F-331:分断緩和のための処方箋 vol.2;本当は今までずっと苦しかった
私が思う心労のコアは“理不尽感”。
S-04-07:心に深い傷を負う理由-2
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コーチの視点で見渡すと、医療・介護現場は“理不尽”だらけです。その原因は一体どこにあるのでしょう?
vol.1;サーフィンvsウインドサーフィン
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vol.2;本当は今までずっと苦しかった
私は今も医師として“命”と向き合っています。
現在の機能(役割)は「人生の最終段階(End of Life Stage)」のサポート。必然的に“命の終わり”である死の迎え方について、御家族と話をする機会があります。
L-027~30:2020年3月シークレット… -05~8;75歳以上では延命治療は不要?
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90代の母親の延命治療について、その娘さんに確認したときの話です。
詳しい説明をする前から、娘さんは「延命治療は望みません」と強く意思表示されていました。それは前頭前野背外側部での論理的な判断なのでしょう。ちょっとクールな印象を受けました。
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多くの人は「ムリはしない」「自然な形で…」と心に決めていても、死にゆく親の姿を見ると動揺してしまうもの。その場合、前頭前野よりも“動物的な大脳辺縁系”の方が優位になりがちです。その状態を「Fight or Flight」と呼びます。
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だから私は、ひととおりの説明を行いました。いつものように。
すると、クールだった娘さんがだんだん落ち着きのない様子に変わっていきました。ため込んでいた感情が一気にあふれ出しているような感じです。
Q-326~7:最近「記憶が抜ける」ような… <vol.1~2;感情が起こるメカニズム>
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きっと死を臨場感豊かに感じてしまったのでしょう。母親の死のイメージが娘さんの心の中で現実化したに違いありません。
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情動が論理を覆い隠す場合、私は抽象度を上げることを心がけます。そのために意識的に用いるのが「文脈情報」。それは「関連する知的情報」のことです。
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このケースでは「医学的判断」「本人の意向」「まわりの状況」「QOL(本音はQOD)」という4つのゲシュタルト(臨床倫理4分割法)についてお話しました。
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そして、「生老病死=人生」という視点でそれら4つのゲシュタルトを統合していくように導きました。すると、娘さんは冷静さを取り戻していきました。
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理解が深まったから。
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その時の表情はもはやクールではなく、柔らかくあたたかい感じでした。そして、こんな言葉をつぶやかれました。
本当は今までずっと苦しかった
…娘さんの心の中で、一体何が起こったのでしょう?
以下、苫米地博士の著書「40歳から『差がつく』生き方」(PHP研究所)から引用します。今回は2回に分けて。まずはこちらから(p97)。
自分を縛りつけている「ブリーフシステム」をぶち破る
ゴールを見つけるには、自分の殻を破らなければいけない。コーチングでは、自分を縛っているものを「ブリーフシステム(信念のシステム)」と言う。
「自分を縛っているものは何か?」ということを突きつめていくと、実は、自分を縛っているのは、親でも学校でも会社でもないことがわかる。「親の言うとおりにしなければいけない」とか、「学校の規則に縛られている」と自分が思っているだけであって、本当は「自分のブリーフシステム」に自分が縛られているのである。
つまり、自分が自分を縛っているということだ。
自分の頭の中の話だから、ブリーフシステムを破ることは、それほど難しいことではない。やれば誰でもできる。
成人になると、親から「こうしなさい」「これはしちゃダメだ」と言われても、親の考えを受け入れるかどうか自分で決めることができる。親の考えを受け入れたのは、自分自身だ。
会社に入ると会社の常識を教え込まれるが、受け入れることもできるし、拒否することもできる。受け入れたのは自分自身だ。
外部から入ってくる情報は、最初は自分自身のものではないが、受け入れた時点で自分のものになり、それによって自我がつくられていく。結局、今の自我をつくったのは、誰でもない、自分である。
「会社の利益のためになることをするのが一番いいことだ」「常識から外れないことが大事だ」という情報を受け入れて、今日まで過ごしてきたのも自分自身だ。一度、それらのすべてをご破算にして、本当にその情報を受け入れていいのか考えてみる。それがゴールを見つけるのに必要な作業だ。
引用終わり
本当は「自分のブリーフシステム」に自分が縛られている
…ブリーフシステム(Belief
System、BS)とは、「人の行動や行動性向といわれる無意識の行動を決めるシステム」のこと。「強い情動を伴った体験の記憶」と「抽象化された情報の記憶」でつくられます。
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BSは強く信じる固定的な考え方であり、心の中にできあがった価値観ともいえます。外部から入ってくる情報は、受け入れた時点で自分のものになり、やがて自我となっていきます。
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BSと同じようなシステムは、個人レベルだけでなく、組織レベルや社会レベルでもみられます。その一例が「常識」や「慣習」といった目に見えないプレッシャーです。
F-241:トレーニングは「昨日の自分を超えていく自己確認」
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医療でいうと、より救命に特化する(=重要度が上がる)ほど、「生かし続ける」方向にプレッシャーがかかります。「助けられるかもしれないのに何もしないなんてありえない」という感じで。
F-061~:バイオパワー(生権力)
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先ほどの娘さんは、じつは、医療従事者でした。母本人の意向もあり、家族間では「延命治療はしない」ことを共有していたそう。そして、家族の代表者として、今までそう話し続けてきました。
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でも、医療機関や介護施設で「延命治療は不要」と話すたびに、とても苦しかったそうです。「『冷たい娘だと思われているだろうな』と思い悩んできた」と教えてくださいました。
「本人の思いどおりにしてあげたい」というピュアなwant toが、「死んで欲しくない」という情動と「延命治療を行うべき」という医療業界の“常識”によって、have toに変質していったのでしょう。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html
それは「不安・恐怖(Fear)」「義務感(Obligation)」「罪悪感(Guilty)」に起因する臨場感空間の書き換えといえるはず。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13523715.html
もっとハッキリいうと「社会的洗脳」です。
F-181:“幸福(well-being)”とは? -6;「常識」という洗脳からの解放
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25428736.html
では、社会的洗脳状態から脱するために、私たちは何を心がけるべきなのでしょう?
再び「40歳から『差がつく』生き方」(p113)より引用します。キーワードは「Not Normal」です。Feel!
「ノット・ノーマル」な生活で、ブリーフシステムを破る
言い換えれば、「現状」というのは、自分のブリーフシステムの範囲内で行動を続けることである。
ブリーフシステムとは、先ほど説明したようにコーチングの用語で、自分の頭の中にある「自分の行動を縛っている枠組み」「自分を縛っている信念のシステム」のことを言う。つまり、「『かくあるべし』という自分自身のブリーフシステムを維持したままで起きる可能性のあることは、すべて『現状』である」ということである。たとえ確率が低かろうと、社長になることは「現状」なのだ。
逆に言うと、会社に残っても「現状の外側」に行くことはできる。自分のブリーフシステムを変えて「枠」を飛び出し、今の会社を思いっきり変革するという方法もある。
「現状の外側」というのは、国家で言えば法律の外側ということである。法律を変えないと外側には枠を広げられない。
個人の場合は、ブリーフシステムを変えないと、現状の外側に枠を広げていくことができない。
ブリーフシステムの枠組みをつくっている情報の出所は、すべて他人である。親から聞いたこと、学校の先生から聞いたこと、上司から聞いたこと、あるいは本で読んだことが、情報として自分の中に入ってくる。
100%外部からの情報だが、それを自分が受け入れて、脳の前頭前野でパターン化してしまう。ブリーフシステムが自分の頭の中の法律になり、「こう生きるべきだ」「こう行動するべきだ」という「信念の体系」がつくりあげられていくのだ。
この「信念の体系」ができあがってしまうと、自分自身が求める本当のゴールが隠されてしまい、見えなくなってしまうことが多い。これがスコトーマ(心理的盲点)だ。スコトーマとは、「いつも、何回も見ているのに、見えていないもの」「自分は見ている気になっているのに、見えていないもの」のことである。自分の頭の中で「かくあるべし」と強烈に思ってしまっているために、「見ているのに、見えていない」状態になってしまうのである。
先ほど挙げた私の会社員生活の例で言えば、もし「タイムカードは、何が何でも押すべきものだ。そんなこともできないなんて、会社人として恥ずかしい」と信じ込んでいるとすれば、タイムカードを押さなくていい理由など見えなくなるはずである。
「ノット・ノーマル」な生活をしてみると、ブリーフシステムという自分の枠が、自ずと少しずつ破れてくる。そうすると、その外側にあるものがチラチラと見えてくる。外側に見える楽しそうなものを、とりあえずのゴールにして、自分の頭の中でシミュレーションしてみる。もし、そのゴールを達成したときに自分が心の底から、本当に嬉しくなれそうなら、それを暫定的な「ゴール」として設定すればいいのである。
引用終わり
自分のブリーフシステムを変えて「枠」を飛び出す
…そのためにコーチングがあります。コーチングを実践し「枠」を飛び出した者の生き方が「Not Normal」。コーチングこそが社会的洗脳状態から人を解き放つ“希望”です。
F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!
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(F-332につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-告知1-
今年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓
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次回の開催は3/31(日)の予定です(←3/24から変更しました)。1ヶ月前に告知を行います。お楽しみに。
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クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
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-関連記事-
F-176~:“幸福(well-being)”とは?
~「anti→with→well」partⅡ
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408326.html
F-216:激烈な腹痛の最中に得たインスピレーション -真夜中に、一人きりで-
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L-127:2021年11月医療・介護研修(医療法人、鹿児島県)レポート -08;「苫米地式コーチング」にとって最も大切なポイント
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32797793.html
Q-073~:180804医療講演会レポート
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_318161.html
Q-243:続・気楽に生きたいのですが…
~「気楽に生きる」ということ~
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418403.html
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