L-154202111月医療系研修会 -09;「明日への希望」から生まれる“幸福”の好循環

 

202111月に認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御意見・御質問に回答いたします。

 

 01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33693497.html

 02;人の特性はBSで決まる=人はさまざまな幻想に支配されている

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33708684.html

 03;「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ための鍵

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33745283.html

 04;生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する方法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33760483.html

 05;記憶にリアルな臨場感を持たせると、相手も同じ臨場感を感じる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33796873.html

 06;人生の様々な方向性に対してそれぞれゴールを持つ

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33811307.html

 07;ゴールとは「究極的に抽象度が高まった体感」で感じるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33851880.html

 08;誰もが抱えている“根源的な痛み”

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33866119.html

 09;「明日への希望」から生まれる“幸福”の好循環

 

 

コーチングの肝はゴールを設定し、エフィカシーを高めること。その結果、前頭葉前頭前野で自己発火がおこる

 

エフィカシーとは、「自分のゴール達成能力の自己評価」のこと。そのポイントは「自己評価」であることです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

価値基準を外に置き、それが絶対であると思うことは、「誰かに支配される」ということ。それは“奴隷”と同じです。苫米地英人博士は“奴隷”にすり込まれているという「3つのモノサシ」を挙げられています↓

F-241:トレーニングは「昨日の自分を超えていく自己確認」

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28695996.html

 

私たちは現状に縛られ、“殻(w0)”に閉じ込められたまま生きています。まずはその事実を知り、“殻(w0)”に気づくことが重要です。

F-336:次世代プロファイリングvol.1;コーチングにプロファイリングは必要?>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33723264.html

 

エフィカシーは自己評価なので、本来は自分自身で高めることができます。時間の流れや因果関係を加味すると、「成果が上がる →エフィカシーが高まる」ではなく、「エフィカシーが高い →成果が上がる」。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

つまり、エフィカシーとは、「達成できる」「実現できる」という確信のみ(claim)。その確信に根拠(warrant)や事実(data)は必要ありません。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

 ところが、私たちは、自分でエフィカシーを下げてしまいがちです。

その理由は、“失敗”を記憶しており、思い出すときに「あのときの自分はバカだった」とか、「自分が許せない」などと過去の自分を否定するようなことを(心の中で)つぶやいてしまうから。そのつぶやきが“殻(w0)”を強化していきます。

PM-06-01:過去の“失敗”をもとに問題を解決する方法

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13397552.html

 

エフィカシーを上げるために重要なのは、「私はあのときベストを尽くした」「私はすごい人間だ」というように、「今、ここ」にいる自分を堂々と肯定すること。それこそが「セルフトークのコントロール」です。

Q-276~:セルフトークのマネジメントについて

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_421937.html

 

 

コーチングの肝はゴールを設定し、エフィカシーを高めること。その結果、前頭葉前頭前野で自己発火がおこる

 

 「止められてもやりたい」が湧き上がるようなゴールをたくさん持ち(バランスホイール)、ゴール実現を確信しながら挑戦を続けていると、神経伝達物質であるドーパミンがたっぷりと分泌されます。それが「自己発火」のはじまりです。シンプルに記すと

 

 ゴール×エフィカシー

→中脳の腹側被蓋野(VTA)からドーパミン放出

  →腹側線条体の側坐核(NAcc)の刺激によりμオピオイド大量放出

  →セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が放出される

  →“痛み”の信号が脊髄で抑制され、「うれしい」「楽しい」「誇らしい」等が↑

  →ドーパミンがさらに放出される(されやすくなる)

  →μオピオイドがさらに↑

  →セロトニンがさらに↑

  →

 

 …これが“幸福”の好循環。

側坐核は快楽や幸福感を司る部位です。そこが刺激され幸せな気持ちになると、「和顔施」や「眼施」がますます強力にできるようになります。

(詳しくはこちらでどうぞ↓)

Q-281~:ドーパミンの分泌をコントロールまたはどの程度分泌されているか

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422146.html

 

 

コーチングの肝はゴールを設定し、エフィカシーを高めること。その結果、前頭葉前頭前野で自己発火がおこる

 

 では、そのゴールとエフィカシーは何を源泉とするのでしょう?

 

 以下、苫米地博士の著書「全速脳 ~脳は鍛えると100倍加速する」(宝島社、p145)より引用します。「死」だけではなく「老病死(+生で四苦)」を、さらには人生全体をイメージしながら読み進めてください。Feel

 

 

4-06 「生きよう」という気持ちが失われたときに死んでしまう人間

 人間は、ときに自らの死を予告するような死に方をすることがあります。

 「どうも、私はこの先、あまり長くないような気がする」

 とても死ぬようには見えないような元気はつらつとしていた人が、あるときを境にして急に自らの死について口にし、3日くらいたつとぽっくりと逝ってしまった。

 この手の話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。まだ、自然死するような年齢ではなかったし、特別な病気を抱えていたわけでもない。にもかかわらず、まるで自分が予告したことを律儀に実行したかのように、突然死を迎えるわけです。

 「あの人は、あんな風に予言していたけれど、きっと虫の知らせか、偶然だったのだろう」

 身近にこういう「自分の死を予告して死ぬ人」が現れると、みな一様に不可解さを感じ、「ありえないこと」が起きたと考えますが、私からすれば、これはごくごく自然な出来事なのです。

 その人は「私はもう十分生きた。もう死んでも構わない」と思ったはずです。その「私には明日は必要ない」という諦念と覚悟が、その人の死期を決めたというのが、私の解釈です。

 人間というものは、じつは「生きたい」とか「生きよう」という考え方や気持ちを喪失すると、死んでしまう生き物なのです。そう考えてすぐには死ななくても、確実に死期は早まるようになります。

 それとは裏腹に、「私にはどうしてもやりたいことがある。だから、明日が来るのが待ち遠しくて仕方がない」と考えている人は、そうそう簡単には死にません。

 そういう人は、たとえどんなに重い病気に罹っていたとしても、医者や周囲の人びとの予想を遥かに超えて長生きしていきます。

 これは、私が何の根拠もなく勝手に考えてそう述べているわけではありません。上述したようなことと同じ現象は、世界中で生み出された数々の記録文学の中に多々登場するのです。

 例えば、自らの強制収容所体験を記録した精神科医、ヴィクトール・フランクルは著書『夜と霧』の中で、こう記しています。

 

 《自分の未来をもはや信じることができなくなった者は、収容所内で破綻した。そういう人は未来とともに精神的なよりどころを失い、精神的に自分を見捨て、身体的にも精神的にも破綻していったのだ》

 

 フランクルが言っていることは、つまり未来を信じることができる人はどんな苦境にあっても生き抜き、信じることができなくなった人はいともたやすく死んでしまう、ということなのです。

 『夜と霧』を読んだことがない人も、じつはこの「信念」の法則の原理を知っているはずです。現に、その証拠として、私たちは過酷な状況に置かれると、自分自身や仲間に向かって、「希望を捨てるな!」と激励します。そして、それが問題解決のための原動力になっていることを、体験的にわかっているのです。

 アメリカの労働省のデータによれば、仕事をリタイアした人の平均寿命は、リタイアからわずか1年半。つまり、私たちは追い求めるべきゴールを失った場合、たったの1年半で生きる気力を失って死んでしまうケースが多いのです。

 

 私たちは、この法則のことをすっかり忘れて生活しています。

 時に危機的な状況ではない、安穏とした日常を送っている場合は、このことを思い出す必要がないかもしれません。しかし、そんな平和な状況にあっても、法則それ自体は静かに働いているのです。

 ですから、「自分はもう長くないだろう」などと自分の寿命を心の中で受け入れてしまうと、その通りの現実があなたに襲いかかってくるのです。

 そのような意味では、これまでに死んでしまった人びとは、全員が全員、その死に際して「もう死のう」と思い、諦めたのではないかと私は推測しているのです。

 仮にそのようにはっきりとは意識していないにせよ、病や事故の苦しみから逃れるため、あるいは未来への希望を損失してしまったがゆえに、もしくはそれまでの人生に心から充足して「もうこれ以上望むものはない」と思ったがゆえに、その人の脳は、無意識のレベルで、ほぼ間違いなくこうした信念を受け入れてしまっているのです。

 そのために、死を迎えるときは、細胞分裂回数が限界を迎えたわけでもないのに、簡単に死んでしまうのです。

 

まとめ

 長寿を実現するためには、まず自分たちが「明日への希望」を失わないようにする!

 引用終わり

 

 

 「私にはどうしてもやりたいことがある。だから、明日が来るのが待ち遠しくて仕方がない」と考えている人は、そうそう簡単には死なない

 

 医師として四半世紀以上働いていますが、「『明日が待ち遠しくて仕方がない』という人は、なかなか老いず、病にもならず(なっても克服し)、そうそう簡単には死なない」ことを強く確信しています。

 

 そう、私が感じているゴールとエフィカシーの源泉とは、「明日が待ち遠しくて仕方がない」という思い。一言でいうと“希望(hope)”です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8045695.html

 

 

 とはいうものの、命あるものは必ず老いるし、いつかは死ぬときがきます。物理空間には強力な物理法則(因果)が働いています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 その間に認知機能が衰え、いわゆる認知症と呼ばれる状態になることもあるかもしれません。情報空間には必ず不完全性が働きます。どんなにストレスフリーな生活をしていても、認知症を完全に予防できるわけではありません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

 確実に老い、たぶん病になり、必ず死ぬ。その間に認知症になるかもしれない

 

それでも「明日への希望」を失わないために、私たちは何を心がけるべきでしょうか?

 

L-155につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

  

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