Q-327:最近「記憶が抜ける」ようなことが続いています <vol.2;感情が起こるメカニズム -後編->
御相談をいただきました。ありがとうございます。
(変更を加えています)
Q:私は以前から心療内科を定期通院しています。欠かさずに内服を継続しており、とくに調子は変わらないのですが、最近「記憶が抜ける」ようなことが続いています。
主治医に相談してもとくに助言はなく、精神科を受診しても「心配ない」と言われました。
先日は車を運転している間の記憶がなく、気が付いたらまったく知らない場所に停車していました。同乗者には「急にしゃべらなくなって心配した」と言われました。私は治りますか?
私は精神科医ではありませんが、医師兼コーチの立場でアドバイスさせていただきます。現代医療を否定するのではなく、包摂する意図であることをご理解ください。
F-265:不満と傲慢のはざまで苦しんでいる君へ <vol.9;“初心”とは?>
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*「包摂」はこちら↓
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vol.1;感情が起こるメカニズム -前編-
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vol.2;感情が起こるメカニズム -後編-
A2:前回(Q-326)に引き続き、苫米地博士の著書「『感情』の解剖図鑑」(誠文堂新光社)の中から、「感情が起こるメカニズム」(p12)を引用し(青字)、解説を加えます。
なぜ「感情が起こるメカニズム」なのか?
…私の意図を汲みながら、読み進めてください。Feel!
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感情が起こるメカニズム(前回引用分のつづき)
次に情報処理のプロセスを追っていきましょう。多くの場合、感情には脳の古い部分(大脳辺縁系)の扁桃体と、それにくっついている海馬が深く関わっています。
海馬は、数時間から数日の短期記憶の一時保存を行うと同時に、側頭葉に入っている長期記憶の出し入れのゲートの役割を果たしています。外から入ってきた情報と記憶の照らし合わせにも、海馬が関わっています。
扁桃体には、海馬に働きかけ、それが出し入れする記憶を増幅させたり弱めたりする機能があり、脳内のあらゆる部位とやりとりをし、情動処理の中心的役割を担っています。
…海馬は1)短期記憶の一時保存と2)長期記憶の出し入れのゲートの役割。その出し入れの“ボリューム調整”が扁桃体の機能です。海馬は扁桃体と一体となって働きます。
記憶に関わる海馬の細胞は、じつは、ストレスによって壊れていきます。強いストレス →副腎皮質からコルチゾール分泌 →海馬の細胞破壊という機序で。
心の傷(ストレス)が脳の傷(細胞破壊)に変わるというのは、現代の医学研究で明らかになりつつある科学的事実です。
F-037:「もうおねがい ゆるしてください」 ~心の傷はやがて脳の傷になってしまうという科学的事実~
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目や耳などを通して脳内に入ってきた情報は、海馬によって側頭葉の記憶と照らし合わされます。このとき、情報はなにも物理的にリアルなものである必要はありません。映画や小説のストーリーでも、頭の中で想像したことでも、現実に起こったことと変わらないくらい臨場感が高ければ、脳にとっては同じなのです。催眠術師が実際には痛くないのに痛みを、悲しくないのに悲しみを生み出すことができるのも、そのためです。きっかけは外にあるかもしれませんが、全情報は脳内で生み出されています。
…そもそも物理と情報は「脳にとっては同じ」。物理(次元)とは、情報(次元)の一部にすぎません。抽象度という軸をとった場合の情報空間の底面が物理空間です。
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「全情報は脳内で生み出される」 …その鍵は臨場感!
強い臨場感(V)が、イメージ(I)をリアル(R)に変えます。それをプリンシプル化したものが、「夢をかなえる方程式
I×V=R」です。
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繰り返しますが、鍵は臨場感です。その臨場感を自在にコントロールするトレーニングとして、私は映画鑑賞を続けていますw↓
F-192:「夢をかなえる方程式 I×V=R」実践の秘訣(ワーク付き)
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側頭葉の記憶と照らし合わされた情報は、プラスもしくはマイナスのものとして処理されます。さらに、視床、腹側被蓋野、島皮質、側坐核、ブリーフシステムが入っている前頭前野と連携して情報が評価され、多種多様な感情が生み出されるのです。情報と自身のブリーフシステムとの差が大きいほど、感情も大きくなり、扁桃体がその感情をさらに増幅させます。
…前回(Q-326)も触れたとおり、「情報と自身のブリーフシステムとの差」が認知的不協和を生みだします。
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不協和そのものはエネルギーであり、創造性の源です。決して悪いものではなく、むしろ意識して生み出すべきものです。
Q-178:家族ががんで治療中です… -02;エネルギーと創造性の源
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ところが、扁桃体によって感情が増幅される過程でコントロールを失うと、エネルギーは破壊的な方向に発散されてしまいます。その代表が「怒り」です。
PMⅠ-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考
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だから、ゴールが重要!
1)心から望み、2)自分中心を捨てながら、3)現状の外に自ら設定したゴールが、もっと正確にいうとゴール達成の臨場感(エフィカシー)が、莫大なエネルギーのレギュレーターです。
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そのプロセスの中で、いくつかの脳内物質が放出されます。悲しければノルアドレナリン系、幸せならドーパミンやセロトニンなど、パターンは基本的に同じです。そして視床下部を通して感情の情報が流れ、身体に影響を及ぼします。たとえばノルアドレナリンは脳内では神経伝達物質と同じ役割をしますが、身体内では内分泌物質として働き、恐怖で顔がひきつったり心臓の鼓動が速くなったりといった、身体反応を起こします。
…「ノルアドレナリン」「ドーパミン」は物理的な存在(物質)であり、「悲しい」「幸せ」は情報的な心の状態です。それらはまったく違うものであり、同時に同じものでもあります。
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「脳」「体」と「心」はまったく違うものであり、同時に同じもの
…それは「脳と心」でひとつということ。「体と心」でひとつのゲシュタルトです。
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ひとつのゲシュタルト
…そのように心から理解できることが、冒頭の「現代医療を包摂する」ことに欠かせません。
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ちなみに、どんな脳内物質が出ようと、セロトニンが最後に必ず出てきます。ですので、どんなに恐怖を味わおうと、悲しみに沈もうと、痛みに悶絶しようと、最後には気持ちが落ち着き、安らぎが訪れるのです。
…「最後には気持ちが落ち着き、安らぎが訪れる」のは紛れもない事実ですが、その「安らぎ」は永続しません。物理的な存在であるセロトニンは、必ず減少していくから。セロトニンが足りなくなると、また“ふりだし”に戻ってしまいます。
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精神科を持つ病院で働いていたとき、定期的に血まみれの状態で運び込まれてくる女性がいました。リストカットを繰り返すからなのですが、その理由は無意識がセロトニンを求めていたからでしょう。それはリストカットがコンフォートゾーン化している状態。
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そんなストレスフルな状態が続くと、海馬の細胞は壊れていきます。頭部MRI検査を行ったなら、海馬はきっと萎縮しているはずです。まるで認知症の老人のように。
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では、どうすればいいのでしょう?
だいぶ簡略化しましたが、感情が起こるメカニズムはおおむね以上のような流れになります。しかし、前述したように、このメカニズム自体は、それほど重要ではありません。大切なのは、感情の「文脈」を理解すること、感情を娯楽として楽しむこと、ゴール達成のために感情をコントロールすることなのです。
…私の答えはゴール設定!
ゴール設定とは、現状とはまったく異なる新たな世界(w1)を創造することです。それは巨大な“全体”を創りあげることともいえます。
F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html
“全体”を創りあげるから、「感情の『文脈』を理解すること」「感情を娯楽として楽しむこと」「ゴール達成のために感情をコントロールすること」ができるようになります。
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その本質は「抽象度を上げる」「抽象度が上がる」こと。それこそが「現代医療を包摂する」ための鍵であり、すべての問題解決=「自我そのもののマップ」を書き換えるための糸口です。
PMⅠ-04-20:超高齢化社会に求められる医療のパラダイムシフト
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(Q-328につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-告知1-
今年度のオンラインセミナー開催は2回の予定です。詳細はあらためて告知いたします。
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
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