Q-267:臨場感世界をまったく同じように感じることが可能なのでしょうか?
<補足;compassion>
前回(Q-265&266)まで、苫米地博士の「地球の裏側の人と自分の差がまったくないということを認識する」という言葉に関連した御質問に回答しました。
Q:臨場感世界をまったく同じように感じることが可能なのでしょうか?
前編;視点
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後編;視点を上げる
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29135063.html
先の博士の言葉は「近未来のブッダ 21世紀を導くリーダーの鉄則」(サンガ)からの引用です。その著書では「慈悲」が定義されています。その中にこんな記載があります(p89)。
施しや憐れみは慈悲ではありません。慈悲かどうかを見分けるポイントは、ズバリ「上から目線かどうか」です。慈悲は上から目線ではありません。
日本語の「慈悲」は、どうしても上から目線のニュアンスが入ります。英語のコンパッションは、「パッションを共にする」ということで相手と同列ですから、サンスクリット語からの翻訳は、その意味では正しいのです。だけど日本語の「慈悲」は施しのニュアンスが強すぎます。
…この部分を読むと、「パッションを共にする=compassion」は、確かに「臨場感世界をまったく同じように感じる」ことを意味しているように感じられます。
そこで今回は、補足として、あらためて「compassion」を確認していきます。「近未来のブッダ」の第4章「慈悲を知る
『縁起』という大発見をしたブッダ、人の役に立ってなんぼの大乗仏教」(P76~)を読み解きながら。
働きかけは言語ですが、ぜひ言語を超えた次元で感じてください。Feel!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html
縁起という人類の大発見
縁起を発見したのは釈迦です。それは「すべては他の何かとの関係で成り立っている」という真理。
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真理とは、一般的には、「ほんとうのこと」「いつどんなときにも変わることのない、正しい物事の道筋」といった意味。
しかしながら、釈迦の縁起が導くのは、「普遍的な実体などはなく、物事は常に変わりゆき、永遠に変わらないものなどない」という無常であり、「この世に絶対はない」「この世は心がつくっている」という教えです。つまり、絶対的真理の否定。
それを現代哲学では「不完全性」と表現します。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html
縁起による存在は「ネットワークの網目の交点」。もちろん、「私」という存在(自我)も交点です。固定的なものではなく、実態もありません。
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交わりがないと存在が成り立たないので、“点”は確実にあるといえます。しかし、固定的ではなく面積を持たない(部分ではない)交点ですので、“点”はないともいえます。
「ある(有)」とも「ない(無)」ともいえる(「ある」とも「ない」ともいえない)
…つまり、“点”は「空(くう)」。
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慈悲の大乗は役に立ってなんぼ
ブッダの発見(縁起)と、その思想を継承しているのが仏教です。中でも大乗仏教は「人の役に立ってなんぼ」と考えます。「小さな煩悩はほどほどに」「大きな煩悩は徹底的に」という立場です。大きな煩悩を肯定するためにとても重要なのが、
「自分の一生は自分以外の人たちのためにある」というルール
…これはゴールのポイント「2)自分中心を捨て去る」のことでもあります。
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*ルールについてはこちらをどうぞ↓
S-02~:自由に生きるために ~マナー、ルール、モラルについて考える~(目次)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/17563396.html
広がりゆく存在の意識
前回(Q-266)のテーマだった「視点を上げる=抽象度を上げる」を実践すると、自分という存在が宇宙全体にひろがっていきます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
その感覚、マズローでいうなら「自己超越」の意識状態で行う行為が慈悲です。
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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9966391.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10116950.html
慈悲に関して、苫米地博士はこのように書かれています。
そうした自分が存在するこの世の中でなんだかんだと役に立つことが大乗の世界、慈悲の世界です。大きな煩悩を認める。その瞬間に前頭前野を使って「私は何をできるか」を考える。その行為を慈悲というのです。
そして、こうも…
大事なのは、慈悲は必ず行為を伴うということです。行為のない慈悲はあり得ません。自分以外の人に役立つ行為が慈悲なのです。
シンプルにまとめると…
◇慈悲の定義
慈悲は情動ではない
慈悲は行動するもの
きわめてIQの高い前頭前野を使った行動
苦行や瞑想からほど遠いもの
徹底的に自分以外のこと
慈悲は上から目線ではない
他者の苦しみを最小化する
他者の幸せを最大化する
◇ポイント
人間は、自分以外の人の喜びしか自分の幸せにならない、だから慈悲は幸せの道だということ
◇慈悲の体感
めちゃくちゃハッピー
…慈悲を英語で表現した「compassion(=パッションを共にする)」が、「臨場感世界をまったく同じように感じる」とは違うことを感じていただけたでしょうか?
もしも「?」なら、こちらもぜひ確認してください↓
F-009:本物の“向上心”、本当の“上から目線”
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721215.html
最後にもうひとつ「近未来のブッダ」から引用します(p171~)。
慈悲を乗り越える
もし、私が「百年後の日本人」に書いたように、いずれみんながつながって個がなくなる時代に来たら、他人の痛みは自分のものになります。じゃあ、そうなったら慈悲は不要になるかといったら、とんでもありません。というか、より飛躍のチャンスです。
人類が一つになったら、違う星の生命体に対する人類の慈悲が発揮できるようになります。あるいは人類が一つの意識をほぼ共有しても、それぞれの個はあるから完全共有ではありません。そのとき、ますます慈悲が重要になります。たくさんの個が集まれば力を持ちますから、それが間違った方向に行けば、人類じゃなくてもイルカやクジラを殺しまくってしまうかもしれません。あるいは、隣の星に行くことができるようになっていれば、隣の星を滅ぼすかもしれません。その危険性は今の世の中と同じです。それをしない慈悲はつねに必要なのです。つながっていたら、なおさら必要になります。
端的に言えば、他者がある限り慈悲が必要です。他者がない概念をいつか覚えないといけません。それはつまり、慈悲を乗り越えるということです。
そう、実は、慈悲はいつか乗り越えるべきものなのです。抽象度が極限まで上がれば、すべてが自であり他になり、同情や憐れみなどを持ち得なくなるのですから。私たちは慈悲を乗り越えるものとして設定して、いつか乗り越えることができるということを確信し、そこに向かって実際に役立つ行動を起こさなくてはなりません。
行為はものすごくたくさんあります。相手の状況によって行為がぜんぶ違ってきますから、何が慈悲の行為かを先に定義することはできませんが、他者は自分の延長ですから、やりたいこと、やるべきことだと思えることはすぐに決まるでしょう。
引用終わり
…以上、補足として「compassion」についてまとめました。
「compassion」を“共にする”のが「コーチング・デ・コンパッションクラブ(CoacHing de Compassion Club、CHCC)」です。御参加をお持ちしております。気楽にどうぞw
I-060:クラブ活動 はじめます -第1報-
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