Q-338:エンドステートに対する臨場感の問題?
御質問をいただきました。ありがとうございます。
その一部に回答いたします。
(変更を加えています)
Q:…現状はさて置き、一つ質問させて下さい。
一念三千と言う言葉があります。現在に過去と未来が含まれている、と言う時間に関連付けて説明されたり、全てのモノは様々なモノと関係して存在する、と言う縁起で説明されたりします。そして現状はどうであれ、ゴール達成に向かっている現在が楽しいと思える事が大切だと学びました。
だからゴールの情報場に働き掛け、様々なワークを通して臨場感高くエンドステートを想い描き、現在のmindを安定させ続けて来ました。
もちろん多少の浮き沈みはあって当然ですが、何年も続く不安を払拭する様な臨場感を感じる事が難しいです。
エンドステートに対する臨場感の問題なのか?
それ以外に解決すべきケースがあるのか?
…今は現状に囚われて見えません。
A:まずは「時間」について。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html
ホメオスタシスによって物理空間における臨場感を維持する感覚が「時間」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
「物理空間」とは、抽象度を軸にとった場合の情報空間の底面のこと。一番抽象度が低い次元が物理空間(=物理的現実世界)です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
情報処理をする主体(例えば人間)が、臨場感を共有するために情報処理空間をつくりだしています。その空間を安定的にする働きがホメオスタシスです。よって、ホメオスタシスは「情報処理を行う空間である『物理空間(物理的現実世界)』を維持するための法則」と考えることができます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html
以下、苫米地博士の著書「すごいリーダーは『脳』がちがう」(三才ブックス、p60)より引用します。
宇宙は人間によって生み出された?
人が仮想空間にも臨場感を持てるのは、ホメオスタシスによるものです。
ホメオスタシスがフィードバック関係を持った世界がリアルになります。リーダーに従う人々は、それが仮想空間であってもリアルだと感じています。
オバマが一番だと心から信じられる世界、イチローに心酔する世界、もっと言えば、漫画のキャラクターを支持してしまうのも、彼らが生み出した臨場感空間にホメオスタシスのフィードバック関係を持って共有したから、起こる現象なのです。
そうなると、今度はもう一つ疑問が浮かんできます。なぜ、ホメオスタシスは、仮想世界ともフィードバック関係を維持できるのでしょうか?
その疑問に答えるためには、まず物理的現実世界の話から始めなければなりません。
皆さんは、今ある物理的現実世界をどのように思っていますか?
「何をいっているんだ? 目の前にある世界、人間が生きている世界だろう」といった声が聞こえてきそうです。
そうです。では、その世界はいったいどのようにつくられたのでしょうか?
現実世界は宇宙にまで広がります。では、その宇宙はいったいどのようにつくられたのでしょうか?
私の解釈では、宇宙はもともと別々にありました。別々というと語弊がありますが、一つではなかったということです。
皆さんは、宇宙はビッグバンによって起こり、宇宙が形成され、地球がつくられ、生物が生まれ、人類へと進化したとお思いでしょう。しかし、その認識はすべて人類によってつくられたものです。人類が規定した物理的世界の中の宇宙でしかありません。
世界は人口の数だけ存在すると前述しました。その人が認識した世界があるわけですから、他人とまったく同じ世界など存在しないと。
しかし、隣の人と世界が違うからといって、そのまま一切の共有を持たないというのは、あまりに寂しいことです。そこで、皆の共有空間をつくろうということで、ビッグバンをつくったのです。
いったい何をいっているのか、と思っている人もいるかもしれません。頭の中が「?」となっている人もいるでしょう。
でも、よく考えてみてください。
他人と何かを共有するには、感覚で共有します。人間でいえば、五感です。そして、五感で感じられる空間が物理的世界です。人間は五感で共有できる空間をつくるために、宇宙空間をつくったのです。そのためにビッグバンを起こしたのです。
もちろん、ビッグバンは物理学的に検証されています。相対論や量子力学などの物理法則を通して観測されています。物理的現実世界では、ビッグバンが起きたのは事実です。
しかし、その物理法則をつくったのも、観測をおこなったのも、我々人間です。そして物理的現実世界という共有空間そのものをつくったのも我々人間です。人間は寂しいから、他人と共有するためにビッグバンを起こしたといういい方もできます。
物理的現実世界はビッグバンでつくられたものですが、同時にビッグバンは我々が共有空間をつくるために生み出されたともいえるのです。
実際、物理的現実世界でビッグバンに遭遇した人間はいません。触った人もいなければ、見た人もいません。しかし、人間が波動方程式を用いて、遠い星や光の見えない星を見つけ出し、またビッグバンの存在を発見したわけです。数学者や物理学者たちが、数学や物理学という五感をさらに進化させた感覚をもって発見し、そして共有空間にしたのです。
共有空間は、一度そこに臨場感を持つと、その空間を維持しなければなりません。その維持するための力がホメオスタシスとなります。
そういう意味では、ホメオスタシスは生体レベルではなく、宇宙レベルでも同じ状態を維持していることになります。宇宙を恒常的に安定させるために、ホメオスタシスの力が働いているのです。そして、その維持される感覚を、人間は時間と呼んでいます。
維持されるものは、万が一動かされそうになると、もとに戻そうとします。重力などがそうです。宇宙空間は一定の状態を安定的に維持しようとします。そうしないと、皆で共有してつくった約束事が失われてしまうからです。
最初に皆で共有空間をつくり、それを皆で守って維持する。そのために、物理が生まれた……。物理法則というのは、すべて宇宙におけるホメオスタシスの一つの説明なのです。
引用終わり
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ホメオスタシスは生体レベルではなく、宇宙レベルでも同じ状態を維持していることになる。宇宙を恒常的に安定させるために、ホメオスタシスの力が働いている。そして、その維持される感覚を、人間は時間と呼んでいる
…ただし、その“宇宙”とは物理次元の話。
ボトムである物理次元から1つ抽象度が上がると、「時間」はありません。それが空観。過去も、現在も、未来も実在しないので「過去は関係ない」です。もちろん、「現在も未来も関係ない」。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html
神奈川大学情報学部開設記念シンポジウム(2023年5月23日)より引用
基礎科学としての情報〜エントロピーと生命、超次元複雑性と生成AIの未来と私達 Dr.苫米地 (2023年5月20日) - YouTube
一方で、中観では「未来は思いっきり関係ある」と考えます。
苫米地理論は中観思想です。私たちの一瞬の心の動きが、現在、過去、未来を生起すると考えます。縁起です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
それが御指摘の「一念三千」。
F-243:人は、生きている時は自分の心の中、亡くなると親しい人の心の中にいる
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28791954.html
未来の縁起に働きかけることがゴール設定です。ゴールを設定するから、未来が因となり、現在が変わります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
その時、「現状はどうであれ」の“現状”には、「他人の物差し」「社会の価値観」「仮想の自分」はなくなります。そこにあるのは「T」のみ。
F-241:トレーニングは「昨日の自分を超えていく自己確認」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28695996.html
もしも「Nil」「D」「B」が入り込んでいるのなら、ゴールの再確認を!
F-095:私はイヤなことを心の中で握りつぶす vol.2(ワーク付き)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/18456250.html
ゴールがやはりwant toなら、課題(case)はエフィカシーのはず。エフィカシーは「自分のゴール達成能力の自己評価」のこと。それは「ゴール側の臨場感のレベル」と考えることもできます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html
よって、「エンドステートに対する臨場感の問題なのか?」は的確な分析だと思います。
(「エンドステート」こちら↓)
Q-072:不言実行はなぜ大切なのか? 有言実行は本当に間違っているのか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14973460.html
解決(plan)として、“エンドステート/end
state”の手前のイメージの臨場感を上げてみてはいかがでしょう。「化城」(法華経)です。
詳しくは博士の著書「脳と心の洗い方」(フォレスト出版、p127)を参考にされてください。以下、同書からの引用です。
化城の教え
法華経で「化城の教え」というのがあります。わかりやすくいうと、砂漠をキャラバン隊が渡っていくときに、目的地のお城が砂漠のはるか遠くにあるとき、遠くにあって大変だよということを見せないことです。
その辺に見えた蜃気楼で「あそこだよ」というと、皆あわてて走っていく。近づいてみると蜃気楼だった。そしてまた「あれだ」といって走っていくことを繰り返すうちに、城に着いていたというものです。
つまり悟りの世界に行くのに悟りというのははるかに遠いから、悟りへの導き方のひとつの比喩として「化城の教え」というのがあります。
「俺は世界一の大金持ちで、ビル・ゲイツを超えてしまった」
という画を描いても遠すぎます。悟りの世界です。
それではリアリティを体が感じません。でも、マザーズの壇上くらいだったら、26歳で上場に成功した人だっていますから、いけそうに感じるのではないでしょうか。
そうするとマザーズ市場に店頭公開してしまったら、二部を飛ばして一部くらい夢じゃないように感じられるでしょう。そういう具体的なランドマークのイメージを作っていきます。そのイメージと内省的現実とを結びつけるわけです。
「じゃあ俺は店頭公開するときは今着ているこの服を着よう」
とかそういうことです。そのころ、今日こんなことを感じていたということを忘れないようにこの服を着ていこう。それが重要になります。
引用終わり
…博士が重要だと書かれているのは、「トリガー&アンカー」のこと。“エンドステート/end state”の手前のイメージの臨場感を上げるために、トリガー&アンカーづくりをお勧めします。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23944294.html
…以上、私の回答です。
御質問ありがとうございました。
苫米地式コーチング認定コーチ
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