Q-367:医師からのパワハラがひどすぎて心が折れました <後編;plan-side

 

医師である私のもとに、ズキズキするような御相談が届きました。

 その一部にコーチとして回答いたします。

 (変更を加えています)

 

 前編;case-side

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33974189.html

 

Q:看護師として療養病棟で働いています。医師からのパワハラがひどすぎて、正直限界です。患者さんが悪くなったりするといつも責められるのですが、この間なんかカルテに「誤嚥させて肺炎になった」「寝かせっぱなしー肺炎」「悪くなってから連絡あり。手遅れ」などと書き込まれて心が折れました。

ギリギリの人員で現場が回っているため今まで我慢してきましたが、もう本当に限界です。

 

A2:前回(Q-366)は、「悪くなってから連絡あり。手遅れ」という表現に内包されている課題(case-side)のうち、3つを具体的に取り上げました。それは

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 □「あなたたちが悪い」「私は悪くない」という他責

 □「手遅れ」にあらわれている時間観

 □「」と決めつける価値観

 

 最初にお伝えしたとおり、私の解決(plan-side)は「コーチングを学び、実践する」。そのコアは「抽象度を上げる」ことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 コーチングでは、クライアントのコンテンツに一切関わりません。

 Q-297:弟子にしてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30430928.html

 

例えば御相談に登場する医師が私のクライアントだった場合、ブリーフシステム(Belief SystemBS)の分析はしますが、その内容についてはお伝えしません。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

言及することで価値や判断に影響を与えてしまうと、新たなスコトーマ(Scotoma)ができるからです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 スコトーマを外して現状の外にゴールを設定することがコーチングのコアなのに、それでは本末転倒です。さらにいうと、ますます過去に囚われることになりかねません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

では、クライアントの認識・理解・評価・判断に直接関わらずに、どうやってスコトーマを外していくのでしょう?

 

 

 私が常に意識しているのは、「クライアントのマインドをより抽象度の高い次元に誘う」こと。そのために、1)しっかりとリラックスしていただき、2)コーチングに関する知識を共有しながら、3)ゴールを設定してもらいます。もちろん、現状の外(=高次の抽象度次元)に。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 前回(Q-366)の最後に、苫米地博士の著書「人間は『心が折れる』からこそ価値がある」(PHP研究所、p174)より引用しました。「心が折れました」という自分に対するイメージを書き換え、スコトーマを外すことができたでしょうか?

 

 もしも自分に対するイメージが変わっていないようなら、部分関数であり評価関数でもあるという「自我」について再確認しながら、ゴールをイメージしなおしてみてください。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 このままでは絶対にムリだけれども、絶対に実現したいワクワクするようなゴールを!

 Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

 

 イメージできましたか?

 

 イメージできたなら、逆腹式呼吸を続けながら、前回の引用文を再読してください。こちらからどうぞ↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33974189.html

 

 

 どうでしょう? 自分に対するイメージは変わりましたか?

 

 「自分に対するイメージ」の前提には、「自と他を明確に区別している」という意識状態があります。前回お伝えしたとおり、その“区別”自体は問題ありません。「自と他の区別」とは、自分の定義=自我のことです。

 ただし、部分関数としての自我、すなわち”縁起の中心点としての自“の認識が欠けると、「自と他の区別」は「差別」に変質していきます。

 PM-06-13:仮説08)はびこる差別意識

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html

 

 自分=私とは“縁起の中心点”であると同時に、関係性の塊のようなものでもあります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 その関係性には不思議な“性質”があります。その“性質”と「ゲシュタルト(Gestalt)」を結びつけながら、下記の文章を読み進めてください。

 以下、苫米地博士の著書「洗脳力」(アスコム、p147)より引用します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

 

「私」という存在を理解するキーはゲシュタルトにある

 本書の初めのほうで、存在とは関係の結節点であるという話をしました。関係性というのは不思議な性質があります。関係性によって全体が個の総和の以上のもの、あるいは別のものになってしまうという性質です。これをゲシュタルトと言います。

 存在とは関係で決まるので、ある存在はAでもあり、またBでもあるということがあり得ます。関係性によってはあらゆる可能性が考えられます。ということは、存在もまた「空」であると言えそうです。結局、自己とか私とかいうものも「空」であると考えられるわけです。私であり、私以外のすべてでもあるものが私と言えばいいでしょうか。

 こんなふうに考えられると、「私」という殻も案外容易に破れるかもしれません。

 さて、ここでゲシュタルトの話を出してきたのは、「私」という存在について考えるヒントになるからです。

 繰り返しますが、ゲシュタルトとは全体は個の総和ではないという考え方のことです。たとえば音楽を考えてみましょう。曲というのは、11個の音符(休符も含む)の順列でできあがっています。「全体=個の総和」だとすると、一つの曲は曲のなかの一つひとつの音符によって決定されることになります。

 ところが、音楽には移調というものがあります。カラオケなんかでキーを上げたり、下げたりするのが移調です。キーを変えると休符を除く楽譜上のすべての音符は別のものになります。

 11個の音符は別のものにもかかわらず、私たちはそれらを同じ曲だと認識します。

 これは「全体≠個の総和」であることを端的に示しています。音符同士の関係性が一つひとつの音符でもありながら、関係性によって全体を決めるものとしての存在でもあるのです。

 あるいは、同じ直線が3本書いてあっても、三角形と認識する場合と単に3本の線が並んでいるだけと認識するときはあります。形によっては矢印と認識するかもしれません。

 同じ直線でもその並び方によって全体の意味は異なることになります。これもゲシュタルトです。

 あらゆる存在はゲシュタルトですから、「私」なるものも関係性によってその意味は変わってくることになります。つまり、自分だけが自分勝手に「なりたい私になる」などと言ってみても、他との関係性によって意図したものとはまったく異なる「私」になってしまうことがあるのです。「私はハ長調の主音である『ハの音』になる」と思っても、曲全体がハ長調じゃなければ、自分だけが主音だと勘違いしながら不協和音を発し続けることになってしまうわけです。

 「自己実現(自己だけ実現)」とか「なりたい私になる(私だけが勝手になりたいものになる)」という考え方がいかに無意味であるか、いかに間違った考え方であるかを「空」「ゲシュタルト」という概念とともにもう一度見つめ直してほしいと思います。

 引用終わり

 

 

 あらゆる存在はゲシュタルトですから、「私」なるものも関係性によってその意味は変わってくることになります

 

 相談者である看護師さんは、医師との関係性に疲れ果てています。この場合の関係性とは「パワハラ」と表現されるもので、「私(看護師):被害者」「相手(医師):加害者」です。

 

 そんな「私」は、関係性が変わるとダイナミックに変わっていきます。その「関係性を変えるもの」がゴール。ゴールを設定すると、すべての関係性が「ゴール実現のための縁起」となります。「私:ゴールに向けてスコトーマを外す人」「相手:スコトーマを外す大切なきっかけ」というように。

(私の経験はこんな感じ↓)

 PM-06-03:抗不安薬を常用する医師の叫びで気づいた「FOG

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13523715.html

 

 よく「波瀾万丈ですね」と同情される私が、今まで生きてきて確信しているのは、「ゴールに向かう者に無駄な縁起はひとつもない」ということ。ラベリングでいうと、「すべて『T』」。

 F-095:私はイヤなことは心の中で握りつぶす vol.2(ワーク付き)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/18456250.html

 

 その理由はわかりますか?

 

そう、RAS&スコトーマの働きです。ゴール側の臨場感が高いと、ゴールに関係するもの/こと(T)が認識に上がり、関係ないもの/こと(Nil)はスコトーマに隠れます。

 Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html

 

 ラベリングには「D」というラベルもあります。「Delusion(妄想、迷い)」のことで、「T」でも「Nil」でもない情動のことです。

一般的には怒りや悲しみ、後悔、不安のことですが、御相談中の「心が折れる」「もう本当に限界」も「D」といえます。

結局、自己とか私とかいうものも『空』である」ということ。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 D」そのものは、ゴールを達成し、さらなるゴールを設定するための大切な縁起。わかりやすくいうと“燃料”みたいなもの。

それは「ダメな人間の証拠ではなく、人間の素晴らしさの証拠」です。

 

 これからはモニタリングを続け、もしも「D」に気づいたなら、逆腹式呼吸を行いリラックスを深めてください。そして、心が整ったなら、ゴール側からラベリングを!

 L-10920218月シークレットレクチャー -11;モニタリング&ラベリング

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31421939.html

 

きっと看護師として「職業」のゴールや、「社会への貢献」「生涯学習」といったカテゴリのゴールを見つけるでしょう。そのとき「医師からのパワハラ」は、ゴール実現のためのエネルギーとクリエイティビティに変わっていきます。

Q-178:家族ががんで治療中です。どうすれば… -02;エネルギーと創造性の源

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25090742.html

 

 そう、すべて“自分”次第です。だから大丈夫!

 L-126202111月医療・介護研修レポート -07;すべては自分次第。その自分とは

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32763806.html

 

 

 以上、私の回答です。

 御相談ありがとうございました。

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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