Q-326:最近「記憶が抜ける」ようなことが続いています <vol.1;感情が起こるメカニズム -前編-

 

御相談をいただきました。ありがとうございます。

 (変更を加えています)

 

Q:私は以前から心療内科を定期通院しています。欠かさずに内服を継続しており、とくに調子は変わらないのですが、最近「記憶が抜ける」ようなことが続いています。

 主治医に相談してもとくに助言はなく、精神科を受診しても「心配ない」と言われました。

 先日は車を運転している間の記憶がなく、気が付いたらまったく知らない場所に停車していました。同乗者には「急にしゃべらなくなって心配した」と言われました。私は治りますか?

 

 私は精神科医ではありませんが、医師兼コーチの立場でアドバイスさせていただきます。現代医療を否定するのではなく、包摂する意図であることをご理解ください。

 F-265:不満と傲慢のはざまで苦しんでいる君へ <vol.9;“初心”とは?>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30002338.html

 

 *「包摂」はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 vol.1;感情が起こるメカニズム -前編-

 

 

A1:私の師である認知科学者 苫米地英人博士の著書に「『感情』の解剖図鑑」(誠文堂新光社)という本があります。認知科学的な視点やコーチングの観点で「人生を好転させる『感情の使い方』」を伝授されている名著です。

その本から「感情が起こるメカニズム」(p12)を引用し(青字)、解説を加えます。

 

なぜ「感情が起こるメカニズム」なのか?

 

 私の意図を汲みながら、読み進めてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 

感情が起こるメカニズム

 感情はどのように起こるのか。

 まだわかっていないことも多いのですが、基本的には、次のようなプロセスとなります。

 まず、感情が起こるメカニズムを理解するには、ブリーフシステムを理解する必要があります。

 

 感情(情動)の中枢は大脳の中でもより動物的な大脳辺縁系にあります。一方のブリーフシステムは進化した人間の思考を司る前頭前野を中心とするネットワークのこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 通常は前頭前野が大脳辺縁系をコントロールしています。しかし、大脳辺縁系が活性化すると、前頭前野の働きが抑制され、IQが下がり、冷静な思考ができなくなります。「fight or flight」の状態です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 大脳辺縁系が活性化するきっかけ(trigger)の代表が「怒り」。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

 シンプルにまとめると、「自分が攻撃を受けた」と脳が判断 →怒り発生 →扁桃体(大脳辺縁系)により怒り増幅 →視床下部に伝わりノルアドレナリン分泌 →交感神経活性化 →血圧上昇・心拍数増加 とここまでが情報空間の底面である物理次元(身体)中心の話。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 それと同時に情報次元(心)でも、→気分高揚(頭に血がのぼる) →「fightflight」  となります。

 F-246:「ゴール」と「現状の自我」の間にvol.3;高揚(興奮)>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28968302.html

 

 物理次元と情報次元で「同時に」というのは、「体や脳という身体と心はそもそも同じもの」だから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24575354.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24617501.html

 

 「自分が攻撃を受けた」とは、殴る蹴るといった物理的なものだけではありません。心理・精神的な攻撃(悪口や嘘、無視等)や社会的な嫌がらせ(減給や解雇、村八分等)も含みます。苦痛も全抽象度にひろがっているのです。

 L-00620201… -06;「4つの苦痛」(部分)どうしの関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24682654.html

 

 さらにいうと、「攻撃」の内容や程度そのものよりは、“理不尽度”に影響されます。セルフトークにすると「ありえない!」の度合い。

 S-04-06~7:心に深い傷を負う理由

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22746255.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22817135.html

 

 「ありえない!」は認知的不協和の状態です。その不協和に大きく影響するのが世界観。その世界観をつくるのが記憶とブリーフシステムです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 

 私たちの世界観は、側頭葉にある記憶と前頭前野にあるブリーフシステム(認識パターンの組み合わせ)によって成り立っています。ブリーフシステムとは、「自分はこういう人間だ」「世界はこうなっている」という、個々人が強く信じて疑うことのない固定的な思考=信念のことで、さまざまな事象の判断基準となります。「世界を平和にしたい」「弱者を守らなくてはならない」といった社会的にプラスな思考だけでなく、「外国人は異国である日本で差別されて当然」「この世はお金がすべて」といった差別的、自己中心的な思考も信念です。

 

 もともとブリーフシステム自体が過去の記憶でつくられています。具体的には情動を伴った体験の記憶と抽象化された情報の記憶。とくに強い情動記憶は、その人の信念を作り、認識のパターンを作りだします。認識のパターンとは、「何を認識し(RASを通過)、何を認識しないか(スコトーマに隠れる)」。

つまり、目の前の世界そのものがブリーフシステム次第ということです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 繰り返しますが、ブリーフシステム自体が過去の記憶でつくられています。そして、そのブリーフシステムが目の前の世界を生みだします。つまり、昨日までの記憶で今日を生き、過去の延長として明日を迎える 私たちはいつも過去に囚われているのです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 だから、「『自分はこういう人間だ』『世界はこうなっている』という、個々人が強く信じて疑うことのない固定的な思考=信念」はどんどん強化されていきます。自分の中で“絶対化”されていくのです。この世に(あの世にも)完全などないというのに。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

 

 そういった信念は、自分を含む世界の地図であり、内部表現です。場所だけでなく自分の記憶も色濃く影響している、自我そのもののマップといえます。

 

 自分の中で“絶対化”されていく

↑これはとてもまずい状況です。なぜなら、ブリーフシステムが私たちのあらゆる判断や行動を決定しているから。ハビット&アティテュードと呼ばれる無意識下の行動(性向)を制御しているのは、昨日までの記憶で作られたブリーフシステムです。

L-09620217… -08;ブリーフシステムとハビット&アティテュードと抽象度の関係

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30652206.html

 

 それは、まさに「自我そのもののマップ」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 そして、その「自我そのもののマップ」=世界観が目の前の世界を生みだしています。一人一宇宙として。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 その世界の中で「自我そのもののマップ」のままに行動し続けるのは、自由ではなく、「無人運転」。よくて「自動運転」です。

 F-089~:無人運転と自動運転の違い ~シーサイドライン逆走に思う~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_369873.html

 

 だから、極論すれば、すべての問題(課題)とその解決は「自我そのもののマップ」にあります。必ず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

詳しくはこちらでどうぞ↓

 S-04~:さぁ「人間関係の悩みを克服する旅」をはじめよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_397885.html

 

Q-327につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ      

苫米地式認定マスターヒーラー      

 CoacH T(タケハラクニオ)     

 

 

-追記-

 その「自我そのもののマップ」=世界観が目の前の世界を生みだしています

 

 だからこそ、巨大な世界観を構築することが重要!

ついでにいうと、“巨大な世界観”の体感が「calling」で、具体化したものが「cause」です↓

 F-293:今日1日だけは、憧れるのはやめましょうvol.6;リーダーシップの本質

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31524022.html

 

 

-告知1

今年度のオンラインセミナー開催は2回の予定です。詳細はあらためて告知いたします。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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「感情」の解剖図鑑