F-292:今日1日だけは、憧れるのはやめましょう vol.5;超人から超人へと受け継がれるもの

 

 20233月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、日本代表が米国代表を下し3度目の優勝。日本中が感動(&感謝・希望)に包まれました。

 PM-07-02:釈迦が教えてくれること ~3Kを新たな3K

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 私の中のMVPは、やはり大谷選手。中でも一番心が揺さぶられたのは、決勝戦前のこの言葉です↓

 

 

 今日1日だけは、やっぱり憧れてしまったら超えられない。

 僕らは今日超えるために、トップになるために来たので、

 今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう!

 

 

 …WBCを縁にコーチとして考えたことをまとめます。

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 vol.1;アファメーションの秘訣

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 vol.2;超人脳

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 vol.3;「超人脳」獲得への2つのステップ 1)論理を極める

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 vol.4;「超人脳」獲得への2つのステップ 2)論理を超える

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 vol.5;超人から超人へと受け継がれるもの

 

 

 過去2回(フリーテーマ)は、「『超人脳』を獲得し、『超人』に至るための方法」についてまとめました。その「超人」とは、リーダーのことでもあります。人々を現状(SQStatus Quo)の束縛から解放し、新たな世界へと導くリーダーです。

 F-255:イノベーションがうまれるとき <中編;リーダーの資質>

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 「今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう!」は、まさにリーダーの言葉。同じプロフェッショナルだからこそわかる強烈なコンフォートゾーンを超えて、さらなる高みに仲間を導くリーダーの言葉です。

 PM-06-06:仮説01)変わらないコンフォートゾーンが生みだす「現状維持の壁」

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 苫米地博士が挙げられているリーダーの基本条件は 1)情報収集能力、2)同調能力、3)責任能力 の3つ。博士の著書「すごいリーダーは『脳』がちがう」(三才ブックス)にまとめられています。

 F-104:「映写機の故障により上映できるかわかりません」Vol.4;リーダーの視点で

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 そのようなリーダーの資質は「人から人に伝わっていく」もの。大谷選手の場合、リーダーシップを伝えたのはWBC優勝監督である栗山英樹さんでしょう。

大谷選手が北海道日本ハムファイターズに入団した時(2013年)の監督でもある栗山さんは、NPB初となる「二刀流」をドリームキラーから守り続け、見事に才能を開花させました。その過程の中で、きっとリーダーシップの伝授があったはずです。

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 その栗山さんの現役時代の所属先はヤクルトスワローズ。今回のWBCコーチ陣のうち吉井理人さんと城石憲之さん、そして前任の日本代表監督 稲葉篤紀さんもスワローズ出身です。この4人に共通するのが野村克也(1935~2020年)さん。「野村再生工場」と称された、NPB通算1565勝の名監督です。

 F-218:不安と不満のはざまで苦しんでいる君へ <2nd. Step;絶対大丈夫!>

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 野村さんの代名詞といえば「ID野球」。「ID」とは「Import Data」のことで、「経験や勘に頼ることなく、データを駆使して科学的に進めていく」というもの。つまり、野村さんは野球の世界にロジックを持ち込んだといえます。

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 もっと苫米地式に寄せて表現すると、「野球を物理空間から高次の情報空間に拡張した」。

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

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 「高次」とは、もちろん、「抽象度が高い」という意味。

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 野村さんの著書を読むと、目先の1勝のためではなく、選手が野球を引退した後のことまで考えていたことが読み取れます。つまり、人生という視点で指導していたということ。

 その抽象度の高さが「1)情報収集能力」の鍵となります。

 F-254:イノベーションがうまれるとき <前編;視点>

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 野村さんの指導は、グラウンド以外でも行われました。長時間に及ぶミーティングです。ミーティングの目的は情報の伝達と知識化、そして知識の共有だったはず。

一言でいうと“学習”。シンの学習(教育)こそが「2)同調能力」の土台となります。

PM-05-06~8:そもそも教育とは?-3)学習を促進する

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9367702.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9533528.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9533623.html

 

*「情報」と「知識」の違いはこちら↓

L-10320218月シークレットレクチャー -05;知らないことを見える化する

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31263124.html

 

 さらに巧妙だったのはマスメディアの使い方です。全体ミーティングには十分に時間をかけていた野村さんですが、個別の指導はあまり行わなかったといいます。

選手に直接アドバイスするのではなく、マスメディアの報道を介して間接的に伝えることで、選手自身の思考を促したのでしょう。内省言語の生成を通じて、選手たちは自然に「2)同調能力」を鍛えられたはずです。

L-07920213月シークレットレクチャー -02;内省言語を発生させる

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30021884.html

 

 その「2)同調能力」により、野村さん自身の「3)責任能力」が選手たちに受け継がれたはず。

野村さんがよく口にしていた言葉に、「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」というものがあります。その言葉には「負けた時はしっかり原因を究明し(case-side)、必ず対処する(plan-side)」という覚悟が感じられます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 おそらくその言葉は、負けを選手のパフォーマンスのせい(他責)にするのではなく、あくまで監督としての自身の機能・役割の課題(自責)と戒める言葉だったのでしょう。

 S-04-05:自責の意味

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22669112.html

 

 師から弟子へと受け継がれるリーダーシップ

 それが今回のWBC期間中に、私が最も強く感じたものです。

 

では、そのリーダーシップの本質とは何なのでしょう?

 

F-293につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

 大谷選手が北海道日本ハムファイターズに入団した時(2013年)の監督でもある栗山さんは、NPB初となる「二刀流」をドリームキラーから守り続け、見事に才能を開花させました

 

 じつは、プロ入り時(2013年)に大谷選手が「二刀流挑戦」を明言したとき、大反対していたのが野村さんでした。「二刀流? ふざけるな」「一刀流だけでも大変なのに、プロ野球をなめるな」「俺が日ハムの監督で使うなら間違いなくピッチャー」など、苦言を連発していたことが報じられています。

 ところが2016年のシーズン後(投手:10/防御率1.86、打者:打率.322/22本塁打/67打点)、野村さんは公の場で深く頭を下げて謝罪しました。「取り消し!彼のプレーを見て、考え方を改めさせられました」「もう自信を無くした。自分の見る目とかいうことは信用していたから、(発言を)撤回することはほとんどない。今回だけは、撤回させていただきます。大谷さん、すいませんでした」

 そして2018年、MLBに挑戦する大谷選手に対して、このようなメッセージを送っています。「大谷、神の子、不思議の子 後輩たちのより良い見本たれ

 

 

 リーダーの基本条件は 1)情報収集能力、2)同調能力、3)責任能力

 それらはアプリオリにあるものではなく、日々の生活の中で磨きあげられていくもの

もちろん過ちや失敗はあるが、真摯に向き合い再び立ち上がった先に新たな世界がひろがっていく

 

 そんな生き様=リーダーシップが受け継がれていくことを、郷土の先輩の姿に重ねながら思い巡らしました。

 F-052~:人は、己に克つを以って成り、己を愛するを以って敗るる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_268337.html

 

 

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今年度のオンラインセミナー開催は2回の予定です。詳細はあらためて告知いたします。

 

 

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

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PM-06-17:仮説12)リーダー、マネジメント、コーチの役割と抽象度の関係

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