F-311:デジタル自傷行為 <case-side -1;ブリーフシステム・RAS&スコトーマ>

 

 「デジタル自傷行為」という概念をご存じですか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 デジタル自傷行為とは、「ソーシャルメディアに匿名で自分を傷つけるような内容の投稿をしたり、それを他者に送ったり共有したりする」というもの。

 

 米ウィスコンシン大学オークレア校Cyberbullying Research Centerの研究(2019年)によると、米国の中高生4972名の調査によって、1)8.6%の生徒が自分に関する意地の悪い投稿をしている、2)5.1%が自分に対するネットいじめを経験している ことが明らかになったそうです。

つまり、約9%の若者がデジタル自傷行為を行っているということ。

 さらには、デジタル自傷行為経験者は、1)死にたいと思う(自殺念慮)確率が5~7倍高く、2)実際に自殺を図る(自殺企図)確率が9~15倍高い こともわかりました。

 

 「デジタル自傷行為」を生みだした現代社会が抱える課題(case)と解決(plan)について、コーチとして考えてみました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 case-side -1;ブリーフシステム・RAS&スコトーマ

 

 

 「約9%の若者がデジタル自傷行為を経験」「自殺念慮5~7倍」「自殺企図9~15倍」という事実(data)は、とても衝撃的に感じられると思います(claim)。決して少なくない若者が死にたいほど苦しんでいるということだから(warrant)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

 衝撃的なのは私も同じなのですが、その一番の理由(point of view)は一般とは大きく異なるはず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808542.html

 

このブログをお読みの皆さまには理解していただけると思いますが、私には問題の本質がスコトーマに隠れてしまっているように感じられます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 ディベートでいうならクリティーク(Kritik)。「前提となっているパラダイムそのものが違う(おかしい)」という感じ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13076426.html

 

実際のところ、コーチとしての私が驚いたのは、「約9%」という数字の少なさです。

私には、若者だけでなく、大人まで含めたほぼすべての人が“デジタル自傷行為”を行っているように感じられます。そうとは知らずに。

Q-327:最近「記憶が抜ける」ようなvol.2;感情が起こるメカニズム -後編-

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31891038.html

 

皆さんはどうですか?

 

 

 一般的な「デジタル自傷行為」という概念は、おそらく、認知科学者 苫米地英人博士がおっしゃる“第0世代”をベースとしたもののはず。それは「物理空間がある(情報空間はスコトーマに隠れがち)」「自分がいて、他人がいる」という機械論(&決定論)的な世界観です。

関係と存在でいうと、「存在があり、関係が生まれる」というもの。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 そのような“第0世代”に対して、現在の苫米地理論は“第3世代”。「物理空間と情報空間は抽象度の違い(物理空間は情報空間の底面)」「自と他の違いはなく、その本質は空(くう)」と考えます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 *「空」はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 関係と存在でいうと、「関係が存在を生みだす」という縁起。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

さらに突き詰めると、「この世に絶対はない(アプリオリはない)」「すべて心(マインド)が生みだしている」というプリンシプルに至ります。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

 *「すべて心(マインド)が生みだしている」はこちら↓

 F-2333錠じゃないと飲まん! <後編:排中律を昇華させるポイント>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28402002.html

 

 

 クリアでしょうか?

 少し具体的に考えてみましょう。

 

 通常、「行為」とは、物理空間での行動のこと。その物理空間での行動を、情報空間では「思考」と呼びます。

 苫米地博士がよくおっしゃっている表現でいうと、「思考は情報空間での運動」です。

 Q-302:「死が迫る老人を慮りながら、目の前の世界をよりよくしていく感じ」とは?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30818379.html

 

 とても大切なことなので繰り返しますが、「物理空間と情報空間は抽象度の違い(物理空間は情報空間の底面)」です。つまり、「脳と心」「体と心」でひとつ。「行動(運動)と思考」でひとつです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24575354.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24617501.html

 

 それが理解できると、「ほぼすべての人が“デジタル自傷行為”を行っている(そうとは知らずに)」の意味がわかるはず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

「『行動(運動)と思考』でひとつ」を、“第2世代”である超情報場理論のフレームで表現し直すと、「物理空間での行動(real performance)は、情報空間での思考(self image self talk)の写像」。

 Q-155191019/20 鹿児島セミナーレポート -12QA vol.3

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23604469.html

 

 それなのに、一般的な「デジタル自傷行為」という概念は、高次の情報空間がスコトーマに隠れ(lock out)、底面である物理空間ばかりに囚われています(lock on)。

 

きっとソーシャルネットワークという情報空間への書き込みを「デジタル行為」としているのだと思いますが、その書き込み自体は物理空間での行動(real performance)のことです。

 Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html

 

 そうではなく、情報空間での行為のことを“デジタル行為”というのであれば、それは思考(self image self talk)そのものの話です。つまり、自分に対してネガティブなイメージや内省言語が生まれた時点で“デジタル自傷行為”だということ。

 Q-198:ネガティブループにはまって止観やヒーリングにすら取り掛かれません

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26282829.html

 

 *「内省言語」はこちら↓

 L-07920213月シークレットレクチャー -02;内省言語を発生させる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30021884.html

 

 それが「ほぼすべての人が“デジタル自傷行為”を行っている(そうとは知らずに)」という理由。そう、ブリーフシステム(Belief SystemBS)のことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 御承知のとおり、BSとは、人の行動や行動性向といわれる無意識の行動を決めるシステムのこと。BSは「強い情動を伴った体験の記憶」と「抽象化された情報の記憶」でつくられています。つまり、過去。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 脳の記憶特性は失敗駆動型であり、“失敗”であるほど強く記憶されます。“失敗”とは「予想と違う」「予期とは異なる」ということであり、必ずしもネガティブを意味するわけではありません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13397552.html

 

 しかしながら、人が実際に思い出すのは痛みを伴うネガティブな記憶ばかり。そうですよね?

 

その記憶には「辛い」「悲しい」「悔しい」「許せない」「情けない」といったwetな情動がべったりと張り付いています。ラベリングでいうと「D」です。

 F-095:私はイヤなことは心の中で握りつぶす vol.2(ワーク付き)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/18456250.html

 

 さらには、その記憶には「他人の視点」や「社会の価値観」といった“外”からのモノサシがたっぷりと刷り込まれています。つまり、「私は“本当の私”ではない」ということ。本当は誰もが「無人運転」「自動運転」のままです。

 F-089~:無人運転と自動運転の違い ~シーサイドライン逆走に思う~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_369873.html

 

 私たちの目の前の世界は、シンプルにいえば、各自のBSが生みだしています。

先程、情報空間での行動(運動)が思考であると書きました。その思考とは、「記憶と情報の関連性を無作為に組み合わせていくもの」でもあります。

つまり、思考がイメージ(I)と臨場感(V)を生みだし、現実(R)をつくりだしているのです。そうとは知らずに。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 以下、苫米地博士の著書「現代洗脳のカラクリ 洗脳社会からの覚醒と新洗脳技術の応用」(ビジネス社)の第2章(p71~)から一部を引用します。ブリーフシステムとRAS&スコトーマ、そして洗脳との関係性を感じながら読み進めてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 

網様体賦活系 = Reticular Activating System

 私たちは自分の見ている世界が現実で、目の前の世界は正しいと思っています。しかし、それは大きな錯覚です。

 私たちは誰一人として現実世界など見ていないのです。自分が見たいと思っているもの、重要だと判断したものしか見えていません。

 というのも、人間の脳の基底部に網様体賦活系(RASReticular Activating System)という、不要な情報をフィルターするシステムがあり、RASは特定の情報(例えば自分の趣味に関する情報など)だけを抜き出して、あとは認識にあげないようにしているからです。

 ですから、男性は妻が妊娠すると妊婦が街に多いことに気づくのです。当然ながら突如妊娠ブームが起きたわけではありません。彼の妻が妊娠する前から街には妊婦が多かったのです。

 ところが、妊婦に関する事柄に男性は無関心ですから気がつかないのです。目の前に妊婦がいてもわからないし、マタニティマークをさげた女性がいても、そのマークが目に入りません。自分の妻が妊娠し、妊娠に類することに興味を持ったことで初めて、それが“見える”ようになるのです。

 人は、「これが大事だ」と思わなければ、認識できないのです。

 

RASがあるから洗脳される

 その最も有名な例がカクテル・パーティー効果と呼ばれるものです。

 カクテル・パーティーでは多くの人が同時にさまざまなことをしゃべっています。横の2人、後ろのグループなどがまったく違う話題を話しているのが普通です。そんな喧騒の中でも私たちは目の前の人との会話が成立するのは、不要な情報を遮断しているからです。

 もちろん、周りの会話は耳には入ってきますし、人々の動きも見えます。しかし、それを認識するかどうかはRASにおける重要度が判断し、重要でなければ情報として入ってきても意識にはあげないのです。逆に何でもかんでも意識にあげてしまったら、わずらわしくて会話など成立しません。

 そもそも人の世界は情報の渦です。目に見えるもの、聴こえるものをすべて認識していたら、とてもではありませんが生活などできないでしょう。

 重要ではないものは見ているようで見ていない。大した話でなければ聞き流す。こういったことをしていかなければ脳の情報処理は追いつかないのです。

 ですから、その情報が重要かどうかの取捨選択は、人が生きていく上で、なくてはならない機能となります。

 ところが、RASのこの機能こそが人を洗脳に導いてしまうのです。

 重要な情報を認識する能力があるがゆえ、人は重要な情報を見逃してしまうのです。

 引用終わり

 

F-312につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記1

 そのような“第0世代”に対して、現在の苫米地理論は“第3世代”。「物理空間と情報空間は抽象度の違い(物理空間は情報空間の底面)」「自と他の違いはなく、その本質は空(くう)」と考えます

 

 詳しくいうと、“第1世代”が「サイバーホメオスタシス理論(CH理論)」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 “第2世代”が「超情報場理論」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165789.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165823.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165888.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306380.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306438.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306445.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5445932.html

 

 そして、“第3世代”が「生命素粒子理論」。知能の正体にまで迫る理論です。

 Q-330:最近「記憶が抜ける」ようなvol.5;イメージの限界が自分の限界>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31958269.html

 

 

-追記2

さらには、その記憶には「他人の視点」や「社会の価値観」といった“外”からのモノサシがたっぷりと刷り込まれています。つまり、「私は“本当の私”ではない」ということ。本当は誰もが「無人運転」「自動運転」のままです

 

 …だから、「デジタル自傷行為」という概念中の「自」そのものの再構築が必要。私は“本当の私”ではないのだから。

 Q-169~:自身の信念を失いそうです

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_406747.html

 

 

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