Q-275:現状の外に飛び出す勇気やエネルギーが全く出ませんでした。それでも自己責任なのですね
~綸言汗の如し~ <vol.5;苫米地式「汗の如し」-後編->
御質問をいただきました。ありがとうございます。
その一部に回答いたします。
(変更を加えています)
Q:…コーチはクライアントのゴールを100%応援すると言いながら、成果が出ないのはクライアントのせいにされます。現状の外に飛び出す勇気やエネルギーが全く出ませんでした。それでも自己責任なのですね。今は全てそういう事も見抜けなかった自分の責任というのは受け入れました。
それぞれがそれぞれの立場で固まったスコトーマを持ち、共感出来ないのではないでしょうか?
…今回は5部構成です。全編通じてのテーマは「綸言汗の如し」。
以下、Wikipediaより引用します。その意味を感じながら、ゆっくり読み進めてください。
綸言汗の如し(りんげんあせのごとし)は、皇帝が一旦発した言葉(綸言)は取り消したり訂正することができないという中国歴史上の格言。
「綸言」の出典は孔子の『礼記』緇衣篇である。原文では「王言如絲、其出如綸;王言如綸、其出如綍」となっており、王のちょっとした言葉(絲:細かい糸)が重い意味(綸:太い糸)を持つとの教訓である。
「汗の如し(如汗)」の出典は『漢書』劉向伝であり、原文は「言号令如汗、汗出而不反者也」である。
…皆さんならこの質問に対してどのように答えますか? もちろん共感しながら。
Q-265~:臨場感世界をまったく同じように感じることが可能なのでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_420880.html
vol.1;すべて「そのとおり」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29257774.html
vol.2;苫米地式「言」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29294634.html
vol.3;苫米地式「綸」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29323919.html
vol.4;苫米地式「汗の如し」-前編-
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29349738.html
vol.5;苫米地式「汗の如し」-後編-
A5:これまで「綸言汗の如し」を、苫米地理論を念頭に考察してきました。
PMⅠ-01-11~17:超情報場仮説(理論)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165789.html
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その「綸言汗の如し」は、「皇帝が一旦発した言葉(綸言)は取り消したり訂正することができない」という意味。
もちろん間違いではないのですが、大切な視点が抜けたままだと、大きな過ちを犯してしまいます。
前回(Q-274)は、「大切な視点」とは「抽象度」であり、「大きな過ち」とは「自由を失う」ことであると書きました。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html
*「抽象度」はこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
抽象度という軸で宇宙をみる場合、情報空間の底面が物理空間です。
よって、「汗の如し」という言葉に囚われると、視点が底面(物理次元)に限定されてしまうことになります。それが「自由を失う」という意味です
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html
…と書きましたが、ここで止まってしまうと、やはり「自由を失う」ことになります。「より大きな縁起がスコトーマに隠れてしまう」という意味です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html
「綸言汗の如し」の「汗」は「時間の一方向性」をあらわす比喩として解釈されています。その流れは、「現在→未来」ではなく、「未来→現在」であるというのがこれまでの内容でした。
一方で、その「汗」は、物理的実体であると同時に現象のこと(発汗)でもあります。ホメオスタシス・フィードバックの結果としてあらわれる現象です。
ホメオスタシス(恒常性維持機能)とは、「生体が環境とフィードバック関係を持つことにより、生体の機能を安定的に保とうとする機能」のことです。そのフィードバックは常に双方向。
例えば「運動すると汗がでる」のは、以前お伝えしたとおり(Q-272)、発汗(→気化熱→温度低下)によって適切な体温を保とうとするホメオスタシス・フィードバックです(=CZ維持)。その時、「汗」が縁になって起こる「→気化熱→温度低下」という変化は、自身の生体(体温)だけでなく、環境(気温)にも働きかけています。それが双方向という意味。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
人間の場合、ホメオスタシスは情報空間にまでひろがっています。情報空間での双方向のフィードバック関係が「縁起」。そして、その縁起空間(情報空間)には階層性が存在しています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
「縁起」とは「因縁生起(いんねんしょうき)」のこと。それは「すべての事象は種々の因(原因)と縁(条件)によって生じる」という仏教の教えです。
もっと掘り下げると「因とは直接的な因果」「縁とは間接的な因果(もしくは条件)」とされているのですが、認知科学者 苫米地英人博士はその解釈を明確に否定されています。「本当は因も縁も直接的な因果だ」と。
「因」も「縁」も同じく「直接的な因果」。ただ抽象度が違うだけ。「因」の方が抽象度が低く、「縁」の方が高いというように。
「縁」は間接的に見えて、じつは、高い抽象度で直接的である
…昨年、苫米地博士は一般向けに“コーチングの“奥義”を開示されました。その奥義とは「コーチングでは、関数pの再定義を促すのではなく、可能世界“w”から別の“w1”に移行することを促す」。
F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html
「w1」とは「世界」のこと。その「世界」とは「情報空間中にひろがっていく、双方向のフィードバック関係を持った縁起(空間)」のことです。
つまり、コーチングとは、因を起して自分を変えることではなく、縁を起して新たな世界を創造する機能のこと。そのコア中のコアが「ゴール」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
苫米地博士はこのようにも語られます。
過去、現在の結果としての最適解ではなく、未来の因果から最良の状態を選択できるのが真実のリーダーである。過去、現在の因果ではなく、未来の縁で、真に自由な選択をするのが真実のリーダーである
…その教えをうけ、私は、「自分中心を捨て去るからこそ、『未来の縁』をうみだすことができる」「自分中心を捨て去るからこそ、『真の自由な選択』というリーダーの責任を全うできる」と確信するようになりました。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html
だから私は、ゴールのポイント「2)自分中心を捨て去る」にこだわります。
Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html
その「2)自分中心を捨て去る」を意識に上げながら、再度、自身の言動を確認してください。「それぞれの立場で固まったスコトーマを持ち、共感出来ない」理由が感じられるはずです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24281579.html
最後に、認知科学者 苫米地英人博士の著書「もうこれ以上、人間関係で悩まない極意 -今こそ、「縁起人」として生きろ。」(TAC出版)より引用します。苫米地博士の“気”を受け取ってください。Don’t
think, feel!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html
コーチング自体が、釈迦の縁起そのもの
私はコーチング自体が、釈迦の縁起そのものだと思っています。
なぜかというと、コーチングはマインドの使い方がもっとも大事だからです。
正しいコーチングの見方とは、人が抱える問題点が、構造的・物理的なものであると分析されたとしても、それもすべて人間の心、マインドの問題だと捉えることです。
この視点はとても大事です。
この視点がなく、すべての問題の原因はマインドにあると捉えることができないと、コーチはコーチングできているとはいえません。
縁起の考え方は、「この世のすべては自分の心が生み出している」ということです。それは、コーチングの「すべてはマインド次第」という考えと一緒です。
そもそもコーチングのもとになる教えは西洋で生まれてきた概念ですが、内容の本質は仏教です。なぜなら、ルー・タイスはキリスト教徒ですが、大乗仏教とキリスト教は、ほとんど同じ考え方だからです。その理由については、私が今までさまざまな宗教の本で説明してきたので、ここでは割愛いたします。
そういった事情を鑑みると、コーチングが釈迦の縁起と密接な関係があるというのは、不思議なことでもありません。
また、ルー・タイスの言葉に「すべての変化はマインドで起きて外に広がる」というものがあります。
必ずゴールが達成できるという確信をクライアントに埋め込んであげることがコーチの役割ですが、それはマインドの使い方にかかっています。
それがゴールが縁起に関わる、コーチが縁起に関わるということです。
確信が高いものが実際に起きるのが、この世の縁起のカラクリです。縁起は外に広がっていくので、常に確信していることが重要なのです。
つまり、確信度が高いほど、変化が生じるわけですから、人間関係で悩む方も、もう悩まないと確信し、自分が幸せになるため、よい人間関係を作ることがイメージできれば、そこからすべてが始まるのです。
ちなみに、マインドとはわれわれのイマジネーションが入るもののことなので、イマジネーションの限界が我々の限界ともいえます。でも、その限界を超越したところに、本当の変革があり、幸せがもたらされるのです。
このように、マインドをうまく使う方法を知ることが、レベルの高い縁起人になることとともに、良好な人間関係の構築を後押しするというわけです。
引用終わり
…この質問と回答を縁に、さらに「レベルの高い縁起人になる」ことを切に願います。
以上、私の回答です。
御質問ありがとうございました。
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
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