L-140202111月小学校親子講演会(鹿児島県)-03;子どもたちに一番伝えたかったこと

 

202111月に鹿児島県の小学校で親子向けの講演を行いました。依頼されたテーマは「コーディネーション」。

当日お話しした内容をブログ用にまとめ、御質問・御意見に回答いたします。

 (関係者の皆さま方、大変長らくお待たせいたしました)

 

 01;最高のコーディネーショントレーニング

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33283301.html

 02;生まれてからずっと続けている運動?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33297928.html

 03;子どもたちに一番伝えたかったこと

 

 

ちょっとカタいのですが、講演タイトルは「コーチング理論による“運動”の考察と体感」にしました。保護者や若い先生方には真剣に“考察”していただきながら、子どもたちには楽しく“体感”してもらうイメージで準備しました。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 最初に紹介したコーチング用語は「スコトーマ(scotoma)」。簡単にまとめると、

・もともとは「盲点」を意味する医学用語(マリオット盲点)

・コーチングの祖 ルー・タイスさんにより「心理的盲点」として拡張

・目の前のものはすべて見えていると思いがち。しかし、実際はしっかりとは見えておらず、情報はザルで水をすくように抜け落ちている

・例えば、1秒間に認識する情報量は40ビット。一方で、五感から入力される情報量は数百万ビット。つまり、40/000000ビット=1/100000だけを認識

 

当日は、スコトーマとそれが外れる感覚を実感していただくために、たくさん仕込みました。体感がとても大事だからです。

(眼科的「盲点」を未体験の方はこちらをどうぞ↓)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 そんなスコトーマが生じる/外れるポイントは3つあります。すぐに思い浮かびますか? 思い浮かぶ方は「スコトーマ」に関するゲシュタルトができています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 

 それはとても大切なことなのですが、一方でとても危険なことでもあります。なぜでしょうか?

 

 以下、苫米地博士の著書「人間は『心が折れる』からこそ価値がある 人工知能時代に成功する人の考え方」(PHP研究所、p84)より引用します。「大切かつ危険」を感じてください。Feel

 

 

人間は「心が折れる」からこそ価値がある

Kindle版はこちら↓

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様々な記憶や知識が統合された「スキーマ」があることで、私たちは物事を認知できるようになる

 認知科学者たちが必死になって認知のしくみを解明しようとしてきたにもかかわらず、人間の認知はいまだに解明できていません。それだけ認知のしくみは奥が深いということであり、人間は「きわめて高度な知能」を持っているということです。

 それを知っていただくために、科学者たちの研究の苦闘の歴史を少し振り返ってみます。

 認知科学ができる前から、心理学には「スキーマ」という考え方がありました。様々な記憶や知識が統合された“まとまり”のようなものです。

 「スキーマ」があることによって、私たちは物事をうまく認知できるようになります。逆に、「スキーマ」があることで見えなくなる盲点(スコトーマ)もあります。

 「スキーマ」とはどういうものかを実感していただくために、スキーマについての有名な実験を見てみます。これは1973年に心理学者のブランスフォードとジョンソンによって行われた実験の例です。まず、次の文章を読んで何について書かれたものかを考えてみてください。

 

 < その手順は実際、単純である。まず、ものをいくつかの異なるグループに分ける。もちろん、ひとまとめでも十分だが、それはものの量による。

 もし設備がないため、どこかよそに行かなければならない場合には、それが次の段階となる。そうでない場合は、準備はかなりよく整ったことになる。

 重要なことはやりすぎないことである。一度にするのは多すぎるよりも少なすぎるほうがよい。目先だけではこれが重要に見えないかもしれないが、混乱は簡単に起こりやすいのだ。そのうえ失敗は高価なものにつきやすい。

 最初、その手順の全体は複雑に思えるだろう。しかし、すぐにそれは生活のほんの一面になるであろう。近い将来、この仕事の必要性が終わると予測するのは難しいが、誰も何ともいえない。

 その手順が完了したあとで、ものを再びいくつかの異なったグループに分けて整理する。次にそれらはそれぞれに適した場所にしまわれる。

 結局、それらはまた使用され、その全体のサイクルは繰り返される。とにかくも、それは生活の一部なのである >

 

 文章を読んでも、すっきりと意味がわからなかったのではないでしょうか。ブランスフォードとジョンソンの実験でも、題名を知らされなかったグループの人は、ほとんど内容を理解できなかったようです。

 この文章の題名は「洗濯」です。

 「洗濯」という題名の文章だと思って、もう一度読んでみてください。今度は意味を理解できるのではないかと思います。

 意味が理解できたかできなかったかの違いは、「洗濯」という題名のスキーマを持っていたかどうかです。スキーマを持っていれば理解できますが、スキーマがないと理解しにくくなります。人間の認知の特徴の一つです。

 もう一つ別の例を見てみましょう。外国人記者クラブでささやかれているジョークだそうです。

 

 < テレビレポーターが三人のビジネスマンに聞きました。

 「BSEなどで牛肉不足が心配されていますが、ご意見は?」

 牛肉を食べていないインド人は「なぜ牛肉不足が心配なのですか」と聞き返した。

 肉があり余っているアメリカ人は「不足って何ですか」と聞き返した。

 日本のビジネスマンは「意見って何ですか」と聞き返した >

 

 「牛肉」「不足」「意見」をそれぞれスキーマと考えてもらっていいでしょう。ジョークですから大げさにいっていますが、インド人の頭の中には「牛肉」というスキーマがないために牛肉不足の問題点を理解できません。アメリカ人には「不足」というスキーマがないために「不足」がわかりません。そして、日本人は、意見をいう習慣があまりないため「意見」というスキーマがない……ということになります。

 引用終わり

 

 

 ゲシュタルト(引用文中の「スキーマ」と同義)ができることはとても大切だが、一方でとても危険

 

 その理由は、「ゲシュタルトができていることで意味を理解できるが、そのゲシュタルト(≒『すでに知っている』という思い込み)により新たなスコトーマが生じてしまう」から。

 L-01020201月シークレットレクチャー -10;記憶でつくられる「思い込み」が自由を奪う

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24808708.html

 

過去の何らかの体験または情報の記憶が、私たちの心の中に「思い込み」を形成します。そして、その思い込みがスコトーマを生みだし、自由や無限の可能性、“本当の力”といったものを隠してしまいます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

しかも、人の場合、「思い込み」を生みだす記憶とは“失敗”です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13397552.html

 

情動を伴った辛い記憶が自らを縛りつけてしまい、さらに縁起のつながりの中でお互いを縛りあってしまいます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 それが「生権力(bio-power)」の正体であるはず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_292569.html

 

 苫米地博士は、著書「すごい私になれる魔法の名言」(主婦と生活社、p170)の中で、ルー・タイスさんの言葉を下記のように言い換えていらっしゃいます。

 

 

人間の限界はイマジネーションの限界がつくる

イマジネーションによって人は限界を作り、それを壊すことで新しい世界を獲得していく

 

 

 その「限界を壊す」ことはゴール設定からはじまります。

1)現状の外にある、2)心から望むゴールを、3)人生のあらゆる領域(バランスホイール)に設定することで「限界を壊す」ことができ、さらに 4)自分中心を捨て去りながら更新(再設定)することで「限界を超える」ことができます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 ゴールによりスコトーマが外れます。スコトーマを生みだす/外すポイントは、1)知識、2)重要性、3)役割 の3つですが、そのすべてにゴールが大きく関係しているから。

 F-034~:「何もないところからレンブラントを発見」は正しい?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_268332.html

 

 だから「Goal comes first」。

 Q-219:ゴールに対するスケジュールはたてますか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_415812.html

 

 その事実が「子どもたちに一番伝えたかったこと」です。

 

L-141につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

それが「生権力(bio-power)」の正体であるはず

 

 人間は、「生権力(bio-power)」によって、自分で自分を縛っています。それは、いわば「良心」。その良心の出所は

 (つづきはこちらでどうぞ↓)

 F-208:マトリックス/Matrix -03Revolutions;脳の呪縛を解き放つ>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27063566.html

 

 

-告知1

今年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html

 

 次回の開催は2/4(日)。詳しくはこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33220775.html

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

-関連記事-

F-010:先にゴールがあり、その結果として健康になる

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L-09720217月シークレットレクチャー -09;ブリーフシステムを壊し、スコトーマを外すための方法

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Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました

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すごい私になれる魔法の名言