登場人物たちが口にする言葉)への再変換。
それを見事に成し遂げたのが、今春(2024年)公開された「Dune: Part Two」です。
圧倒的な映像と音楽を体感しながら、私はジマー&ヴィルヌーヴのコレクティブ・エフィカシーに触れた気がしました。
Q-310~2:私のまわりではそうでも… <vol.5~7:コレクティブ・エフィカシー>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31049084.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31078775.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31102405.html
ところで、続編の音楽について、ジマーはこのように語っています。
本作は続編ではなく、連なる作品です。だから前作のスコアを書いた時点で、(続編では)モチーフをさらに発展させなければいけないと分かっていました。新しいモチーフを書くためには、古い考えを捨てるだけではいけないと強く意識して、発展させ、架け橋のように繋げなければいけませんでした
…これはゲシュタルトのこと。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html
もっというと、ゲシュタルトとゲシュタルトを「架け橋のように」つなげる“ゲシュタルトの統合”のことです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html
ジマーのこの表現は、監督 ヴィルヌーヴと音楽 ハンス・ジマーの関係にも当てはまります。その双方向の関係性の中で生みだされるエネルギーと創造性は、まさに縁起力!
F-325:観自在 <実践編-5;“縁起力”をブーストする>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33162493.html
続編公開に合わせて公開された特別映像の中で、ジマーはこのように語っています↓
映画『デューン 砂の惑星PART2』特別映像 (youtube.com)
私は曲を書いたが、曲は単に旅の小さな一部でしかない。
私を取り巻いてくれるチームが同じ言葉を話している …それが大切だ
…やはり、ジマーの中には縁起の感覚があるようです。きっと中観を体得しているのでしょう。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html
ジマーの音楽を聴いていると、コーチングを高い抽象度次元で体現しているような感覚になるときがあります。今まで気のせいだと思っていましたが、あながち間違いではなかったようです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
最後に、苫米地博士の著書「15歳若返る脳の磨き方 苫米地式ブレイン・アンチエイジング」(フォレスト出版、p161)より引用します。
御紹介するのは「脳の衰えを止めるもっとも簡単な方法」。1つめは「読書」、2つめは「新しくプログラム言語を覚えてパソコンのプログラムをつくる」こと。そして、3つめは…
楽器演奏はあなたの脳の抽象度を高める
さて、最後の3つめは、5線譜の楽譜にもとづいた楽器の練習です。
まず、楽器は選びません。
ピアノが家にある人はピアノでいいし、手軽に扱うならギターは最適です。練習場所に困らないのなら、チェロやコントラバスでもいいし、管楽器でも構いません。
音楽のジャンルは、クラシックです。
なぜかといえば、あくまで抽象思考の訓練のための楽器演奏ですので、5線譜の楽譜を見ながら練習を行う必要があるからです。その点を、ちょっと説明しておきましょう。
いうまでもなく、5線譜は抽象化された言語です。楽譜には、音階、調号、音名、音の長さ、和音、リズムなど、曲を構成するすべての要素が、抽象化された言語(記号)として書き込まれています。
演奏するとき、脳は楽譜という抽象空間を手足の運動という物理空間に移す作業を行います。抽象化された言語をインプットし、それを身体の運動にアウトプットするわけです。
情報空間を物理空間に結びつける、この脳の作業は、たいへん抽象度の高い作業です。楽譜を見ながらの練習は、脳の神経ネットワークを猛烈に働かせるだけでなく、神経ネットワーク同士の新たなコネクションをも生み出してくれます。
いっぽう、譜面といっても、ロックギターの教本によく使われているTAB譜では、こうはいきません。
じっさいにTAB譜を見ればわかると思いますが、そこにはギターのフレットと弦が描かれていて、どのフレットのどの弦を押さえるか、ご丁寧に指の形まで書いてあります。つまり、TAB譜は、曲を抽象化して記述したものではなく、曲を具体化して記述したものなのです。
TAB譜でギターの練習をしても、脳の神経ネットワークは働いてくれません。当然のことです。見ているとおりに指の形をつくるだけでいいからです。
同様に、耳コピーで行うギター練習も、神経ネットワークを働かせる効果はほとんどありません。耳で聞いたものを身体の運動に変換する作業は、抽象度がそれほど高いとはいえず、IQに与える影響は軽微なのです。
5線譜で練習するなら、音楽のジャンルはクラシックが適しています。
何といっても、クラシックなら楽譜が豊富にあります。初心者にもやさしい練習曲もたくさんあります。
対して、ジャズやロックでは楽譜を手に入れるのも一苦労です。勢いに任せて我流でがんがんやることが当たり前になっていますから、初心者向けの練習曲も豊富には用意されていません。
一番の目的は、楽器がうまくなることではなく、脳の神経ネットワークを活性化させることです。その点、クラシックはほかのジャンルに比べてはるかに取り組みやすく、効果も出しやすいのです。
以上がIQを高めるための苫米地流メソッドで、この3つの方法は、いずれも私がかれこれ40年にわたって実践してきたことです。
あなたはいま、40年の実践という事実を知って、「私は手遅れかもしれない」と感じたかもしれませんが、いまからでも決して遅くはありません。今後の人生に3つの方法をしっかりと取り入れて、不断に脳の若返りを目指しましょう。
あなたがいま20代であっても、30代であっても、40代であっても、あるいは50代であっても、方法の実践は必ず目を瞠るような効果をもたらしてくれるはずです。
あなたのIQは高まり、精神と肉体は若返り、死のタイミングはぐっと先延ばしされることでしょう。
引用終わり
…「脳の衰えを止めるもっとも簡単な方法」の、1つめは「読書」、2つめは「新しくプログラム言語を覚えてパソコンのプログラムをつくる」こと、3つめは「楽器演奏」。
私は、「楽器演奏」の代わりに、ジマーの音楽で「神経ネットワークの活性化」に取り組んでいます。共感覚をフル活用しながら。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
「Dune: Part Two」の楽曲の中で、ヴィルヌーヴが「ポールのチャニに対する愛を表すラブソング」「胸が張り裂けてしまいそうな、史上最高に美しい愛のテーマ」「ハンスが書いた楽曲の中でも最も美しい楽曲の一つ。初めて聴いた時は、思わず涙がこぼれた」と語った曲がこちら↓
この楽曲について、ジマーはこのように語っています。
本作において、私はチャニとポールの“愛のテーマ曲”は作りたくなかった。2人の恋愛は平凡ではないからです。でも、それは物語の中心でもあります。チャニが、この不毛の惑星を愛する方法をポールに示し、それを通してチャニ自身の強さを示すような、楽曲を目指しました
…やはり、ジマーの中には縁起の感覚があるようです。
L-035:2020年4月シークレットレクチャー -04;エフィカシーとは縁起の結実の確信
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26686871.html
-告知1-
2024年度のオンラインセミナーは、6月と11月に開催する予定です。
(セミナー冒頭でパーソナルコーチングの説明を行います)
セミナー開催1ヶ月前に、このブログで御案内いたします。
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
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L-068:2020年11月シークレットレクチャー
-03;じかんかじ(時間舵)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28988329.html
Kindle版はこちら↓
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15歳若返る脳の磨きかた eBook : 苫米地英人: 本
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