Q-344:自身の人生を変えることに専念? それともコーチング活動を開始? <vol.1;「走りながら考える」 理論編>

 

御質問をいただきました。ありがとうございます。

 その一部に回答いたします。

 (変更を加えています)

 

Q:将来コーチとして活動するために学んでいますが、未だに「現状全てがwant to」という状態には達しておりません。

 このような場合、自分自身の人生を変えることに専念した方がよいのでしょうか? それとも同時並行で他者へのコーチング活動を開始した方がよいのでしょうか?

 未来のクライアントさんの利益を最大にするということを考えると、どうするべきか迷ってしまいます。

 

 vol.1;「走りながら考える」 理論編

 

 

A1:御質問への私の回答は、「走りながら考える」。

 

“走る”とは、「自身の人生を変え」ながら「コーチング活動を開始」することであり、「コーチング活動」を行いながら「自身の人生を変える」こと。その間中、“考え続ける”のです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 「自身の人生を変える」と「コーチング活動」との双方向性、さらには“走る”と“考え続ける”の双方向性がとても大事。なぜでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

答えのひとつは「ゲシュタルトが構築できる」から。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

ところで、コーチングの基本概念は「クライアントとの一対一の関係の中でマインドの使い方を教えること」です。その“教える”の中には「マインドとは何か?」が含まれます。さらには「私(自我)とは何か?」「宇宙とは何か?」まで。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 なので、まずは自分自身が「マインド」「私(自我)」「宇宙」といったものをシンプルに理解できていることが必須。シンプルとは「抽象度が高い」ということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

私は、コーチには「より少ない情報でストレートに表現できるという確信」が必要だと思っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 マインドとは?

 私(自我)とは?

 宇宙とは?

 

 いかがですか?

 

 まずは感じること。

感じられたなら、ぜひ走りだしてください。

 

 

 コーチングの基本概念は「マインドの使い方を教えること」

 

 走りだす=教えるでもあります。教えるのは「マインドの使い方」。

走りだす=教えるために重要なのは、個人的な見識やこれまでの経験ではなく、土台となる理論。「コーチングは認知科学をベースとした科学」であり、理論こそが共通言語となります。

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

現在の認知科学のパラダイムは関数主義(functionalism)です。

それまでの刺激(S)と反応(R)を記述して現象や機能を定義しようとした行動主義(behaviorism)から関数で記述する方式へと発展したところから、今の認知科学が始まりました。

 しかしながら、認知科学(functionalism)は大きな問題を抱えています。それが「フレーム問題」。

苫米地博士は「認知科学はフレーム問題を突きつけられていながら、ほとんど顧みることなく無視し続けてきた」と指摘されています。コーチングのフレームで言い換えると、それは「コンフォートゾーンが生みだす『現状維持の壁』」といえるはず。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 *「現状維持の壁」はこちら↓

 PM-06-06:仮説01)変わらないコンフォートゾーンが生みだす「現状維持の壁」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628746.html

 

 フレームとは、「人工知能の父」と呼ばれるマービン・ミンスキー(Marvin Lee Minsky1927~2016年)が提唱した概念で、「ある知識を表現するための知識の単位とその結合方法」のこと。

そのフレームを、苫米地博士は、「その状況、現象、事物の特徴などを、逐一、記述していく方式で物事を定義していく方法論」と表現されています。

 

 

マービン・ミンスキー(Wikipedia)

マービン・ミンスキー(2008年、OLPCオフィスにて)

Wikipediaより引用

マービン・ミンスキー - Wikipedia

 

 

 著書「認知科学への招待」(CYZO)の中で、苫米地博士は「フレーム問題」を「レストラン」というフレームを用いて解説されています。シンプルに問うと

 

 人はなぜその場所がレストランだとわかるのか?

 

 人工知能が「ここはレストランだ」と完全にわかるためには、「レストランに関する知識(ここはレストランだと判断するための知識)」だけでなく、「レストランではないことに関する知識(ここはレストランではないと判断するための知識)」が必要なのだそう。

つまり、世の中のありとあらゆる知識を教えておかなければならないということ。

 仮に世の中のすべての知識を教え込むことができたとしても、その知識すべてにアクセスして思考(計算)を始めてしまうため、その場所がレストランかどうかを判断するだけでも膨大な時間がかかってしまうそうです。

 それが「フレーム問題」。

 

 そんな人工知能に対して、人間には「ある程度合致していれば『これだ』と判断する能力」が備わっています。それが「ゲシュタルト能力」です。

 Q-304:どうやったらすべての目標を結びつけることがOps編;〇〇〇化>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30891147.html

 

つまり、人間は「フレーム問題」をゲシュタルト能力によって解決している

 

 以下、「認知科学への招待」(p150)より引用します。

 

 

人間はなぜ「ここはレストランだ」とわかるのか

 レストランの前で「ここはレストランだろうか」と悩んで立ち止まっている人はまずいません。レストランの前で立ち止まっている人というのは、たいていは「この店にしようか、別の店にしようか」と悩んでいるか、「何を食べようか。ハンバーグ定食がいいか、それともオムライスがいいか」と悩んでいるかでしょう。

 まれに「どう見てもレストランには見えない外装」の店の前で、「ここ、本当にレストランなのかな」と悩んでいる人がいるかもしれませんが、それは例外中の例外です。

 では、人間はなぜ「ここはレストランだ」とわかるのでしょうか。

 私の答えは「そこがレストランだから」です。

 もう少しわかりやすく言えば「いかにも『ここはレストランだ』というオーラのようなものを出していて、それを感じるから」です。

 だから、そういうオーラのようなものを出していない「どう見てもレストランには見えない外装」の店の前では悩む人が出てくるのです。

 

 人間という種に特殊な能力なのかもしれませんが、われわれには、ほとんど関連性のないバラバラなものを集めて関連性を見出す「ゲシュタルト能力」があるようです。これはルールとして記述することはできません。

 関連性のないものを集めて関連性を見出す作業というのは、抽象度の階段を上がらないとできません。この抽象度の階段を上がるという作業は、今のところ、人間にしかできないことのようです。

 認知科学の限界がまさにここにあると言えるかもしれません。人間にしかできないことを機械にもできると信じて、本質的な「フレーム問題」を避けて進んできてしまったのです。

 認知科学の「ファンクショナリズム」では、どのファンクション(関数)を使うかを先に人間が選んであげます。ファンクションを人間が選んだところから、人工知能の活動が始まるのです。

 結局は、人間の判断領域があって、その領域にまで人工知能は踏み込んではいません。

 ファンクションを選ぶというのは、単にファンクションを記述するという問題だけではありません。

 必要なファンクションがすべて記述されていたとしても、ある場面でどのファンクションを選択し、動かすべきかということまで問題にしなければなりません。そうでないと、R1D1R2D1のように、データを入力しておかなければ無理なのです。

 デネットら、認知科学に批判的な人たちは、「フレーム問題はロボット(人工知能)には解けない」と言っていましたが、認知科学者は「いや、そんなことはない」と言って、研究を続けてきました。

 しかし、結局、未だに解決できていないのです。

 引用終わり

 

 「フレーム問題」を抱える認知科学のパラダイム(functionalism)のことを、苫米地博士は“第0世代”と表現されています。

 その“第0世代”に対して、コーチングのベースとなる現在の苫米地理論は“第3世代”です。

 Q-335:何かいい仕事は? <vol.2;認知ホメオスタシス -前編(ワーク付き)-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32265870.html

 

 まずは“第2世代”までをしっかり感じる。そして、走りだしながら“第3世代”以降を考え続ける

 

 それが“今”のコーチにふさわしいブリーフだと思っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 もしも“第2世代”までがクリアなら、迷わずに「同時並行で他者へのコーチング活動を開始」して大丈夫!

 あとは走りながら考えていきましょう。同志とともに。

 

 *「“第2世代”まで」はこちら↓

 PM-01~:苫米地理論とは? ~抽象度と超情報場仮説(目次)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12893266.html

 

Q-345につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

コーチングの基本概念は「クライアントとの一対一の関係の中でマインドの使い方を教えること」

 

 マインド等について「まずは感じられること」が重要ですが、それだけではNG

 「マインドの使い方を教える」ためには、しっかりと伝えられなければなりません。

 そのために、私はいつも「3つのコミュニケーション」を意識に上げています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24281579.html

 

 シンプルに表現すると、

1)ラポールを形成する = Healing

2)情報場を最適化する = Logical Thinking

3)現状の外に飛びだす = Coaching

 

 詳しくは下記ブログ記事でどうぞ↓

 Q-241:毎日、無気力感に悩まされています 中編;3つのコミュニケーション

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28329961.html

 

 

-告知1

今年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html

 

 次回の開催は11/26(日)の予定です。10月下旬に御案内いたします。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

-関連記事-

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L-11720219月シークレットレクチャー -05;“劇薬”を使いこなすために心がけるべきこと

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