Q-356:休みの日なのに気持ちが良くない日が続きます。単に疲れているだけでしょうか?
<vol.3;リラックスと緊張のサイクル -実践編->
御質問をいただきました。ありがとうございます。
その一部に回答いたします。
(変更を加えています)
Q:私は最近、仕事の疲れなのか、休みの日なのに気持ちが良くない日が続きました。訳もなくイライラするなどです。また、不平不満や愚痴をいうタイプではなかったのですが、それをいうようになっている自分に気が付きました。
仕事は、しんどいと感じるときもありますが、ゴールの一部として思えるとやる気は湧きます。単に疲れているだけでしょうか?
vol.1;「無気力」と「やる気がない」の違い&G→M→CZ
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33182294.html
vol.2;リラックスと緊張のサイクル -基礎編-
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33196855.html
vol.3;リラックスと緊張のサイクル -実践編-
A3:前回(Q-355)は「リラックスと緊張のサイクルの裏には副交感神経と交感神経のサイクルがあり、神経伝達物質や内分泌物質が深く関わっている」ことを確認しました。
「リラックス→緊張→リラックス…」のサイクルが重要だとわかっていても、なかなか緊張を解けないということも多いはず。
F-072:「糖尿病リスク予測ツール」に思う
vol.2;わかっちゃいるけどやめられない
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/15394923.html
そのような状況で心がけることについて確認しましょう。以下、苫米地博士の著書「本番に強い脳と心のつくり方」(PHP研究所、p163)より引用します。
決定的場面で簡単に緊張をほぐす方法
逆境をつくるのは周囲の状況ではなく、あくまでも自分の判断といっても、慣れていない人が大観衆の前に出たり、試合を左右する打席に立ったりすれば、やはり緊張して体はガチガチになってしまうと思います。
そこで、リラックス状態の簡単なつくり方をお教えしましょう。
一つ目は、脳のカラクリを利用した方法で、「緊張をすればするほど、リラックスができる」ことを利用します。
先述したように、リラックス状態のときに分泌されるセロトニンには、アドレナリンやドーパミンなどの抑制物質としての役割があります。つまり「緊張するからこそ(アドレナリンやドーパミンが分泌されるからこそ)、リラックスもできる」のです。
ですから「いま自分はすごく緊張している」と感じたら、「緊張してラッキー。このあと思いっきりリラックスできるじゃん」と考えれば、そのとおりになるのです。逆に「緊張してマズイ。なんとか緊張を解かなきゃ」と焦ってしまうと、ますます緊張が解けなくなってしまいます。
人間の脳の仕組みとして、ずっと緊張を続けることはできません。緊張すればするほど、アドレナリンやドーパミンが出れば出るほど、それを抑制するために勝手にセロトニンが放出されるからです。
脳のこうしたからくりを知っていれば、緊張してもすぐに対処できます。
二つ目の方法は、頭のてっぺん、もしくは足先から、順番に一つひとつの筋肉を緩めていく方法です。このとき「順番に」が最大のポイントになります。
なぜなら「まずは腕、次に足」と選択的に緩めようとすると、選択した部位に意識が向いてしまい、ますますその部位の筋肉を緊張させてしまうからです。人間は何かを意図的に選択するとき(この場合は「〇〇の緊張を解こう」と意識すると)、そのことに対する内部表現が強くなってしまうので、結果として余計に緊張してしまいます。
「今日は足の親指のつま先から」「今日は頭のてっぺんから」とスタート地点だけは決めて、あとは足先から(もしくは頭のてっぺんから)順番に緊張を緩めていったほうが効果的です。同時に逆腹式呼吸で息を吐き、お腹を膨らませながら緩めていくと、よりリラックス状態をつくりやすくなります。
緊張したとき、「緊張した、マズイ」「リラックスしなきゃ」と焦ることが、いちばんしてはいけないことです。緊張を緩めようと強く思えば思うほど、逆に緊張します。
焦るのではなく、気楽な気分で「いまノルアドレナリンが出ているから、次はセロトニンの出番だな」と体内物質の性質を把握したり、体の一部分から順番に緊張を緩めたりすることで、勝手にリラックスできるようになります。
引用終わり
緊張するからこそ(アドレナリンやドーパミンが分泌されるからこそ)、リラックスもできる
…アドレナリンやドーパミンなどの興奮系物質を抑制するのがセロトニンです。交感神経優位の緊張状態時にアドレナリンやドーパミンが多く分泌されるほど、それらを抑制するためのセロトニンが大量に分泌されます。だから「緊張してラッキー」!
Q-327:最近「記憶が抜ける」ような… <vol.2;感情が起こるメカニズム
-後編->
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31891038.html
じつは、この“緊張→リラックス状態”を経験することは超重要! なぜでしょう?
…交感神経優位の極度の緊張から解放されてリラックス状態になると、副交感神経優位に変わりながらセロトニンが大量に分泌されます。セロトニンは前頭前野にはあまり作用しないため、大量のセロトニンでリラックスを深めながらも前頭前野ではドーパミンの興奮状態が続いているという無双状態が生まれます。
(「ドーパミン」について詳しくはこちら↓)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29791782.html
それは「幸福感に包まれながら、いまだ興奮が冷めやらぬ状態」。いわば「リラックス×緊張(興奮)のハーモニー状態」です。
このセロトニン&ドーパミン状態を何度も経験すると、強い「プライミング」が形成されます(data)。だから「“緊張→リラックス状態”を経験することは超重要!」(claim)。
では、「data」と「claim」をつなぐ「warrant(根拠)」を確認しましょう。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html
プライミングとは、「先に受けた刺激(先行刺激)によって、後続する刺激に対する認知や判断が影響を受け、特定の行動が促進または抑制される」こと。いわゆる報酬系(reward system)のことであり、洗脳技術の一種でもあります。
Q-336:何かいい仕事はありませんか? <vol.3;認知ホメオスタシス -後編->
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32300998.html
脳は何らかの報酬回路が働くときに、先にドーパミンが流れるようにできています。その現象がプライミング。じつはプライミングが「時間」の概念を生みだしています。
(…と苫米地博士が書かれています。<「脳と心の洗い方」p113>)。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html
さらに人間の場合、腹側被蓋野(ventral tegmental area、VTA)の中脳辺縁系投射であるA10神経など、ドーパミン経路が前頭前野にまでひろがっています。だから時空を超えた抽象度の高い次元に対してもプライミングを働かせることができます。つまり…
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
現状の外(=高い抽象度次元)にゴールを設定する
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
→ プライミングを働かせる(傍からみるとモチベーションup)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html
→ ゴールの世界(未来)がコンフォートゾーン化することでホメオスタシスが働く
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html
*情報空間に働くホメオスタシスはこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
…御相談の「訳もなくイライラする」ときは、何らかの緊張状態にあるはず。脳波でいうとベータ波支配、自律神経でいうと交感神経優位、内分泌物質でいうとアドレナリンやノルアドレナリンがいっぱい、そして脳機能は大脳辺縁系優位です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html
そんな時は自身の状態をモニタリングし、ゴール側から肯定的に評価(T)してください。
L-109:2021年8月シークレットレクチャー
-11;モニタリング&ラベリング
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31421939.html
その上で「G→M→CZ」を再チェックしながら、脳波(ローアルファ波支配)や自律神経(副交感神経優位)を整え、セロトニン&ドーパミン状態を再現して前頭前野をさらに活性化させましょう。超論理の高次元空間まで突き抜けるイメージで。
S-02-12:“超論理”を表現する言葉
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19021726.html
そのプロセスはプライミングを強化するビッグチャンス!
気楽に取り組んでください。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19980130.html
(Q-357につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
緊張するからこそ(アドレナリンやドーパミンが分泌されるからこそ)、リラックスもできる
…さらにいうと、極度のストレス状態で苦痛を感じると、ノルアドレナリンに加え、β-エンドルフィン(beta-endorphin)が分泌されるようになります。
F-157:指一本でも役に立ちたい
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23874668.html
β-エンドルフィンは中枢神経系と末梢神経系の双方で産生される内因性オピオイドです。
オピオイド(opioid)とは、1)ケシから採取されるアルカロイド、2)そこから合成される化合物、3)体内に存在する内因性の化合物 のこと。わかりやすく表現すると“麻薬”。
(「麻薬」は法律上の分類であり、すべてのオピオイド=麻薬というわけではありません)
β-エンドルフィンの鎮痛効果は、なんとモルヒネ(←医療用麻薬)の6.5倍もあります。そのストレス低下作用はとても強力です。
(Wikipediaには「鎮痛効果はモルヒネの18~33倍」と記載されています)
“ストレス低下作用”は情報空間の底面(物理空間)だけに限定されるものではありません。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html
β-エンドルフィンが出るほどの苦痛レベルでは大量のセロトニンが分泌されるため、苦しみから解放されたときの幸福感も思いっきり高まります。それは全抽象度での苦しみ(トータルペイン)を解消するために役立つはず。
L-001:2020年1月… -01;「全人的苦痛(トータルペイン)」と「4つの苦痛」の関係
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24505924.html
だから「緊張してラッキー」。さらにいうと「緊張するほどラッキー」!
…じつは、シンの「ラッキー」はさらに高い次元にあります(次回まとめます)。
L-075:2021年1月… -04;抽象度を上げてIQを向上させる苫米地式トレーニング
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29486824.html
-告知1-
今年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html
次回の開催は2/4(日)。詳しくはこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33220775.html
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
-関連記事-
PMⅠ-05-27:自由を求める人に必要な「自己責任」の意味
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F-155:「怒りと絶望しかありません」という言葉に感じた希望
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23743308.html
F-280:L下でのBS&B <vol.5;“風通し”=ゴール側から〇〇を整え続けること>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30825413.html
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