F-282:「社会が変わってしまう」~あるワクチンの話~
<後編;希望>
すべての国民にとっても、家族観や価値観や、そして社会が変わってしまう。こうした課題です。
…これは国会で「同性婚をなぜ認めないのか?」と質問された際の岸田文雄首相の発言です(2023年2月1日)。このコメントを聞きながら、私は「社会が変わってしまう」ことに対する首相自身の危機感や嫌悪感を感じました。コーチング関連用語でいうと「認知的不協和」でしょうか。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html
医療従事者でもある私の立場でいうと、社会はとっくに変わってしまっています。しかもダイナミックかつシビアに。
<前編;疑心暗鬼>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30879191.html
<後編;希望>
「破傷風(はしょうふう、tetanus)」という病気を御存知でしょうか?
…破傷風は「破傷風菌によって発症する感染症」のこと。
破傷風菌はありふれた菌で、世界中の土壌にひろく分布しています。通常は釘を踏み抜くなど体の深部におよぶケガがきっかけとなりますが、庭木の手入れ中の浅い切り傷が原因となって発症することもあります。
じつは、日本は破傷風が多く、今でも発症率は米国の9倍、EUの4倍もあります。
ちなみに、破傷風菌の純粋培養に成功したのは北里柴三郎さん(&エミール・フォン・ベーリング氏、1889年)。翌年(明治23年)には初の血清療法が開発されています。血清療法とは「毒素を無毒化・弱毒化した上で動物に注射し、作られた毒素に対する抗体を治療や予防に用いる方法」のことです。
Wikipediaより引用
傷口から入った破傷風菌は毒素(神経毒)を産生し、様々な神経を侵します。多くは「口が開きにくい」「顎が疲れる」といった症状からはじまり、やがて筋肉に及ぶと歩行や排泄がうまくできなくなっていきます。その後、筋硬直やけいれんが起こるようになり、呼吸筋が侵されると死に至ります。
国内の報告によると、破傷風で入院した患者さんの53.5%が人工呼吸管理を必要とし、6.8%が亡くなっているそう。2018年の死者数は134人です(国立感染研究所調べ)。
*厚労省「破傷風」サイトはこちら↓
日本での人口10万人あたりの死亡数は2.84(1947年)→0.98(1955年)→0.1未満(1982年)と改善しました。大きな転機は1968年に破傷風ワクチン(正確には「毒素をホルマリンで無毒化したトキソイド」)の定期接種がはじまったこと。単独のワクチンの他に、百日咳ワクチン・ジフテリアトキソイド・不活化ポリオワクチンと組み合わせた4種混合ワクチンや、ジフテリアトキソイドとの2種混合ワクチンとして接種が行われています。
ただし、日本の場合は乳児期の1期(生後3ヶ月~12カ月に3回+~18カ月の追加接種1回)と2期(11~12歳に1回接種)のみ。それに対して、米国では3種混合ワクチン(破傷風・百日咳・ジフテリア)の初回接種から10年後に3種混合を1回、さらにその10年後に2種混合(破傷風・ジフテリア)を1回追加接種することになっています(data)。
その予防接種の違いが、日本が米国より9倍も発症しやすい主因であるはず(warrant)。
つまり、ワクチンは有効であり、とても重要です(claim)。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html
これまでワクチンは多くの命を救ってきました。
それゆえ、コロナ(&“ワクチン”)禍をきっかけに前頭前野での抽象化が行われ、「ワクチン全部が信じられない」「医療が信じられない」という社会に変わってしまうことを案じています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
ところで、最初のワクチンは何か御存知ですか?
驚くことに、細菌やウイルスの存在が明らかになる前に、人類史上初の「天然痘ワクチン」が実用化されました。なんと今から200年以上も前(1800年前後、日本は江戸時代)のことです。
後に「天然痘(てんねんとう、variola smallpox)」と命名された病気の存在は紀元前から知られていたそうです。日本では「疱瘡」という表現が平安時代、「痘瘡」が室町時代の書物にあり、1830年の大村藩(長崎県)の文書に「天然痘」という病名が記載されているそう。
しかしながら、当時はその原因であるウイルスのことも、予防や治療についてもまったくわかっていませんでした。
MCU 30作目「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」で言及されていた(←オタク向けw)アステカや「マチュ・ピチュ」で有名なインカ帝国の滅亡の原因は、ヨーロッパから持ち込まれた天然痘だったといわれています。1500年代初頭のことです。
そのヨーロッパでは、3人に1人が亡くなるといった大流行が繰り返し起こっていました。
成す術がなかった人類ですが、古くからあることに気付いていました(=スコトーマが外れていた)。それは…
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天然痘から回復した人は二度と天然痘にかからない
…その経験(仮説)から「人痘接種」と呼ばれる予防法が行なわれていました(対策)。天然痘患者の皮疹から膿(うみ)を抜き取り、それを健常者の傷口から体内に入れるという方法です。
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原因であるウイルスのことも、人体の仕組みもまだよくわからなかった時代の話です。膿を抜き取る人も、人痘接種を受ける人も、命懸けだったはず。
それなのになぜ行動できたのでしょう?
死の恐怖を上回るパワーの源は一体何だったのでしょう?
…話を戻します。
実際のところ、人痘接種を受けた人の2%は死亡していたそう。たとえ社会に役立つとしても、誰かが死んでしまう“ワクチン”など言語道断!
そんな方法が許されるはずがありません(Kritik↓)。
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なかなか打開できない閉塞状況の中、登場したのがイギリスの医学者 エドワード・ジェンナー(Edward Jenner、1974~1823年)です。
エドワード・ジェンナー/Edward Jenner
Wikipediaより引用
ジェンナーが医師として働いていた頃、「牛と接することで牛痘にかかった人は、その後天然痘にはかからない」という言い伝えがあったそうです。当時の人たちにとっては、牛痘もよくわからない病気。しかし、天然痘と比べはるかに死亡率が低いという事実には気づいていました。
牛痘による人痘接種が天然痘を予防できるはず
…そう信じたに違いないジェンナーは18年にわたって研究を続け、ついに天然痘予防に成功しました。1796年のことです。
1798年にその研究結果を公表すると、ジェンナーの予防法はヨーロッパ中にひろまりました。その功績が認められ、イギリス議会からは賞金が贈られたそうです(1802年)。
ところが、当時の医学界はジェンナーの功績をなかなか認めませんでした。コンフォートゾーンが崩されたからでしょう。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html
また医学界以外からも誹謗中傷を浴びせられたそうです。例えば「ワクチンを接種すると牛になる」などと。こちらは無知からの「fight or flight」でしょう。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html
ジェンナーは決してドリームキラーの攻撃に屈しなかったようです。心ない罵声に対して、「神の乗った牛の聖なる液だ」と説明した記録が残っています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040935.html
そんな大人の対応ができたのは「前頭前野優位を保ち続けたから」のはず。前頭前野優位が保てたのは「ゴールを持ち続けたから」でしょう。そのゴールは“希望”が結実したものに違いありません。
PMⅠ-04-04:収容所生活中にフランクルが発見した「健康」の源泉とコーチングの関係
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8045695.html
ジェンナー以前の人々が命懸けで取り組めたのも、ジェンナーが長い間研究し続けたのも、そして誹謗中傷に決して屈しなかったことも …すべて“希望”による
…結果としてリーダーとなる者の“希望”が、世界全体が絶望に飼い慣らされていくことを防いだのです。
F-155:「怒りと絶望しかありません」という言葉に感じた希望
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23743308.html
言葉にできないほど高い次元にある“希望”がゴールへと変わり、
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
根拠もないのにそのゴールの実現を確信できるようになったとき、
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html
エネルギーと創造力が爆発し、強烈な意思でゴール実現に向かっていく
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html
そして、そのような個の変革(evolution)は、やがて個を超えて社会全体を書き換えていく(revolution)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html
…史上初のワクチン話を縁に、私はそんなイメージを体感しました。
F-206~:マトリックス/Matrix
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_414394.html
今年(2023年)はジェンナーの没後200年。
今のこの“ワクチン”による状況を、「近代免疫学の父」はどのように思うのでしょう?
(F-283につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記1-
「天然痘」という言葉を縁に、まず思い出すのが「Xファイル/The X-files」w たびたび天然痘とアメリカ先住民の関係が描かれています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
そのアメリカ先住民は、天然痘の免疫をまったく持っていなかったそうです。そのために壊滅的な被害を受け、中には全滅した部族もあったといいます。
Wikipediaには「イギリス軍が天然痘患者が使用した毛布等の物品を贈ることで引き起こした『民族浄化』」と表現されています。今でいう「バイオテロ」。
一体、人類は何をしているのでしょう?
-追記2-
さらにオタク度を上げた「Xファイル」話をw
1993年から2002年(シーズン9)まで放送されたTVシリーズは、2008年の映画「X-ファイル:真実を求めて/The X-Files:I Want to Believe」を経て、2016年に復活します(シーズン10、全6話)。その最終話が「闘争part2
/ MY STRUGGLE Ⅱ」。
「国民に接種された天然痘ワクチンがじつは…」という話は妙にリアルに感じられます。
L-090:2021年7月… -02;臨場感世界の現実化(realized virtuality)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30497354.html
ちなみに、通常は「THE TRUTH IS OUT THERE」と表示されるオープニング・メッセージが、最終話では「THIS IS THE END」でした(話自体はシーズン11に続きます)。
やはり妙にリアルに感じられます。
F-034~:「何もないところからレンブラントを発見」は正しい?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_268332.html
-告知1-
2022年度のオンラインセミナー(全12回)を企画しました。
メインテーマは「夢が勝手にかなうマインドセット(“Matrix”)の構築 ~Reload&Revolution~」。詳細はこちらでどうぞ↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28274321.html
第11回目(R5.3/5開催)のテーマは「リーダーシップ」。詳細はこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30729325.html
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
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F-110~:情報が書き換わると現実が変わる
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_386190.html
F-228~:ゼロトラスト
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418030.html
F-234~:自由訳「revenge」と「avenge」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_419026.html
F-254~:イノベーションがうまれるとき
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_421781.html
Wikipediaより引用




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