Q-355:休みの日なのに気持ちが良くない日が続きます。単に疲れているだけでしょうか? <vol.2;リラックスと緊張のサイクル -基礎編-

 

御質問をいただきました。ありがとうございます。

 その一部に回答いたします。

 (変更を加えています)

 

Q:私は最近、仕事の疲れなのか、休みの日なのに気持ちが良くない日が続きました。訳もなくイライラするなどです。また、不平不満や愚痴をいうタイプではなかったのですが、それをいうようになっている自分に気が付きました。

仕事は、しんどいと感じるときもありますが、ゴールの一部として思えるとやる気は湧きます。単に疲れているだけでしょうか?

 

 vol.1;「無気力」と「やる気がない」の違い&GMCZ

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33182294.html

 vol.2;リラックスと緊張のサイクル -基礎編-

 

 

A2:前回は、「無気力」と「やる気がない」の違いを理解した上で「ゴール→モチベーション→コンフォートゾーンと確認していく」ことをお伝えしました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 問題(課題)がなさそうなら、抽象度を下げて、よりテクニカルなポイントを確認していきましょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

  

 これから2回(Q-355~6)のエンドステートは「訳もなくイライラ』を『訳のあるイライラ』に変える」こと。そして最後(Q357)は「』を超越する」。いずれもキーワードは「リラックスと緊張のサイクル」です。リラックスを深めながらゆっくり読み進めてください。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14973460.html

 

 

 ところで、コーチングはもちろん、ヒーリングやリーダーシップにおいても、リラックスが基本。そのためにまず行うべきことがあります。何でしょうか?

 

 そう、逆腹式呼吸↓

 F-217:不安と不満のはざまで苦しんでいる君へ <1st.Step;「どうせ私なんか」と思った時は

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27570183.html

 

 きっと同意していただけると思いますが、本気でリラックスしている状態をつくるのは決して簡単ではありません。気づかないうちに雑念(D)に囚われてしまうから。

 F-095:私はイヤなことは心の中で握りつぶす vol.2(ワーク付き)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/18456250.html

 

緊張と不安により雑念状態に陥ると、IQが下がってしまいます。「Fight or Flight」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 ゴールに向かってエネルギーと創造性を発揮し続けるためには、体をしっかりリラックスさせ、高いIQを維持し続ける必要があります。それが前回書いた「身心ともrefresh(=全抽象度でrefresh!)」の意味。

 (苫米地博士のIQが高い人の脳の使い方」の解説はこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33051194.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33084025.html

 

 

 では、さらに掘り下げ、「脳波」について確認しましょう。皆さんは自分の脳波を測定してもらったことがあるでしょうか?
 (おそらくほとんどの人がないはず)

 

 じつは、脳波はリラックス度をはかるのに役立ちます。

 そもそも脳波(electroencephalogramEEG)とは、動物の脳で生じている電気活動のこと。脳波の大部分を形成する特定の脳波活動である基礎律動は、周波数帯ごとに異なった生理学的意義があります。例えば、リラックスが深まるほど、ベータ(β)→アルファ(α)→シータ(θ)と周波数が下がっていきます。

 

脳波(Wikipedia)

Wikipediaより引用

脳波 - Wikipedia

 

 

 スポーツやビジネスなどで思いどおりのパフォーマンスを発揮するためには、「リラックスしすぎではないリラックス状態」をつくることが重要です。

 適度なリラックス状態にあるとき、人間の脳はアルファ波の中でも低い周波数帯のローアルファ波支配(8~10ヘルツ)になっています。反対にいうと、ローアルファ波に脳波をコントロ-ルできれば、リラックス状態を自在に生みだすことができるということ。双方向性です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 そのコントロール例のひとつが「バイオフィードバック」↓

 Q-285:ドーパミンの分泌を? <vol.5;ドーパミンをモニタリングする -後編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29811912.html

 

 光を利用する方法が有名ですが、音を使って脳波をコントロールすることもできるそう。苫米地博士が制作されている“機能音源(functional sound)”では、IQを上げるための音源にはアルファ波誘導のための音が、熟睡用の音源にはアルファ波→シータ波→デルタ波と誘導するための音が入っているそうです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/16799882.html

 

 私自身は光が点滅するゴーグルや機能音源をフル活用していますが、じつは光や音なしでもバイオフィードバックができます。それが「それぞれの脳波体験を臨場感をもってイメージする」こと。そう、トリガー&アンカーです。

 アンカーとなるローアルファ波体験とは、「時間を忘れるくらいに集中して取り組んでいる状態」です。とくに趣味に取り組んでいるときのような“没頭している意識状態”を思い出すだけで(トリガー)、同じ脳波を再現できるそうです(アンカー)。

 F-158~:無我夢中

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_405002.html

 

 

 さて、今回のテーマは「リラックスと緊張のサイクル」。

 人間の体には、もともとリラックス→緊張→リラックス→緊張……と、リラックス状態と緊張状態が交互に入れ替わるリズムが備わっています。つまり、リラックスがないと緊張も生まれないということ。

基本はリラックスです。そのためにトリガー&アンカーをフル活用します。

 

 リラックスと緊張のサイクルに深く関係しているのが、神経伝達物質と内分泌物質です。

 神経伝達物質とは「神経細胞間などで形成されるシナプスで情報伝達を介在する物質」のこと。ドーパミンやセロトニンがあります。

 内分泌物質とは、一般的にホルモンと呼ばれるもので、体内の決まった器官で合成・分泌されて、体液を通して体内を循環します。アドレナリンやノルアドレナリンがその代表です。

 

 *ドーパミン・セロトニン・アドレナリン・ノルアドレナリンについてはこちら↓

 Q-281~:ドーパミンの分泌をコントロールまたはどの程度分泌されているか

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422146.html

 

 リラックスしているとき、人間の神経は副交感神経優位になっています。その後、アドレナリンやノルアドレナリン、ドーパミンが分泌されて緊張状態になると、交感神経優位に変わります。

 交感神経優位の状態は目的を果たすまで続きます。目的を果たすとアドレナリンやドーパミンを抑制するためにセロトニンが一気に分泌され、副交感神経優位のリラックス状態に戻ります。

 このようにリラックスと緊張のサイクルの裏には副交感神経と交感神経のサイクルがあり、神経伝達物質や内分泌物質が深く関わっています。

 

 最後に、苫米地博士の著書「本番に強い脳と心のつくり方」(PHP研究所、p139)より引用します。「緊張とリラックスのサイクル」をイメージしながら読み進めてください。Feel

 

 

緊張にも二種類ある

 リラックスと緊張の理想的なサイクルをつくるには、どのようなリラックス状態、緊張状態にするかも考慮に入れなければなりません。

 じつは緊張状態には二つのタイプがあります。

 一つ目は、アドレナリンやドーパミンが分泌されて交感神経優位となり、しかも脳波がアルファ波支配にあるとき。この状態のときにはパフォーマンスが向上します。

 しかし、もう一つの緊張状態、同じくアドレナリンやドーパミンは分泌されているけれども、脳波はベータ支配になっているときは、逆にパフォーマンスが落ちてしまいます。

 前者が言うなれば「集中」「興奮」しているポジティブな緊張状態であるのに対し、後者は「恐怖」や「不安」によって緊張しているネガティブな状態です。

 単純にアドレナリンやドーパミンを分泌させて交感神経優位の状態をつくりたいのならば、極度の恐怖や不安を与えれば簡単です。しかし、何かを怖がっているときや不安を感じているときはベータ波支配の雑念状態になり、脳の機能が低下して運動能力も落ちてしまうのです。

 そもそもスポーツにおいて、ベータ波の役割はありません。ベータ波が支配すると緊張はしますが、それは雑念状態でもあるのです。「どうしよう、どうしよう」と思い込み、うろうろしたり、ガタガタ震えてきます。そのようなネガティブな緊張感は、スポーツにおいては出る幕はないのです。

 アルファ波支配の脳波でほどよいリラックス状態を維持しながら、アドレナリンやドーパミンを分泌させて「集中」「興奮」という意味での緊張状態をもたらすことが大切なのです。

 その緊張状態は、たとえるならば、むかしの狩猟民が獲物を狩っているときの精神状態です。まさに獲物と格闘しているとき、緊張はしますが集中・興奮しています。そのときベータ波はほとんど出ておらず、アルファ波支配になっています。緊張しながらも脳波はアルファ波支配になっているのが、スポーツにおいてはベストな緊張状態といえるのです。

 また、リラックス状態も、脳波によってアルファ波優位とシータ波優位に分けられます。理想的なのは、副交感神経優位で、脳波はローアルファ波支配になっている状態です。

 リラックスが必要だからといって、ゲーム中にシータ波支配にまでしてしまうと、おそらく次の動きに移ることができなくなってしまいます。ただし超一流選手は、試合中にそこまで脳波を下げる場合があります。言ってみれば瞑想状態であり、きわめて高い抽象思考をしていたり、気分を完全に切り換えたりしているのだと思われます。

 ゲームが完全に終わったら、そのときはシータ波まで下げて、さらにデルタ波支配の状態にまでなってグーグー寝てしまっても問題はありませんが、ゲーム中はローアルファ支配、周波数としては8ヘルツくらいを維持しておいたほうがいいでしょう。そうすれば思考の抽象度が上がり、運動能力も向上します。

 以上をまとめると、スポーツをしているときは、脳波をつねにアルファ波帯に収めておく必要があるのです。

 ▶緊張状態では、10~13ヘルツのアッパーアルファ波支配。

 ▶それ以外のリラックス状態、またはゴールを決めたあとやホームランを打ったあとは8~10ヘルツのローアルファ波支配。

 

 そしてゲームが終わったあと、シータ波やデルタ波支配まで下げて、セロトニンを思いっきり放出するようにします(ゲーム後にセロトニンをしっかり出すことの重要性については、次項で解説します)。

 ちなみに神経伝達物質やホルモンと脳波との相関関係のメカニズムについては、まだ解明されていません。

 脳波がシータ波、デルタ波まで下がっているときにはセロトニン、さらには睡眠と関連しているメラトニンが分泌され、アドレナリンやドーパミンが分泌しているとき、脳波はアルファ波からベータ波支配になっています。ですから関係性があることは疑いないのですが、どちらが原因でどちらが結果なのかはいまだわかっていません。

 ただ、アルファ波支配のときにパフォーマンスが向上することはわかっているので、スポーツ時には、リラックス状態のときも緊張状態のときも、つねに脳波はアルファ波支配の状態を維持するべきなのです。

 引用終わり

 

Q-356につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ      

苫米地式認定マスターヒーラー      

 CoacH T(タケハラクニオ)     

 

 

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