F-251:「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋を架ける <vol.8;選択>

 

 

 アートとは、才能によるもの。

 アーティストの才能とは、自分が強烈につくりたいもので、人に影響を与えるということ。

 それは笑いだったり、笑顔だったり、感情をつくりだす、人を感動させるストーリーテリングです。

 

 

 この言葉は米国俳優 トム・クルーズ(Thomas Cruise Mapother Ⅳ、1962~)のもの。「Top GunMaverick」公開時の来日会見での発言です(20225月下旬)。

 その意味をコーチとして考えてみました。

 

 vol.1;臨場感

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 vol.2;双極性障害

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28916956.html

 vol.3;高揚(興奮)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28968302.html

 vol.4;木鶏

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29025709.html

 vol.5;「ゴール」と「現状の自我」の間

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29092768.html

 vol.6;臨場感という橋を架ける-前編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29139372.html

 vol.7;臨場感という橋を架ける-後編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29197133.html

 vol.8;選択

 

 

 前回述べたとおり、私は「リーダーの資質」そのものが、「『ゴール』と『現状の自我』の間に臨場感という橋を架ける」ための最大のポイントだろうと思っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 「リーダーの資質」とは、1)情報収集能力(=高い抽象度)、2)同調能力、3)責任能力の3つ。

 F-104:「映写機の故障により上映できるか分りません」Vol.4;リーダーの視点で

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19485793.html

 

 1)情報収集に欠かせないのが「高い抽象度の視点」。

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

ゴールと関連していうと「さらなる“現状の外”」。より高い抽象度次元であり、より“現状の外”であるほど、社会(未来)に与えるインパクトは大きくなります。「まったく新しい“w1”」を生みだすことになるから。

 

 昨年末(2021年)、認知科学者 苫米地英人博士は、一般向けにコーチングの奥義を明かされました。その奥義とは

 

コーチングでは、関数pの再定義を促すのではなく、可能世界“w”から別の“w1”に移行することを促す

 

 *詳しくはこちら↓

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 通常は「より高い抽象度次元」「さらなる“現状の外”」「まったく新しい“w1”」になるほど認識しにくくなります。スコトーマに隠れるから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 リーダーの 2)同調能力とは、そんな感じにくい世界に対して高い臨場感を感じてもらうことです。しっかり同調するから導くこと(lead)ができるのですが、一方で高い臨場感ゆえにドリームキリングを生みだすことになります。

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 もしもドリームキラーがあらわれたときは、まずはその状況を肯定しましょう。「私らしい!」「Yes, I’m good!」と。コーチング実践者であり、すでに立派なリーダーである証だから。

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余談ですが、そのようなセルフトークは「ネガティブループ」のマネジメントにもなります。

 Q198:ネガティブループにはまって止観やヒーリングにすら取り掛かれません

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26282829.html

 

その後、自分自身が“現状の外”にゴールを設定した結果であることをしっかり認識した上で、ゴール実現のための大切な縁起であることを理解し、見つけた課題(ケース)を解決(プラン)していってください。

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その積み重ねが 3)責任能力を育て(自責)、ますますリーダーらしくなっていきます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22669112.html

 

 

 あなた自身が「可能世界“w”から別の“w1”に移行する」ことがうまくできるほど、あなたと縁がある人たち、関わるコミュニティ、共有する未来にも「ww1」がひろがりやすくなっていきます。「強い臨場感を感じている意識状態はまわりに伝わる(ひろがる)」から。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 vol.1F-244)で確認したとおり、私たちは誰もがマインド(脳と心)の中にスクリーンを持っています。ホメオスタシスで維持されるスクリーンを。

 vol.6F-249)で確認したとおり、記憶や現在の思考、概念などの抽象的情報を含む心的な自我の表現(=内部表現)が、脳内の劇場で与えられた架空の情報をあたかも本物のように上映すると、観客である認識機能はそれを真の情報だと思いこみ、実際に現実化してしまいますrealized virtuality)。それが「I×V=R」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

コーチングでは、関数pの再定義を促すのではなく、可能世界“w”から別の“w1”に移行することを促す

 

 つまり、マインド内のスクリーンへの新たな投影(新作上映)が「移行」。これまでのこのシリーズの内容をシンプルにまとめると、「移行」とは以下の3 stepからなります。

 

 <1st. step>まずはゴールを設定し、新たな“w1”を思い描く(I

 Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

2nd. step>「ゴールを達成できる」という確信(=エフィカシー)と「必ず成し遂げる」という責任(=覚悟)を胸に「やるべきこと(=エンドステート)」に挑む

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19033189.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14973460.html

  

 <3rd. step>臨場感(V)が高まるとともに「Invent on the way」しながら現実化していく(R

 F-192:「夢をかなえる方程式 I×V=R」実践の秘訣(ワーク付き)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26119647.html


 

 しかしながら、多くの方が経験されているとおり、その実践は決して簡単ではありません。ゴールは「3)現状の外」に設定するものだから。そもそもスコトーマに隠れて認識できないゴールをどうやって見つければいいのでしょう?

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 解決する能力は、じつは、すでに誰もが持っています。「ゲシュタルト能力」です。あとはそのすばらしい力を覚醒させるだけ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 「ゴール」と「現状の自我」という抽象度の違う次元の間に臨場感という橋を架けることで、現状の自我が認識できる部分情報とゴールの世界(全体)との間に双方向性が働いてゲシュタルトがつくられます(=connect the dots)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

 双方向性が働いてひとつのゲシュタルトができるということは、その橋が架けられた状態がコンフォートゾーン(comfort zoneCZ)になるということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 CZには強力なホメオスタシス(恒常性維持機能)が働きます。そのCZを安定的に保つように。臨場感が高まれば高まるほど、ホメオスタシス・フィードバックはますます強くなっていきます。

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 その結果起こる現象が<3rd. step>の「Invent on the way」。まるで引き寄せられるかのように様々な“縁”が結びつき、今まではまったく思いつかなかった解決法を“発見”し、まわりにも伝わっていきます(ひろがっていく)。

 

 

 アートとは、才能によるもの。

 アーティストの才能とは、自分が強烈につくりたいもので、人に影響を与えるということ。

 それは笑いだったり、笑顔だったり、感情をつくりだす、人を感動させるストーリーテリングです。

 

 

 “個”のwant to(「自分が強烈につくりたい」)が「2)自分中心を捨てる」ものであるほど、つまり抽象度が高く自己を超越したものであるほど、まわりの縁起空間に大きなインパクトを与えます(「人に影響を与える」)。“個”という部分と“みんな”という全体の双方向性の関係が生まれるから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 「Top GunMaverick」では、トム・クルーズや監督 ジョセフ・コシンスキーを中心とした制作陣の「人を感動させるストーリーテリング」に多くの観客が同調しました。強烈なドーパミン・セロトニン体験をしながら。

 

 その“感動”はしっかり伝わり、今もひろがっています。米国では「タイタニック」初公開時の記録を抜き去り、米パラマウント・ピクチャーズ最大のヒット作となりました(7/13時点で6192万ドル、約782億円)。ここ日本でも100億円に迫っており、2022年最大のヒットとなっています。

 

新旧の「Top Gun」が生みだした社会現象は、じつは、人間のマインドに内包されている危険性を教えてくれています。その危険性とは「バイオパワー」のこと。ドーパミン分泌を引き起こす報酬系と結びついた脳のレベルでのバイオパワーです。

F-061~:バイオパワー(生権力)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_292569.html

 

 自由意思でゴールを設定し、自身の人生のリーダーとして高い抽象度と臨場感と責任をもって、「マインド内のスクリーンへの新たな投影(新作上映)」を楽しむ

  

 それがバイオパワーに打ち克つ生き方であると感じました。「Top GunMaverick」鑑賞後の高揚(興奮)を味わいながら。

 

 

 最後に苫米地博士の著書「脳の呪縛を解く方法」(KADOKAWA)から引用します。

人間は、究極的に「奴隷として幸せに死ぬか」「その世界を離れてひとりぼっちの神官として死ぬか」のどちらかをとるしかありません。

皆さんはどちらを選びますか?

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 バイオパワーから逃れる方法③ -自分で調べ、考える

 本章を締めくくるに当たり、ひとつみなさんにアドバイスしておきましょう。それは、ソーシャルメディアでやり取りされる意見についてです。

 ソーシャルメディアを通じて意見をどんどんいう人がいますが、私は次々と意見が出てくること自体が不思議でなりません。

 

 ほんらい意見とは、自分で調べ、自分で考えた内容を指すのです。

 ところが、次から次にいろいろなことをいう人の意見は、自分で調べたわけではないし、自分で考えたことでもありません。要するに、どこかから持ってきた借り物なのです。元になった意見も、やはり誰かからの借り物であったり、権力側のバイオパワーによるバイアスがかかったものであったりします。

 それを頭に入れて、さも自分の意見であるかのように感じているとすれば、それはテレビを見てテレビが伝える情報を鵜呑みにしているのと変わりません。意図的につくりだされた他人の考えを、ただ頭に刻み込んでいるだけの話です。

 

 他人の意見を受け入れることは、つまるところ他人のバイオパワーに従うことであり、それが自由を失う奴隷の道であることは、すでに指摘したとおりです。

 私は、他人がいうことではなく、もっと大きな世界での、言語化されていない具体的な現象を見ることのほうが、よほど重要だと考えています。

 言語化された情報を読むときも、意見は聞かずに現象だけを読むのです。ソーシャルメディアへの接し方でも、この原則は変わりません。

 私たちに重要なことは、現象を見て、それを自分の胸に落とし、内側から発せられる自分の声に耳を傾けることなのです。

 すると、自分が望み、何をやりたいかということが、よりよく見えるようになります。それを知ることが、自由への貴重な第一歩になります。

 

 人間は、究極的に「奴隷として幸せに死ぬか」「その世界を離れて一人ぼっちの神官として死ぬか」この2つのどちらかをとるしかありません。私は、後者を選びました。もちろん、どちらを選ぶとしても、それはみなさんの自由です。

 ただ、この選択を主体的に行うことができれば、生きづらさの半分は解消することができる。

 私は、そう考えています。

 引用終わり

 

 

 さぁ選択を!

もしも苫米地博士と同じように後者を選ぶのなら、その決断(決意)が「『ゴール』と『現状の自我』の間に臨場感という橋を架ける」ための第一歩。とても重要で貴重な第一歩です。

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

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