Q-280:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました <後編;RAS=意識と無意識の間に介入し、選択的に見せるシステム>

 

御質問をいただきました。ありがとうございます。

 その一部に回答いたします。

 (変更を加えています)

 

前編と後編とでまったく違う回答になります。

もしも混乱したなら、その混乱自体を楽しんでください。Rがゆらぐことで、新たなゴールを見つけやすくなるから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 *「Rゆらぎ」はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28037699.html

 

気楽にどうぞw

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19980130.html

 

 前編;RAS=情報のフィルター機能

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29637526.html

 後編;RAS=意識と無意識の間に介入し、選択的に見せるシステム

 

 

Q:これまでの説明を聞いていて、RASとスコトーマの話は認識しているものの中から何を選ぶかという話だと思っていました

 

A2:前回は「RAS=情報のフィルター機能」というゲシュタルトで回答しました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

ゲシュタルト(Gestalt)とは「全体性を持ったまとまりのある構造」のこと。全体の意味は、部分の構造的な一方向の組みあげからくるのではなく、意味のある全体として存在していると考えます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 例えば、「ルビンの壺」でいうと、「壺」という認識や「向き合った人の顔」という認識がゲシュタルト。「壺」(全体)では模様(部分)に思えたところが、「向き合った人の顔」(全体)では鼻や口(部分)に見えてきます。

 

 

ルビンの壺(Wikipedia)

「ルビンの壺の一例」

Wikipediaより引用

 

 

部分の意味はゲシュタルトが決め、ゲシュタルトは同時に1つしか維持できません。

つまり、ゲシュタルトが意味を決め、ゲシュタルトが変わると意味が変わるということ。

Q-199:状況は意味により変わる? 意味は状況の中にある?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26292382.html

 

 「RAS」という概念はひとつのゲシュタルトであり、「スコトーマ」もひとつのゲシュタルトです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

人間はゲシュタルト同士をより大きなひとつのゲシュタルトに統合することができます(connect the dots)。それが人間が持つ「ゲシュタルト能力」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

 ゲシュタルト同士を統合してより大きなゲシュタルトをつくるほど、理解はどんどん深まっていきます。“意味”がわかるからです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

ではここで、認知科学者 苫米地英人博士の著書「オーセンティック・コーチング ~本物のコーチング~」(CYZO)を確認してみましょう(p101)。

 

 

オーセンティック・コーチング

 

 

前回(Q-279)引用した部分で、苫米地博士は「RASは)重要なものを活性化している」「意識と無意識の間に介入し、選択的に見せるシステムがRAS」と書かれていました。

 よって、「認識しているものの中から何を選ぶか」で正解です。より正確に表現しなおすと、「無意識下で認識しているものの中から何を意識に上げて選ぶか」。

 

その新たなRASの定義でゲシュタルトを再構築してみましょう。鍵は「無意識のコントロール」です。ぜひ「しっかり感じて(feel!)、しっかり意識に上げる」をハビット化してください。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 以下、「オーセンティック・コーチング」から引用します。

 

 

 ◎無意識をコントロールする

 RASは自分のリアルタイムの重要性で意識に何を上げるのかを選択します。大切なのは、それを自分でコントロールできるものにするか、しないかなのですが、基本的に私たちは無意識の世界をコントロールできません。

 では、「無意識」は絶対にコントロールできないのか、といえばそんなこともありません。例えば、呼吸です。普段、私たちは無意識に呼吸を行っていますが、意識に上げてコントロールすることもできます。早く息をしたり、息を止めることは誰でもできます。

 歩行に関しても、普段は無意識にバランスを取っていますが、足場の悪いところを歩く時には意識してバランスを取ることができます。

 さらに言えば、心臓の鼓動も訓練次第でコントロールできます。私の友人のヨーガの行者 成瀬雅春氏は心臓の鼓動をほとんど止めることができますし、スイスなどにいる時計職人たちも同様に心臓をほぼ止めて機械式時計を組み上げています。

 つまり、無意識を意識することは可能なのです。

 とはいえ、いまからヨーガを始めてください、時計職人になりましょう、という話ではありません。もちろん、やりたいのであれば止めはしませんが、ポイントは「無意識を意識することは可能である」と知っておくことです。

 無意識はコントロールできるんだ、とわかっていれば、コントロールはだいぶ楽になります。呼吸をコントロールする訓練から始めていけば、無意識のコントロールは誰でも可能となります。

 呼吸のコントロールができるようになったら無意識と意識の境界で一部だけは意識して、一部だけは無意識にするようにしてください。要はテニスの素振り、バットの素振りと同じです。徹底的に意識的なコントロールを繰り返して無意識化することで無意識の操作を可能にしていくのです。大切なのは「無意識の存在」を意識することです。

 この辺の感覚がわかってくるとヨーガの達人のように背骨の骨の一つひとつを動かせるようにもなります。初めは当然できませんが、背骨に意識を集中して身体の曲げ伸ばしをしていくことで背骨の骨の一つひとつを動かせるようになるのです。

 そうやって身体を精密にコントロールすることによって、無意識のコントロールは可能になっていきます。

 引用終わり

 

  

 ゲシュタルト・モデルのエッセンスは、「自我の存在を分析的にとらえず、環境との総体的な関わりあいのなかでとらえる」こと(「洗脳原論」p72)。そのゲシュタルトを破壊することが、洗脳の典型的手法のひとつです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 今、いきなり“洗脳”という言葉がでてきてびっくりしているのでは?w

 じつは“洗脳”は特別なことではなく、ごく身近にも潜んでいる日常的な出来事です。

 

そもそも「わたし」というセルフイメージ=ブリーフシステム=自我そのものは情報に過ぎません。いわば幻想です。その「わたし」を破壊することが洗脳のひとつ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11823351.html

 

 コーチングの観点でいえば、未来(ゴール)側からの「わたし」の創造的破壊です。

 L-07520211… -04;抽象度を上げてIQを向上させる苫米地式トレーニング

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29486824.html

 

最近、苫米地博士は「“洗脳技術”は個人のゴール達成に極めて有用」と話されました。そして、「その前に”1億総脱洗脳“が必要」とも。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 *詳しくはこちら(「バラいろダンディ」2022822日)↓

 "洗脳"のリスクをよく理解して認知戦の現代を生き抜け Dr.苫米地 2022年8月22日 - YouTube

 

 

220822 洗脳(バラダン)-5

「バラいろダンディ」(TOKYO MX2022822日放送回)より引用

 

 

 苫米地博士は「脱洗脳において、この破壊されたゲシュタルトを正常化することは、デプログラミングそのもののプロセスというより、洗脳の後遺症を解決するという意味合いが強い」と述べられています。なぜなら、ゲシュタルト破壊は、教義や思想の刷りこみという洗脳の中心的な役割に比べると、現実世界からの切り離しという補助的なものであるからです(「洗脳原論」p74)。

 

 とはいうものの、ゲシュタルト破壊による人格破壊を解決しなければデプログラミングが終了したとはいえないため、ゲシュタルトはしっかり正常化する必要があります。

 その正常化のポイントになるのが「無意識を意識に上げる」こと。

 F-163:アンチからウィズ、そしてウェルへ vol.1「生」;好きなことだけやる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24281579.html

 

 具体的には「体に意識を戻す」ことを常に行い、自身の手や足の感覚に注意を向けていきます(focus of attention)。モニタリングです。

 Q-202:視点のきりかえとは、「1)現状の外からの視点」「2)現状の認識」「3)最悪の状態の想定」を切り替えて考えるということでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26408247.html

 

 まずは身体のモニタリングを。次は自分のいる時間と場所(「いま、ここ」)を確認していきましょう。物理空間上の4次元座標の意識化です。

苫米地博士は「時計を持たせて頻繁に時間を確認させ、現実の世界のなかで時間の流れに乗っている実感を湧かせることなどが重要である」と書かれています(「洗脳原論」p75)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 その4次元座標から、より高次の情報空間中にひろがる可能性(可能世界)に目を向けることができるようになると、今はまだスコトーマに隠れているさらなるゴールを見つけられるようになります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 それが「無意識下で認識しているものの中から何を意識に上げて選ぶか」の意味。

 

 先程、「そもそも『わたし』というセルフイメージ=ブリーフシステム=自我そのものは情報に過ぎません。いわば幻想です」と書きました。その「セルフイメージ=ブリーフシステム=自我」は「より高次の情報空間中にひろがる可能性(可能世界)」のことでもあります。

 つまり、自我と宇宙はまったく同じ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 博士のメッセージ(「“洗脳技術”は個人のゴール達成に極めて有用」「その前に”1億総脱洗脳“が必要」)をストレートに受け取りながら、私は、「自我と宇宙はまったく同じ」を理解することがコーチングのスタート地点であり、「自我と宇宙はまったく同じ」をしっかり体得することがゴール達成(&新たなゴールへのスタート)であると感じました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 

 コーチングを学びはじめた若者にとっては難解な回答だったかもしれませんねw

 私が伝えたいのは、「RAS」や「スコトーマ」という基本的な概念であっても、その背後(根底)には巨大な知の体系があるということ。

 

 いつまでも“好奇心”を失うことなく、学び続けてください。もちろん、100%want toで。

 F-201~:「医学と医療」と「理学と工学」の類似と相違からコーチングで心がけるべきことを考える

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_413696.html

 

 さらなるゴールを感じながら学習を続けていると、今はまだ思い描くことさえできないような大きな“夢”が見つかります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 まずはゴール設定を! それも人生のあらゆる領域に(バランスホイール)!

 ゴールに向かって生きているうちに、ますます自由になりながら、新たなゴールを見つけるはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

  

 その新たなゴールが人生をさらに明るくあたたかく書き換えていきます。あなた自身だけでなく、あなたと縁ある人すべての人生をです。そんな輝く人生を存分に楽しんでください。気楽にw

 S-04~:さぁ「人間関係の悩みを克服する旅」をはじめよう!(目次)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22305802.html

 

 

 以上、私の回答です。

 御質問ありがとうございました。

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

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