Q-262:コーチングは弱った人を対象とする臨床心理や精神医療の世界にはなじまないのだろうか?
<vol.4;ケース&プラン>
医療関係者より御質問をいただきました。ありがとうございます。
その一部に回答いたします。
(変更を加えています)
Q:コーチングについて、ある医学誌に「健康度や問題意識が高く、自ら向上したいというエネルギーが充実している当事者の場合には適応になるかもしれないが、弱った人を対象とする臨床心理や精神医療の世界にはなじまない手法である」と書かれていました。
タケハラコーチはどのように思われますか?
vol.1;自我から離れ、高い抽象度で物事を捉える技術
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28742699.html
vol.2;肯定的立場で(affirmative)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28786054.html
vol.3;否定的立場で(negative)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28812088.html
vol.4;ケース&プラン
まずは医療・介護現場にコーチング(Authentic Coaching)がひろがり、誰もがゴールを見つけスピリチュアルペインを克服している。すると、老病死(+生で四苦)が縁でコーチングを実践しはじめた人たちがどんどん生命エネルギーをとりもどし、人生(世界)を輝かせ、社会全体および未来が豊かになっていく
…苫米地博士に学びながら、私はそのようなビジョンに向かっています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
…今回は、ディベート(トゥールミンロジック)でいうところのケースサイドとプランサイドを念頭にまとめます。
S-01-13:「問題解決力」の強度を測る2つの基準
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html
まずはケースサイドから。
ケースサイドは「問題を見つける」こと。さらには、「その問題がいかに大きいか」「どれほど行動の必要性があるか」を示すことです。「ハーム」と「インヘレンシー」という2つのポイントがあります。詳しくはこちら↓
S-01-14:ディベートを制する4つのポイント-1 <ハーム>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808495.html
S-01-15:ディベートを制する4つのポイント-2 <インヘレンシー>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808542.html
私が感じている問題(ケース)をシンプルに表現すると、「スピリチュアルペインがスコトーマに隠れている」。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html
スピリチュアルペインとは、「自己の存在と意味がわからないことから生じる苦痛」のこと。私はスピリチュアルペインこそがすべての苦痛の根源であると考えています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24706915.html
多くの人は「自己の存在と意味がわからない」という苦しみ(=スピリチュアルペイン)を抱えている事実に気づいていません。正確に述べると、思春期に感じはじめ、大人になるにつれ考えなくなっていきます。
L-008:2020年1月…-08;スピリチュアルペインへの対処は、いつから、どこで、行われるべきか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24746334.html
それは仕方がないことでもあります。「自己」を決定するブリーフシステム自体が他人や社会の価値観で作られるから。年を重ねるほど、本当の私ではない「自己」が強固になり、過去に閉じ込められていきます。その結果、スピリチュアルペインを抱えているという事実ごと忘れてしまうのです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html
忘れたからといって、完全に開放されているわけではありません。誰もがなんとなく感じている“生きづらさ”は、「『無人運転』『自動運転』を強いられている」ことから生じているはずです。
F-089~:無人運転と自動運転の違い ~シーサイドライン逆走に思う~
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_369873.html
忘れていたはずのスピリチュアルペインが一気に露わになるのが医療・介護の現場。老病死の臨場感が高いためにスコトーマが外れやすく、死とともに生(の意味)が突きつけられるからです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8045953.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166400.html
「死とともに生(の意味)が突きつけられる」ことで生じる苦痛を、1)(とくに若い)医療・介護従事者、2)“老病死”の当事者、3)“老病死”を支える家族(子ども世代・孫世代)に分けて考えてみましょう。
1) (とくに若い)医療・介護従事者
もう四半世紀以上も医療・介護の現場にいますが、出会った誰もが「苦しみがなくなってほしい」「楽になってほしい」と願いながら働いています。
ですが、老病死は避けられません。どんなに手を尽くしても、必ず最後は亡くなっていきます。それが現実。
医療・介護を志した思いがピュアであるほど、厳しい現実とのギャップに苦しむことになります。認知的不協和です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html
不協和をうまくマネージすることができないと、大脳辺縁系優位に陥ってしまいます。「戦うか、逃げるか」という心理状態です。結果、現場はピリピリ・ギスギスした雰囲気に包まれます。すると、緊張でミスが多くなり、心身の不調がますます起こりやすくなります。苦しみの悪循環です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html
最近、立て続けに「医療従事者による患者さんへの虐待(疑い)」を見聞きしました。そのすべてに共通しているのは、職場で不安と不満がうごめいているという現実。
F-217~:不安と不満のはざまで苦しんでいる君へ
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_416096.html
その根底には経営陣のお金に対する執着があったりします。一言でいうと「煩悩」です。トップの抽象度の低さが、医療従事者のマインドを蝕んでいます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
*私の苦い経験はこちら↓
PMⅠ-06~:職場への苫米地式コーチング導入挑戦と明らかになった課題(目次)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/15110477.html
2)“老病死”の当事者
自分の人生がそんなに残されていないことを悟った時、スピリチュアルペインが一気に噴出するケースをたくさん経験します。怒り・苛立ちがめだつケース(fight)、ふさぎ込み気力がなくなってしまうケース(flight)など様々ですが、根底には“ある情動”が存在するように感じられます。
「自分がこの世から消えてなくなる」という自己喪失感です。
さらに詳しく分析すると、「自分という存在そのものが消えてなくなる」ことと「自分という存在の価値がこの世から消えてしまう」ことの2つがあることがわかります。
F-243:人は、生きている時は自分の心の中、亡くなると親しい人の心の中にいる
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28791954.html
3)“老病死”を支える家族(子ども世代・孫世代)
老病死(+生で四苦)の苦しみは、ホメオスタシス同調により、身近な家族にも静かに伝播していきます。縁起空間に染みがひろがっていくような感じで。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
*ホメオスタシスはこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
家族間で増幅しあった負のエネルギーが医療従事者に向けられると、ますます医療・介護の現場は緊張していきます。その一例はこちら↓
F-049~:同じ人間なのだから診れるだろう
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_268336.html
スピリチュアルペインがスコトーマに隠れている
…では、問題(ケース)に対する解決はどうすればいいのでしょうか?
その解決を考えるのがプランサイド。
プランサイドにも2つのポイントがあります。「ディスアドバンテージ」と「ソルベンシー」です↓
S-01-16:ディベートを制する4つのポイント-3 <ディスアドバンテージ>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12935916.html
S-01-17:ディベートを制する4つのポイント-4 <ソルベンシー>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12935992.html
「スピリチュアルペインがスコトーマに隠れている」という問題に対する私の解は、「コーチングによりゴールを見つけ、(結果として)スピリチュアルペインを克服する」です。
その詳細は下記ブログ記事にまとめています。ぜひ、参考にされてください。
<1>(とくに若い)医療・介護従事者向け↓
Q-223~:コーチングが重要なのは理解しているが、医療現場は忙しすぎて実践できない
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_416549.html
<2>“老病死”の当事者&3)“老病死”を支える家族(孫世代)向け↓
F-129~:The Sweet Hello, The Sweet
Goodbye
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_396235.html
<3>“老病死”を支える家族(子ども世代)向け↓
Q-177~:家族ががんで治療中です。どうすればいいでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408953.html
(Q-263につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
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2022年度のオンラインセミナー(全12回)を企画しました。
メインテーマは「夢が勝手にかなうマインドセット(“Matrix”)の構築 ~Reload&Revolution~」。詳細はこちらでどうぞ↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28274321.html
第3回目(R4.6/19開催)のテーマは「ゴール」。詳細はこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28683163.html
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クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
-関連記事-
PMⅠ-04~:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ(目次)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13076878.html
L-001~:2020年1月シークレットレクチャー(スピリチュアルペイン-1)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_407080.html
L-023~:2020年3月シークレットレクチャー(スピリチュアルペイン-2)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_411419.html
L-032~:2020年4月シークレットレクチャー(スピリチュアルペイン-3)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_413332.html
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