L-08020213月シークレットレクチャー -03;言語を用いたゲシュタルト構築 <基礎編>

 

20213月にコーチ向けのレクチャーを行いました。守秘義務を結んだ上で行う全3回の講義の3回目。3回を通しての全体テーマは「Don’t think, feel!」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 *初回講義(202011月)はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_420420.html

 *2回目講義(20211月)はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_421742.html

 

当日の講義内容をブログ用に再構成してお届けします。

 

 01;「ゲシュタルトを統合する」という感覚

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29997523.html

 02;内省言語を発生させる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30021884.html

 03;言語を用いたゲシュタルト構築 <基礎編>

 

 

 心の本質を捉える基本中の基本は相手に内省言語を引き起こすこと。いかにそれを言語を使わないで引き起こすのかということが極めて重要

 

 これは前回引用した苫米地博士の言葉。

 博士のこの言葉をストレートに受け取ると、各人の「言語能力」がとても重要であることがわかります。コーチングの枠組みでいうと、クライアントの「言語能力」です。

 

抽象度を下げて少し具体的に表現すると、私が思う言語能力とは「言語を用いてゲシュタルトを構築する能力」のこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 *抽象度はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 これから「言語を用いたゲシュタルト構築」について、2回にわけてまとめます。今回は基礎編。私が基礎としているのは「トゥールミンロジック」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 

 トゥールミンロジックとは、現代ディベートの論理。いわゆる三段論法で代表される形式論理の方法論が適さないと考えて提唱された現代の論理技術です。

 (「適さない」理由はこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

 トゥールミンロジックを身につけると、論題を自らの情動と切り離し、相対化して、物事の裏表両方を見る視点を養うことができます。

 情動とは、例えば「動物的な怒り」「私憤」といった大脳辺縁系優位の状態。トゥールミンロジックによって、大脳辺縁系優位を防ぎ(すぐにリカバーし)、前頭前野(背外側部)優位を保つことができます。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

 コーチの視点で考えると、トゥールミンロジックの目的の1つは、「論理脳を鍛え、最短時間で最適解を見つけるようになる」こと。

 

ゴールは“現状の外”です。それは「絶対に達成不可能」「どうやったらいいのか、まったくわからない」という感じ。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 そんなゴールをしっかりと実現(実装)するためには、知識とその知識を運用する能力が欠かせません。その「運用のための論理力」を養えるのがトゥールミンロジックです。

 PM-06-17:仮説12)リーダー、マネジメント、コーチの役割と抽象度の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14526054.html

 

 トゥールミンロジックのさらに重要な目的は、「論理的思考を徹底的に極めることによって、論理という系の外にでる」こと。その結果、ますます“現状の外”にゴールを見つけることができるようになります。

 Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

 なぜなら、ブリーフシステムによる自動思考を止めて、“本当の自分”の頭で考え、一段高い抽象度で物事を捉えることができるようになるから。それが「止観」を意味する方の「思考停止」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 *苫米地博士による「止観」の解説はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/18576926.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/18684707.html

 

 

 では、簡潔にトゥールミンロジックを説明します。

 

 基本構造は「事実(Data)」「根拠(Warrant)」「主張(Claim)」の3つ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

 さらに「裏付け(Backing)」「確率(Qualifier)」「例外(Reservation)」を加えた6つがコアになります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12504855.html

 

 

トゥールミンロジックの6要素

 

 この6つのコアをベースに「問題を見つけ、解決する」のがディベート。「問題を見つける」ことをケースサイド(case-side)、「問題を解決する」ことをプランサイド(plan-side)と呼びます。

 

ケースサイドとは「必要性(ニーズ)」のこと。ある問題があったとき、「その問題がいかに大きいか」「どれほど行動の必要性があるか」ということをいいます。

プランサイドは「その行動(プランを実行すること)の有効性」のこと。その行動をすることで「ニーズ、すなわちケースサイドがきちんと解決するのかどうか」ということです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 実際に「問題を見つけ、解決する」際には、以下の4つのポイントを踏まえながら考えていきます。

 

<ハーム(harm)>

プランを実行しないとどの程度の影響がでるのか? 本当に問題か?

-重要性が大きいほど、そのプランをより実行すべきということになる

-ハームとは異なった意味合いでアドバンテージ(利益)とも表現する

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808495.html

 

<インヘレンシー(inherency)>

ハームの内因性の論理 ハームの本質的な原因は何か?

-否定する側から見た場合、そもそもハームが「現状(Status Quo)」に内因的であるのかどうか? そもそも論題を採択することでのみハームは解決するのか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808542.html

 

<ディスアドバンテージ(disadvantage)>

プランを実行するとかえって不利益が生じるのではないか?

-プランを実行しないほうが、最終的にアドバンテージ(利益)が大きいと証明すること

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12935916.html

 

<ソルベンシー>

解決能力があるか?

-別名「ミート・ニード」。解決策が必要性とあっているかどうか

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12935992.html

 

 

 このトゥールミンロジックは、言語を用いてゲシュタルトを構築するための基礎。マスターすると、情報空間を自由自在に移動する(操作する)ことができるようになります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 次回は「言語を用いたゲシュタルト構築」の応用編。苫米地博士から教えていただいている「情報空間を自由自在に移動(操作)するための思考法」についてまとめます。

 

L-081につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

「トゥールミンロジック」を身につけると、論題を自らの情動と切り離し、相対化して、物事の裏表両方を見る視点を養うことができます

 

 ただし、「トゥールミンロジック」は絶対ではありません。例えば「相対化」はメリットがある一方で(solvency)、大きなデメリットもあります(disadvantage)。

 

 *「相対化」のメリットの一例はこちら↓

 Q-285:ドーパミンの分泌をvol.5;ドーパミンをモニタリングする -後編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29811912.html

 

 *「相対化」のデメリットの一例はこちら↓

 S-02-15:マナーやルールに潜む罠 -2

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19370962.html

 

 詳しくは苫米地博士の著書「ディベートで超論理思考を手に入れる」(サイゾー)で御確認ください。Kindle版は↓

 Amazon.co.jp: ディベートで超論理思考を手に入れる 超人脳の作り方 eBook : 苫米地 英人:

 

 

-告知1

 2022年度のオンラインセミナー(全12回)を企画しました。

メインテーマは「夢が勝手にかなうマインドセット(“Matrix”)の構築 ~ReloadRevolution」。詳細はこちらでどうぞ↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28274321.html

 

 第8回目(R4.11/27開催)のテーマは「現状の外」。こちらで御確認ください↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29987722.html

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

-関連記事-

Q-176:コーチはリーダーとマネージャーの役割・機能を持つと考えてよいのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25016029.html

Q-201:コーチングでは「最悪を想定する」ことはどう考えればよいでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26357342.html

S-01~:よりよい“議論”のために

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11613757.html

 

 

ディベートで超論理思考を手に入れる

Kindle版はこちら↓

Amazon.co.jp: ディベートで超論理思考を手に入れる 超人脳の作り方 eBook : 苫米地 英人: