F-262:不満と傲慢のはざまで苦しんでいる君へ <vol.6;ゲシュタルトの再構築とフレームワーク -後編-

 

 子どもの頃、私は「不安と不満」「悲しみと怒り」が混ざり合ったような混沌の中で生きていました。

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7031602.html

 

 あの頃の私へ、そして同じような境遇の若者へ、コーチとして心を込めて書いたのがこのブログ記事↓

 F-217~:不安と不満のはざまで苦しんでいる君へ

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_416096.html

 

 私の経験でいうと、「不安と不満のはざま」を抜け出した後には、さらに大きな試練が待ち構えています。その試練とは「不満と傲慢のはざま」。それは「自由と隷属のはざま」であり、「希望と絶望のはざま」「幸福と不幸のはざま」でもあります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 では、ゴールが生みだす不満をエネルギーと創造力に変え、自由を貫き、希望を抱きながら幸福に生ききるためにはどうすればいいでしょうか?

 傲慢を改め、隷属から抜けだし、絶望や不幸を克服するために何を心がけるべきでしょうか?

 

 あの頃の私へ、そして同じような境遇の若者へ、コーチとして心を込めて贈る第2弾です。

 

 vol.1;「不安と不満のはざま」を抜けだした後に待つ試練

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29576555.html

 vol.2;スコトーマを生みだす/外すポイント

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29646619.html

 vol.3;知らないことは認識できないのに新しい知識を得ることができる秘密

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29695715.html

 vol.4;「Connecting the dots~ゲシュタルト、フレーム、スクリプト~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29738652.html

 vol.5;ゲシュタルトの再構築とフレームワーク -前編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29803282.html

 vol.6;ゲシュタルトの再構築とフレームワーク -後編-

 

 

苫米地博士は「日本の企業社会は組織のピラミッド構造が強固で、現場で上から求められる成果を上げることで一段、また一段と出世の階段を上る仕組みが根強い」「そのため、各人が自分のポジションに縛られたフレームしか持てず、スコトーマだらけになりやすい」と語られています。

確かに現場での具体的な運用能力を高めれば、スペシャリストにはなれます。しかし、それは組織側から見て、フレームごとに有用な人材を育てているだけの話。

 PM-06-17:仮説12)リーダー、マネジメント、コーチの役割と抽象度の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14526054.html

 

 スコトーマだらけの「フレームごとの有用な人材」は、容易に「傲慢」に陥ってしまいます。最初(F-257/vol.1)に確認したとおり、傲慢=権力側です。

そして、権力とは「過去のしがらみ」でもあります。そのままではいつかモチベーションを失い、「不満」だらけの日々にまた戻ってしまうでしょう。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

では、どうすればよいのでしょうか?

 

 

フレームにより生じるスコトーマをはずすためには、より抽象度の高いフレームの新たな構築が必要です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 *抽象度はこちら↓

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 「フレーム」とはゲシュタルトのこと、「より抽象度の高いフレームの新たな構築」とはゲシュタルトの再構築のことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

それでは新たなフレームをつくる=ゲシュタルトの再構築のためのイメージトレーニングを紹介いたします。医療バージョンで説明しますが、皆さんは自身と関係するイメージに置き換えてください。

Q-226ReplaceしたらそれがDominantになればいいのですかね?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27729316.html

 

まずは、「現状のフレームと同じくらいのレベルの別のフレーム」を作りましょう。

例えば、もともと「医療病棟看護師のフレーム」を持っている人なら、「外来看護師のフレーム」「通所リハビリ看護師のフレーム」「介護医療院看護師のフレーム」「訪問看護師のフレーム」という感じ。

 

フレームを作るためには、その仕事の目的や1日の仕事の流れ、仕事の考え方がイメージできれば十分です(IImage)。大切なのは、そのイメージをどんどん強化して、実際にその仕事をしているかのような強い臨場感を持つこと(VVividness)。休憩時間などに実際に業務を体験してみると理想的です(I×V)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

このイメージトレーニングを重ねることで、皆さんが持っている現状のフレーム(例えば「医療病棟看護師のフレーム」)の抽象度を1段階上げることができます。

Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html

 

それならば実際に職場環境を変えてしまえば、つまり配置転換を行えばいいと思う方もいらっしゃるはず。私もそのように考えています。それどころか、可能な限り他職種の仕事も経験するべきだと思っています。介護士、理学・作業療法士、言語聴覚士、公認心理師(臨床心理士)、薬剤師、レントゲン技師、管理栄養士、調理師、事務職、そして医師という様々な機能・役割を実際に体験してみるのです。

 そのような試みがうまくいくために、誰もが常に意識に上げておかなければならない重要なポイントがあります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24281579.html

 

 それは「なぜ他職種のイメージトレーニングをしているのか?」「なぜ配置転換をするのか?」「なぜ実際に他職種の仕事を経験するのか?」という問いの先にあるゴール!

ゴールがなければ、そしてゴールが共有できていなければ、新しいフレームを作ることはできません。スコトーマが外れないからです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 スコトーマを外し新しいフレームを作る際にネックになってしまうのが、今回のテーマである「傲慢」です。「なんで私が〇〇しなければならないの?」といったセルフトークが生まれるような状態では、ゴールを設定し共有することも、抽象度を上げることもできないでしょう。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

大切なのは“内”を変えていくこと。詳しくはこちらでどうぞ↓

S-04~:さぁ「人間関係の悩みを克服する旅」をはじめよう!(目次)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22305802.html

 

 

話を戻します。

別のフレームをイメージの中で構築できたら、それをもともとのフレームと統合させて、さらに大きなフレームを作っていきます。

例えば、「医療病棟看護師のフレーム」に「外来看護師のフレーム」「通所リハビリ看護師のフレーム」「介護医療院看護師のフレーム」「訪問看護師のフレーム」を次々と組み合わせていけば、「医療法人〇〇看護部門のフレーム」を作ることができます。

そして、「看護部門のフレーム」をつくり上げたのと同じ要領で、「介護部門のフレーム」「リハビリテーション部門のフレーム」「薬局(薬剤部門)のフレーム」「検査部門のフレーム」「栄養部門のフレーム」「事務部門のフレーム」、そして「医局(診療部門)のフレーム」をそれぞれイメージの中でつくり上げていきます。

 

すべての部門のフレームを統合することができれば、「医療法人〇〇のフレーム」というさらに高い抽象度のフレームを持つことができます。それはリーダーが持つべきフレームです。

F-254~:イノベーションがうまれるとき

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_421781.html

 

 

「医療法人〇〇のフレーム」を作ることで、病院全体や自分が所属する部門・部署、そして自分自身が置かれている状況などを、客観的かつ俯瞰的に見ることができるようになります。

すると、個人の問題にとどまらず、より高い抽象度で大きな問題を発見し(case)、解決する(plan)ための発想が生まれてくるはずです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

それは前々回(F-260)まとめた「全体が分かることで部分が分かる」状態であり、ジョブズが言及した「connect the dots」の実現です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

そして、それは「ゲシュタルトの再構築」であり“超越”。つまり、「傲慢」の克服でもあります。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

 

 ただし、「傲慢」を克服したかに思えたとき、それと同時に危険な“落とし穴”が生じます。次回はその“落とし穴”を明らかにし(case-side)、その後対処法をお伝えします(plan-side)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

F-263につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

 あの頃の私へ、そして同じような境遇の若者へ、コーチとして心を込めて贈る第2弾です

 

伝えたいのは「心の力(The Power of Mind)」のすばらしさ。

 

 誰もが、心の力によって、「未来の自分」を臨場感豊かに想像することができます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

そして、課題を克服しながら「未来の自分」を創造し、本当に現実化することができます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

過去の呪縛や不安よりも、未来の希望や期待に対して、遥かに大きく強い臨場感を感じることができるからです。本当は。

その臨場感が「心の力(The Power of Mind)」。その正体は誰もが持つホメオスタシス(Homeostasis)です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 そして、それは「縁起」の力でもあります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 以下、苫米地博士の著書「もうこれ以上、人間関係で悩まない極意 -今こそ、『縁起人』として生きろ。」(TAC出版)より引用します。

 

 

 洗脳と縁起の関係

 世の中には、「悪いコーチ」がいます。自分のゴールのために相手のゴール設定をして、自分のために相手の縁起に関わる人です。それを「洗脳」といいます。本当のいいコーチとはクライアントのゴールのためにゴールを探し、クライアントのゴールのために縁起に関わる人のことをいいます。

 

 「洗脳」は一つの縁起から抜けられなくなっているという状態です。

 その場合、洗脳者は信者と直接会い、コーチング的なことをするわけです。カルトの集団は、いうなれば、悪いコーポレートコーチングされた集団ともいえます。

 このように、洗脳とはたいがい「教祖」などといった物理的な存在が行っている場合が多いです。

 死んだ人の著作を読んで、その宗教にはまっている人は、洗脳されたとはあまりいわないものです。やはり直接会うという、ダイレクトな人間関係の中で、特別な縁起が生まれるものなのです。

 しかし、会うことが大事な理由は、決して「物理空間を共有することが大事」だからではありません。なぜかというと、コーチとクライアントは厳密には「臨場感空間を共有している」とはいえないからです。

 一般的に、普通の人は「物理空間に一緒にいること」を「空間を共有する」といいます。

 しかし、たとえば、あなたは電車で隣に座っている他人に洗脳されてしまうでしょうか?

 洗脳されませんよね。極端なことをいえば、コーチはクライアントのことを、電車で隣同士になった他人くらいにしか思っていません。とすると、コーチのいる空間とクライアントのいる空間は、電車の他人同士くらい違うものということになります。

 この点がコーチングにとって大事なことです。コーチはクライアントに介入しますが、クライアントに介入されてはいけないのです。そうしないと、ミイラ取りがミイラになってしまいます。

 もし、コーチとクライアントが「臨場感空間を共有」してしまったら、うつ病の患者に影響されてしまう精神科医のようなもので、「どちらがコーチングしているのかわからない」状態になってしまいます。

 コーチはクライアントの問題空間に関わりますが、共有しません。もし、コーチング中に、コーチとクライアントが臨場感空間を共有していると思っている人がいたら、それは根本的にコーチングや洗脳を誤解しているということです。

 

 コーチングや洗脳は、一方的な関係で、コーチとクライアントの見ているものや感じているものは、それぞれまったく違うものです。

 もし、コーチがクライアントに対し、主観的な気持ちを持ったならば、それはコーチとして失格です。コーチは、クライアント本人が設定したゴールの達成にのみ、興味を持たなければいけません。

 引用終わり

 

 

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