F-246:「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋を架ける <vol.3;高揚(興奮)>

 

 

 アートとは、才能によるもの。

 アーティストの才能とは、自分が強烈につくりたいもので、人に影響を与えるということ。

 それは笑いだったり、笑顔だったり、感情をつくりだす、人を感動させるストーリーテリングです。

 

 

 この言葉は、今(20225月下旬)話題の“あの人”のもの。

 その意味をコーチとして考えてみました。

 (シリーズの最後で誰の言葉かを明かします。想像しながらお読みくださいw

 

 vol.1;臨場感

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 vol.2;双極性障害

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 vol.3;高揚(興奮)

 

 

人生のあらゆる領域にゴールを設定し、エフィカシーが十分に高いと、目の前が「ゴールの世界の一部」に感じられます。

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すると、気分が高揚したまま次々とアイデアが浮かぶような創造的な状態になります。寝ないで活動し続けても疲れを感じないほどエネルギッシュで、いつも気分爽快。世界はますます明るく輝いて感じられます。モチベーションでいえば100%want toしかない状態です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

前回取り上げた躁(軽躁)状態とコーチングマインドは、似ているようでいてまったく異なるものです。両者の間には決定的な違いがあります。鍵は「抽象度」です。

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「抽象度が上がる」「抽象度を上げる」とは、「頭の中で理解が深まる」こと

 

この場合の“頭”とは、情報空間での情報処理を行う心のことです。

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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

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 その時、抽象度を軸とした場合の情報空間の底面である物理空間上の頭の中、すなわち脳内でも変化が生じています。中枢神経系の神経伝達物質であるドーパミンが分泌されているのです。

PM-04-22:「抽象度を上げる」ときにマインド(脳と心)で起きる変化 -後編-

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 ドーパミンは食事で摂取したフェニルアラニンやチロシンを元に作られ、興奮した状態をつくるアドレナリン、不安や恐怖を引き起こすノルアドレナリンに変わります。

かつてはアドレナリンやノルアドレナリンの単なる前駆物質と考えられていましたが、ドーパミンそのものに、運動調節、ホルモン調節、快の感情や意欲・学習に関わる重要な働きがあることがわかってきました。

 

ドーパミンが減ると運動や思考が緩慢になってしまいます。

一般でも10歳老いるごとに10%のドーパミンニューロンが死滅するといわれており、年をとるごとに物理空間での身体の運動や情報空間での思考のスピードが遅くなる原因とされています。

病的にニューロン死が起きた結果ドーパミンが不足してしまう病気がパーキンソン病です。反対に、ドーパミンが増えすぎると幻覚や妄想などの問題を生じます。

 F-038~:「若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ♪」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_268333.html

 

 このようにドーパミンは運動系の脳内物質です。

したがって「抽象度を上げる」とは、マインド(情報的な心、物理的な脳)の高度な運動といえます。

 

ドーパミンは気持ちよさや喜びを感じさせる神経伝達物質でもあり、その経路は報酬系と呼ばれています。前回取り上げた「気分が高揚したまま一方的に話し続ける」「次々とアイデアが浮かんできて止まらない状態になる」「寝ないで活動し続けても疲れを感じない」「気分爽快」「世界が明るく感じられる」といった状態は、まさにドーパミンが満ちあふれている状態です。

 さらにドーパミン分泌により交感神経が刺激されると、「血圧が上がる」「脈が速くなる(動悸)」「呼吸がはやくなる」といった身体症状があらわれるようになります。

 それは副交感神経が優位となる「リラックス」とは真逆の興奮状態です。

 F-217:不安と不満のはざまで苦しんでいる君へ <1st.Step;「どうせ私なんか」と思った時は

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27570183.html

 

 勘違いされることが多いのですが、決して興奮自体が悪いわけではありません。ただし、コントロールを失うと危険。

一度興奮状態が起こると、扁桃体によって感情(情動)が増幅され、どんどんエスカレートしていきます。同時に前頭前野の働きは抑制され、IQが下がっていきます。

その結果、抽象度が高い社会的情動(感性)レベルどころか、あたりまえの論理的思考すら怪しくなっていきます。

PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

詳しくは下記リンクのシリーズ編第3弾(S-03~)で取り上げていますが、2011年にカナダのバンクーバーで暴動が発生しました。立ち並ぶ店のショーウインドを割ったり、車をひっくり返し放火したりする騒ぎは、駆けつけた警官を襲撃しパトカーを炎上させるまでにヒートアップ。

バンクーバーの町全体が炎上したかのようなこの大騒ぎのきっかけは、なんと、アイスホッケーの試合でした。地元のチーム カナックスが敗れたことに怒ったファンが暴徒化したのです。

 S-03~:心のエネルギーと何か? ~カナックス事件に学ぶ“心のエネルギー”をコントロールする方法~(目次)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19879680.html

 

 アイスホッケーなどスポーツ観戦に限らず、誰かに自分を重ね合わせて高揚(興奮)しているときは、前頭前野が活発に働いています。想像力や思考力を働かせているからです。

 ところが、感情(情動)が増幅されていくにつれて、扁桃体を含む大脳辺縁系の働きが活性化していきます。さらに高揚(興奮)が強まると、IQが下がり、論理的な思考や理性的な判断ができなくなっていきます。その状態が「ファイト・オア・フライト」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 ここで認知科学者 苫米地英人博士の著書「『感情』の解剖図鑑」(誠文堂新光社)より引用します(p139)。

 

 

 〇他人の行動に興奮できるのも、人間だけ

 また、ミラーニューロンの働きや、「共感できる能力」により、人間は、自分以外の人の行動を見て興奮することもできます。「他人のスポーツの試合を見て、自分がプレーしているかのように興奮する」「映画を観て、登場人物に感情移入し、興奮する」といったことは、ほかの動物にはできないはずです。

 そして、人が試合結果や映画のあらすじを知るだけでは満足できず、わざわざ会場に行ってスポーツの試合を観たり、映画館に行って映画を観たりするのは、興奮するためです。興奮すればドーパミンが分泌され、快感や幸福感を得ることができます。

 なお、興奮の度合いは、臨場感が高ければ高いほど大きくなります。スポーツ中継なら、映像で観るよりも競技場で観た方が、そして遠くの席よりも近くの席で観た方が、興奮度はより高くなります。

 引用終わり

 

 

 興奮の度合いは、臨場感が高ければ高いほど大きくなる

 

…vol.1F-244)で解説したとおり、すべてが「臨場感のあるフィードバック関係」次第。臨場感が「一人一宇宙」を生みだしています。その理をプリンシプル化したものが「夢をかなえる方程式 I×V=R」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 臨場感が高ければ高いほど現実化しやすくなる一方で、「興奮の度合い」が大きくなりコントロールを失うと現実化が困難になっていきます。

 

 その問題(case)を解決する(plan)のがコーチング(Authentic Coaching)。鍵は、やはり、「抽象度」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

F-247につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

興奮の度合いは、臨場感が高ければ高いほど大きくなる

 

 最近、臨場感maxの映像体験をしました。映画「Top GunMaverick」!

なんと主演のトム・クルーズはじめ俳優陣は、数カ月にわたる訓練を受けた後、実際に音速で飛行する戦闘機内で演技を行ったそうです。自ら撮影機器を操作して。

そんな事前情報と圧倒的体感(言語+五感)が、臨場感を高め、興奮を大きくしたのでしょう。公開2週目にして2005年公開の「宇宙戦争(原題:War of the Worlds)」の最終興収を抜き去り、トム・クルーズ主演作史上最大の大ヒット作となっています(米国)。

 

CG全盛のデジタル時代におけるこの実映像体験後、私はあらためて「リアルとは何か?」を考えました。

Q-042~:「明確にリアルに目標がイメージできた時点でほぼゴールに近づいた」とは具体的にどういうことでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_262962.html

  

 *こちらもどうぞ↓

 F-106~:超実写版「ライオン・キング」で描かれた“超現実”を生きる極意

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_383531.html

 

 

-告知1

 2022年度のオンラインセミナー(全12回)を企画しました。

メインテーマは「夢が勝手にかなうマインドセット(“Matrix”)の構築 ~ReloadRevolution」。詳細はこちらでどうぞ↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28274321.html

 

 第4回目(R4.7/24開催)のテーマは「ラポール」。後日、告知を行います。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26952285.html

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

-関連記事-

Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

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「感情」の解剖図鑑