L-079:2021年3月シークレットレクチャー -02;内省言語を発生させる
2021年3月にコーチ向けのレクチャーを行いました。守秘義務を結んだ上で行う全3回の講義の3回目。3回を通しての全体テーマは「Don’t
think, feel!」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html
*初回講義(2020年11月)はこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_420420.html
*2回目講義(2021年1月)はこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_421742.html
当日の講義内容をブログ用に再構成してお届けします。
01;「ゲシュタルトを統合する」という感覚
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29997523.html
02;内省言語を発生させる
前回レクチャー中のワークを簡潔にまとめると、
(詳しくはこちら↓)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29515037.html
1:苦痛をカテゴライズし、ゲシュタルトとして認識する
2:ゲシュタルトの統合(connect the dots)
3:統合した「全人的苦痛(トータルペイン)」を「全人的幸福(トータルウェルビーイング)」に書き換える
4:幸福を4つのカテゴリーに落とし込む。「身体的幸福」「心理・精神的幸福」「社会的幸福」「スピリチュアルウェルビーイング」
(少しだけ具体的にする感覚)
…じつは、前回までの説明は「苫米地式」としてはまだ足りません。その足りない部分は、「ゲシュタルトを統合する」ための大切なポイントです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html
ところで、認知科学者 苫米地英人博士の著書「オーセンティック・コーチング ~本物のコーチング~」(サイゾー)をお読みでしょうか?
2022年春に出版されたこの本の中で、苫米地博士は今まで守秘義務範囲内であった情報を開示されています。その一つが「内省言語」。以下、同書より引用します(p116)。
◎内省言語を発生させる
非言語コミュニケーションは特殊な技術ではありません。これは人が人に対して影響力をどうやって与えるかという話で、世間一般で頻繁に使われているものなのです。
日常生活の中にもありますし、私たちが気づかずにいつもやっていることの中にもあります。
人の心に内省言語を生み出すことは少し敏感になれば誰でもできます。例えば、最もわかりやすいのがCMです。多くのCMがしているのは商品の正しい説明ではなく、視聴者に恐怖を植え付けることです。「その洗濯物臭っていませんか?」「いつまで太っているつもりですか?」「まな板は雑菌だらけ」などなど、これが第一声でどこにも商品の説明はありません。
でも、視聴者の心には「これは聞いておかないとマズいかも」という内省言語が発生しています。発生したら、そこで初めて商品説明が始まります。
ひと目惚れのテクニックでも同様です。
以前、私は、意中の会社の同僚を振り向かせるテクニックとして「趣味のキーホルダー」というのを紹介したことがあります。
これは、意中の彼が釣り好きで、その彼に興味を持ってもらうために釣りを学ぼうとしていた女の子からの相談でした。彼女は釣り好きの彼に「自分も釣りを始めました」と告げようとしていたので「やめておきなさい」と私は言っておきました。「その彼を本当にゲットしたいのであれば、あなたが本当に釣りを好きになるだけでいいんですよ」と。
数ヶ月後、その女の子はその彼と一緒に釣りに行くことになったそうです。しかも、誘ってきたのは彼のほうだといいます。きっかけは彼女がキーホルダーに使っていたミニチュアの釣り竿で、彼の方から「これって〇〇〇のレプリカ?」と声をかけてきたそうです。
彼女は何ひとつ言葉を使っていません。ただ、ちゃんと釣りを好きになっただけです。人の心を動かすとはこういうことです。
それを「コミュニケーションの仕方を学びましょう」「こう言われたらこう返しましょう」「部下とのコミュニケーションはこうしましょう」などというのはあまりにも人をバカにしています。
心の本質を捉える基本中の基本は相手に内省言語を引き起こすこと。いかにそれを言語を使わないで引き起こすのかということが極めて重要なのです。
そして、それはまさにスコトーマの原理であり、非言語の本質はRASのシステムの裏表ということです。
ですから、当然、非言語コミュニケーションは声を出してもいいのです。相手のRASがカクテルパーティー効果のようにこちらの声を消してくれるのならそれでいいというわけです。こちらから働きかけていることが相手の意識に上がってさえこなければ、声を出してもいいのです。
実際、私がコーチングをする際、あまり話はしません。話しているのはクライアントのほうです。
私はクライアントの話の内容に興味があるわけではありません。クライアントを現状に縛るブリーフシステムがどういうものなのかを探りつつ、それを超える内省言語を引き起こすように聞いています。
逆に、クライアントは自分が変わっていることを自覚できません。ですから、「博士、もっとアドバイスをください」と言います。時には怒ったりもします。そこで私は「あなたはもう変わっていますよ」と告げ、セッションの最初の頃と比べて変わったところをいくつか伝えます。クライアントは自分が変わっていることを、その時初めて理解するのです。
ブリーフシステムが変わるというのはこういうことなのです。
引用終わり
…引用文の中で博士が例として挙げられている話のポイントは「コンフォートゾーン(Comfort Zone、CZ)」。
CZを共有することで生まれる親近感がラポール(Rapport)です。そのラポールの結果、好意的な内省言語が自然に生まれます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html
私たちは常にCZの中に居続けようとしています。ここで重要なことは「CZは必ずしも自分の意識上のイメージとは一致していない」ということ。
例としてダイエットで考えてみましょう。
何かをきっかけにダイエットに取り組み一時的に痩せることができても、また元に戻ってしまうことって多いですよね。
それを「リバウンド」と表現しますが、これは(無意識下の)CZが「太っている私」のままで変わっていないことが原因です。
意識の上では「痩せたい」と願っていても、CZが「太っている私」のままでは、いくら頑張っても自然に元に戻ってしまいます。「太っている私」を維持するようにホメオスタシス(恒常性維持機能)が働くからです。それも強力に。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
ホメオスタシスは、脳が進化した人間においては、物理空間だけではなく情報空間にも働いています(注:物理空間は情報空間の一部です)。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html
よって、「CZを先に動かしてしまう」ということが、変化のための重要なポイントといえます。先に動かすCZとは物理的な外部環境のことではなく、心の内に広がる情報空間のこと。
PMⅠ-06-06:仮説01)変わらないCZが生みだす「現状維持の壁」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628746.html
では、どうやって「CZを先に動かす」のでしょう?
…そう、ゴール設定。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
現状の外に設定したゴールが、新たな臨場感を生みだします。
新たな臨場感はホメオスタシスを変化させ、CZが移行していく過程でRASが変化し、どんどんスコトーマが外れていきます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html
その結果、目の前は「ゴール側の世界(w1)」の一部になっていきます。
F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html
ゴール設定→臨場感→ホメオスタシスが変化→CZが移動→RASが変化→スコトーマが外れる→ゴール側の世界(w1)
*詳しくはこちら↓
F-249~250:「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋を架ける <vol.6~7;臨場感という橋を架ける>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29139372.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29197133.html
…その過程をコントロールする鍵が「内省言語」です。
(L-080につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-告知1-
2022年度のオンラインセミナー(全12回)を企画しました。
メインテーマは「夢が勝手にかなうマインドセット(“Matrix”)の構築 ~Reload&Revolution~」。詳細はこちらでどうぞ↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28274321.html
第8回目(R4.11/27開催)のテーマは「現状の外」。こちらで御確認ください↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29987722.html
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
-関連記事-
Q-117:「コーチングは変わるためにあるものではない」の真意とは?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20576958.html
Q-167:自分を苦しめているのは記憶です。過去に苦しめられていることを感じています。コーチングで変化を実感しますか?
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Q-175:脳内の歩くというイメージの臨場感を上げて物理空間で実際に歩いているということになるのでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24963004.html
Q-191:ヒーリングとコーチングの関係がよくわかりません
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25482691.html
Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html
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