F-272:冗長性と多様性 <vol.4;「マルチな次元が組みあわされるシステム」の礎>

 

 先日(20221031日)、認知科学者 苫米地英人博士が「バラいろダンディ」(TOKYO MX)に出演され、「世界的有事におけるスターリンクの安全な運用法」について講義されました。まずはこちらを御確認ください↓

 世界的有事におけるスターリンクの安全な運用法 Dr.苫米地 2022年10月31日 - YouTube

 

 博士は「有事を前提とした計算機システムと通信ネットワークの基本原則」として、「通信(情報)の冗長性の確保」と「システム(ハードソフト)の多様性」について語られています。

 

 視聴後に苫米地式のコーチ&ヒーラーとして感じたことをまとめます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 vol.1;有事を前提とした計算機システムと通信ネットワークの原則

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30221598.html

 vol.2;アサンプション・アップデート

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30321842.html

 vol.3;デタッチメント・ユニット

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30335231.html

 vol.4;「マルチな次元が組みあわされるシステム」の礎

 

 

 Q:アサンプション・アップデートを行う“自分”とは何か?

A:ブリーフシステム(BSBelief System

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 Q:なぜ“自分自身”だけでアップデートすることは困難なのか?

 A:“自分”=BSは過去の記憶でつくられ、他者の考えや社会の価値観がたっぷりと刷り込まれている。BSが強固なままでは「変化する状況」を認識することができないから

 F-089~:無人運転と自動運転の違い ~シーサイドライン逆走に思う~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_369873.html

 

 Q:なぜコーチが必要なのか?

 A:結果としてBSを変化させ、RAS&スコトーマを動かすために、現状の外へのゴール設定(更新)が必要。コーチなしでは現状の外が見いだせないから

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 *「結果としてBSを変化」は重要なポイント。こちらでどうぞ↓

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 Q:(それらを踏まえた上で)何を心がけるべきか?

 A:“自分”のデタッチメント・ユニット化

 

 元々のデタッチメント・ユニットとは、「本部の判断を仰げない状態にある部隊」のこと。軍用語です。具体的にはリーダー(コマンダー)、一般兵、狙撃兵、通信兵、衛生兵といった異なる役割を持つ戦闘員の集まりです。

その概念を応用し3~7人程度の少数精鋭ユニットが臨機応変に判断し行動できるようにしているのが、コーポレートコーチングにおけるデタッチメント・ユニット。

 各ユニットのリーダー(コマンダー)には企業CEO並みの権限が与えられ、変化する状況に合わせた行動計画の変更を実行します(アサンプション・アップデート)。

 とくに重要なのはユニットの構成員すべてがいつでもリーダーになれるよう準備すること。つまり、リーダー育成!

 

 そのリーダー育成のポイントとして、苫米地博士は「抽象度」と「エフィカシー」を挙げられています。ここでのエフィカシーとは、「いつでもリーダーの代役ができるという自覚」のこと。目指すのは「全員がリーダーとなる組織」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

*抽象度はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 以下、苫米地博士の著書「心の操縦術 真実のリーダーとマインドオペレーション」(PHP研究所、p86)より引用します。

 

 

 全員がリーダーとなる組織

 組織の上位の人々が命令し、下位の人々はただひたすらそれに従って行動する、という組織は効率がよくありません。理想は、全員がリーダーとなれる組織です。

 それに、工場での単純作業のようなものはできるだけロボットに任せて、将来は全員参謀の時代が来たほうが幸せでしょう。

 アメリカの軍隊も、昔と違って、個々の兵士が自律して行動する柔軟な組織になっています。どの人間でもいつでもリーダーになれるような訓練がなされているわけです。

 それはどういうことかといえば、タスクごとに担当が決まっているのです。役割分担です。

 「この分野、この仕事では俺がリーダーだけど、この仕事では俺はソルジャー」ということです。タスクによって、リーダーになり、ソルジャーになり、と、役割を変えるのです。このように、マルチな次元が組みあわされるシステムをつくっているのです。

 そうしないと、旧来のツリー状の組織では、どんどんボトルネックができてしまいます。ボトルネックの部分をやられると、それより上と下とが完全に切れてしまい、情報伝達ができなくなってしまいます。

 太い電線を一本切れば、そこから分岐していた電線すべてに電気が供給されなくなり、大規模な停電が起こるようなものです。

 切れなくても、何らかの理由でそのボトルネックで情報が停止すると、そこから下のツリー全体が機能停止します。

 これを防ぐためには、全員がリーダーになれる組織をつくる必要があります。そうすることで、状況に応じて柔軟に対処できるようになります。

 そのためには、組織のメンバーの誰もが視点を上げてものを考えられるようにならなければなりません。

 今のアメリカ軍は既にそうなっています。アメリカ軍だけでなく、企業もそうでなければなりません。

 事実上、既にそうなっている部分もあるでしょう。

 電子メールのセッティングは、「社長、ダメですよ」などと言いながら新入社員がやっているかもしれません。昔はありませんでした。

 そういったことが、まさに今、技術革新のなかで起きているわけです。それは、そのタスクのなかにおいて、社長がソルジャーで、電子メールを設定している親友社員がリーダーなのです。

 このようなことがいくらでもありえるわけで、企業組織体の各メンバーは、このタスクを遂行するユニットにおいては自分がリーダーシップを発揮して行動できる、というようにしておかないと、本来いけないのです。

 引用終わり

 

 

 ポイントは「タスクによって、リーダーになり、ソルジャーになり、と、役割を変える」こと。つまり、役割をアプリオリなものとみるのではなく、ゴール実現のためのひとつのダイナミックな機能とみることです。

そのためには役割・機能の違いをしっかり尊重する必要があります。「しっかり区別は行いながら、決して差別はしない」ということ。

 それが「マルチな次元が組みあわされるシステム」の礎です。

 PM-06-13:仮説08)はびこる差別意識

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html

 

 しっかり区別は行いながら、決して差別はしない

 

 その境地を大乗仏教では「中観」と呼びます。「しっかり区別を行う」は仮観であり、「決して差別はしない」は空観。その仮と空を同時に行うのが中観です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 「すべては同じである」「違いなど一切ない」としっかり理解した上で(無分別)、あえて機能・役割上の違いを尊重するのです。なぜならゴールがあるから。

 “無敵”へと至ることができる「中観」を体得するためにも、私はデタッチメント・ユニットを“自分”の中に作り上げることが重要だと思っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5446097.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5448151.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615695.html

 

 

 では、 “自分”の中でのデタッチメント・ユニット化について考えていきましょう。私は最低でも「コーチ」「リーダー」「テクノクラート」「ワーカー」「ヒーラー」の独立した5つの機能を同時並行的に発揮することをイメージしています。

 PM-06-17:仮説12)リーダー、マネジメント、コーチの役割と抽象度の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14526054.html

 

 現状の外へのゴール設定(更新)をサポートするのが「コーチ」の役割。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 ゴールが決まると、エンドステート(やるべきこと)が詳細にわかってきます。そのエンドステートを実行するために様々な状況や可能性を想定し(アサンプション)、状況の変化に合わせて更新していくことがアサンプシュン・アップデート。そのアップデートを重ねるのが「リーダー」の役割。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19485793.html

 

 その過程で具体的な行動が決まってきます。それがCOA(コース・オブ・アクション)、「想定される状況を吟味した上での、そのいくつかの状況下で行うべき行動パターン」のことです。より専門(技術)的なCOAが「テクノクラート」、COA全般の実行・実践が「ワーカー」という感じです。

 F-201~:「医学と医療」と「理学と工学」の類似と相違からコーチングで心がけるべきことを考える

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_413696.html

 

 例えば、「一人ひとりの心の平和がひろがることでWorldPeaceが実現している」というゴールを設定している場合、「リーダー」としてのエンドステートは「コーチングや苫米地理論をしっかり届ける」となり、そのためのCOAとしてブログによる情報発信が行われます。社会状況に合わせてブログ内容の選択・更新・変更を行うことがアサンプション・アップデートです。

私の感覚ではテーマを決めるのが「リーダー」の役割。テーマ決定後に具体的な専門知識を確認したり、引用文の選択や守秘義務遵守の確認を行うのが「テクノクラート」の機能。そして、頭の中のイメージをキーボードを使ってひたすら打ち込む(言語化する)のが「ワーカー」の役割です。

 そんな「リーダー」「テクノクラート」「ワーカー」の機能(&アサンプション・アップデート)を同時並行的に行っていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14973460.html

 

 「ヒーラー」はマインド(この場合は「リーダー」「テクノクラート」「ワーカー」という各機能)が常にいい状態で働けるように気を配ること。コンフォートゾーンを維持できるようにすることです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 ちなみに、「コーチ」は逆。コンフォートゾーンの上限を突き破り、さらなる現状の外へ踏みだせるようにするのが「コーチ」の役割です。

 PM-06-06:仮説01)変わらないコンフォートゾーン(CZ)が生みだす「現状維持の壁」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628746.html

 

F-273に続く)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

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