F-306:映画のおもしろさって何だろう? ~Indy 5」の評価が割れた理由を考える~ vol.3;臨場感③>

 

 今夏(2023年)、映画「インディ・ジョーンズ」の第5作(Indiana Jones and the Dial of Destiny)が公開されました。

 第1作「Raiders of the Lost Ark」が公開されたのは1981年。42年分の記憶とともに楽しまれた方も多いのではないでしょうか?

(私の場合、「少年←思春期←学生←医師←コーチ」を濃縮した感覚でした)

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 今作は(前作もw)評価が真っ二つに割れたようです。「最高級におもしろかった」と「とても退屈だった」といった感じに。皆さんはどうでしょう?

 

 ところで、私の元にはこのような御意見が届きました。「子どもの頃は『インディになりたい』と思うくらい好きだったのに、全然楽しめなかった」。

 

 その理由を推測しながら、“おもしろい”について考えてみました。

 Q-281~:ドーパミン分泌をコントロールまたはどの程度分泌されているか

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 vol.1;臨場感① -洗脳を知るうえで必要な三つの概念

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32129073.html

 vol.2;臨場感② -ゴール達成の秘訣

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32179090.html

 vol.3;臨場感③ -「ゴール達成の秘訣」の秘密

 

 

じつは、臨場感を高めるために最も重要なのは、五感ではなく、「記憶」です。

自身の中にある記憶を的確に再構築することができれば、臨場感は格段に高まります。

 Q-235:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.6:記憶が織りなす「一人一宇宙」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27981625.html

 

 最も重要なのは記憶。つまり

 記憶をいかに使うか(作るか)次第!

 

それがゴール達成の秘訣です。

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人間は進化の結果として、ホメオスタシスの能力が物理空間から情報空間にまで拡張しています。

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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

それは「物理的な現実世界のみならず、仮想世界ともホメオスタシスのフィードバック関係を持てる」ということ。それこそが「臨場感」の正体です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 

 以下、苫米地博士の著書「洗脳護身術」(三才ブックス、p35)より引用します。前回引用分のつづきです。「『ゴール達成の秘訣』の秘密」を感じてください。Feel

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三つの概念と洗脳の関係

 それぞれの概念が分かったところで今度は、ホメオスタシスと内部表現の関係を組み合わせて考えてみよう。もともとホメオスタシスとは、外界と生体との情報の応酬である。気温が上がったという情報を全身の神経が認識して、その情報が脳に伝わる。すると脳からは、発汗せよという指令が下り、皮膚で発汗が促されるわけだ。

 これは、脳内では外界の気温が上がったという内部表現の更新と、それに合わせた生体を望ましい状態にするための内部表現の更新によって、その内部表現状態に生体が整合的に発汗するのである。自分自身と外界世界を表現する内部表現と、物理的な外部世界との間で情報状態を常に最新に維持し、生体を安定的な健康状態に保とうとするフィードバック関係が成立しているのである。ここで人間に特徴的な事柄がある。内部表現は、物理的現実世界だけでなく、仮想世界ともフィードバック関係を成立させられるということだ。例えば、映画でビルが爆破されるシーンを見たとき、我々はドキッとする。実際に生体レベルで心臓がドキッとする。また、小説の中の感動的な一節を読んでいると本当に涙が流れてくる。この心臓がドキッとするのも、涙が流れるのも、すべてホメオスタシス現象だ。人間は仮想世界とホメオスタシス関係を持つことができるのだ。

 ちなみに臨場感の強さとは、即ちこのホメオスタシスフィードバック関係の強度である。面白い映画に没入しているときは、強いホメオスタシスフィードバックが内部表現と映画の仮想世界の間で築かれている。だから驚いたときの反応が、生体レベルまで強く出る。これが内部表現とホメオスタシスの関係である。

 脳が進化していない生物の場合は、内部表現は物理的な生体と物理的な外界だけである。従ってホメオスタシスも、この二つの間でしか起こらない。脳が人間レベルにまで進化してくると、内部表現は仮想的な世界や生体の状態を包含できるようになる。そしてホメオスタシスの対象も物理的な現実世界のみならず、仮想的な世界にも持てるようになる。だからこそ、映画や小説の世界に臨場感があるのだ。

 さて、内部表現とホメオスタシスの関係が分かれば、これに変性意識との関係を加えてみよう。変性意識状態とは、内部表現のホメオスタシスフィードバックの対象が、物理的な現実世界よりも、仮想世界の方に強くなっている状態と考えられる。とはいっても、物理的な現実世界とのホメオスタシスフィードバックがなくなることはない。さもなければ呼吸や心臓は止まり、生きていることができない。

 人間の特徴として、ホメオスタシスフィードバックは、同時に複数の世界を持つことができる。その中で物理的な現実世界よりも、映画や小説、ゲームの世界とのフィードバックが強い状態が変性意識状態なのである。立っていられない程、現実世界とのフィードバックが弱まり、仮想世界の臨場感が遥かに強大になる……トランス状態となるわけだ。

 では、これら三つの概念は洗脳とどう関係があるのだろうか?

 洗脳された状態とは、何らかの手法で生成された変性意識状態によって、洗脳者が築き上げた仮想世界とのホメオスタシスフィードバックが、現実世界よりも強くなってしまった状態である。そして、洗脳の怖いところは、その状態がホメオスタシスの力により、生体のレベルまで深くかかわっている点である。無理に洗脳を解こうとすると、呼吸困難になったり、意識を失ったり、悪寒がしたり、吐き気を催すのはこれが理由である。

 また、仮想世界に臨場感が特に強いときは、超常的ともいえる色々な生体現象までもが起き得る。例えば、キリスト教を強く信じる人の手から血が流れ出す、いわゆる聖痕現象などがそうだ。これはキリスト教世界の強い臨場感が、強烈なホメオスタシス作用によって生態情報を書き換えていることで説明できる。長時間の瞑想などで光を見るという幻想などについても、変性意識、内部表現、ホメオスタシスの関係と、人間の脳内でのフィードバック空間が、物理レベルから仮想レベルまで広がっているということで理解できる。

 ところで、変性意識の代表的な方法論である催眠現象は、術者が発する言語などの暗示が、一時的な内部表現への書き込みとなることで理解できる。例えば、変性意識が生成された後に「右手が挙がります」と術者からいわれると、変性意識の関係で臨場感は術者の言葉で生み出された仮想世界に強くなる。そしてホメオスタシスフィードバックもそちらに強化されているので、「右手が挙がる」という情報が内部表現に書き込まれれば、生体は内部表現の更新との整合性から、ホメオスタシスの影響により右手を挙げた状態に持っていくしかないのである。

 催眠の場合は、言語の暗示が中心であり、これに対する反応性に個人差があるので、催眠感受性が高い人と低い人に分かれるが、現代的な洗脳は、あらゆる技術で変性意識を生成し、また仮想世界を構築する。内部表現が仮想世界まで広がり、ホメオスタシスフィードバックループが仮想世界まで広がっている以上、洗脳者の技術が優れていれば、我々は誰も洗脳から逃れることができないのである。

 引用終わり

 

 

 洗脳された状態とは、何らかの手法で生成された変性意識状態によって、洗脳者が築き上げた仮想世界とのホメオスタシスフィードバックが、現実世界よりも強くなってしまった状態である

 

 これをコーチングに置き換えると、「ゴールが達成される状態とは、コーチとクライアントの関係性により生成された変性意識状態によって、クライアント自ら築き上げたゴールの世界(w1)とのホメオスタシスフィードバックが、現状の自我(w)よりも強くなった状態」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 *「ww1」についてはこちら↓

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 それをプリンシプル化したものが「夢をかなえる方程式 I×V=R」。「I」はイメージ(またはイマジネーション)、「V」は臨場感(Vividness)、そして「R」は現実(Realty)です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

「ゴールの世界の臨場感を高めて、ゴールを実現(現実化)する」ためには、ちょっとしたコツが必要。そのコツとは「ゴール達成の秘訣」の秘密。それは

 

「ゴールの世界」を、未来としてではなく、“今”として臨場感を高める

 

 その感覚を磨くのに映画鑑賞がとても役に立ちます。守秘義務ギリギリで表現すると、ポイントは「映画を観ているときの『私』の意識状態」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 その「『私』の意識状態」とは

 (この続きは次回に。待てない方はこちらw↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

F-307につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

記憶をいかに使うか(作るか)次第!

それがゴール達成の秘訣です

  

 「記憶」に関係するオタクネタを、今回もw

 「Indy 5」の原題は「Indiana Jones and the Dial of Destiny」。「運命のダイヤル」と訳されたアイテム(the Dial of Destiny)のことを、劇中では“アンティキティラ”と呼んでいました。

 その“アンティキティラ”は、じつは、「アンティキティラ島の機械」として実在しています。


  

アンティキティラ島の機械(Wikipedia)

Wikipediaより引用

アンティキティラ島の機械 - Wikipedia

 

 

 古代のコンピューターとも呼ばれる「アンティキティラ島の機械」が製作されたのは、およそ2100年前。青銅の歯車が複雑に組みあわされた装置を、古代ギリシャ人がどのように開発したかは、いまだに謎なのだそうです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 科学学術雑誌「Nature」(200611月)によると、高分解能X線断層撮影により判読可能な文字数が倍増した結果、機械に刻まれた文には天文学、機械学、地理学の項目に分かれたマニュアルが含まれていることが判明。天体の位置を予測するためのアナログ天文計算機もしくは太陽系儀であることが裏付けられたそうです。

 その後も(Nature20087月)、装置は4分割され、1区画が1年で、全体として4年周期を示す表示板があることが明らかになりました。おそらく2年もしくは4年周期の競技祭典を表していると考えられています。

 研究者たちは、「アンティキティラ島の機械」はシラクサ人によりデザインされ、アルキメデス(都市国家 シラクサで生まれた数学者)の功績に由来しているものと考えているそうです。

 そう、アルキメデス(Archimedes、紀元前287~212年)!

 

 

シラクサのアルキメデス(wikipedia)

ドメニコ・フェッティ1620年画

Archimedes Thoughtful

Wikipediaより引用

アルキメデス - Wikipedia

 

 

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