F-269:冗長性と多様性 <vol.1;有事を前提とした計算機システムと通信ネットワークの原則>

 

 先日(20221031日)、認知科学者 苫米地英人博士が「バラいろダンディ」(TOKYO MX)に出演され、「世界的有事におけるスターリンクの安全な運用法」について講義されました。まずはこちらを御確認ください↓

 世界的有事におけるスターリンクの安全な運用法 Dr.苫米地 2022年10月31日 - YouTube

 

 博士は「有事を前提とした計算機システムと通信ネットワークの基本原則」として、「通信(情報)の冗長性の確保」と「システム(ハードソフト)の多様性」について語られています。

 

 視聴後に苫米地式のコーチ&ヒーラーとして感じたことをまとめます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 vol.1;有事を前提とした計算機システムと通信ネットワークの原則

 

 

 まずは用語を確認しましょう。

 

 「冗長(じょうちょう)」の意味は「重複していたり、不必要に長かったりして、無駄が多いこと」。例えば「冗談」の「冗」には「無駄」「不必要」「余計なこと」という意味が込められています。ネガティブなニュアンスです。

余談ですが、私はこのブログが“冗長”にならないように気をつけていますw

 

 バラダンの講義の中で、苫米地博士はサイバーのゲシュタルト(文脈)で「冗長性」という言葉を使われています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 この場合の「冗長性(redundancy)」とは、「冗長化して安全性や信頼性が確保されている」という意味。

「冗長化」とは「余裕を持たせる」というポジティブな表現で、具体的にはシステムや機材を複数用意し故障などのトラブルに備えることやデータをバックアップすることをいいます。

 

 ところで、アリの社会(コロニー)には、必ず「働かないアリ」が存在することをご存じでしょうか?

 

 「働きアリ」に分類されるアリのじつに2~3割は働くことをせず、ボーとしているか(?)、体のケアをしているそうです。ところが、他のアリの活動が低下すると代わりに働きだします。まるでシフト交代をするかのように。

 これまでの研究によって、「よく働くアリだけを集めてコロニーを作っても、必ず働かないアリが一定割合あらわれる」という事実が判明しているそうです。

 

 2016年に発表された北海道大学などの研究により、この「働かないアリ」の存在がコロニー存続には不可欠なことがわかりました。

コンピューターシミュレーションで、1コロニー75匹のアリが 1)全て同じようによく働くケースと 2)働き度合いがバラバラなケースを比較したところ、2)の働かないアリがいる方がコロニーが長続きする傾向が認められたそうです。

 

 「全て同じ」を多様性なし、「度合いがバラバラ」を多様性ありとみると、「1)多様性がない -変化に対応できず滅ぶ」「2)多様性が確保されている -変化に適応する可能性が高まる」と考えることができます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

 最近、米国ツイッターを買収したイーロン・マスクCEOが「長時間猛烈に働くか?」「それがイヤなら退職か?」と選択を迫ったことが話題になっています。

これは典型的な「排中律(はいちゅうりつ)」。多様性ゼロの思考です。

 F-231~3錠じゃないと飲まん!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418468.html

 

 マスク氏は自身が長時間猛烈に働くことで知られています。おそらく、その働き方、さらにはその行動を生みだすブリーフシステム自体を「全て同じ」にしたいのでしょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 アリと違って、人間は情報空間にもホメオスタシス(恒常性維持機能)が働いています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 *ホメオスタシスはこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 人間の場合、「全て同じ」を目指しても大丈夫なのでしょうか?

 アリ以上に「全て同じ」は危険なのではないでしょうか?

 

 皆さんはどう思われますか?

 

F-270に続く)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

 人間の場合、「全て同じ」を目指しても大丈夫なのでしょうか?

 アリ以上に「全て同じ」は危険なのではないでしょうか?

 

 苫米地博士が「冗長性と多様性」について話されたタイミングで、博士も使われているツイッターの騒動が起こったことをきっかけに(縁)、私は「アサンプション・アップデート」や「デタッチメント・ユニット」について考えました(起)。いずれもコーポレートコーチングの用語です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 以下、苫米地博士の著書「コーポレートコーチング(下)」(開拓社、p96)より引用します。

 

 

 ゴールは漠然としていてもいい

 ここまで理解した上で、次にコーポレートコーチがやっていくことは何でしょうか。

 それは、ゴールをきちんと理解した組織の構成員たちがアクションを起こしていく中で、具体的なコース・オブ・アクション(COA)を示していくということです。

 COAとは、想定されている状況を吟味した上での、そのいくつかの状況下で行うべき行動パターンのことです。

 COAはエンドステート(「上巻」第3章参照)があってはじめて決まってくるものですが、まずゴールが定まると、それぞれの構成員の抽象度に応じてエンドステートが決まり、そのエンドステートに合わせてCOAが定まってくるということになります。

 上巻で、軍隊がテロリストに捕まった人質を救出に行くとき、特殊部隊が乗るヘリコプターの操縦士と、ヘリコプターや特殊部隊を輸送する空母の船長と、特殊部隊の隊長とではエンドステートが違うという話をしました。

 それぞれのエンドステートが違うので、当然、COAもそれぞれ違います。

 しかし、全員、「人質を無事に救出して自国に戻る」という大きなゴールを共有していることは間違いありません。

 ただし、実はもっと抽象度の高いゴールがあるかもしれません。

 例えば、「人質を無事に救出して自国に戻る」よりも抽象度の高い「テロリストを撲滅する」というゴールもあり得ますし、もっと抽象度が高いものであれば「世界中の人々がずっと平和に暮らせる世の中にする」というゴールもあり得るでしょう。

 「じゃあ、本当に目指すべきゴールはどれなんだ」と思うかもしれませんが、ゴールは漠然としていてもいいのです。

 曖昧で抽象的でよくわからないけれど、何か漠然とすごく高いところにありそうだというぐらいの認識でかまいません。

 先ほど述べたように、ちょっと見たところでは相反するような、ディベータブルなものが複数あってもいいのです。

 ただし、ゴールは漠然としていたとしても、エンドステートはとても正確である必要がありますし、さらにCOAもきちんとしたものになっていなければなりません。

 そうでないと、目の前のミッションを遂行できません。

 一つの共通したミッションを成し遂げる場合でも、通常は複数の部隊がそれぞれ異なる役割を担って行動します。

 つまり、さまざまなチームがそれぞれのエンドステートを持ち、その中の構成員ひとりひとりも各自のエンドステートを持っているわけです。

 そして、それに応じて、各チーム、各自がCOAを練り、具体的な行動へと落とし込んでいきます。

 組織としての、こうしたダイナミックな動きの中では、コーポレート全体としてのIQはとても高く上がっている状態になります。

 ただし、エンドステートをしっかり作り上げ、それぞれがやるべきことを明確にし、そのとおりに動く様子は、傍から見ると「決められたとおりのことをやっているだけ」「命令されたことをこなしているだけ」と見える場合がほとんどです。

 つまり、傍からはIQが思い切り下がったように見えるのです。

 やるべきことを粛々とこなす様子は、内情を知らない外部の人たちからは「命令通りに動く、思考停止の集団」のように見えるかもしれませんが、実際はまったく違って、コーポレート全体のIQが非常に高まった状態になっているのです。

 外部からどう見られようが、関係ありません。

 自分たちのゴールも持っていれば、必然的にエンドステートが決まり、そこへ目指す動きは間違いなくIQが高まった状態なのです。

 引用終わり

 

  

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