F-258:不満と傲慢のはざまで苦しんでいる君へ <vol.2;スコトーマを生みだす/外すポイント>

 

 子どもの頃、私は「不安と不満」「悲しみと怒り」が混ざり合ったような混沌の中で生きていました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7031488.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7031602.html

 

 あの頃の私へ、そして同じような境遇の若者へ、コーチとして心を込めて書いたのがこのブログ記事↓

 F-217~:不安と不満のはざまで苦しんでいる君へ

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_416096.html

 

 私の経験でいうと、「不安と不満のはざま」を抜け出した後には、さらに大きな試練が待ち構えています。その試練とは「不満と傲慢のはざま」。それは「自由と隷属のはざま」であり、「希望と絶望のはざま」「幸福と不幸のはざま」でもあります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 では、ゴールが生みだす不満をエネルギーと創造力に変え、自由を貫き、希望を抱きながら幸福に生ききるためにはどうすればいいでしょうか?

 傲慢を改め、隷属から抜けだし、絶望や不幸を克服するために何を心がけるべきでしょうか?

 

 あの頃の私へ、そして同じような境遇の若者へ、コーチとして心を込めて贈る第2弾です。

 

 vol.1;「不安と不満のはざま」を抜けだした後に待つ試練

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29576555.html

 vol.2;スコトーマを生みだす/外すポイント

 

 

コーチングは、スコトーマを消すことで新たな認識を得る技術です。スコトーマが外れることで、これまでの思い込みは消え去り、世界が拡大します

スコトーマを外すのに必要なのは、自我を変えることです。つまり、コーチングは、自我という評価関数を変える技術なのです

「もうこれ以上、人間関係で悩まない極意」(TAC出版)より

 

 

 スコトーマについて復習しましょう。

 

人間には必ず認識の盲点があります。コーチング理論では、それを「スコトーマ(scotoma)」と呼びます。スコトーマはギリシャ語に由来する言葉で、もともとは眼科で用いられる医学用語。英語では「blind spot」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

「見ているのに、見えていない」「聞いているのに、聞こえていない」そんな経験がありませんか? 

 

その時、情報が抜け落ちています。それを「スコトーマに隠れる」と表現します。

“恋は盲目(love is blind)”という言葉もスコトーマに関連する言葉。恋をして相手の欠点が見えなくなってしまったという経験は?

もしもYesなら、それもスコトーマですw

 

すこし古いデータですが、イギリスではiPodなどの携帯機器のヘッドホンを装着した歩行者が巻き込まれた交通事故の件数が、2004年から2011年にかけて3倍に増加しました。スマホを見ながら移動するのも同じ。とても危険な行為です。

メリーランド大学小児病院のリチャード・リッヒェンスタイン博士は「ヘッドホンを装着していると外部の音が聞こえにくい。そのために生じる注意散漫や感覚遮断が主な事故原因として考えられる」と説明し、さらに「最近では電子機器の使用により注意散漫になり、外部刺激に対する脳の反応が弱まることを指す『非注意性盲目(inattentional blindness)』という新しい言葉が生まれている」と指摘しています。

この「非注意性盲目」という概念も、「我々の認識には必ずスコトーマが生じてしまう」という事実を捉えたものといえます。

 

私たちは、より良く生きるためにスコトーマを理解し、そして、うまくコントロールする必要があります。では、どのような時にスコトーマが生じる/外れるのでしょうか?

 

 

スコトーマを生みだす/外すポイントは3つあります。

 

1つ目は「知識」です。

私たちは、知らないことは認識できません。

 

例えば、バチ状に膨大した指を見て呼吸器疾患や肝硬変などを疑うことや、爪の下に縦走する線状の出血(splinter hemorrhage)を見て感染性心内膜炎を疑うことができるのは「知識がある」から。

(私が医師である事実がスコトーマに隠れていませんでしたかw?)

 

私たちは「知らないことは認識できない」のです。ここに学習の意味があります。

PM-05-06~08:そもそも教育とは?-3)学習を促進する

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9367702.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9533528.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9533623.html

 

日々の学習は認識のためです。その認識はもちろんゴール実現のため。どんどん認識し、世界をひろげ、情報宇宙を豊かにしながらゴールを実現していくホメオスタシス活動が学習です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 

2つ目は「重要性」。

私たちは知っていても、重要と思わないことは認識できません。

 

昔、講義後質問に来た学生さんに、つけていた腕時計の文字盤のデザインを書いてもらったことがあります。もちろん時計を見ずに。

学生さんは少し戸惑いながらも、自分の時計の絵を書きはじめました。そこには1から12までの算用数字(アラビア数字)がすべて書きこまれていました。

書き終わった後、一緒に文字盤を確認すると なんと文字盤に数字はひとつもありませんw そこには記号があるだけでした。

学生さんが驚いたのはそれだけではありません。私が時計を手で隠し「長針はどこを指してた?」「秒針は?」と尋ねたら、まったく答えることができませんでした。

学生さんに一体何が起こったのでしょう?

 

ふつうは時間を知るために時計を見ます。そのとき重要なのは針の位置であり、文字盤はたいして認識されません。デザインがスコトーマに隠れるのです。

ところが、デザインを意識した瞬間に重要性が変化し、針が消えてしまいました。

このように重要性はリアルタイムで変わります。スコトーマは意識状態によってダイナミックに変化するということ。

 

つまり、目の前の世界は各人が重要性で生みだしている幻想。つい他人と同じ世界に生きているように感じてしまいますが、それは共同幻想にすぎません。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11823351.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11823843.html

 

 

3つ目は「役割(責任)」。

知識があり、重要であっても、役割がなければ(責任を感じていなければ)認識できなくなります。

 

ずいぶん昔の話ですが、子どもが生まれたばかりの頃、私はポケットベルを使用していました。同じ部屋で妻と子どもと寝ています。子どもが泣くと、妻はすぐに起き上がり、子どもをあやしはじめます。私にはまったく泣き声は聞こえません。

ところが、ポケベルが鳴った時は、私はすぐに目が覚めます。妻はピクリともしません。気持ちよさそうに眠ったままです。

 

なぜ妻は、子どもの声には反応するのに、ポケベルの音には反応しないのだろう?

なぜ私には、ポケベルは聞こえるのに、泣き声は聞こえないのだろう?

 

当時の私はマインド(脳と心)に関する知識が少なかったため、この事実をとても不思議に感じました。ゲシュタルトができていなかったのです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 もうわかりますよね。

この現象は重要性の違いで起こりました。妻にとってポケベルの音は重要ではなかったので、その音はスコトーマに隠れました。

では、私にとって子ども(の泣き声)は重要ではないのでしょうか?

 

もちろん、そんなことはありませんw

おもしろいことに、妻の体調が悪い時には、ふだんは聞こえないはずの子どもの泣き声が聞こえました。妻より先に起き上がり、必死にあやしていたことを覚えています。

では、妻の体調が悪い時には、なぜ、ふだんは聞こえない泣き声が聞こえるのでしょうか?

 

そう、役割(責任)の違いです。

子どもはもちろん重要です。しかし、子どもが泣くのは授乳などが必要な時で私では対応できないため、私の無意識は役割(責任)を感じなかったのです。その結果、スコトーマが生じました。

妻の体調が悪い時は役割(責任)が生じ、泣き声がRAS(Reticular Activating System、網様体賦活系)を通過し、スコトーマが外れ、私の認識にあがりました。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

 

スコトーマが外れるのは、1)知識、2)重要性、3)役割(責任)の3つがそろったとき

 

「不満と傲慢のはざま」にいるときはとくに、「スコトーマ」を意識に上げておく必要があります。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24281579.html

  

 なぜなら、傲慢になった瞬間に“反権力”がスコトーマに隠れてしまうから。

 

傲慢=権力=過去のしがらみです。傲慢に陥ったとき、無意識は現状(=過去のしがらみ)を肯定しています。そうなると当然、現状の外に飛びだすエネルギーや創造力は失われます。

つまり、奴隷になるということです。

F-206~:マトリックス/Matrix

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_414394.html

 

F-259につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

 あの頃の私へ、そして同じような境遇の若者へ、コーチとして心を込めて贈る第2弾です

 

伝えたいのは「心の力(The Power of Mind)」のすばらしさ。

 

 誰もが、心の力によって、「未来の自分」を臨場感豊かに想像することができます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

そして、課題を克服しながら「未来の自分」を創造し、本当に現実化することができます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

過去の呪縛や不安よりも、未来の希望や期待に対して、遥かに大きく強い臨場感を感じることができるからです。本当は。

その臨場感が「心の力(The Power of Mind)」。その正体は誰もが持つホメオスタシス(Homeostasis)です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 そして、それは「縁起」の力でもあります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 以下、苫米地博士の著書「もうこれ以上、人間関係で悩まない極意 -今こそ、『縁起人』として生きろ。」(TAC出版)より引用します。

 

 

 コーチは新しい縁起

 コーチングには二つの要素があります。

 一つはコーチとクライアントの関係です。二人の間の縁起が生み出すものがコーチングというわけです。

 二つめは、コーチがクライアントに、頭やマインドの使い方……つまり、「縁起にどう関わるか」というテクニックを教えることもコーチングと呼ぶのです。

 これらは、もちろん同時進行的ではありますが、二つの要素で進められることを認識していなければなりません。

 もし、「縁起にどう関わるか」というテクニックを教えるだけなら、コーチ一人対集団というクラスでもできます。コーチとクライアントが一対一である必要は、ないのです。

 つまり、コーチングで重要な意味合いを持つのは、「コーチとクライアントの関係」だというわけです。特に、一対一のパーソナルコーチングでは二人の関係が強ければ、コーチはクライアントのゴール設定や、ゴールの達成に、強い影響を及ぼすことができます。そして、それこそが、コーチングの一番重要な部分なのです。

 

 ですので、私がクライアントに30分コーチングをする場合も、具体的なテクニックの部分などは、一切やりません。その代わり、クライアントには、必ず同時に具体的なテクニックを教えるクラスに出てもらいます。

 30分のコーチングの場合、関係性を強化するほうに重点を置いているというわけです。

 当たり前といえば当たり前ですが、人間は一つの縁起の結果として存在しています。ですから、何度も繰り返しますが、まず関係があって、存在があるわけです。

 そうすると、その人の存在は、関係が変わると変わります。

 ということは、コーチという関係が加わると、クライアントの存在も変わるということになるのです。

 コーチングの一番コアな部分がここです。つまり、コーチングとは、クライアントをまったく違った人物に変えてしまうということなのです。

 

 コーチングを受けたのに、結果、違った人にならないのなら、わざわざお金を払ってコーチングを受ける意味がありません。

 違った人物になると、今まではできなかったことができるようになります。

 今までゴールが達成できなかった人、それどころかゴール設定さえできなかった人……、彼らがゴールが設定できるうえに、達成まで成し遂げてしまうように激変するわけです。

 激変する理由はたった一つ。「コーチ」という新しい縁起が関わったからです。

 ですから、コーチはクライアントに対して、彼らの親や先生など縁起上、強い影響力があった人たちよりも、さらに強い影響力を持つ存在にならなければいけないのです。

 これが実現できると、クライアントは違う人に変わることができるというわけです。

 だから、コーチングは、縁起そのものであると私は考えています。

 

 そもそも、コーチングに限ったことではなく、人間が大きな判断をしたり、新しいことをしたりする場合は、必ず本人に影響を与えている他人が存在します。

 影響を与えている側は、意図的に行っていない場合が多いですが、たとえば、人が恋をしたときに、想い人とつき合いたいがために、大きく変わったりしますが、そのことも「縁起」だといえるわけです。

 縁起以外の理由で人間は行動しませんし、たいてい、縁起の相手は人間(または動物)なのです。

 たとえば、「どうしても欲しい車がある」というケースもありますが、買いたい理由は大体誰かを乗せて走りたいとか、誰かに自慢したいということだったりしますので、そこに人間が介在している場合が普通なのです。

 

 もともと、人間は、人間との縁起関係においてのみ行動するし、変化するものです。その縁起のプリンシプルを承知のうえで、クライアントに対し、誰よりも強い影響力を与える存在がコーチなのです。コーチは、両親よりも強力な縁起の存在としてクライアントに関わるわけですから、すべてを計算し尽くして関わっていくわけです。

 ですから、「コーチング=縁起に関わる」という図式が成り立つわけです。

 

 人が変化する裏には、影響を与えている人がいる……。このことを知っておくだけでも、対人関係に生かせるのではないでしょうか。最近周囲で変わった人がいるならば、その人にとってのキーマンが近くに存在するわけです。キーマンを含め彼ら全員を幸せにするつもりで接していれば、人間関係は深まるはずです。

 そして、コーチになって、コーチングを他人に教えることができるようになれば、人生は豊かになります。なぜなら、縁起を大きく変えることができる存在となるということは、人からの信頼は確実に増すからです。

 引用終わり

 

 

-告知1

 2022年度のオンラインセミナー(全12回)を企画しました。

メインテーマは「夢が勝手にかなうマインドセット(“Matrix”)の構築 ~ReloadRevolution」。詳細はこちらでどうぞ↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28274321.html

 

 第6回目(R4.9/18開催)のテーマは「洗脳」です。詳細はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29507008.html

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

-関連記事-

F-199:“あの人”の言葉は… Vol.3;「こんなにほったらかしにして」を生みだすスコトーマ

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26545746.html

F-205:花オクラ

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26892359.html

Q-253:最近また頭痛がひどくなりました <vol.2;スコトーマ外しの心得>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28623749.html

 

 

51I18QImOnL

もうこれ以上、人間関係で悩まない極意 -今こそ、『縁起人』として生きろ。

Kindle版はこちら↓

Amazon.co.jp: もうこれ以上、人間関係で悩まない極意 ─今こそ、「縁起人」として生きろ。─ (TAC出版) eBook : 苫米地 英人: