Q-329:最近「記憶が抜ける」ようなことが続いています <vol.4;自己イメージと臨場感世界は双方向性を持った縁起>
御相談をいただきました。ありがとうございます。
(変更を加えています)
Q:私は以前から心療内科を定期通院しています。欠かさずに内服を継続しており、とくに調子は変わらないのですが、最近「記憶が抜ける」ようなことが続いています。
主治医に相談してもとくに助言はなく、精神科を受診しても「心配ない」と言われました。
先日は車を運転している間の記憶がなく、気が付いたらまったく知らない場所に停車していました。同乗者には「急にしゃべらなくなって心配した」と言われました。私は治りますか?
私は精神科医ではありませんが、医師兼コーチの立場でアドバイスさせていただきます。現代医療を否定したいのではなく、包摂する意図であることをご理解ください。
(「包摂」はこちら↓)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
vol.1;感情が起こるメカニズム -前編-
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31854899.html
vol.2;感情が起こるメカニズム -後編-
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31891038.html
vol.3;ソフトウェアとハードウェア
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31906669.html
vol.4;自己イメージと臨場感世界は双方向性を持った縁起
A4:今回の御相談は「『記憶が抜ける』ようなことが続いています。私は治りますか?」。
この発言の根底には不安が存在しています。それは当然のことではありますが、その不安が恐怖に変わり暴走すると「fight or flight」に陥ります。
「fight or flight」がコンフォートゾーン化してしまったなら、なかなか「記憶が抜ける」は改善しないでしょう。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html
ちなみに、米国CDC(Centers
for Disease Control and Prevention)が公表している「危機に瀕したときの行動(Negative
Behavior)」は、1)不必要な対処を求める、2)特別な関係に依存する、3)不必要に商業取引と渡航を制限する、4)複数の医学的に説明のつかない身体症状があらわれる。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html
その対策として、私がいつも意識に上げているのが「文脈情報」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html
関連する情報を統合していくことで、恐怖体験を知的かつ合目的的体験に変えていくことができます。その理由はこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html
御相談に対して、私がまず「感情が起こるメカニズム」から解説した理由を感じていただけたでしょうか?
次に取り上げたのが、「『心(の状態)』と『身体』は同じ」という知識。「心と体」でひとつであり、「心」「体」は同じものの抽象度の違いです。
L-003~4:2020年1月シークレットレクチャー -03~4;身体と心は〇〇〇〇
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24575354.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24617501.html
今回も新たな文脈情報を提供します。キーワードは「二重人格」です。
ところで、催眠術を体験したことがありますかw?
前々回(Q-327)、「『感情』の解剖図鑑」から引用した中に、「催眠術師が実際には痛くないのに痛みを、悲しくないのに悲しみを生み出すことができるのも、そのためです」という文章がありました。
「そのため」とは、「臨場感が高ければ、脳にとっては同じ」「全情報は脳内で生み出されている」という事実のこと。その事実をプリンシプル化したものが「夢をかなえる方程式
I×V=R」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html
初回(Q-326)にブリーフシステム(BS、Belief System)を取り上げました。ブリーフ(信念)とは、自分を含む世界の地図であり、内部表現のこと。場所だけでなく自分の記憶も色濃く影響している「自我そのもののマップ」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html
ちょっとアレンジすると、「自我そのもののマップ」=世界(R)は自己イメージ(I)と臨場感世界(V)でつくられている
…その「自己イメージ」と「臨場感世界」は、双方向性を持った縁起。自己イメージは、つねに「自分が感じている臨場感世界」で認識しています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
例えば、ゴールの世界の臨場感が高ければ、ゴールを達成する自己イメージが生まれ、その自己イメージがゴールの世界の臨場感をさらに高めていきます。もしもゴールの世界の臨場感が崩れたなら、ゴールなんて実現できっこないというセルフイメージに陥り、臨場感がさらに低下していきます。
F-070:「夢をかなえる方程式 I×V=R」のとおり、本当に夢が現実化した一例
~映画「メジャーリーグ」~
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/15096276.html
それがゴールとエフィカシーの関係。コーチングの肝であるゴール&エフィカシーも「双方向性を持った縁起」だといえます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html
そのゴール&エフィカシーはすべて、人の内面である心の話です。心の変化を傍から見ると、(臨場感世界の変化のたびに)まるで人格が変わってしまったかのように感じられます。OKですよね?
では、大事な話を。
「まるで人格が変わってしまった」とまわりが感じるときは、本当に人格が変わっています。なぜなら、人格とは自己イメージ=BSのことであり、ゴールの世界の臨場感が高いときと低いときではBSの基となる記憶が違うからです。
ゴールの世界の臨場感が高いときは「“現状の外”の未来の記憶」に基づいていて、ゴールの世界の臨場感が崩れたときは「過去の記憶が生みだす現状(SQ)」に囚われています。
Q-137:問題が生じたゴールへの向き合い方 -02
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22312817.html
催眠を体験した被験者が催眠中の出来事をまるで憶えていないことがあるのは、「自我そのもののマップ」、すなわち“双方向性を持った「自己イメージ」と「臨場感世界」”がダイナミックに変化するからです(ハズ)。
Q-235:「財布を娘に盗られた」といった… <vol.6:記憶が織りなす「一人一宇宙」>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27981625.html
以下、苫米地博士の著書「バイリンガルは二重人格」(フォレスト出版、p42)から引用します。「バイリンガルが日本語をしゃべっているときと英語をしゃべっているときで性格が違うのは、先にも述べたように、英語を話しているときの記憶と日本語を話しているときの記憶が違うからです」「それぞれの記憶は独立していますから、そのときにつくりあげた自己イメージがそれぞれ異なっていて当然です」につづく文章です。
二重人格の正体
催眠でも、同じことがいえます。
物理レベルの海馬の信号処理に直接的な介入をしなくても、より抽象度の高い高次脳レベルの情報処理で自己イメージをつくりあげると、あたかもそういうふうに海馬が働いているかのように記憶が分かれるからです。
そのメカニズムは完全にはわかっていませんが、おそらく催眠によって海馬に逆向きの影響を与えているのではないかと思います。
このように考えると、バイリンガルは二重人格であるといったときの、二重人格の正体がわかってきます。
要するに、基本は記憶です。
それぞれどちらの言語をしゃべっているかによって、バイリンガルの人は記憶が違います。
たとえば、子どものころにアメリカで過ごした体験と、その後の日本での体験は、かかわり方もかかわる人もまるで異なり、そのときにつくられた自己イメージも違います。発話状況というものは明らかに情動に影響を与えますから、自己イメージが変われば人格が変わるのは当たり前のことです。
とはいえ、記憶していることがすべて英語と日本語によってきれいに分離されているかといえば、そうではありません。
先に述べたように、英語で読んだり書いたりしたことを日本語モードのときに思い出すことも、その逆もあります。
とすれば、英語をしゃべっていたときの記憶によって感じる臨場感世界が英語人格をつくりだし、日本語をしゃべっていたときの記憶によって感じる臨場感世界が日本語人格をつくり出しているということです。
記憶と臨場感世界、これがバイリンガルの本質です。この高次脳のレベルで、バイリンガルの二重人格が生み出されているわけです。
催眠で擬似的なバイリンガルがつくれるのは、催眠により現実世界と異なる仮想世界に臨場感を持つことにより、その世界を構成すべき記憶が強制的に引き出されるからと考えられます。
私たちのリアリティは、記憶を用いて認識されるのです。
引用終わり
…「自己イメージ」と「臨場感世界」と「自我そのもののマップ」=世界観の関係はクリアでしょうか?
重要なので今回も書きますが、だからこそ「巨大な世界観を構築する」ことが重要!
“巨大な世界観”の体感が「calling」で、具体化したものが「cause」です↓
F-293:今日1日だけは、憧れるのはやめましょうvol.6;リーダーシップの本質
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31524022.html
(Q-330につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記1-
関連する情報を統合していくことで、恐怖体験を知的かつ合目的的体験に変えていくことができます
…合目的的体験に変えていくためには、当たり前ですが、ゴールが必要。早速ゴール設定を!
Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html
Goal comes 1st.です。
Q-030:「ゴールが先、認識が後」とは?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8583393.html
-追記2-
「情報と知識の違い」や「文脈情報」について、スッキリしない場合はこちらをどうぞ↓
L-103:2021年8月シークレットレクチャー
-05;知らないことを見える化する
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31263124.html
-告知1-
今年度のオンラインセミナー開催は2回の予定です。詳細はあらためて告知いたします。
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
-関連記事-
PMⅠ-02-16:空観、仮観、中観
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html
F-175:脳内を書き換えると「環境」が変わる
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25046274.html
F-110~:情報が書き換わると現実が変わる
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_386190.html
Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html
Kindle版はこちら↓
Amazon.co.jp:
バイリンガルは二重人格 Forest2545新書 eBook : 苫米地英人: 本
コメント