F-274:冗長性と多様性 <vol.6;プロフェッショナルなマインド>

 

 先日(20221031日)、認知科学者 苫米地英人博士が「バラいろダンディ」(TOKYO MX)に出演され、「世界的有事におけるスターリンクの安全な運用法」について講義されました。まずはこちらを御確認ください↓

 世界的有事におけるスターリンクの安全な運用法 Dr.苫米地 20221031 - YouTube

 

 博士は「有事を前提とした計算機システムと通信ネットワークの基本原則」として、「通信(情報)の冗長性の確保」と「システム(ハードソフト)の多様性」について語られています。

 

 視聴後に苫米地式のコーチ&ヒーラーとして感じたことをまとめます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 vol.1;有事を前提とした計算機システムと通信ネットワークの原則

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30221598.html

 vol.2;アサンプション・アップデート

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30321842.html

 vol.3;デタッチメント・ユニット

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30335231.html

 vol.4;「マルチな次元が組みあわされるシステム」の礎

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30383825.html

 vol.5;抽象度×バランスホイール

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30452009.html

 vol.6;プロフェッショナルなマインド

 

 

 以下、苫米地博士の著書「コーポレートコーチング(上)」(開拓社、p112)より引用します。前回引用分の続きです。「リーダー」と「抽象度」の関係をイメージしながらお読みください。Don’t think, feel

 

 

 さらにここで注意が必要なのは、リーダーが不在となり、それまで同じくらいの抽象度にいた構成員がリーダーの役割を担うことになったとき、他の構成員はその人を本当のリーダーだと扱って行動しなければいけないと言うことです。

 簡単に言うと、その急造リーダーの命令を絶対のものとして受け入れなければいけないということです。

 コーポレートにおいて、組織の命令は常に一方向でなければなりません。

 特に企業においては民主主義はありません。

 業務命令は常に上意下達です。

 ビジネスには一瞬の躊躇が、大きな損失に繋がることも少なくありません。

 すぐに判断を下して動かなければならないような状況で、「あいつはこの前リーダーになったばかりだから信用できん。まずはみんなで会議しよう」などと言っていては、生き残れません。

 もちろん、「ブリーフィング」はかまいません。

 ブリーフィングというのは、まだ実際の行動に移る前に、ミッションの共有、手順の確認、あるいは想定される状況のシミュレーションなどを全員で確認し合うことです。

 特殊部隊であれば、実際の戦闘地域ではない場所、例えば基地内、もしくは空母やヘリコプターの中で行われる打ち合わせ、会議、といった情報共有の場のことです。

 そういった場で行われるような情報伝達であれば、下から上にも常に伝わらなくてはなりません。

 それはやるべきことですが、テロリストと対峙している状況で会議を開くことはあり得ません。

 ましてや、「あいつはこの前まで俺と同じ立場だった急造リーダーだから、言うことは聞けん」などという状況では、組織は崩壊しているも同然です。

 いずれにしても、組織の構成員はエンドステートの臨場感を持ちつつ、抽象度が一つか二つ高いポジションならいつでも取って代われるという状態に訓練されている必要があります。

 全員のエフィカシーが高ければ「なんでリーダーは俺じゃなく、あいつなんだ」というようなおかしな感情は生まれません。

 また、当然ですが、リーダーは現場の抽象度までいつでも下がっていける状態でなければなりません。

 現場のエンドステートに関わることを相談されたとき、「全然、わからない」では困ります。

 特殊部隊のリーダーであっても、銃の使い方に長けている必要はありますし、テロリストとの格闘になったとき、素手でねじ伏せるぐらいの格闘技術を身に付けておく必要はあるわけです

 組織は、それぞれのサブミッション(エンドステート)の抽象度の二つ上ぐらいの抽象度を持てる人を常に育てる必要があるのです。

 企業などの組織における出世を考えたとき、どういう人間を出世させるかと言えば、このように二つぐらい上の抽象度について明らかによく理解している人を選ぼうということになるはずです。

 ひと昔前までは、前のリーダーやさらに上のリーダーに忠誠を尽くした人とか、個人的にかわいがられた人といった、抽象度の極端に低い人が出世したりしました(もちろん、出世させる人も抽象度が低い)。しかし、今はそんな企業が次々と淘汰される時代になっています。

 さて、こうした、優れたリーダーになるというような、抽象度が少し上のエフィカシーとは別に、「俺はこの仕事に関しては、最高の業績を出せる」というような、自分のサブミッション(エンドステート)への高いエフィカシーというものもあります。

 これがプロフェッショナルのマインドです。

 プロフェッショナルのマインドは、抽象度を常に2つぐらいあげたサブミッションの遂行と、エンドステート達成への高いエフィカシーの両方を常に維持します。

 一人一人がプロフェッショナルなマインドを持つことは、ハイパフォーマンスな組織を作る上では必須です。

 まずは、こうしたプロフェッショナルのエフィカシーを徹底的に上げていけるようなコーポレートトークを作り上げていく必要があります。

 そういったコーポレートカルチャーを作り出すど真ん中にいるのがコーポレートコーチだということを理解していただきたいと思います。

 引用終わり

 

 

 リーダーとは「一番抽象度が高い人」です。リーダーという機能(役割)の第1の条件が「最も抽象度が高い」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 苫米地博士は「抽象度が高い」を「情報収集能力」と言い換えられています。ちなみに、リーダーの第2の条件は「同調能力」、第3の条件は「責任能力」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19485793.html

 

 

 ところで、皆さんは先ほどの引用文を読んで何か感じませんでしたか?

 

私は強烈な違和感を感じました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

急造リーダーの命令を絶対のものとして受け入れなければいけない」「組織の命令は一方向でなければならない」「企業においては民主主義はない」「業務命令は常に上位下達」という言葉に完全性やhave toを感じたから。それは苫米地式とは相容れないと思いました。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 今思えば、その思い違いが私の“失敗”の理由。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808542.html

 

 あの頃の私は「差別」と「区別」の違いが明確にはわかっていませんでした。

 PM-06-13:仮説08)はびこる差別意識

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html

 

 

 私は11年間務めた病院長というリーダーの機能・役割を、信じがたい“だまし討ち”によって失いました。その原因について考察したのがこちら↓

 PM-06~:職場への苫米地式コーチング導入挑戦と明らかになった課題(目次)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/15110477.html

 

 「信じがたい“だまし討ち”」を可能にしたのは、前院長の親族やその親族に忠誠を誓う人たちの極端に低い抽象度が生みだした「自分たちさえよければいい」という利己心と「自分たちは何をしてもいい」という慢心(差別意識)です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14401412.html

 

 法人をあげて禅に取り組んでいた事実を鑑みるととてもアイロニックに感じられますが、利己心や慢心(差別意識)は縁起が理解できず中観が実践できない原因であり結果であるといえます。一言でいえば無明。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 今回のテーマと重ねると、縁起を理解することで「多様性の維持」が可能となり、中観を実践することで「冗長性の確保」ができるようになります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 では、縁起を理解しながら多様性を維持し、中観を実践しながら冗長性の確保を行う際に心がけるポイントは何でしょうか?

 

 答えは「エフィカシーを高める」こと。誰もが「抽象度を常に2つぐらいあげたサブミッションの遂行」と「エンドステート達成」に対するエフィカシーを高めるべき。もちろん、100%want toで。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

その結果、抽象度の上げ下げが自由自在にできるようになります。

それがプロフェッショナルのマインドです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 

 次回がこのシリーズの最終回。今回取り上げた「プロフェッショナルなマインド」を、すこし抽象度を下げて再考します。

 

F-275につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

法人をあげて禅に取り組んでいた事実を鑑みるととてもアイロニックに感じられますが、利己心や慢心(差別意識)は縁起が理解できず中観が実践できない原因であり結果であるといえます。一言でいえば無明

 

 “だまし討ち”のシンの原因は、結局のところ、私自身にありました。その原因とは「空観が貫けなかった」こと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 空(くう)がスコトーマに隠れ、実(じつ)になっていました。

 PM-06-21:仮説14)空(くう)なき実観の行き着く先にあるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14833876.html

 

 より高い次元への志向を忘れ、現状の最適化に囚われていた

 

 それが私の失敗の“本質”。「差別」と「区別」の違いがわからなかった理由です。

 だから私は、苫米地博士がよく語られる“ゲバラ主義”にこだわります。“ゲバラ主義”こそが苫米地式のど真ん中にあるブリーフだと思っています。

 F-256:イノベーションがうまれるとき <後編;ゲバラ主義>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29522943.html

 

 

-告知1

 2022年度のオンラインセミナー(全12回)を企画しました。

メインテーマは「夢が勝手にかなうマインドセット(“Matrix”)の構築 ~ReloadRevolution」。詳細はこちらでどうぞ↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28274321.html

 

 第10回目(R5.2/5開催)のテーマは「縁起」。詳細は後日あらためて御案内いたします。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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