F-259:不満と傲慢のはざまで苦しんでいる君へ <vol.3;知らないことは認識できないのに新しい知識を得ることができる秘密>

 

 子どもの頃、私は「不安と不満」「悲しみと怒り」が混ざり合ったような混沌の中で生きていました。

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7031602.html

 

 あの頃の私へ、そして同じような境遇の若者へ、コーチとして心を込めて書いたのがこのブログ記事↓

 F-217~:不安と不満のはざまで苦しんでいる君へ

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_416096.html

 

 私の経験でいうと、「不安と不満のはざま」を抜け出した後には、さらに大きな試練が待ち構えています。その試練とは「不満と傲慢のはざま」。それは「自由と隷属のはざま」であり、「希望と絶望のはざま」「幸福と不幸のはざま」でもあります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 では、ゴールが生みだす不満をエネルギーと創造力に変え、自由を貫き、希望を抱きながら幸福に生ききるためにはどうすればいいでしょうか?

 傲慢を改め、隷属から抜けだし、絶望や不幸を克服するために何を心がけるべきでしょうか?

 

 あの頃の私へ、そして同じような境遇の若者へ、コーチとして心を込めて贈る第2弾です。

  

 vol.1;「不安と不満のはざま」を抜けだした後に待つ試練

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 vol.2;スコトーマを生みだす/外すポイント

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29646619.html

 vol.3;知らないことは認識できないのに新しい知識を得ることができる秘密

 

 

前回(F-258)は、スコトーマを生みだす/外す3つのポイントについて解説しました。その1つ目が「知識」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

私たちは知らないことは認識できません。ここに学習の意味があります。日々の学習は認識のためです。その認識はもちろんゴール実現のため。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

どんどん認識し、世界をひろげ、情報宇宙を豊かにしながらゴールを実現していくホメオスタシス活動が学習です

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 と前回書きました。

 

ひとつ疑問が生じるはず。

私たちは「知らないことは認識できない」のに、なぜ新しい知識を得ることができるのでしょうか?

 

 その答えは今回のテーマである「傲慢」とも大いに関係しています。じっくり考えていきましょう。

 

 

 ところで、「学習曲線」を御存知でしょうか?

 

「学習曲線」は、ドイツの心理学者 ヘルマン・エビングハウスによって提唱された概念です。そもそもは「忘却曲線」として知られる「人は反復して覚えることで記憶力が上がる」という事実を紹介したものでしたが、現在では「能力の向上によってこなす時間が短くなる」という意味まで内包するよう。

 

スポーツの練習をしたり、何かの技能を身につけようと取り組んだときのこと(例えば「ゲーム」w)を思い出してください。練習時間や練習量と能力の向上は必ずしも比例関係ではありませんよね。たいていは、1)どれだけ頑張っても進歩が感じられない長い横ばい状態があり、2)“ある瞬間(掴んだ瞬間)”にドーンと成長し、そして3)まるで壁にぶつかったかのように再び横ばいになる といった感じになると思います。図にすると↓

 

学習曲線

 

 

その「横ばい状態」を「プラトー(plateau)」と呼びます。そして、ドーンと成長した瞬間が“超越”です。このように何かを身につけるときは、1)プラトー→2)超越→3)プラトーとS字を描くように経過します。

 

“超越”というのはゲシュタルト化のこと。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 ゲシュタルト同士を統合しながらより大きなゲシュタルトを作りあげるほど(connect the dots)、“理解”が深まり、“習熟”していきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

例えば、自動車学校に通ったときのことを思い出してみましょう。

まず車の運転に必要な知識を学びます。車の構造から具体的な操作方法、ルールなどです。

 

 *ルールについてはこちら↓ マナーやモラルとの違いはクリアですか?

 S-02~:自由に生きるために ~マナー、ルール、モラルについて考える~(目次)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/17563396.html

 

 

ひととおり学んだ後実技に入ります。最初に車を運転した時はかなりぎこちなかったと思います。「まず安全確認をして、クラッチを踏んで、ギアをローに入れ、それからアクセルを踏み込みつつクラッチを戻し」など、次に行うことをひとつひとつ考えながら運転していたのではないでしょうか?

アクセルの加減が強いとクラッチが滑り、弱いとエンストすることを経験し、アクセルを踏み込んだ時の加速の感触、ブレーキを踏みこんだ時の制動の感覚などを体験し記憶しながら「車の運転」を覚えていったはず。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13397552.html

 

では、車の運転がぎこちなかった頃とスムーズになった今では何が違うのでしょうか?

 

ひとつはマインド(脳と心)の使い方です。

ぎこちない間は、一つひとつの動作を意識にあげて行っています。思考のパターンは論理的(または言語的)で、その処理はシリアル(直線的)です。

S-01~:よりよい“議論”のために(目次)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11613757.html

 

ところがスムーズな今は、運転を無意識下で行っています。いちいち次の動作を考えなくても「手足が勝手に動く」状態です。ドラゴンボール風にいうと「身勝手の極意」w

思考のパターンはイメージ的(非論理的、非言語的)で、処理はパラレル(並列的)に行われています。

PM-06-12:仮説07)思考停止

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

人によってタイミングはいろいろでしょうが、スムーズに運転できるようになり「慣れた」と感じる頃には、必ず意識下の処理から無意識下の処理に変わっています。

それが“超越”の正体。その“超越”の瞬間に「ゲシュタルトの再構築」が行われています。

この“ゲシュタルト能力”こそが、「知らないことは認識できないのに新しい知識を得ることができる秘密」です。

F-251:「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋を架ける <vol.8;選択>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29250667.html

 

 

昔から私は「どうすれば生産性を高めることができるか?」を探求していました。

先人の経験論を数多く学び、苫米地博士と出会ってからは認知科学的知見からその秘密を追究しています。今回取り上げている“無意識化”も秘密のひとつです。

 

*「どうすれば生産性を高めることができるか?」には、じつは、大きな問題があります。「傲慢」とも結びつく克服するべき課題が何かわかりますか? ヒントはこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

人間は意識下では2つのことまでしか同時にはできないといわれています。しかし、無意識下ではかなり多くのことが同時に処理できます。心臓を動かしながら呼吸やまばたきをし、体温調節を行いながら褥瘡ができないように圧調節もしつつ、目の前の人とのおしゃべりを楽しみながら食事をしている なんてことを自然にしていますよね。

車の運転もそう。免許取りたての頃は話す余裕がなかったのが、今では歌いながら運転できるはずw

 

 「どれだけ頑張っても進歩が感じられない」「壁にぶつかった」と感じている時は、とても辛いかもしれません。しかし、そのような時期は新たなゲシュタルトを構築するための大切なときでもあります。

辛いと感じる時は、まずはゆっくりと呼吸を整え、ゴールを達成している未来をビジュアライズしてみましょう。

 F-253Corona Panicに打ち克つ ~ビジュアライゼーションによるゴール達成法~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29357204.html

 

 反対に、「どれだけ頑張っても進歩が感じられない」「壁にぶつかった」と感じない(感じられない)時は危険です。“現状”というコンフォートゾーンにどっぷり嵌っている可能性が高いから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 その“現状”が理想的であればあるほど、現状の外に飛びだすことは難しくなります。そのままではきっと、「傲慢」に陥ってしまうでしょう。

最初に確認したとおり(F-257)、「傲慢」は権力という幻想への隷属であり、絶望や不幸のはじまりです。

 PM-06-06:仮説01)変わらないコンフォートゾーンが生みだす「現状維持の壁」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628746.html

 

F-260につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

 あの頃の私へ、そして同じような境遇の若者へ、コーチとして心を込めて贈る第2弾です

 

伝えたいのは「心の力(The Power of Mind)」のすばらしさ。

 

 誰もが、心の力によって、「未来の自分」を臨場感豊かに想像することができます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

そして、課題を克服しながら「未来の自分」を創造し、本当に現実化することができます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

過去の呪縛や不安よりも、未来の希望や期待に対して、遥かに大きく強い臨場感を感じることができるからです。本当は。

その臨場感が「心の力(The Power of Mind)」。その正体は誰もが持つホメオスタシス(Homeostasis)です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 そして、それは「縁起」の力でもあります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 以下、苫米地博士の著書「もうこれ以上、人間関係で悩まない極意 -今こそ、『縁起人』として生きろ。」(TAC出版)より引用します。

 

 

 コーポレートコーチングと縁起の関係

 それでは、パーソナルコーチングの次は、「コーポレートコーチングと縁起の関係」についてお話ししていきましょう。

 コーポレートとは、組織、団体を指します。人が集まったグループのことを「コーポレート」と呼び、そういったグループを対象にしたコーチングを扱うのが「コーポレートコーチング」なのです。

 そして、コーポレートコーチングを行う目的とは、簡単にいいますと、「何らかの目的を持って人が集まっている組織」が「その目的を達成するため」あるいは「最大の効果を発揮するため」です。

 つまり、組織の出す成果を最大にするのが、コーポレートコーチングなのです。

 そして、会社や組織というコーポレートとは、そもそも幻です。

 実際、パーソナルコーチングを会社の社長にするというのなら、社長は幻ではなく実体はあります。しかし、コーポレートである会社は実体がありません。

 会社は税金をとられますが、これも厳密にいうと憲法違反です。憲法の徴税権には「国民の納税義務」と書いてあるからです。法人は国民ではありませんが、人間であるかのように生産活動して消費活動をしているので、納税しているわけです。

 コーポレートもそれと同じで、物理的な実体がないのに人間扱いという点において、普通の人間に比べてはるかに縁起的存在といえるわけです。縁起の考え方は「この世のすべてのものが幻」ですがそれを象徴するものといえるでしょう。

 しかし、実体も脳もないような幻にコーチングするのは、パーソナルコーチングよりもはるかに難しいものになります。そして、コーポレートコーチングのコーチは、「コーポレートコーチ」と呼びます。

 

 さて、コーポレートコーチは幻に、一体どうやってコーチングするのでしょうか。

 それはズバリ、組織や団体を「何らかの目的を持ったグループに変えるのです。コーチとはもともと馬車を意味し、「人を目的地まで連れていく人」のことですので、コーチングを受ける人は目的地があるのが大前提です。ですからコーチングを受ける組織や団体は「何らかの目的を持ったグループ」でないと成立しないのです。

 コーポレートコーチングは、パーソナルコーチングと比べ多くの人と関わります。それゆえ、縁起関係は多様になります。さまざまな価値観と触れ合い、組織のゴール達成を手助けし、大勢の人に幸せをもたらします。だからこそ、人とうまく関係を結べる縁起人には知っておいていただきたい方法なのです。

 引用終わり

 

 

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