L-149202111月医療系研修会 -04;生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する方法

 

202111月に認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御意見・御質問に回答いたします。

 

 01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33693497.html

 02;人の特性はBSで決まる=人はさまざまな幻想に支配されている

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33708684.html

 03;「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ための鍵

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33745283.html

 04;生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する方法

 

 

 人は、洗脳による支配から自由になったとき、初めて自分の本当の意思に基づいて未来を選択できるようになる

 そのためには、思考の抽象度を高め物事をより俯瞰して眺めること、スコトーマをずらし見える世界を変えることなどが必要

 

 前頭前野のブリーフシステム(Belief SystemBS)同士の矛盾を解決し、心の内の深い葛藤を解消するためには、抽象度を高めることが必須です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 ところが、恐怖や不安が強いと、そもそも抽象度を高めることができません。大脳辺縁系優位の「ファイト・オア・フライト」とは、抽象度が下がる(あえて下げる)遺伝子レベルの反応です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 よって、恐怖や不安への対処が重要といえます。健康な人にとってももちろん、認知症の方(&サポーター)にはなおさら、恐怖と不安のマネジメントが求められます。

 

 

 その鍵が「変性意識」。

変性意識(Altered State of ConsciousnessASC)とは、「目の前の現状よりも現状とは異なるイメージに強い臨場感を感じている状態」のこと。苫米地博士は全ての変性意識生成方法を統一的に説明されています。それが「Rゆらぎ」です。

 L-11420219月シークレット… -02;夢=w1=高次の抽象度空間にひろがる縁起

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32099568.html

 

 通常、抽象度が上がると、臨場感は下がります。具体的な情報量が減っていくからです。抽象度が上がるほど、文字どおり“抽象的”になっていきます。

 Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html

 

 ところが、「Rゆらぎ」を利用すれば、「抽象度を上げる際に同時に臨場感を上げていく」ことが可能になります。その秘訣が「呼吸」。詳しくはこちらでどうぞ↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23645730.html

 

呼吸を用いてRをゆらがせながらゴール側の世界(w1Imagination)の臨場感を高め続けると(Vividness)、やがてイメージが現実になっていきます(Reality)。「invent on the way」しながら。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 つまり、ゴール(未来)にふさわしい変性意識を維持するから、「希望を持ち続ける」「決して諦めない」というハビット&アティテュードが自然にあらわれ、「ゴール側の世界(w1)」が現実化していく ということ。

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 そのときの“変性意識”は「ゴールに向かう(戻る)ホメオスタシス・フィードバック」といえるはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 それでは、変性意識の活用法について確認しましょう。

 以下、苫米地博士の著書「洗脳護身術」(三才ブックス、開拓社より再版、p103)より引用します。

 

 

目を合わせるだけのマインドエンジニアリング

 カタレプシーを巧みに利用する術は、慣れてくれば数秒で相手を変性意識化させられる。しかし、これには相手に触れなければならないという限界がある。そこでここでは、目を合わせただけで相手を変性意識化させる高等テクニックを紹介しよう。

 この方法は、生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用すればいい。自らを深い変性意識状態にしたうえで、相手と目を合わせるのである。そうすると相手は変性意識化してしまう。気功の世界などでは、この方法は古くから知られており、目から気が出ているからと考えられている。実際には、何らかの視覚情報が相手に伝わるからであると推測されるが、何度も練習をしてコツを掴むと、相手の目を見ただけで、相手を変性意識化できるようになる。

 方法論として、まずは通常の状態で相手と向き合い、相手の目と目の間を凝視する。ここで注意するのは、決して相手の目そのものを見てはいけないということ。相手の目に焦点を当てると、左右両方の目に視線が行ったりきたりして不安定になり、ホメオスタシスの同調を引き起こせない。しかも、相手が自分より技量の高い術者だと、逆にこちらが洗脳されるおそれがある。凝視するのは必ず相手の目と目の間だけだ。そうすれば、相手側は自分の目を正視されているように感じるだろう。また、視線を定めるときは決して怖い顔をしてはいけない。柔和な顔で、軽く微笑むくらいがいいだろう。

 このテクニックは、皆さんの通常の交渉にも十分活用できる。相手の目を見て話すのはコミュニケーションの基本だが、この方法を用いるとより効果的なアイコンタクトとなる。

 さて、問題はここからだ。相手の目と目の間を注視しながら、逆腹式呼吸を使って自らを深く変性意識化させる。練習がしっかりとできている人は、過去の変性意識状態を思い出すだけで、自らを変性意識化できるはずである。そして相手を見ながらも焦点は、ずっと遠い先を見つめる感じにする。すると相手は、自分の心の中を見透かされているような、不思議な気分になるだろう。そして自然に変性意識状態に陥るのである。

 これは精神世界の柔術のようなものだ。人間の身体のつくりを力学的に利用して相手を投げ飛ばすように、人間の心のつくりを気学的に利用して投げ飛ばす洗脳技術なのである。

 引用終わり

 

 

 生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する

 = 自らを深い変性意識状態にする

→ 相手と目を合わせる

→ 相手は変性意識化してしまう

 

 博士が開示されたこの奥義は、恐怖と不安のマネジメントにも活用できます。

 

 これまで取り上げてきた「ファイト・オア・フライト」は、人間らしい前頭前野(理性)よりも、動物的な大脳辺縁系(情動)の方が優位になる状態です。

 大脳辺縁系は大脳の古い部分で、魚類や両生類といった進化の古い段階にもみられます。その大脳辺縁系の一部に扁桃体(へんとうたい)という部分があります。

扁桃体の役割は、「海馬と連携して記憶を司る」ことと「海馬に働きかけ、出し入れする記憶の増幅や減弱を行う」こと。後者は「評価関数」としての働き。そう、“自我”の機能のひとつです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

短期記憶の貯蔵庫である海馬は、長期記憶の貯蔵庫である側頭葉との記憶の出し入れをするゲートの役割を果たしています。その記憶により、前頭前野に認識のパターンができあがっていきます。それがブリーフシステム(BS)です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 

脳の仕組みと記憶の仕組み(「イやな気持ち」を消す技術)

「イヤな気持ちを消す技術」(フォレスト出版、p33)より引用

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 記憶により、前頭前野に認識のパターンができあがる

 

 ここで問題が生じます。人間は“失敗”を記憶するようにできているから(失敗駆動型)。

つまり、前頭前野にできあがった認識のパターン=BS=自己イメージは、“失敗”により作られているということ。

PM-06-01:過去の“失敗”をもとに問題を解決する方法

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13397552.html

 

 さらにいうと、その前頭前野にできあがった認識のパターン=BS=自己イメージは、目の前の世界そのものでもあります。

“自我”のもうひとつの機能は「部分関数」。それからわかるのは「“自我”はあらゆる関係の結び目である」ということです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

つまり、関係が変われば、自分が変わり、目の前の世界も変わっていく

 

その「自分」と「世界」は“失敗”の記憶から成っています。だから、私たちはイヤな気持ちに囚われてしまうのです。

 Q-235:「財布を娘に盗られた」といったvol.6:記憶が織りなす「一人一宇宙」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27981625.html

 

だからこそ、「生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する方法」は、とてもとても重要であるといえます。

 

L-150につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ      

苫米地式認定マスターヒーラー      

 CoacH T(タケハラクニオ)     

 

 

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2023年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓

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 次回の開催は2024428日(日)の予定です(←再変更しました)。1ヶ月前に告知を行います。お楽しみに。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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