F-249:「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋を架ける <vol.6;臨場感という橋を架ける-前編->

 

 

 アートとは、才能によるもの。

 アーティストの才能とは、自分が強烈につくりたいもので、人に影響を与えるということ。

 それは笑いだったり、笑顔だったり、感情をつくりだす、人を感動させるストーリーテリングです。

 

 

 この言葉は、今(20225月下旬)話題の“あの人”のもの。

 その意味をコーチとして考えてみました。

 (シリーズの最後で誰の言葉かを明かします。想像しながらお読みくださいw

 

 vol.1;臨場感

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28857122.html

 vol.2;双極性障害

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28916956.html

 vol.3;高揚(興奮)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28968302.html

 vol.4;木鶏

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29025709.html

 vol.5;「ゴール」と「現状の自我」の間

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29092768.html

 vol.6;臨場感という橋を架ける-前編-

 

 

 今回の連載は「臨場感」がテーマ。

 vol.1F-244)では、苫米地博士の著書「洗脳原論」(春秋社)から「ホメオスタシス仮説」に言及されている部分を引用しました。

 

 ホメオスタシス(Homeostasis)とは、体温や血圧・心拍などを安定的な状態に保とうとする恒常性維持機能のこと。その働きが情報空間にまで拡張しているというのが「(サイバー)ホメオスタシス仮説」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 それは仮想世界に臨場感を感じることができる人間の脳機能の作用を一般的に仮説化したもの。臨場感とは「ホメオスタシス・フィードバックの強度」のことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

映画や小説で涙を流してしまう(架空の出来事で、実際に生体が反応する)のもホメオスタシスの働きによります。臨場感が高いほど、より強く反応します。

この事実から導きだされたプリンシプルが「夢をかなえる方程式 I×V=R」。

認知科学以降の世界においては、「リアル(現実、R)」とは、「その時一番臨場感が高い(V)イメージ(I)」のことです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 認知科学以前の世界では、例えば「映画館は物理的現実世界であり、映画の世界は仮想現実(バーチャルリアリティ)である」と考えられていました。だから、光や音や映像(3D)を工夫し、さらには座席までも動かして臨場感を上げようと試みました(4DX)。

 

 ところが、臨場感を上げるのに、本当は光や音や映像は必要ありませんでした。その事実にあらためて気づいたときの衝撃を、苫米地博士は「小説で涙を流す問題」と表現されています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

 映画を観ているときは、映画で描かれる世界がリアル(現実)で、映画館(物理的現実世界)の方がバーチャルです。それが情報空間にホメオスタシスが働く人間にとっての真実。

「リアル」とは「今、自分が臨場感を感じている世界」のことです。

 

 コーチング理論に当てはめると、ゴールの世界(=ゴール側のコンフォートゾーン)を臨場感を持ってイメージするなら、脳はそのイメージの世界を現実だと判断します。そして新たなコンフォートゾーン(CZ)のイメージに対してホメオスタシスが働き、自然に達成していきます。「Invent on the way」しながら。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 シンプルに表現すると、

 ゴール設定→臨場感→ホメオスタシスが変化→CZが移動→スコトーマが外れる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 鍵は「臨場感」。ここで大切な注意点が2つあります。

 1つはエモーションコントロール。vol.3F-246)で確認したとおり、臨場感が高まるほど高揚(興奮)しますが、高揚(興奮)しすぎると臨場感を失います。

 (詳しくはこちらをどうぞ↓)

 S-03~:心のエネルギーとは何か? ~カナックス事件に学ぶ“心のエネルギー”をコントロールする方法~(目次)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19879680.html

 

 それを防ぐために「木鶏」が理想とされてきたのですが、vol.5F-248)で考察したとおり、「木鶏」には根本的な問題があります。それが2つ目の注意点。

では、それらの注意点=課題(case)に対する解決策(plan)は?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 

以下、苫米地博士の著書「すごいリーダーは『脳』がちがう 人を動かす3つの条件」(三才ブックス)から引用します。問題と解決をイメージしながらお読みください。

 

 

 重要なのはリアライズドバーチャリティ

 リーダーになるということは、他人を引き寄せるということ-。

 そのためには、同調能力がカギを握っています。同調能力とは、リーダーの考えや決断を、従わせる者に対してさも自分の考えと同じだと思わせる力です。

 例えば、オバマに熱狂した人々は、彼が主張する政策をさも自分の意見と同じだと思って支持しています。イラク戦争の反対、ウォール街の批判、グリーンニューディール……。彼をリーダーへと祭り上げた環境の力が、国民を同調させたのです。

 自ら進んで政治家の政策を支持したり、社長の訓示に頷いたり、キャプテンの指示を仰いだりするのも、リーダーに同調すればこそ。

 では、どのようにして、自分の考えを他人に同調させられるのでしょうか。

 他人を同調させるためには、その人の心(=脳)の中にある「臨場感空間」をコントロールしなければなりません。

 

 臨場感空間?

 何だか物々しい……と思われた方もいるかもしれません。しかし、物理的現実世界とは一線を画したこの世界・空間は、皆さんの脳の中に必ずあります。この世界(臨場感空間)があるから、皆さんは生きているのです。

 臨場感とは、さもその場に身を置いているような感じのことです。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚……。ある空間に対して、あたかも五感で感じているような感覚を、臨場感を持つといいます。

 

 臨場感は、もともと人間が持っている感覚能力です。この能力のおかげで、人間はさまざまな情報をリアルに感じることができます。映画を観ているとき、自分が映画の世界の中で振る舞っているような感覚に陥ったことがあるでしょう。アクションシーンでは、自分も格闘しているように感じ、ラブシーンでは、相手役と恋愛しているように感じ、雄大な景色のシーンでは、自分もその中にいるように感じる……。これは映画という仮想空間(ヴァーチャルリアリティ)に臨場感を持っていることを意味します。

 

 人間はある世界に強い臨場感を持つと、その世界が仮想空間であってもリアルだと認識し、実際にリアルになってしまいます。

 例えば、キリスト教徒が何もしていないのに、キリストが磔にされたときと同じように手から血を流す、いわゆる聖痕現象がそうです。普通に考えればありえないでしょう。刃物などで刺さないかぎり、自分の手から血など流れません。これは信者がキリスト世界に強い臨場感を持つことで、キリスト世界がリアルだと感じたために起こった現象です。仮想空間をリアルだと認識したために、身体がそちらの世界に反応して血を流してしまったのです。他にも、イメージ療法で重い病気が治ったりすることがありますが、同じ現象といえます。

 

 これらは物理的現実世界において、すべての重要な変化は心の中のイメージから始まっていることを意味しています。

 人にはそれぞれ自分の心の中でわき上がったイメージの世界があり、それが物理的現実世界に投影されます。「会社を起こす」「お金を稼ぐ」「好きな女性ができる」「戦争が起こる」「地球が滅亡する」……。自分のイメージの世界に臨場感を持つと、それがリアルになっていきます。これを臨場感世界の現実化(リアライズドバーチャリティ)といいます。

 臨場感を持った世界(臨場感空間)が、リアルとなる。ということは、その人が持つ臨場感空間をコントロールできれば、その人のリアルをコントロールできることになります。もっといえば、その人に「自分がコントロールされている」とは気づかせずに、その人の行動や考えが、コントロールする人の意のままに動くことになるのです。

 引用終わり

 

 

 ゴール設定→臨場感→ホメオスタシスが変化→CZが移動→スコトーマが外れる

 

 それが私たちのマインド(脳と心)で起こっている変化ですが、多くの場合、その変化は映画や小説、テレビやSNS、そして他人との会話など、外から与えられた臨場感に対する変化です。それはいわば「“シンのゴール”がないまま他によって作られた『マトリックス/Matrix』で生かされている状態」。そうとは知らずに。

 F-206~:マトリックス/Matrix

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_414394.html

 

 まずはシンのゴール設定を!

ゴールとは1)心から望み、2)自分中心を捨て去り、3)現状の外に設定するもの。

 Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

 その上で、作り上げたイメージ(CZ)に対して、自分でホメオスタシスのフィードバックを変えていかなければなりません。自分のマインド(脳と心)に対して意識的かつ意図的に介入していくのです。その鍵が「臨場感」。

 

 それが「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋を架けるということです。

 

F-250につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

ゴール設定→臨場感→ホメオスタシスが変化→CZが移動→スコトーマが外れる

 それが私たちのマインド(脳と心)で起こっている変化ですが、多くの場合、その変化は映画や小説、テレビやSNS、そして他人との会話など、外から与えられた臨場感に対する変化です

 

 またまた「Top Gun」に関する話題です。

 最初の映画は1986年の全米興行成績1位を記録。日本でも社会現象化しました(あのレイバンのサングラス、私も持ってますw)。

 映画公開後、海軍への入隊志願者が急増しました。なんと劇場には入隊勧誘のためのブースまで設けられていたそうです。志願者のじつに90%が「Top Gun」を観ていたといいます。これはまさに「外から与えられた臨場感に対する変化」。

  

 Wikipediaによると、米国海軍戦闘機兵器学校では映画のセリフを口にすることは「プロ意識に欠ける」とされ、ペナルティとして5ドルの罰金をその場で支払うルールがあったそうです。

 S-02~:自由に生きるために ~マナー、ルール、モラルについて考える~(目次)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/17563396.html

 

「プロ意識」とは「木鶏」のこと、「罰金」は「高揚(興奮)を抑える工夫」と考えることができそうです。

 

 

-告知1

 2022年度のオンラインセミナー(全12回)を企画しました。

メインテーマは「夢が勝手にかなうマインドセット(“Matrix”)の構築 ~ReloadRevolution」。詳細はこちらでどうぞ↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28274321.html

 

 第4回目(R4.7/24開催)のテーマは「ラポール」。詳しくはこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29009685.html

 

 

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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