F-304:映画のおもしろさって何だろう? ~Indy 5」の評価が割れた理由を考える~ vol.1;臨場感①>

 

 今夏(2023年)、映画「インディ・ジョーンズ」の第5作(Indiana Jones and the Dial of Destiny)が公開されました。

 第1作「Raiders of the Lost Ark」が公開されたのは1981年。42年分の記憶とともに楽しまれた方も多いのではないでしょうか?

(私の場合、「少年←思春期←学生←医師←コーチ」を濃縮した感覚でした)

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 今作は(前作もw)評価が真っ二つに割れたようです。「最高級におもしろかった」と「とても退屈だった」といった感じに。皆さんはどうでしょう?

 

 ところで、私の元にはこのような御意見が届きました。「子どもの頃は『インディになりたい』と思うくらい好きだったのに、全然楽しめなかった」。

 

 その理由を推測しながら、“おもしろい”について考えてみました。

 Q-281~:ドーパミン分泌をコントロールまたはどの程度分泌されているか

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 vol.1;臨場感① -洗脳を知るうえで必要な三つの概念

 

 

映画はなぜおもしろいのだろう?

 

 まず浮かんだワードは「臨場感」。

臨場感についてしっかり理解するためには、3つの概念(ゲシュタルト)を理解する必要があります。「変性意識」「内部表現」、そして「ホメオスタシス」です。

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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

これら3つを統合すると、「臨場感」というゲシュタルトの臨場感が高まりますw

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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

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 以下、苫米地博士の著書「洗脳護身術」(三才ブックス、p29)より引用します。

 

 

洗脳を知るうえで必要な三つの概念

 そもそも洗脳とは、認知科学的にはどういった状態を指すのだろうか?

 洗脳を理解するためには、次の三つの概念を理解する必要がある。

 

 変性意識

 内部表現

 ホメオスタシス

 

 まずは変性意識から説明しよう。一般的に、洗脳された人間は精神が浮遊した状態であるといわれており、実際に視点が定まらなかったりする。ここでのキーワードが、変性意識である。

 変性意識(Altered States of Consciousness)とは、臨場感を感じている世界が物理的な世界ではなく、映画や小説といった仮想世界にある状態を指す。もちろん、現実世界の臨場感が全くなくなることはないので、現実世界よりも仮想世界の臨場感がより強い状態というべきだろう。映画を見ているときや、夢の中を漂っているときなどがそうだ。催眠状態も変性意識状態の一つである。この意識の変性度の高い状態が、一般にトランス状態といわれている。

 カルトに洗脳された状態では、カルトによって作り上げられた仮想世界に臨場感が強くなっている。例えば、両親の顔が悪魔に見えたりする。これは幻覚なのだが、変性意識状態では催眠による幻覚の例が顕著なように、現実世界と同じ臨場感で幻覚を見る。夢と同様だ。ただ、本人はそれを幻覚と意識できず、現実世界と認識しているのが洗脳のやっかいなところだ。映画で作り出された変性意識状態は、映画を見終わって映画館から退出すれば、自然と抜け出すことができる。しかし洗脳の場合、この状態が長期間継続するように仕掛けられている。

 洗脳には必ず変性意識が介入している。これは洗脳状態が「本来の物理的現実世界とは異なる、カルトなどの洗脳者によって築き上げられた仮想世界に臨場感が継続している状態」にあるから当然のことである。宗教的体験としてよく耳にする神秘体験も、変性意識状態での出来事だ。変性意識は、催眠や薬物のみならず、過呼吸や睡眠の剥奪、長時間の集中や単調な運動でも容易に生成される。瞑想や長時間の念仏などで光を見たり、仏を見たりするのは、変性意識下での幻視である。宗教は広い意味でとらえれば、洗脳の一種といえるので、変性意識が介在していてもおかしくない。

 ここで前もって述べておくが、本書は宗教などで利用される変性意識下での幻覚体験を否定的にとらえているわけではない。むしろ、この変性意識下のイメージを自己解放と自我の強化に用いることを積極的に評価している。ただし、この変性意識が洗脳者に利用されれば、自力ではその仮想世界から永遠に抜け出せないので、その点を危惧しているのである。

 引用終わり(この続きは次回引用します)

 

 

変性意識(Altered States of Consciousness)とは、臨場感を感じている世界が物理的な世界ではなく、映画や小説といった仮想世界にある状態を指す

 

認知科学(cognitive science)以前のモデルは、「『物理的現実世界』があり、それに対し『仮想現実(virtual reality)』がある」というもの。認知科学以降は「いま自分が臨場感を感じている世界がリアリティ」。

この認知科学の知見をプリンシプル化したものが「I×V=R」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 「全然楽しめなかった」のは、臨場感が物理的現実世界から切り離されず、映画の仮想世界に移行しきれなかったからかもしれません。

簡単にいうと、「変性意識化が浅かった」。その理由として多いのは“リラックス不足”です。

 F-217:不安と不満のはざまで1st. Step;「どうせ私なんか」と思った時は

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27570183.html

 

私自身は“十分なリラックスを伴う変性意識化”を防ぐ要因として、「恐怖(Fear)」「義務感(Obligation)」「罪悪感(Guilty)」に気をつけています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13523715.html

 

 

繰り返しますが、認知科学以降は「いま自分が臨場感を感じている世界がリアリティ」です。それまでの「構造主義」「行動科学」「実験心理学」とは異なり、認知科学では人間を内部表現(IRInternal Representation)としてみて、「内部表現を変えることで(入力を変えることなく)出力が変化する」と考えます。

F-176:“幸福(well-being)”とは? ~「antiwithwellpart-1;ゴールが幸福を定義する

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25101418.html

 

それは「内部表現での何らかの情報処理が、言動などの出力を決める」ということ。よって、マインドを変えると自然に行動が変わることになります。

 F-032:ある医師の勇気に触れて学んだこと ~○○○→思考→言葉→行動→習慣→性格→運命→○○→~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9366814.html

 

 じつは、出力だけではなく、入力そのものがマインドでの情報処理により決まっています。マインドの働きをシンプルに「認識⇔理解⇔評価⇔判断」と考えると、最初の「認識」から書き換わっていきます。

 F-110~:情報が書き換わると現実が変わる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_386190.html

 

 つまり、「おもしろい映画が先にあり、それを観て『おもしろい』と感じる」ということではなく、「『おもしろい』というリアルタイムの情報処理が、おもしろい映画を生みだす」ということ。ダイナミックかつ双方向的に。

 Q-204~:「縁起」と「因果」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_413308.html

 

内部表現とは、このダイナミックかつ双方向的な情報処理のこと。その本質は「空(くう)」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

認知科学の大前提はファンクショナリズム(functionalism)です。しかしながら、人間のファンクションは、あらかじめあるものではなく、その瞬間瞬間に生成されるもの(空)。

それゆえ、「認知科学の枠組みでは、現在しかない人間の記憶をシステム化することは不可能」(by 苫米地博士、「Dr.苫米地の『脳力』の使い方」)なのです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

 

Dr.苫米地の「脳力」の使い方

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 この「人には現在しかない」という考え方は、仏教の教えの中にも存在しています。人どころか、宇宙まで含めて、「今作られ(刹那生)、今消える(刹那滅)」。その「生」と「滅」を生みだす力が「縁起」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 「おもしろい映画」は、作り手だけではなく観客までも含めた、巨大でダイナミックな縁起の結実だといえます。

 F-034~:「何もないところからレンブラントを発見」は正しい?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_268332.html

 

F-305につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記1

今作は(前作もw)評価が真っ二つに割れたようです。「最高級におもしろかった」と「とても退屈だった」といった感じに。皆さんはどうでしょう?

 

 「スター・ウォーズ」の続3部作(中でもEpisode 8)も評価が割れました。とくに観客と評論家の間で。その理由を考えてみました↓

 F-014:「THE LAST JEDI」評 ~ネタバレなしversion~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542066.html

 

 

-追記2

つまり、「おもしろい映画が先にあり、それを観て『おもしろい』と感じる」ということではなく、「『おもしろい』というリアルタイムの情報処理が、おもしろい映画を生みだす」ということ。ダイナミックかつ双方向的に

 

 映画だけではなく、すべてにあてはまります。情報空間から物理空間まで、すべてマインド次第です。

(注:物理も情報。物理空間は情報空間の一部です)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 例えば、お酒。おいしい酒が先にあり、それを飲んで「おいしい」と感じるだけではなく、「おいしい」というリアルタイムの情報処理が、おいしい酒を生みだします。

祝勝会といった状況や酒を飲む仲間との関係性が、「おいしい酒」という存在を生みだすということです。ダイナミックかつ双方向的に。

 F-076Ya Ya(あの時代を忘れない)

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そういえば、たまに「体調をチェックするためにお酒を飲む」という方がいらっしゃいますが、その飲み方は「T」ですw

F-095:私はイヤなことは心の中で握りつぶす vol.2(ワーク付き)

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-告知1

今年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)。詳細はまもなく告知いたします。お楽しみに。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

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