L-150:2021年11月医療系研修会 -05;記憶にリアルな臨場感を持たせると、相手も同じ臨場感を感じる
2021年11月に認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御意見・御質問に回答いたします。
01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33693497.html
02;人の特性はBSで決まる=人はさまざまな幻想に支配されている
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33708684.html
03;「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ための鍵
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33745283.html
04;生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する方法
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33760483.html
05;記憶にリアルな臨場感を持たせると、相手も同じ臨場感を感じる
生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する
= 自らを深い変性意識状態にする
→ 相手と目を合わせる
→ 相手は変性意識化してしまう
…苫米地博士が開示されたこの奥義は、恐怖と不安のマネジメントにも活用できます。動物的な大脳辺縁系優位になるのを防ぐ予防法として、あるいは「ファイト・オア・フライト」の状態から人間的な前頭前野優位に戻る(戻す)技として。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html
では、抽象度を下げて、より具体的に確認していきましょう。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
人間においては、網膜(目)からの視覚情報が視覚野(大脳の後頭葉)に向かうメインルートだけではなく、直接扁桃体に向かうサブルートが存在しています。そのため視覚野の機能を失っても、扁桃体で人の表情を判断することができます。
つまり、「人は無意識に他人の表情を分析し、記憶と照らし合わせながら心を推測している」ということ。
視覚野に障害がある(=目が見えない)患者さんを対象にした英ウェールズ大学の研究によると、相手が無表情な場合は「対象が男性か女性かに関係なく、感情を読み取りづらい」といった傾向が確認されたそう。目が見えないのですから当然です。
ところが、明確な感情(怒り、喜び)を示した人の顔を見せた場合、単なる当てずっぽうを上回る正解率を示したそう。悲しい顔とうれしい顔、怯えている顔と幸せそうな顔といった感情表現の場合でも、ほぼ同様の確率で正解したそうです。目が見えないはずなのに。
F-045:笑顔のままお亡くなりになった患者さんから… 中編:ブラインドサイト
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11294790.html
ちなみに、人の顔を動物の顔に置き換えると、襲いかかろうとしているのかどうかなどを見分けることができなかったと報告されています。どうやら表情から感情を読み取る力は人と人の間に限定されるようです。
Q-233~4:「財布を娘に盗られた」といった… <vol.4~5:ユマニチュードの5つのステップ>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27926812.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27962873.html
繰り返しますが、私たちは無意識に相手の表情を読み取り、記憶と照合しながらその状況を評価しています。それは「ファイト・オア・フライト」のジャッジのためともいえるはず。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9815429.html
生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する
= 自らを深い変性意識状態にする
→ 相手と目を合わせる
→ 相手は変性意識化してしまう
…だから、自分自身が常にリラックスし続け(変性意識状態)、和やかな表情(和顔施)で、相手と目を合わせること(眼施)には、とても大きな意味があります。それは扁桃体に働きかけて、相手を人間らしくする(=前頭前野優位)ということです。
F-044:笑顔のままお亡くなりになった患者さんから学んだこと 前編:布施
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11142143.html
反対に、相手の怒りや悲しみの表情を見ることで自身の扁桃体が発火すると、情動(その多くは辛い系)を伴った記憶が増幅されながら引っ張り出され、大脳辺縁系優位になってしまいます。
その時の状態は、自律神経の働きでいうと「交感神経優位」、コーチングでいうと「コンフォートゾーン(Comfort Zone、CZ)から外れた状態」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html
そのような状態では、“ストレス”は高まるばかり。もちろん、IQは低下します。進化の過程に例えると、サルやゴリラレベルに一時的に退化してしまう感じです。だから…
自分自身が徹底的にリラックスし続け(変性意識状態)、和やかな表情(和顔施)で、相手と目を合わせ続ける(眼施)
相手がリラックスしている皆さんの表情から喜びや楽しさ、うれしさといった情動を読み取ると、扁桃体の発火は起こらず、穏やかな前頭前野優位の意識状態が伝わります。ホメオスタシスの同調性により。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
仮に相手が何らかのストレス状態にあったとしても、楽しそうな表情を見ることで「ファイト・オア・フライト」から脱しやすくなるはず。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8166400.html
医療や介護の現場には、「〇〇さんを見るだけで気分がよくなる」「〇〇さんといると、とても落ち着く」といわれるヒーラーが必要です。
Q-342:瞑想をすると思慮深い方向に向かってしまい… <前編;ヒーラーの視点で>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32449644.html
では、そんなヒーラーになるためにはどうすればいいのでしょう?
以下、苫米地博士の著書「一瞬で相手をオトす洗脳術」(マキノ出版、p21)より引用します。リラックスをさらに深め(=変性意識化=V↑)、和やかな自分の姿をしっかりイメージしながら(I)、ゆっくり読み進めてください。Feel!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html
心は伝播する
内部表現の書き換え、つまり一目ぼれは、「変性意識」のときに起こります。変性意識とは、臨場感を感じている世界が物理的な現実世界ではなく、映画や小説といった仮想世界にある状態を指します。
もちろん、現実世界の臨場感がまったくなくなるということはありません。現実世界よりも、仮想世界の臨場感がより強い状態のことです。
映画を見ているときや夢を見ているときなどがそうです。
催眠状態も変性意識のひとつの状態です。この意識の変性度の高い状態が、一般的にトランス状態といわれています。
内部表現は、物理的な現実世界だけでなく、仮想世界にも臨場感を強く感じます。
たとえば、映画でビルが爆破されるシーンを見たとき、ドキッとします。実際に生体レベルで心臓がドキッとする。また、小説の中の感動的な一節を読んでいると、本当に涙が流れてくる。
これらは変性意識にある状態だといえるでしょう。
こうした変性意識下でほかの人と同調すると、内部表現の情報は伝達します。
再度、映画を例に話していきましょう。
2次元のスクリーンに映る俳優たち。そのひとりである俳優が、役柄になりきって強い哀しみに打ちひしがれた演技をします。このとき俳優は、人生でもっとも哀しかった思い出を記憶から引っ張り出し、涙を流したとします。
すると、観客にもその哀しみが伝わり、俳優と同じように涙を流します。
-これこそが、同調です。哀しみという強い内部表現が、ひとりの俳優から、その映画を見た全世界の観客たちに伝わっていく。
内部表現はなぜ同調して伝達するのか、そのからくりは現代の科学では説明できません。
しかし、この事実は、名だたる演技理論のバックボーンとなり、たくさんの名優が実践しています。その演技理論とは、「メソッド演技法」といわれています。
19世紀、ロシアの演出家であるコンスタンチン・スタニスラフスキーが提唱し、20世紀の演劇論に大きな影響を与えた演技法に「スタニフラフスキー・システム」があります。
そのスタニスラフスキー・システムを、リー・ストラスバーグが「メソッド演技法」として体系化しました。リー・ストラスバーグは、世界を代表する演劇学校であるニューヨークに拠点を置くアクターズ・スタジオの創始者です。
アクターズ・スタジオは、ポール・ニューマン、ジェームズ・ディーンから、ジャック・ニコルソン、メリル・ストリープ、アンジェリーナ・ジョリーら、錚々たる名優たちを輩出し続けています。
演劇にかかわる者ならば、このメソッド演技法を知らない人はいないでしょう。メソッド演技法とは、シーンに合わせて、俳優が自分の実人生から最も強烈な記憶を引っ張り出してくる演技法です。つまり、強い内部表現を伝達するための方法なのです。
そうした俳優の演技を見て、私たちは泣いたり、笑ったり、怒ったりします。そうした感情の動きこそが、俳優たちの強い内部表現の現れが、あなたに伝達したという証なのです。
自分の記憶にリアルな臨場感を持たせると、観客も同じ臨場感を感じるということが「同調」です。
スタニスラフスキーは、それを「プラーナ」と呼びました。プラーナとは、東洋医学でいう「気」と同じだと考えればいいでしょう。
気は、物理エネルギーではありません。「気を送る」とは、「情報空間における書き換え」を意味します。
単純に相手と自分が臨場感空間を共有すると、なぜか自分の書き換えた内部表現が相手に伝わります。もちろん、正確に伝わるわけではないにせよ、かなりの部分が伝わります。
私はそのことを「ホメオスタシス(恒常性維持機能)の同調」と呼んでいます。物理的な情報だけでなく、情報的な情報も同調するのです。
引用終わり
自分の記憶にリアルな臨場感を持たせると、観客も同じ臨場感を感じる =気(プラーナ)
…それがヒーリングの秘訣。
Q-191:ヒーリングとコーチングの関係がよくわかりません
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25482691.html
相手を自然に笑顔にする「和顔施」や「眼施」は、自分自身が心から笑顔でいられるからできます。心から笑顔でいられるのは、もちろんhappyだから。
そして、いつもhappyなのは…
(L-151につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html
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クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
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