F-334:分断緩和のための処方箋 vol.5;「ワークライフバランス」の落とし穴 <plan-side>
対立を克服し補完しあうためには「ゲシュタルトの統合」が欠かせません。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html
統合することで対立する(ように思える)概念を“同じ”とみられるからこそ、各概念(ゲシュタルト)を補完しあうことができるようになります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html
その補完により“苦しみ”を克服することができます。理解が深まるから…
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html
vol.1;サーフィンvsウインドサーフィン
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33414117.html
vol.2;本当は今までずっと苦しかった
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33464142.html
vol.3;「未来のビジョンによる引力の極大化」と「過去からの引力の最小化」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33515591.html
vol.4;「ワークライフバランス」の落とし穴
<case-side>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33566734.html
vol.5;「ワークライフバランス」の落とし穴 <plan-side>
「ワークライフバランス」という言葉は、「『ワーク』の対立概念として『ライフ』があり、その二つは相容れない(だからバランスをとる必要がある)」といっているようなもの。その「視点の固定」は、vol.1(F-330)で確認したように、差別と偏見を生みだします。
PMⅠ-06-13:仮説08)はびこる差別意識
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html
仕事の目的は「機能」や「価値」であり、決してお金ではありません。
お金は、資本主義を選択した社会における「機能」や「価値」を交換・貯蔵するための道具にすぎません。
仕事の意味は、稼いだお金の中にあるのではなく、果たした機能や価値そのものにあります。
F-027~:プロとアマの違い
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_268331.html
例えば、Aさんの収入がBさんの収入の2倍だからといって、Aさんの「果たした機能」や「生みだした価値」がBさんの「果たした機能」や「生みだした価値」の2倍といえるでしょうか?
今、違和感を感じなかった方は、“お金というモノサシ”(I)に強い臨場感を感じているはず(V)。そのモノサシは、差別と偏見を助長するだけでなく、無間地獄という現実(R)を生みだします。
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以下、苫米地博士の著書「オーセンティック・コーチング
~本物のコーチング~」(CYZO、p20)より引用します。
お金をゴールにすると無間地獄が待っている
しかし、それでいいのでしょうか?
彼らが言うゴールとは「金持ちになる」以外にありません。確かにお金を得ることは悪いことではないでしょう。「金をたくさん稼いだ自分は凄い」という満足感も得られるはずです。
しかし、彼らがそれで豊かな暮らしをしているのかというと決してそういうふうには見えないのです。もちろん、金銭的には豊かです。いくらでも物欲を満たすことはできるでしょう。
ところが、それで人は満足しないのです。
その証拠に世界の富豪たちの行動を見てください。彼らはすでに何十兆円もの資産を持っています。それどころか、通貨発行権すら手に入れている富豪までいます。しかし、それでも満足しているようには見えません。
金で満足したら、次は名誉というのであればまだ話はわかりますが、あれだけお金を持っているのに、まだお金が欲しいようなのです。
その理由は彼らが強欲だからでしょうか? 一般的には、強欲が理由だと言われますが、本質的には違います。
人はもともと欲しがるようにできているのです。
人の満足感とは、欲しいものを手に入れたらそれで終わりというものではありません。例えば、「欲しかったあの服を買ったらもう服はいらない」とは決して言わないはずです。服を手に入れたら、それに似合うバッグや靴が欲しくなります。新しいバッグや靴を手に入れたら、それに似合う服がまた欲しくなります。欲望に際限はありません。
これはお金も同様で、いくら大量に手に入れても、これで満足ということにはならないのです。一般の人から見れば、「それだけお金があれば、もう満足でしょう」と思うほどのお金持ちになっても金銭欲は収まりません。
なぜ、お金持ちたちは満足できないのでしょうか?
実は、これは強欲ではなく、限定合理性という、人ならば誰もが持つ習性なのです。
この限定合理性を提唱したのはノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者のダニエル・カーネマンです。彼は「我々の満足感は資産の量ではなく、資産の変化にある」と指摘しています。人はお金に限らず、自分の資産が「増える」と嬉しくて「減る」と不快になる生き物だったのです。
お金持ちたちは強欲ではなく、資産の変化に興味があり、生き物としての摂理に忠実に従っているだけだったのです。
ですから、人がお金をゴールにした瞬間、永遠に満足することのない無間地獄にハマり込むのです。
それを避けるため、お金持ちたちは、お金のゴールではなく、社会貢献のゴールに重きを置くようになります。多くの大富豪がチャリティや社会問題に取り組もうとするのは、そういう意味もあるのです。
ただし、お金のゴールはそう簡単に捨て去ることはできません。いくらチャリティや基金、社会問題に取り組んでも、気づけば金銭を発生させることが目的となってしまったり、歪んだ正義を振りかざしたりするようになってしまいます。
ビル・ゲイツ氏やジョージ・ソロス氏ら大富豪が慈善事業や財団を作っていますが、活動の詳細を見ていくと、本当に世界のための行動になっているのか、怪しく感じられるものもあります。少なくとも彼らが社会貢献をしようとすると、残念ながら歪んだ形になることが多いのです。
結局、利潤やお金をゴールから外せない人たちが何かをすると必ず社会が歪むということです。
引用終わり
利潤やお金をゴールから外せない人たちが何かをすると必ず社会が歪む
…現在の社会の歪みの原因(case)は、ゴール設定のミスだといえます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
その1つのあらわれが「ワークライフバランス」という概念(ゲシュタルト)。
「対価としてお金を得る『ワーク』、それ以外の『ライフ』」といった社会的洗脳が、私たちを苦しめ続けています。
お金の重要度が増すほど、「ワーク」ばかりか、「ライフ」そのものが苦しくなります。すべてが「have to」に変わってしまうから。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html
「限定合理性という、人ならば誰もが持つ習性」の根底にあるのは“恐怖”。お金がなくなることへの恐怖です。恐怖に支配されてしまうと、IQが下がり、心身はこわばり、ますます本来の能力を発揮することができなくなります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html
だから、まずは恐怖をコントロールすることが重要。その第一歩は「自分の中にある恐怖に気づくこと」です。
F-321:観自在 <実践編-1;モニタリング>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32969294.html
「気がついていないだけで、じつは恐怖によってコントロールされている」というケースは少なくありません。例えば「給料のいい仕事を選ぶ」という場合、「お金を得る喜び」の裏には「お金がないことへの恐怖」が隠れています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html
埋め込まれた恐怖(洗脳)に気づき、「自分でコントロールする」と決意する
…それがコーチングのはじめに行うべきことです。
F-217~:不安と不満のはざまで苦しんでいる君へ
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_416096.html
コーチングのコアは「ゴール」と「ゴールの設定」。
L-069:2020年11月シークレットレクチャー -04;ゴールこそがコーチングのすべて
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29018262.html
「ゴールを設定し、そのゴールを達成する確信度を高めていく」ことが、コーチングの具体的な中身です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html
ゴールのポイントは、1)現状の外、2)心から望むもの、3)人生のあらゆる領域に設定(バランスホイール)+4)自分中心を捨て去る。
…最近、私はますます「バランスホイール」の重要性を感じています。詳しくはこちら↓
Q-362~:各エリアのゴールについて想いを馳せている状態というのは…?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_428110.html
今回のテーマでいうと、「仕事」と「お金(ファイナンス)」のカテゴリをしっかり切り分けることが重要です。その上で、人生のその他の領域(「趣味」「健康」「家族」「社会への貢献」「生涯学習」…)も含め、しっかりゴールを設定していきます。
Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html
バランスホイールを俯瞰しているような意識状態を維持していると、必ずバランスがとれるようになっていきます。なぜでしょう?
…そう、抽象度が上がっていくからです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
その時の体感は、「ワークライフバランス」ではなく、“ライフワークバランス”。
「ワーク」と「ライフ」が対立概念である限り、決して幸福を得ることはできません。人生において、何かひとつのこと(例えば「仕事」など)で永続する幸福を得ることは不可能です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html
仕事があれば家庭があり、家庭があれば地域コミュニティーがあり、もちろん自身の精神性や健康もあります。「余暇をこう過ごしたい」という個人的な思いや「老後はこうなりたい」「未来の世界はこうなっていてほしい」という時空を超えた思いも幸福に大いに関係します。そうですよね?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html
人生のいろいろな方向性に対し、それぞれのゴールを設定する。そして、そのすべてを包摂したセルフイメージの世界を“人生のゴール”としてつくり上げる。その抽象度の高い“人生のゴール”に向かうのが“ライフワーク”です。
L-135:2021年11月シークレットレクチャー -04;「囚」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33051194.html
“ライフワーク”というひとつの抽象度の高い次元に、人生(縁起宇宙)のあらゆる要素がバランスよく含まれている
…その状態が“ライフワークバランス(lifework balance)”であり、「ワークライフバランス(work-life balance)」に代わる“幸福(well-being)”の秘訣だと思っています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
(F-335につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
今回の“ライフワークバランス”は、かつて病院長を務めていた頃に思いつきました。もう10年以上も前のことです。
I-017:ブログ更新予定…
~「恐れはダークサイドに通じる」を克服するために~
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11594310.html
当時は「ワークライフバランス(work-life balance)」に否定的な見解は見当たりませんでしたが、現在は「ワークライフインテグレーション(work-life integration)」や「ワークインライフ(work in life)」といった新たな概念が生まれています。
かつての私が主張していた“ライフワークバランス”も含め、それらの新しい概念にも限界が感じられます。今の私には。
次回は「分断緩和のための処方箋」の最終話。
分断とは何か? 処方箋とは?
…そのような問いに対する解を、コーチ兼医師の立場で書き綴ります。
-告知1-
2023年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html
次回の開催は2024年4月28日(日)の予定です(←再変更しました)。1ヶ月前に告知を行います。お楽しみに。
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
-関連記事-
PMⅠ-04-17:スコトーマ① 日本の医療は誰のため? 何のため?
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F-163~:アンチ(anti)からウィズ(with)、そしてウェル(well)へ
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F-176~:“幸福(well-being)”とは?
~「anti→with→well」partⅡ
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408326.html
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