L-133:2021年11月シークレットレクチャー -02;自我とRAS&スコトーマとコーチングの関係
2021年11月にコーチ向けのレクチャーを行いました。守秘義務を結んだ上で行う全3回の講義の1回目。3回を通してのメインテーマは「□」ですw
「□」とは何か? 「□」がコーチングとどう関係するのか?
…当日の講義内容をブログ用に再構成してお届けします。
リラックスを深めながら、気楽にお読みください。
F-284~:気楽 ver.2
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_424593.html
01;メインテーマ「□」とは…
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32989957.html
02;自我とRAS&スコトーマとコーチングの関係
私たち人間は「ある枠組みを作って、その中だけで思考する」ことができます。その「枠組み」が、今回のメインテーマである「□」=フレーム。
フレームの外は認識することができません。それがスコトーマ(scotoma)です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html
スコトーマについて簡潔にまとめると…
□ もともとは「盲点」を意味する医学用語
□ コーチングの祖
ルー・タイスさんにより「心理的盲点」として拡張
□ 目の前のものはすべて見えていると思いがち。しかし実際には、ザルで水をすくように情報は抜け落ちている
□ 例えば、1秒間に五感から入力される情報量は数百万ビットなのに対して、認識している情報量は40ビット
…40/数000000ビット=1/100000しか認識していない
□ スコトーマを生みだす/外すポイントは3つ …1)知識、2)重要性、3)役割(責任)
…スコトーマを生みだす/外すポイントは、1)知識、2)重要性、3)役割(責任)の3つ。さらに抽象度を上げて考えると、スコトーマを生みだす/外すものは「自我」だといえます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
自我はマインド(脳と心)の中にだけ存在しています。
(脳と心の関係がはっきりしない場合はこちら↓)
Q-269:薬をやめることができますか? <中編:case-side(ワーク付き)>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29213970.html
その実体は名前や肩書き、好みなどすべて他との関係からなる情報のこと。数学の点と同じで、概念(または機能)上は存在しますが、実在はしていません。自我とは「部分関数」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
その一方で、自我は自分にとって重要な記憶によって作られた「評価関数(重要性関数)」ともいえます。例えば、自己紹介時に話すのは、「職業は…」「出身は…」「趣味は…」といった自分が大事だと思うことのはず。「昨夜は〇〇を食べました」みたいな情報が優先されることはまずありません。その重要度による並べ替えが「評価関数(重要性関数)」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html
まとめると、脳は重要なもの=自我に合致したもの のみを認識するようになっています。RAS(Reticular Activating System)が自分にとって価値が低いと思う情報を遮断するのです(=スコトーマに隠れる)。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html
では、このRAS&スコトーマとコーチングの関係は?
…以下、苫米地博士の著書「お釈迦さまの脳科学 釈迦の教えを先端脳科学者はどう説くか?」(小学館、p178)より引用します。“コーチングの本質”をイメージしながら読み進めてください。Feel!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html
悟りとはすべてのスコトーマが外れる体験
この本の第3章で、自我とは自分にとって重要な順番で記述した評価関数であることをお話ししました。そして、自我によって生まれるのがスコトーマです。
脳の認識機能は、自分にとって重要なものは見えるが、重要でないものは見えないようになっています。例えば目の前の恋人は自分にとって重要なので見えていますが、テーブルに置かれたペンは重要ではないので目に入りません。目の前の物質だけでなく、概念についてもスコトーマは起こります。書くということを知らない原始人が目の前にあるペンを見ても、その存在そのものを認識できないでしょう。
釈迦は瞑想によって自我はない(または空である)と知りました。それが悟りの状態です。自我がなくなった状態ですから、すべてのスコトーマが外れており、すべてを認識することが可能になっています。目の前の恋人や机の上のペンだけでなく、「自分」も「宇宙」もすべて同時に認識できるのです。
自我という評価関数がなくなりますから、重要度に順番はつきません。宇宙のすべてのものを、同じように重要だと感じます。洗脳されたものを含めてあらゆる価値観から解放された状態、その境地が釈迦の悟りなのです。
悟りとは「自分」と「宇宙」の両方を完全に認識すること、ともいうことができます。「自我」やあらゆる「概念」は数学の部分関数として考えることができます。部分関数とは何でしょう。たとえば「偶数」という部分関数では、自然数nを入力すると「2、4、6、8……」と偶数を出力します。偶数を定義すれば、奇数も自動的に定義されます。自然数で偶数でないものが奇数だからです。
すべての「概念」は、宇宙のすべてからものを選び出す部分関数ということができます。「犬」という概念は、宇宙のすべての犬を選び出す部分関数です。「人間」という概念は、宇宙のすべての人間を選び出す部分関数であり、現在だけでなく、過去に生きていた人間、未来に生まれてくる人間すべてを含んでいます。
同じように、「自我」の概念とは、宇宙のすべてから、たったひとりの「自分自身」を選び出すという部分関数と言うことができるでしょう。
そして、偶数が定義されると奇数が定義されるように、「自我」が定義されると、それ以外の「宇宙のすべて」も同時に定義されるのです。ということは、自分を正確に認識できれば、宇宙も完全に見ることができる。すべてが認識できるということです。
釈迦には、自分、そして宇宙のゲシュタルトが見えました。ゲシュタルトとは、今までランダムに見えていたものを高い抽象度で見ることで整合的なパターンとして認識できることを言います。動物もゲシュタルト能力を持っています。犬でも肉やドッグフードを同じ食べ物として認識しているからです。人間の場合は、さらに抽象度の高いゲシュタルト能力を持っています。
多くの人間が集まっている様子を見て、ただ「たくさん人がいる」ではなく、「朝なので通勤の人が多い」「コンサートに来た客が行列をなしている」と理解することができるのです。
釈迦には自分と宇宙のゲシュタルトがわかったのです。それは宇宙を大まかに定義することではなく、分子、素粒子といった部分のひとつひとつが等しく重要でありながら、宇宙という全体と統合された理解です。当然、自分と宇宙のゲシュタルトは言語を超えた体感に他なりません。
そして釈迦が、この境地を人に伝えるにはどうすべきかと考えて生み出された説明原理が十二支縁起なのです。悟っていない、すなわちすべてを認識できていない「無明」から、誤った認識の「行」が生じ、最終的に苦が生まれると説明したのです。逆に、悟ってしまえば、誤った認識はないのですから、苦もありません。すなわち煩悩から解き放たれた状態なのです。
引用終わり
洗脳されたものを含めてあらゆる価値観から解放された状態、その境地が釈迦の悟り
…RAS&スコトーマとコーチングの関係はクリアでしょうか?
コーチングとは、RASをコントロールしスコトーマを消すことで、これまでの価値観から自らを解放し、新たな認識を得る技術です。
Q-280:今までRASとスコトーマは… <後編;RAS=意識と無意識の間に介入し、選択的に見せるシステム>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29681889.html
新たな認識を得て“現状の外”にゴールを設定すると、ゴールの世界にふさわしい評価関数をつくりあげることができます。それがコーチング!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
*こちらもどうぞ↓
F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html
コーチングを実践すると、心はどんどん自由になります。なぜでしょうか?
心が自由になると、ますます“いい状態(well-being)”になっていきます。なぜでしょう?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html
(L-134につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
自我について補足します。
自我の正体はマインド(脳と心)の中にある情報です。よって、死んでから自我のみが取り出されて別の生命に宿ることはありえません
…というのが輪廻を完全否定した釈迦の無我説。釈迦の時代はストレートに「自我はない」と説いていました。
後の大乗ムーブメントにより、「自我は空である」と表現されるようになりました。「部分関数」は無としての自我、「評価関数(重要性関数)」は有としての自我といえます。その無と有を包摂する概念が空です。
「私はない」といえますが(無)、同時に「私はものすごくある」ともいえます(有)。
PMⅠ-02-16:空観、仮観、中観
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html
「自我は空」が体感的に理解できると、“現状の外”へのゴール設定はますますうまくできるようになります。なぜ?
Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html
…その答えは、「コーチングを実践すると心がどんどん自由になるのはなぜ?」「心が自由になるとますます“いい状態(well-being)”になるのはなぜ?」の答えと同じ。
参考にこちらをどうぞ↓
F-089~:無人運転と自動運転の違い ~シーサイドライン逆走に思う~
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_369873.html
-告知1-
今年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html
次回の開催はR6.1/28(日)の予定、テーマは「コーチングのコア×how?」です。4週前に御案内いたします。
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
-関連記事-
F-311~:デジタル自傷行為
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_426481.html
Q-222:チュータリング・コースでも自身のゴール設定についてアドバイスは頂けるのでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27505564.html
Q-268~:薬をやめることができますか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_421168.html
Q-300~:「心身相関」と「超情報場理論」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_423993.html
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