F-340:次世代プロファイリング×ゴール設定 <vol.5;苫米地博士の“プロファイリング”とは? -各論・実践編1-

 

 コーチングにおいて重要なプリンシプルのひとつが、「過去は一切関係ない!」。

 時間は未来から現在へと流れており、過去はどんどん遠ざかっていきます。

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 だから、コーチとしてクライアントさんと関わるとき、私は“未来”に集中しています。“未来”とは、もちろん、クライアントさん自身がゴール設定で生みだすものです。

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 過去は一切関係ない!

 

 先日(2024226日)、「バラいろダンディ」(TOKYO MX)に出演された苫米地博士は、初対面で「直前まで男性だと思っていた」というキンタロー。さんに対して“プロファイリング”をされていました↓

 今一番「顔芸」がバズる!キンタロー。を分析! Dr.苫米地 (2024年2月26日) (youtube.com)

 

 その様子を拝見しながら、感じ、考えたことをまとめます。

 

 vol.1;コーチングにプロファイリングは必要?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33723264.html

 vol.2;ゴールは自分という“殻(w0)”を抜け出して初めて見えてくる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33775039.html

 vol.3;苫米地博士の“プロファイリング”とは? -総論-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33827695.html

 vol.4;苫米地博士の“プロファイリング”とは? -各論・理論編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33880880.html

 vol.5;苫米地博士の“プロファイリング”とは? -各論・実践編1-

 

 

 コーチングの前にしっかり“プロファイリング”を行うことは、とても重要です。

なぜなら、「誰もが『過去の記憶でつくられた現状(Status QuoSQ)という“殻(w0)”』の中で生きている」から。繰り返しますが、その“殻(w0)”はコンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)と言い換えることもできます。

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 つまり、CZが生みだす「現状維持の壁」を突き破り、まったく新しい可能世界(w1)を生みだすことがコーチング!

 PM-06-06:仮説01)変わらないCZが生みだす「現状維持の壁」

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 その結果として、これまでのCZ=ブリーフシステム=関数P(←自我の一側面である「評価関数」のこと)が書き換わることになります。

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では、今回も苫米地博士と本橋信宏さんの共著「『洗脳』プロファイリング 重大未解決事件の犯人を追え!」(宝島社、p107)より引用し、重要な部分(青字で再引用)を解説します。キーワードは「ホメオスタシス同調」です。

 

 

現場におけるホメオスタシス同調効果プロファイリングのやり方

 苫米地博士によれば、過去の犯罪を統計的に網羅したデータから分析する手法は旧世代のプロファイリングだという。

 認知科学による次世代プロファイリングは、苫米地博士によってさらなる進化を遂げつつある。

 現場百遍ではなく、たった1回殺人現場に立つだけで、犯人像はプロファイリングできるのだ。

 「いま私たちがいるこの喫茶店に、18歳の女子高生が来て、どんな行動をするのか、想像してみましょう。ここに人が座っている場合、座っていない場合、彼女はどの席に座って、どんなオーダーをするのか、素人でもだいたい想像できるはずです。それをもっと高度にプロファイリングしたのが現代の認知科学によるプロファイリングであって、それは統計ではないのです。統計の場合は過去に何人の女子高生がどの席に座ったかでしょう。そうではなくて、その女子高生が脳内でどういう情報処理がされるかを徹底的に考えれば、この店に平日の何時何分に入った女子高生はお客さんがそこにひとりいた場合、おじさんの場合、若い女の子の場合、どの席に座って何をオーダーするか、だいたいわかるのです。それをもっと高度にしたものがホメオスタシス同調効果によるプロファイリングなのです。同調の仕方は、脳内で女子高生になることです。人間は映画を見ているとき、どんな状態になりますか。まるで主人公のように同調しているでしょう。全感覚、何を見ているか、何を思ったか、何を感じたか、同調するのです。私が女子高生の時に感じられることと、証券会社部長になって感じられることは、この席に座っていても違うでしょう」

 では、女子高生の自我に同調するにはどうしたらいいのか。

 「現場に立ったとき、まずやらなければならないことは、自我を無くすこと。つまり釈迦のようになることです。何が見えるのか、何が見えないのかは自我が決めるものです。宇宙と自我は同じもの。自分が見えているものは自分が決めているわけです。

 たとえば、私が原始人ならテーブルに置かれているこのテープレコーダーは目に入っていない。現代人には見えるけど。あるいは、取材を受けている人間にとって、目の前のこのグラスは目に入っていない。このペーパーナプキンも目に入っていないでしょう。テーブルに水をこぼしたら紙を探すでしょうから、そのとき初めてペーパーナプキンが見える。その存在に気づく。つまり、そのとき何が見えているか何が見えていないかは、全部その人の自我が決めるのです。自我が全部無くなってしまったのが釈迦です。

 見えているのに見えていないのは、スコトーマ(Scotoma・ギリシャ語で盲点の意味)があるからです。実際の盲点のように本当に見えていないのではなく、見えているはずなのに見えていないもの、です。その人にとって、その時に重要であると思ったものだけが見えて、他は省略されてしまっていること。これがスコトーマなのです。

 自我を無くすことは、スコトーマを無くすことです。殺人事件の現場では、一度がんばって釈迦のようになること。つまり自我を無くすことです。すると全情報が見えてくる。ほとんどの刑事が検挙率が悪いのは、刑事の自我を持ったまま現場に行ってしまうからです。刑事の経験で、うまくいったことにもとづいて現場を見てしまう。そうすると、見えるものが見えなくなってくる。初動捜査の誤りはみんなそう。誤った予見が入って、見えるものが見えていない。最初のプロファイリングを間違えたらアウト、事件の解決は遠ざかってしまいます。だからまずは最初は釈迦になる。できるだけ無我になる。いま、私が話していると、テープレコーダーの存在が消えているでしょ。目には映っているんだけど。私の話に引き込まれているから、テープレコーダーはどうでもよくなっている。私の話を聞きながら、テープレコーダーを見て、音楽を聴いて、眼鏡のツルの感触を感じてって、できないでしょう。それを無理矢理やる。自我を無くす。変性意識とは逆です。変性意識は特定の自我を作ることだから。一切の変性意識を無くすことですから」

 釈迦になる、という苫米地博士独特の言い回しは、俗語的に言い換えれば、余分な情報を一切シャットアウトして頭の中を空っぽにするということであろう。

 では、自我を捨てる具体的な方法はというと、苫米地博士の著書にもよく出てくる「抽象度を上げる」ということに行き着く。

 「無我になるためには一気に抽象度を上げることです。抽象度が高くなるほど情報量が減ってきて、無我に近くなる」

 抽象度が高くなるほど情報量が減る、とはどういうことか。

 苫米地博士の事務所がある六本木という地点を例にとってみよう。

 六本木よりも抽象度のたかいもの、つまり広範囲に渡るものは、港区であろう。港区よりさらに抽象度を上げると東京都になる。さらに上げると日本。さらに上げるとアジア。さらに上げると地球……

 苫米地博士はわかりやすく、六本木をウインドウズ式に記述して説明する。

 「六本木」は「日本国¥東京都¥港区¥六本木」

 「港区」は「日本国¥東京都¥港区」

 「東京都」は「日本国¥東京都」

 抽象度が高くなるほど情報量が少なくなっていく。

 つまり、余分な情報が削ぎ落とされる。

 抽象度を上げると、自我が消え、広範囲にレーダーが張られる。

 引用終わり(このつづきは次回引用します)

 

 

もっと高度にプロファイリングしたのが現代の認知科学によるプロファイリングであって、それは統計ではない

 

 統計(statistic)とは「社会の状態を数値によって精確に知りたいという要求に応えるため、実測したデータを元に計算した数値、あるいはそれを多数ひとまとめにしたもの」(Wikipediaより)。それは過去も含む「現状(w0)」の評価のこと。

 

 その「現状(w0)」は、一人ひとり違います。「一人一宇宙」だから。

 Q-235:「財布を娘に盗られた」といったvol.6:記憶が織りなす「一人一宇宙」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27981625.html

 

 さらにいうと、一人の中にもたくさんの宇宙(可能世界)があり、その中から「一宇宙」がダイナミックに選びだされています。博士が座右の銘とされている「一念三千」の世界観です。

 F-319:観自在 <理論編-2;自在を観る>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32875213.html

 

コーチングに寄せていうと、「前頭前野に収められたいくつものブリーフシステム(BS)ごとに宇宙(可能世界)があり、そのひとつが実際に現実化している」という感じ。

 L-09420217月シークレットレクチャー -06BSと人格や未来との関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30598161.html

 

一人ひとり違っていて、かつ一人の中にもたくさんある「一宇宙=現状(w0)」を、まったく新しい宇宙(w1)に書き換えていくのがコーチングです。その新しい宇宙(w1)は、現状の外へのゴール設定により創造するもの。統計処理では絶対に見いだせません。

繰り返しますが、「過去は一切関係ない!」です。

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 

全感覚、何を見ているか、何を思ったか、何を感じたか、同調する

 

 人間の脳にはミラーニューロンというものがあります。それは「相手の動作を見たときに、見た人の脳の中に、あたかもその人自身が同じ動きをしているかのように活性化する神経群」のこと。私たちはミラーニューロンにより「相手の行動を“鏡”にして自分の反応を生みだす」ことができます。

 「全感覚、何を見ているか、何を思ったか、何を感じたか、同調する」とは、このミラーニューロンを使って「一時的に相手になりかわっている状態」です。

 F-046:笑顔のままお亡くなりになった患者さんから後編:ミラーニューロン

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11383670.html

 

 ミラーリングは、動作や行動といった物理次元にとどまらず、より高次の情報次元の認識や思考にまで拡張しています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 それを理論化しているのが、苫米地理論の第1世代「サイバーホメオスタシス仮説」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 

現場に立ったとき、まずやらなければならないことは、自我を無くすこと。つまり釈迦のようになることです。何が見えるのか、何が見えないのかは自我が決めるものです。宇宙と自我は同じもの。自分が見えているものは自分が決めているわけです

 

 コーチングにおいて、コーチがまずやらなければならないことも「自我を無くす」こと。

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 そのために苫米地博士が勧めているのが、「スタニスラフスキー・システム」です。詳しくはこちらでどうぞ↓

 L-150202111月医療系研修会 -05;記憶にリアルな臨場感を持たせると、相手も同じ臨場感を感じる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33796873.html

 

 

テーブルに水をこぼしたら紙を探すでしょうから、そのとき初めてペーパーナプキンが見える。その存在に気づく。つまり、そのとき何が見えているか何が見えていないかは、全部その人の自我が決めるのです

 

 これはスコトーマ(scotoma)の話。スコトーマは心理的盲点のことで、1)知識、2)重要性、3)役割(責任)の3つがそろったときに外れます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

この例でいうと、「ペーパーナプキン」のことを知らないとそもそも認識できず、知っていても重要性がないと認識できず、重要性があっても役割がないと認識できない という感じ。

テーブルに水をこぼす」という縁により、重要性&役割が変わり、RAS(網様体賦活系)が変化しスコトーマが外れ、「ペーパーナプキン」が突如認識されます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

 その時、重要性関数(評価関数)が書き換わっているので自我が変化しているといえ、同時に認識する世界(自我の逆関数としての宇宙)も変化しています。

 このように自我と宇宙は表裏一体です。

 F-034~:「何もないところからレンブラントを発見」は正しい?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_268332.html

 

 

自我を無くすことは、スコトーマを無くすことです。殺人事件の現場では、一度がんばって釈迦のようになること。つまり自我を無くすことです。すると全情報が見えてくる

 

 …RAS&スコトーマについて、一般向けの説明とコーチング実践者向けの説明は異なります。クリアでない場合はこちらをどうぞ↓

 Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html

 

 

自我を無くす。変性意識とは逆です。変性意識は特定の自我を作ることだから。一切の変性意識を無くすことですから

 

変性意識は特定の自我を作ること」。

変性意識(Altered State of ConsciousnessASC)とは、「目の前の現状よりも現状とは異なるイメージに強い臨場感を感じている状態」のこと。苫米地博士は全ての変性意識生成方法を統一的に説明されています。それが「Rゆらぎ」です。

 L-11420219月シークレット… -02;夢=w1=高次の抽象度空間にひろがる縁起

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32099568.html

 

 通常、抽象度が上がると、臨場感は下がります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

具体的な情報量が減っていくからです。抽象度が上がるほど、文字どおり“抽象的”になっていきます。

 Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html

 

 ところが、「Rゆらぎ」を利用すれば、「抽象度を上げる際に同時に臨場感を上げていく」ことが可能になります。その秘訣が「呼吸」。詳しくはこちらでどうぞ↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23645730.html

 

 

無我になるためには一気に抽象度を上げることです。抽象度が高くなるほど情報量が減ってきて、無我に近くなる

 

 抽象度を上げることによる「無我」とは、自と他の違いが無くなること。それはゴールの重要なポイント「自分中心を捨て去る」と同義です。

 Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

無我のさらに先には「空我」があります。それは「すべての違いがなくなる」こと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 それは悟りの境地。詳しくはこちらでどうぞ↓

 F-158~:無我夢中

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_405002.html

 

F-341につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

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2023年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

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F-244~:「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋を架ける

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L-133202111月シークレットレクチャー -02;自我とRAS&スコトーマとコーチングの関係

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Q-265~:臨場感世界をまったく同じように感じることが可能なのでしょうか?

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Q-298~:どれくらい相手に共感していいものでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_423870.html

 

 

『洗脳』プロファイリング 重大未解決事件の犯人を追え!