F-327:お大事に <前編;人と人のコミュニケーションの原点>

 

 私は人生の半分以上を医師として生きています。その間にすっかり習慣化してしまったのが、「お大事に」という声かけ。とくに意識はしていないのですが、診察の終わりについ「お大事に」と言ってしまいます。

 L-09620217… -08BSとハビット&アティテュードと抽象度の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30652206.html

 

 医療・介護の現場では相手もとくに違和感はない様子なのですが、医療現場以外で「お大事に」と言うと驚かれることが少なくありません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 ちょっと前のことですが、別れ際の「お大事に」で相手がフリーズしてしまいました。相手の立場でいうと「フレームの中断」です。

 F-114:情報が書き換わると現実が変わる vol.5;「幸せなら手を叩こう♪」(ワーク付き)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20477749.html

 

  私:……。では、また。お大事に。

  相手:えっ(フリーズ)、私が“ワクチン”を3回も打ったからですか? どうしたらいいですか?

  こんな感じ。

 

 補足しますが、その時“ワクチン”や病気の話は一切していません。なので、急にフレームが切り替わり、私自身も驚きました。

 (その後話したことを元にブログ化したのがこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32776714.html

 

 そんなやり取りの間に、買い物中の妻からメールが届きました。写真付きでw

 

  妻:今〇〇にいます。△△買っとこうか?(商品棚の写真)

 

 △△は私の趣味のゴールの話。妻はまったく興味がないのですが(よく「違いがわからない」とつぶやいています)、発売日に買いに行けない私のためにわざわざ立ち寄ってくれたようです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 その時、心に浮かんだのが「お大事に」という言葉。

 L-07920213月シークレットレクチャー -02;内省言語を発生させる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30021884.html

 

 そんな内省言語体験を縁に、「お大事に」について考えてみました。2回に分けてまとめます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 前編;人と人のコミュニケーションの原点

 

 

 「お大事に」を英語で言うなら「take careof yourself)」。「care」の対象は物理空間だけではないはずですが、実際は身体のことを思いがちです。ましてや内科医に言われたなら、意識は物理空間に向いてしまうでしょう。内科医=physicianですし。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 会話の相手のように身体に不安を抱えていたらなおさらです。理由は主に2つあります。1つは「身体の重要度が上がっている」というRASの話。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

もう1つは「不安でIQが下がっている」という脳の状態。そう、大脳辺縁系優位の「Fight or Flight」のことです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 意識が物理空間に囚われ、しかも大脳辺縁系優位になっているとき、思考の抽象度は確実に下がっています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 すると、まわりをしっかり観察し理解することは難しくなり、相手の立場での認識・判断や共感はできなくなります。だから、表情や話し方から私の意図を読み取れず、「警告された →気をつけなきゃ →どうしよう!?」といった内省言語が生まれてしまったのでしょう。

(残念ながら、私も相手の心を読み取れていませんでした。その“心”の対処はこちら↓)

 F-217~:不安と不満のはざまで苦しんでいる君へ

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_416096.html

 

 結果、「お大事に」という言葉が、不安・恐怖(アンカー)を引き起こすトリガーとなってしまいました。私の意に反して。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23944294.html

 

 

 一方、妻からのメッセージで感じた「お大事に」というイメージは、私の心に安心や癒やしを引き起こしました。もっというと“ピュアな幸福感”。

 F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~antiwithwellpart

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408326.html

 

 その本質は「100%相手の利益のため」であるはず。これはコーチの資質といえるブリーフシステム(Belief SystemBS)です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 ふつうBSは過去の記憶でつくられています。情動を伴った体験の記憶と受け入れた情報の記憶です。そんなBSは「私は〇〇」「社会は△△」といったセルフイメージのことでもあります。日本語でいうと自我。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 その「BS=セルフイメージ=自我」を、自身で設定したゴール(未来)側に書き換えていくのがコーチング。ただし、本物のコーチングは決して簡単ではありません。その理由は?

 

 そう、ゴールは現状の外だからです。現状のコンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)からかけ離れたゴールを設定するほど、より強力にこれまでのCZに引き戻す力が働きます。なぜ?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 脳が発達している人間の場合、情報空間にもホメオスタシスが働くから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

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 だから何とかして「BS=セルフイメージ=自我」を変えなければなりません。「BS=セルフイメージ=自我」を十分にゆらがせなければ、そもそも“すべてのはじまり”であるゴール設定ができません。

 Q-219~:ゴールに対するスケジュールはたてますか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_415812.html

 

 では、どのように「BS=セルフイメージ=自我」をゆらがし変えていけばよいのでしょう?

 

 以下、苫米地博士の著書「オーセンティック・コーチング ~本物のコーチング~」(CYZOp113)より引用します。じつは「BSを変える秘訣」は「人と人のコミュニケーションの原点」でもあります。ぜひ体感・体得してください。Feel

 

 

◎非言語コミュニケーションは誰もが日常的にしている

 非言語とは言葉を使わないことです。言葉を使わないことで心の琴線に触れることを可能にするものです。

 すると、すかさず、「そんなことできるのですか?」という質問をされます。「言葉も使わずに相手の意志をどうやって変えるのか?」「そもそもそんなことは可能なのか?」という疑問です。

 確かに、そう言い出したくなる気持ちもわからなくはありません。言葉を使わないということは無言で相手を動かすことであり、そんなことはできるわけがないとどうしたって思い込んでしまいます。

 しかし、それはできるのです。コーチングのテクニックを使えば……ということではありません。

 実は、これは誰でもできるのです。特別なテクニックが必要というわけでもありません。それどころか、非言語コミュニケーションは人と人のコミュニケーションの原点とも言えるものです。

 

 多くの人が、一つ大きな勘違いをしているのは、そもそも皆さんは非言語コミュニケーションを日常的にしているということです。

 機嫌が悪い時は不機嫌な声を出し、相手が近づかないような振る舞いをしているはずです。これをしていれば、周りの人たちは話しかけてきませんし、たとえ、話しかけても、さっと逃げていくでしょう。

 これが非言語コミュニケーションで、誰もが普通に使っています。

 また、非言語コミュニケーションは言語を使うことだってあります。

 例えば、恋人と別れたばかりで、それを会社の同僚や友達には知らせていないタイミングで、「最近、恋人との仲はどう?」と聞いてきた人がいたとします。

 そんな時、正直に「もう別れた」という場合もあるでしょうが、適当に答えて話題を変えるということもあるでしょう。触れられたくない話題を振られたら、適当な返事をして、相手に「この話題はするな」と伝えることはできるのです。これは言葉を使った非言語コミュニケーションです。

 

 ブリーフシステムを変える時にはこういった非言語コミュニケーションを使います。そうしないと相手の心に内省言語が起きないのです。

 その際、重要なのは相手の意識に上げないことです。言語を使うのがダメな一番の理由は相手の意識に上がってしまうからです。意識に上がるものはコントロール可能ですから、「眠くなりなさい」「いやです」で一巻の終わりなのです。

 内省言語を相手の無意識と意識のギリギリのところに入れていき、ふと気がついたら自分で意識に上げていたというシチュエーションが大事になってきます。相手が「これは変えないとダメだ」と内省言語化した瞬間にブリーフシステムは変わります。

 ただ、こう書いても、現実的にはどうすればいいのか、なかなかわからないことが多いでしょう。ですから、多くのコーチング協会では問答集を作ってしまうのかもしれません。

 しかし、問答集は前述したように百害あって一利なしです。そんなものに頼るのではなく、この世の中には非言語コミュニケーションが意外にも多数あり、誰もが意識しないで使っていることを「意識に上げれば」上手に使えるようになっていきます。

 引用終わり

 

 

 非言語コミュニケーションは人と人のコミュニケーションの原点

 

 コーチングの奥義ともいえるこの重要なポイントを噛みしめていたら、「お大事に」を用いた双方向の言語&非言語コミュニケーションにより、エフィカシーを評価し高めあうこと(=観自在)ができることに気がつきました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

F-328につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

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